1 / 12
1.大嫌いだ
しおりを挟む僕は、あいつが大嫌いだ。
自分には無いものを持ってる人間に憧れるか嫌悪するかは紙一重。
僕は、大嫌い、一択みたいだ。
ここは、平和な国ソルロス。穏やかな気候、自然も豊かだ。
民意に沿った王家の統治。何年も前に終わった戦争の影響はもうほとんどない。自由に貿易をしたり、商売をして皆暮らしている。
そんな中、割と身分の高い者が集まるこの学園は、国の中でも名門として有名で、十八歳から二十歳までの学生が寮生活をしている。ここでは、勉強や基本の魔法、剣技だけでなく、礼儀作法、リーダーシップや品格などを身につける教育が行われている。様々な教科があり、定期的にテストがあって、順位がそのつど貼りだされる。
――僕には、同学年に、どうしても勝てない奴がいる。
カイン・ロッシュは、上級貴族の息子。
彫刻みたいって皆が言う、整った顔に、プラチナブランドの髪は、それだけでも人の目を引き付ける。濃い青の瞳も、近くで見るとムカつく位綺麗、だし――皆が惚れる外見、声、人望。
成績もずっとトップで、運動もできるし、剣技もすごい。魔法の授業でも気難しい先生にまで褒められてる。
もう、大嫌い。見るだけでムカムカする。――嫉妬、なのも分かってる。でも嫌い。
僕は、運動は苦手だから、やる前から勝てないの、分かってる。
剣技も、無理。頑張っても、無理なものは無理。
魔法も、僕は魔力が低すぎて無理。
人望なんて、ただ歩くだけで人に声を掛けられまくる、あんな奴に勝てる奴は居ない。
勉強なら、努力すればどうにかならないだろうかと、遊ぶこともなくひたすら勉強してるのに、僕は二位。どうしても勝てない。
何で勝てないんだろう。
記憶力とか理解力とか、そういうのは悪くないと思うし。こんなに、時間をかけて、勉強してるのに。どうして、勝てないんだろう。
皆があいつに憧れる。 容姿や家柄などに自信のある奴は、交際を申し込んでる。同学年だけじゃなくて、後輩も先輩も。もう入学以来、何人振ったんだか。
皆にモテて当然だと思ってるんだろうな。誰にも本気にならないのに、バカみたいだ、皆。
もうほんとにほんとに、大嫌い。
「なあ、シュリ」
廊下ですれ違いざま。大嫌いな大嫌いなカインは、僕の肩に手を置いて、「今日、部屋に行くから」と囁いてきた。
振り返った時はもう、学園のモテる優秀グループの奴らに囲まれて、離れていく後ろ姿が見えるだけ。
囁かれた側の耳に、手で、そっと触れる。
囁かれた声がなんだか余韻みたいに、耳に残ってる。
大大大嫌いだ、と。ごし、と耳を擦った。
349
あなたにおすすめの小説
【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~
TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】
公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。
しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!?
王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。
これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。
※別で投稿している作品、
『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。
設定と後半の展開が少し変わっています。
※後日譚を追加しました。
後日譚① レイチェル視点→メルド視点
後日譚② 王弟→王→ケイ視点
後日譚③ メルド視点
遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。
月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」
幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。
「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」
何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。
「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」
そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。
僕、殿下に嫌われちゃったの?
実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。
【完結】暁の騎士と宵闇の賢者
エウラ
BL
転生者であるセラータは宮廷魔導師団長を義父に持ち、自身もその副師団長を務めるほどの腕のいい魔導師。
幼馴染みの宮廷騎士団副団長に片想いをしている。
その幼馴染みに自分の見た目や噂のせいでどうやら嫌われているらしいと思っていたが・・・・・・。
※竜人の番い設定は今回は緩いです。独占欲や嫉妬はありますが、番いが亡くなった場合でも狂ったりはしない設定です。
普通に女性もいる世界。様々な種族がいる。
魔法で子供が出来るので普通に同性婚可能。
名前は日本名と同じくファミリーネーム(苗字)・ファーストネーム(名前)の表記です。
ハッピーエンド確定です。
R18は*印付きます。そこまで行くのは後半だと思います。
※番外編も終わり、完結しました。
博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
天上の果実
曙なつき
BL
大きな果実の実が頭に当たったことにより、記憶を失った婚約者のルシス。
目を覚ました彼に、私はこう言った。
「愛しい人。あなたと私は愛し合っていました。来年には式を挙げる予定なのですよ」
それは少しの真実と多くの嘘を織り交ぜた言葉だった。
ルシスは私を嫌い、厭うていた。
記憶を無くした少年と、彼を囲いこむ王子の物語です。
※なお、ルシスの兄と弟の物語も併せて掲載します。完結まで予約済みです。
誓いを君に
たがわリウ
BL
平凡なサラリーマンとして過ごしていた主人公は、ある日の帰り途中、異世界に転移する。
森で目覚めた自分を運んでくれたのは、美しい王子だった。そして衝撃的なことを告げられる。
この国では、王位継承を放棄した王子のもとに結ばれるべき相手が現れる。その相手が自分であると。
突然のことに戸惑いながらも不器用な王子の優しさに触れ、少しずつお互いのことを知り、婚約するハッピーエンド。
恋人になってからは王子に溺愛され、幸せな日々を送ります。
大人向けシーンは18話からです。
無能と呼ばれた婚約者は王を完成させる〜替え玉婚約者のはずが、強すぎる王太子に手放してもらえません〜
統子
BL
兄の身代わりとして王太子の婚約者になった伯爵家次男リュシー。
嘘の名を名乗ったはずが、冷静で誠実な王太子リオンは彼を「力の装置」としてではなく、対等な伴侶として扱おうとする。
本物になりたいと願う替え玉と、完成された王太子の静謐な王宮ロマンス。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる