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5.はじまりの日 *2
しおりを挟む――――僕は、性欲があまりない。
女の人にそういう興味がない。だからと言って、男にも、ない。
多分、そういう感情がないまま生まれてきたんじゃないかな。それか、育つ途中で、正常に育たなかったか。
厳しい父と、その父に従順な母。……あんなふうな夫婦にもなりたくない。子供も、欲しくないし。結婚なんかしたくないし。
なんか僕って。勉強しかしてない気がする。なのに。何で。勝てないんだろう。
は、とため息。
――何だか、すごく今、そういう気分。
なんだろ。珍しい。ふと、見つめ合った時のカインの瞳が、頭に浮かんだ。
「――……」」
下半身に独特の、反応。何でだろ……。
ほとんど……というか、ちゃんとしたこと、ない。……できるのかな。
そっと、手をズボンの中に差し入れる。こんな風にさわること自体、無い、けど……。
シャワーを浴びたばかりで綺麗だし、いっか。と、握りこんだ。
「……っ……」
ふ、とすこし、上がった息を押さえる。
熱くはなるけれど、全然出せない。出すべきだっていうのは分かるのだけれど、どんなにそうしようと思っても、なぜか、解放できない。
え、これって……どうしたら、いいの。
ちょっと乱暴に擦ってみる。でも、熱くはなるけれど、イけない。どうしよう。ナニコレ。
上がった息も収まらない。どうしたらいいんだろ――――……。
涙が滲んできた。
その時。
コンコン、とノックの音。
「はい……っ!」
変な声が出た。
びっくりして、体を起こして、とっさに返事をした。
「……悪い。オレ、カインだけど」
「――――は?」
今日まさに敵認定した男。さっき、脳裏によぎった、大嫌いな――。
睨んだから……文句、言いにきた……?
「ちょっと出てきてくれない?」
「――――」
反応していた自分のモノを、下着の中に押し込んで、僕は、立ち上がった。ふー、と熱い息を一度吐いて、僕は深呼吸をしながらドアに近づいて、少しだけ開けて、そこから覗いた。
「シュリ、悪い。あのさ……突然なんだけど」
シュリって――初めて呼ばれた。名前。知ってたんだ。
「……何?」
「あのさ。突然なんだけど……良かったら、オレと一緒に、勉強してくれない?」
「……は??」
何言ってんの、この人。
「オレ、苦手な教科があってさ。教えてくれないか? かわりにシュリの苦手なのは教えるから」
「……馬鹿じゃないの。一位の人に、僕が教えることなんか、何もないよ……」
言い終えた時、は、と熱い息が零れた。カインは首を傾げて僕を見た。
「……なんか息荒い。つか、もしかして、熱ある?」
カインの手が急に伸びてきて、僕の額に触れた。
「――――……っ」
びく、と体が大きく震えてしまった。ぎゅ、と目をつむる。
「なんか熱い。寝た方がいいよ。ごめん、また出直すから、ベッドに入って」
肩を押されて、そのままベッドまで歩かされる。ていうか、今僕、あそこでとんでもないとことしてたとこで……に、匂いとか、漏れないとは思うけど……っっ。
「――――いいから……僕、平気、だから……」
背中とか、触んないでよ。なんか、感覚がおかしい。
立ち止まって、押し返そうとした時、何がどうなったのか、僕は体勢を崩して、カインに支えられた。
「……っ……」
なんかこの異様な環境に、なぜか僕のモノは、また反応を取り戻して……それに、多分。カインが、気付いてしまった。
「っあ……悪い。もしかして……シてた?」
「……っな訳……っ」
真っ赤になったと思う僕を見てたカインの喉が、ごく、と鳴った。
……なんの唾、飲みんだ?
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