【Stay with me】 -義理の弟と恋愛なんて、無理なのに-

星井 悠里

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◆Stay with me◆本編「大学生編」

「父と」

  
「……彰?どうかした?」
 その声に、はっと振り返る。

「あ……父さん。もう出たの? 早いね」
「うん。まあシャワーだけだし。布団ありがとね」
「うん」

「倒れていい?」

 そんな風に聞いてくる父さんに、ふ、と笑う。

「いいよ」

 はー、と父さんが布団の上にうつ伏せに倒れた。

「朝から忙しかったから……あー、疲れた」

 そんな風に言いながら、笑ってる。

「――――気持ちいいなー……」

 楽しそうな父さんに、少し気分が変って。ぷ、と笑いながら。
 ベッドの端に腰かけた。

「……母さんや和己、元気? まあ、たまに連絡は来るから元気なのは知ってるんだけど……」
「ああ、元気だよ。和己も勉強頑張ってるし」
「そっか。良かった」

「……彰は? 元気?」
「うん。元気だよ」
「そっか……」
「ん……」

 二人で、塾の話とか、色々話してる内に結構いい時間が経った。
 仁がひょこ、と顔をのぞかせた。

「とーさん、何してんの? 髪、濡れてるし。布団濡れるでしょ。ドライヤー貸すよ」
「ああ、はいはい」

 仁に注意されて、連れていかれる父さんに手を振ってると。
 仁がオレを振り返った。

「ちょっとオレ、部屋で電話するから。もう二人も寝るでしょ?」
「うん、たぶん。そろそろ寝るかな……」

「おやすみ、彰」
「うん」

 誰も居なくなった部屋で、そのまま、ベッドの上に倒れる。

「――――」

 ……弟で……家族で……男で――――。

 あの時は。
 離れれば、どうにかなると思った。
 
 意味が分からない感情に蓋をして、離れてしまえば、
 仁も落ち着くし、オレも落ち着くって。

 冷静になれば、ありえないことなんだから――――。
 すぐ落ち着くって……どうにかなるだろうって、思った。

 ――――結局……。
 意味の分からない方向で、足掻いていただけで――――オレの感情は、なにも、決着しなかった。

 ベッドにごろん、と転がって、目をつむっていると。

「彰?」

 父さんの声。

「あ。お帰り、父さん」
「電気消す?」

「父さんはもう寝る?」
「――――電気消してから、少し話そうか?」
「ん? うん。いいよ」

 ぱち、と音がして、電気が消えた。父さんが、布団に入る気配がする。

「……彰と会うの、久しぶりだよね」
「うん――――ごめんね、実家、帰ってなくて」
「元気ならいいよ。忙しいのも分かるし」
「……うん。今度、帰るから」

 ――――もう、仁を避ける必要もないし。
 なんて、ふと思って。それから、密かに、心の中で思う。

 ――――もっと早く、帰ればよかった。

 ……というか、そもそも。
 家を出なきゃ、よかった。

 そんな風に自己嫌悪に浸っていたら。
 
「今日久しぶりに顔を見て思ったんだけど……彰、やっぱり母さんに似てるなあ」

 のどかな、父さんの声。

「ん?ああ。……似てる?」
「久しぶりに会うと、やっぱり似てるなーと思う」
「そう? てか、オレと父さん似てないよね」

 クスクス笑う。

「まあ、母さんは美人だったから。良かったんじゃないか、母さんに似て」
「……そう? オレ美人ではないけど」
「いーや。母さんに似てるんだから、美人だよ」

 クスクス笑いながらも、父さんが譲らない。




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