【Stay with me】 -義理の弟と恋愛なんて、無理なのに-

星井 悠里

文字の大きさ
84 / 130
◆Stay with me◆本編「大学生編」

「仁との電話」* 寛人side


 バイトの休憩中。スマホをチェックしたら、仁から、電話が入ってた。

 また何か、あったかな――――。
 て、なんか、ここ数日、彰よりも仁との方が喋ってねえか?

 苦笑い。
 仁に向けて、電話を掛ける。

『片桐さん? こんばんわ』
「ああ。 今バイトの休憩中。十五分位なら話、聞ける。どうした?」

『すみません。――――オレ……』
「ん?」

『……――――彰に好きだって……言う……と思うので…… 一応報告です』
「ふうん……? まあいいんじゃね? つか、急にどうしたの。 墓場まで持ってくんじゃなかったのか?」

『……墓場とか言いましたっけ?』

 苦笑いの仁の声。

『オレの気持ちを知った上で、もいっかい考えてもらった方がいいのかなって…… オレが勘違いって言ってごまかしてたら…… 間違っても、好きにはなってもらえないって……そんな気がしてきて』
「――――まあ、オレ、それを最初から言ってるけどな」
『……今日、彰に――――昔のは、勘違いなんだよね?て、聞かれて』
「……へえ?」

『……勘違いで今は何とも思ってないって……もう嘘も、つけなくて……』
「――――」

『……ずっと会わないまま考えて、決めてきた色んな事が―――― 彰の顔見て、過ごしてたら、段々出来なくなってきて……彰に好きになってもらえなかったら、良い弟で一生過ごす覚悟もしてからこっちに来たのに―――― まだこっち来て一カ月も経ってないのに、無理な気がしてきて」

「……まあ、そうだろうな。全部理屈でなんか出来ねえだろ。考えてた二年間は、彰に関わらねえで決めたんだろ? 実際、好きな奴が、目の前にいんのに……平気な振りも限界なんじゃねえの」

『……なんかオレ、甘かったかも……』
「――――つーか。そんだけ、好きなんだろ」

 仁が、黙って。

『……それに、オレ――――二年前も、彰に言ったんだけど』
「ん?」

『……オレの事、好きなんじゃないのって…… 今も……たまに、そう思いそうになる時が、あって――――』
「……ふうん?」

『……でもあの時は、彰、絶対無理って言いだして――――そっから、完全にシャットアウトされたから……」

「――――」

 多分、オレにも何も言わなくなった時だな。
 どうつついても、何も、話さなくなった。考える事、拒否してたし。

『あの時はきっと……オレが、弟だから、無理だったんだと思うんですけど……』
「……ん、それで? 弟だから無理ってとこは、今も変わってないと思うんだけど。どーやって、そこ、超えるつもりだ?」

『――――それはこれから考える。でも……オレの好きを、勘違いにしてたらダメだと、今は思ってて。だからと言って、あの時みたいに無理矢理迫ったりは、しないけど……』

「――――あのさぁ、仁?」
『なんですか?』

「……お前、モテるだろ」
『まあ。モテますね……』

 即答に、笑ってしまう。

「少しは否定しろよ」
『別に嬉しい事でもないし。……それがなんですか?』

「……お前ならさ、他の女の子なら、つーか、他の男でも、もっと簡単だと思うんだけど。なんで、彰なの? この世で一番難しい相手じゃねえ? 本人の性格的にも、弟とってさ……」
『……この世で一番難しい……かー……まあ……そうかもしれないですね……』

 仁は、苦笑しながらそう言って。

『……全部が好きって、思うから……他がどうでもいい位』
「――――」

『……なんかもう自分でも……どうにもできないんで……』
「――――は。 分かったよ」

 オレは、それを、全部見てきた、気がする。

 小学校、中学校、高校―――― で、今も。
 全部。こいつが彰を好きなとこ。……ずっと、見てきてしまった。

「……何でわざわざオレに言った訳?」

『こないだオレが、片桐さんに言った事と……大分変ってきてるし。伝えておこうと思って。――――だって……悔しいけど……彰、すげえ困ったらあんたんとこ、行くだろ。だから、予備情報って感じ』

「はは。何だ、それ」
『……困って弱ってたら、オレのせいだから―――― 助けてあげて』

「――――了解」

 たぶん彰も――――お前の事が好きなんだろうけどな……。
 それを認められるかどうかは――――。

 ―――― んー。 
 分かんねえな。

 どうなりゃあいつは、認めるんだ……?
 認めないで一生行く気なのかもしれないし。 分かんねえな。

「まあ…… 頑張れよ」
『――――』

「……聞こえてるか?」

『――――頑張れって、言ってくれるんですね』

 クスクス笑ってる仁。

「――――お前が、彰をすげえ好きなのは……昔から知ってるから」
『――――』

「頑張れ、としか、いえねーかな……」
『……ありがとうございます』

「ああ。――――あと何かある? そろそろ行かねえと」
『大丈夫です。……片桐さん』
「ん?」

『話せて落ち着きました』
「――――おう。 またな」

 電話を切る。

 とんでもないもん背負ってるから―――― 同じ年の奴よりは、秀でて大人っぽいんだろうけど。 ずいぶんちっちぇ頃から、悩みが大きすぎるし。

 でもやっぱり、心を自分で安定させるには、まだ色々経験足りなそうだな。

 ――――彰が、普段の通りしっかりしてれば、支えてやれるんだろうけど……。仁に関しては、彰の方が情けなくなるしな。すぐ弱るし。

 はー、とため息をついてから。
 スマホの時計を見て立ち上がる。


 近いうち、彰になんか一言、入れとくか――――。 



感想 60

あなたにおすすめの小説

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

クズ彼氏にサヨナラして一途な攻めに告白される話

雨宮里玖
BL
密かに好きだった一条と成り行きで恋人同士になった真下。恋人になったはいいが、一条の態度は冷ややかで、真下は耐えきれずにこのことを塔矢に相談する。真下の事を一途に想っていた塔矢は一条に腹を立て、復讐を開始する——。 塔矢(21)攻。大学生&俳優業。一途に真下が好き。 真下(21)受。大学生。一条と恋人同士になるが早くも後悔。 一条廉(21)大学生。モテる。イケメン。真下のクズ彼氏。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
続編・番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。