【Stay with me】 -義理の弟と恋愛なんて、無理なのに-

星井 悠里

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◆Stay with me◆本編「大学生編」

「もどかしい」* 寛人side 1/2



  
 途中までは、深刻な顔して話してたくせに。
 ワインを飲み始めた頃から……弾けた。

 もういいや、と思いはした。
 よっぽど普段出せないんだろうと思って、飲ませてやる事にしたけれど。

 白ワイン、ボトルにした頃から、やばいなーとは思っていたが。

 ……結局、彰をおぶって帰る事になった。
 二人とも成人してから、何回か飲んではいるけれど。
 仁がこっちにくるまでは、仁の話はした事がなかった。
 彰が避けてたから。

 それでも、たまに酔いたくなるらしくて。
 何度かつぶれた彰の世話をした。

 ――――にしても、今日は、ひどい。

「……ひろとー……重いー?」
「……いくらお前が軽いっつったって、しばらくおぶってりゃ重いわ」

「ごめーん……」

 タクシーを拾うほどの距離でもないし。
 ――――このまま、酔ったままの素直な彰と、話したい気もして。そのまま歩き出す。

「……なあ、彰」
「……んんー?」

「……お前、仁の事どう思ってる?」
「んー…… 大好きだよ……?」

 大好きというワードが出る事自体、結構酔ってんな……。
 と、苦笑い。

「どこが好き?」
「……一緒に居ると楽しいし。優しいし。たまにすごい、可愛いし……」

「どんな意味の大好きだよ?」
「んーーー…… 意味って……?」

 眠そうな声。
 ……まだ寝んなよ。と、思いながら。

「……じゃ、オレの事は? どう思ってんの?」
「大好き、ひろと……あたりまえじゃん……」

「……オレと仁、同じ好きなの?」
「――――んー……違う……かな……」
「どう違う?」

「……寛人は友達。仁は……家族……?」

 ――――疑問符ついてるし。
 苦笑いが浮かんでしまう。

「……んー。キスしてた事とか思い出すけど……やっぱりそれは、ダメだし……」

「……何でダメなんだよ?」
「弟だから……」

 酔ってるくせに、即答。

「……じゃあ、仁が他の奴とキスしたり、抱いたりすんのは、良いのか?」
「――――やだ」

 ……は。酔ってんな。
 やだ、だって。

「……オレにしたみたいに、他の人にするの、やだって思うけど……でも、仕方ない……。 仁には、誰かと幸せになってほしいし……仁は……もうオレとはしないし……」

「……仁が今、お前としたいって、言ってきたら?」
「そんなのはダメ。むり」

 また即答。

「――――弟だし…… 男だし……」
「……男はありなんじゃなかったっけ?」

「……タブーが多すぎ……て……」
「タブー?」

「……弟だし……男……だし…… 親の事……とか……和己だっているし……そもそも……仁、そんな気、ない、し……」

 ――――こいつらって。
 オレから見ると、両想い、にしか、見えねえんだけど……。

 彰は、やっと少し認めてるのに、仁にはその気がないと思い込んで、最初から諦めてるし。だから前には絶対に進まないし。

 仁は、もう前みたいになりたくないからって、彰から好きになってくれるまで、言わないって言ってるし。

 ……その気がないと思ってる仁に、彰が、自分から行くなんて、
 99.999%…… いや、100%無い。って事だけは、確実なのに。

 ……て事は。
 ……絶対、交わらずに、
 こいつら、ずっと、お互いを好きなまま、諦めながら、他の奴と付き合うとか……結婚するとか。していくんだろうか。

 ………なんか、すげえ、イライラすんなー……。もどかしすぎる。

 はー、とため息。
 無言で歩いてると、背中の彰は、どうやら寝たらしい。

 ……言ってしまいたい。

 仁には、彰はほんとはお前の事が好きだって。認められないだけだって。
 彰には、仁は前とずっと変わらずに、お前の事が好きだって。

 ――――そしたら、進むんだろうか。

 分からない。
 ……拗れすぎてて、破綻しそうな気すら、する。

 仁が、認めさせようとすればするほど、彰は頑なになりそうだし。
 彰は、仁の言葉を、そう簡単に信じられそうにないし。

 ……また二年前みたいに、離れる事になりかねない。
 しかも、今度は、そのまま、ずっとになるんじゃないか。

 拗れすぎてて、正解が見えない。

 彰が、仁を好きだと認めて、 仁の所に自分から行くのが、一番良い。
 ……仁が言ってたのが、一番形としては、うまくいきそうな気はするけれど。

 ……どーやりゃそんな事に、もっていける訳?

 酔ってたって、頑なに。
 弟だからダメ、と、可能性の全てを、一言で切り捨てるのに。

 こんなのを、動かすのが、オレの言葉っつーのは。
 ……かなり余計な事だと思うし。

 はー、と息をつく。

 しょうがねえのかな。
 ……このままいくしか。

 こんな風に、拗れて、薄れていくしかない気持ちも、
 世の中には……いくらでも、あるんだろうけど……。


 ――――出来たら、こいつらには幸せでいて欲しいんだけどな。




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