【Stay with me】 -義理の弟と恋愛なんて、無理なのに-

星井 悠里

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◆Stay with me◆本編「大学生編」

「仁との話」* 寛人side 3/3




「オレ、昔から、仁は何のつもりなんだろうって、思ってたんだよ」
「え?」

「中学で生徒会を彰とやるようになった頃からかな。お前の視線が突き刺さってくるから――――お前は彰をどんな目で見てるんだろって」
「……そんな、オレもまだ認めてない頃に、バレてたの?」

 ほんと、こわいな。と、仁が呟く。

「……そしたら二年前、彰がもう見るからにおかしくて、聞いたらそういう話だった。まあカマかけて、仁か? て聞いたから、認めたんだけどな」
「――――あんたは、あの頃反対してた?」

「……反対はしてねえよ。彰が良いなら、そうなっても良いんじゃねーのかと思ってた。今も別にお互いが良いなら、どんな関係でも、オレは別に良い」

「――――変な人」

 仁が、ぷ、と笑った。

「オレ、この話、他人にしたの、初めて」
「――――まあ、なかなか言えないよな……血が繋がってなくても、兄貴だし」

 仁は少しだけ頷いて。
 少し黙った後、また口を開いた。

「オレから彰に言う事はないから、多分彰が困る事は、ないと思うんだけど……」
「……ああ」

「――――もしオレの事で、彰が困ってて、辛そうで、片桐さんに相談したりして……」
「――――」

「オレが、彰の側に居ない方が良いって、判断したら……」
「したら?」

「……とりあえず、教えてもらえますか?」

「――――オレが判断したら諦めるのか?」
「……それですぐ諦めるかは分からないけど――――あんたがそう思う位、彰が困るなら、離れるっていう選択肢も、考えるから」

「――――彰が困るような、何かって何?」

「……バレないようにするつもりだけど……オレが想ってるのが、バレないとも限らないし。言わなくても、バレる事だって……ないようにしたいけど、分かんないし。 ――――それで彰が苦しむなら、離れるのも仕方ないとは思うから」

「――――分かった」

「オレの携帯番号、教えといていいですか?」
「ん。オレのも、登録しといて」

 番号を交換してから、スマホを伏せると、仁は、急にオレの顔を見て、ニヤッと笑った。


「オレ、片桐さんのこと、嫌いだったんだけど――――」
「あ?」

「理由は、完全に嫉妬で」
「――――」

「今日、嫌いじゃなくなりました」

 悪戯っぽく笑って、仁がそう言う。
 さっきまでの、決意を秘めまくりの表情じゃなくて。

 年相応の、無邪気な、笑顔。

 ああ、きっと――――。
 こういうとこを、彰は、仁が可愛いって、言ってたんだろうなと。
 ふと、思った。

 彰を、好きでさえなければ、きっとこんな顔でいつも、笑ってたんだろうにな。と、少し、可哀想にも思えるけれど。

 ――――好きでどうしようもないのは、仁自身なんだから、それも、仕方ないのか……とも思った。


「――――お前も、どーしても辛くなったら、連絡しろよ」
「――――」

 まっすぐオレを見て、にっこり笑って、無言で頷く。


「オレが払うから今日はいいから――――オレ少し、彰と話してから帰るから、仁は先に帰ってな」
「……はい。ごちそうさまです――――彰をよろしく……て言うのも変だけど。あ。夕食オレが買ってくって伝えてください」


「おう。……またな」
「――――それじゃ」


 最後に、にこ、と笑って。仁が店を出ていった。



◇ ◇ ◇ ◇



 電車の窓ガラスに、最後の仁の後ろ姿が浮かんで見えた気がして。
 息を、ついた。


 もしかしたらと、思ってたこともあったけれど。
 でも、ほとんどが、想像以上で。

 あの仁に、
 考えることを拒否して、ずっと避けてきた彰が、
 どう向かい合うのか……。

 ……正直、まったく読めない。

 余計な事を言ったら、さらに悩みそうだし。
 でも言わなくても悩みそうだ。

 ……よっぽどの事がないと、仁から告白する事は、無さそうだな……。


 それで、彰が、好きだと認めるなんて。

 ……ありえんのか、そんなこと??


 ――――あんなの聞いちまうと、仁を応援してやりたくなってしまうけど。なんだかそれも違う気がするし。


 とりあえず。 彰が病む前に一回会おう。
 それまでにオレも少し、考えとくか……。って何をだ。


 オレが考えてもな……。
 前髪を掻き上げて、そのまま、クシャクシャと頭を掻いて。



 ため息を、ついた。






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