【愛じゃねえの?】~社会人*嫌いだったはずの先輩に恋する理由。攻めの後輩視点

星井 悠里

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◇誘われてる?

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 怒られるかなーと思いながらも、どうしても袴姿を想像してしまう。
 ……いつも、背筋が伸びて綺麗な感じ、そういうのも関係あったのかな。姿勢よくなりそうだよな。

 とにかく、似合いすぎ。

「ん? なに?」
 陽斗さんがオレを見て微笑む。
 
「弓道とか、マニアックとか思ってる?」
「思ってないですよ。つか……ほんと、似合います」
「似合うって、袴とかがってこと?」
「陽斗さん、姿勢が良くて、立ち姿綺麗なので……イメージぴったりです」

 そう言うと、陽斗さんはオレをマジマジと見て、クスクス笑った。

「すごい今褒められた?」
「褒めたというか、これは事実ですね」

 そう言うと、ますます可笑しそうに笑う。

「まあ確かに、袴着てる時は、カッコいいってよく言われたかも。一番言われたんじゃないかなー。袴効果、すごいよ」
「袴効果って」
「あ、あれもそうじゃない?」
「あれって?」
「特攻服」

 真面目に聞いてたオレは、がく、と崩れた。

「袴と特攻服一緒にしないでくださいよ」

 クスクス笑いながらそう言うと、陽斗さんも、ジャンルは違うけど、と笑う。

「ジャンルとか、そういうものなんですか?」
「うーん、だって、ジャンル違うよな?」
「いやもう、真逆って位ちがいますけど」

 でも、そうか。時期は違うけど、同じ高校生の時。
 オレは特攻服着てて、この人は、袴着てたのかと思うと。
 違いすぎて、我ながらちょっと引く。
 あん時はあれが楽しくてやってたけど。まあ後悔とかはしてない。あれはあれで、色々良い思い出もあるし。あの時の仲間は、今も大事だし。

「暴走族っていっても、悪いことしてた訳じゃないだろ?」
「……まあ、道路を暴走してる時点で、悪いことですけど……あー、その話、しなくていいですか?」
「え、何で?」
「……若気の至り、ていうにしてもこの話、陽斗さんとするのは恥ずかしすぎですね」
「そう? ……確かにびっくりはしたけど。そこまで否定もしないけどな」

 のんきな感じでそう言って、陽斗さんはクスクス笑う。

「肝の座り方とか物怖じしない感じとか。そういうので生かされてる気がするし」
「それは本気で言ってます?」
「ん?」
「気を使ってくれて言ってたり……?」

 そう言うと、ぷ、と笑って、陽斗さんがオレを見つめてくる。

「何でオレがそんなので三上に気つかうんだよ? 本気で言ってるよ」
「……ならいいんですけど」

 あー、でも。……言わなきゃよかったよな、族。
 何で口走ったんだっけ、陽斗さんに。

 ……思い出した。陽斗さんが秘密がどうのと言い出して言い淀んでるから、先に言ったんだ。祥太郎の店に連れてくって話になってたから、どうせバレると思ったし。正太郎の店に行くと、あの仲間たちが居るから、どうせ隠せなかったろうし。じゃあもう、しょうがねーか……。

 目の前のテーブルに飲み終えたコーヒーのマグカップを置いた陽斗さん。

「三上、飲んだ?」
「ん? ああ……あと一口」
 言いながら、飲み干して、同じようにテーブルに置く。少し傾けてた姿勢を起こすと、隣の陽斗さんが、オレを見つめた。

「……よっかかっていい?」
「え。いい、ですけど」

 よっかかるって、どういう……?
 と思っていると、少し近くに寄ってきて、とん、ともたれてきた。

 ――――……。

 やば。
 ナニコレ。
 すげえ可愛いんだけど。

 ふ、と静かに動いた手が、オレの手に触れて、なんか、さわさわ触れてくる。

「……陽斗さん?」
「でっかい手ー……三上って、指、綺麗だよなー」


 ……誘われてる??






 
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