【愛じゃねえの?】~社会人*嫌いだったはずの先輩に恋する理由。攻めの後輩視点

星井 悠里

文字の大きさ
104 / 274

◇あますぎ

しおりを挟む




 オレが完全に硬直してると。
 先輩は不思議そうに、見上げてくる。

「……三上?」

 あれ? 三上、何で来ないの?みたいな顔してるけど。



「――――……っ」


 オレが、先輩の腕の中に、自分から倒れるの?
 ……いや、なんか、無理。
  
 突然の非常事態に完全に強張っていたら、先輩は。

「もー、なんなの、何でこねーの? つか、このカッコも恥ずいんだけど」

 なんか仏頂面になってしまった。

 そんな事言われても。
 行けるわけ、ねぇし――――……。


 思っていたら。
 急に、先輩の腕がオレの首にかかって。ぐい、と引かれた。


「――――……っ」

 先輩の肩に、頭押し付けられて、ぎゅ、と抱き締められた。

 腕枕と言うのかはちょっとよく分からないが、とにかく、先輩の腕の中に抱き締められはしている。


「……どう?」
「――――……え?」


「初腕枕は? 感想はどうなのって聞いてんだけど?」


 ああ。
 ……初、腕枕、ね……。


 ――――……初腕枕……。


 つか、恥ずい、しか無いんだけど……。


 どう言おうか考えていたら。
 突然気づいた。

 頭押し付けられていると近い、先輩の胸の音。


「……なんか、めちゃくちゃ――――……ドキドキしてます?」
「…………っ……」


 顔を上げて、先輩の顔を見たら。
 なんかもう、赤いし。


「――――……」

 なんでこんな可愛いんだろ。

 自分から、してきたくせに。
 心臓、死ぬほどドキドキしてるとか。

「やってみたら、急に、本気で恥ずかしかった」


 指摘されたからか、余計に真っ赤になった先輩に。
 ――――……なんかもう、無理。


 ゆっくり先輩の上に押し乗って、その手首を顔の横で軽く押さえて。
 じっと、先輩を見下ろす。


「――――……み、かみ?」

 息を飲んで、オレの名を呟くと、先輩はオレをじっと見つめ返してくる。

    そういえば、オレが陽斗さんて呼んでも照れてないけど。ちょとは慣れたかな。
 でも……先輩は、シラフの時はずっと三上って呼んでるなぁ。



「……キスしていいですか?」


 そう聞くと。
 先輩は何秒か止まって、それから、ふわっと笑った。


「――――……だからさ。もうほんとに、三上ってば全部、今更すぎなんだよね……」


 その頬に触れて。
 ちゅ、と頬にキスする。


 まあ確かに。
 今更な気はする。先輩にも、今更って何回言われたか。



「んー……じゃあ、聞き方変えますね」
「……うん?」



「……オレに、キスされたいですか?」


 じっと見つめて、そう聞くと。
 先輩は、少しして、また笑った。


「……聞き方変えたって一緒だってば」
「――――……」


「オレもしたいから全部したんだから……」

 
 そのセリフを聞いてなんだかすごく嬉しくなって。
 オレは、先輩の唇にキスした。


 柔らかくキスを重ねて。
 その顔を見つめる。



「陽斗さんてさ」
「……ん?」


「オレに甘すぎるなーとか、思いませんか?」

 そう聞いたら。
 先輩は、クッと笑って。


 オレの頬に触れて、ちゅ、とキスを返してきた。


「……すごく思うかも……」
「ですよね……」



 2人で見つめ合って、クスクス笑ってしまう。





しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

「恋の熱」-義理の弟×兄- 

星井 悠里
BL
親の再婚で兄弟になるかもしれない、初顔合わせの日。 兄:楓 弟:響也 お互い目が離せなくなる。 再婚して同居、微妙な距離感で過ごしている中。 両親不在のある夏の日。 響也が楓に、ある提案をする。 弟&年下攻めです(^^。 楓サイドは「#蝉の音書き出し企画」に参加させ頂きました。 セミの鳴き声って、ジリジリした焦燥感がある気がするので。 ジリジリした熱い感じで✨ 楽しんでいただけますように。 (表紙のイラストは、ミカスケさまのフリー素材よりお借りしています)

先輩、可愛がってください

ゆもたに
BL
棒アイスを頬張ってる先輩を見て、「あー……ち◯ぽぶち込みてぇ」とつい言ってしまった天然な後輩の話

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...