【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中🍫バレンタインデー💖

星井 悠里

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1ミリ近づいて

「興味ねえから」*大翔




「そろそろ帰ろっか」
「……そうですね」

 ――――……確かにちょっと、考える事が多すぎて、疲れた。
 会計を済ませて、店の外に出ると、先輩のスマホが音を立てた。

「――――……あ、ちょっとごめん」
「はい」

「……あ、真斗? ごめん、電話気づかなかった。店の音楽がデカすぎて。 ……え。こっち、来るの? 泊るの? あ、分かった。オレ今、駅の近くに居るから――――……じゃあ改札で待ち合せしよっか。ん。今から行く」

 そんな会話をして、すぐ電話を切った先輩、オレを見上げてきた。

「四ノ宮、ごめんオレ」
「ここで解散にしましょ」

「あ、うん。 ごめんな」
「もともと帰ろうって言ってたんだし、全然」

 そう言うと、先輩は、ふ、と笑んで、オレを見上げた。

「ん。じゃあまた来週、学校でな」
「はい」

 先輩は、にっこり笑って。
 それから、ふとオレを見つめた。

「――――……なんか昨日、見られて良かったかも」
「……は?」

「ブラック四ノ宮、面白いかも。 なんか、得体知れなくて怖いなーって言うのがなくなって、すげえすっきりしてる」

 嬉しそうに、面白そうに笑って、そんな風に言ってくる。

「ブラック四ノ宮って何ですか……?」
「だって普段、ホワイトって感じだから。対比してみた」

 ふ、と瞳を細めて笑う。


 ――――……ほんと、綺麗な顔してンな、この人。


 そりゃ、女にも男にも、モテるだろうけど――――……。
 1回限り、か……。


「じゃあ、行くね。 おやすみ、四ノ宮」

 そう言って、バイバイと手を振りながら、駅に向かって走り去っていった。


 ――――……その後ろ姿を見送って、オレは、ふう、と息をついた。

 なんかほんと。
 ――――……疲れたな。色んな意味で。



 つーか。
 今から男と会うのか。泊まりで?
 ――――……でも恋人はいらないって言ってたし、店とかで知り合う奴と1回限りって言ってたし、て事は、今から会う奴とはしねえのかな。


 …………は。関係ねえ。 考えなくていいや。


 まだ20時過ぎか。
 ――――……誰か、誘うか。

 スマホを取り出して、誰かに連絡を取るか、少し考えたけど。
 気が乗らなくて、やめる事にした。

 明日は実家の方に行かないといけないし。面倒くせーけど……。

 もう今日は帰って休むことにしよ。


 スマホをしまって、駅の方に向かって歩き始める。
 ここから駅を越えて逆方向に、オレの住むマンションがある。

 決して、先輩が誰と会うのかが気になる訳じゃないし。
 心の中で何故か言い訳をしながら、駅を通り過ぎる。

 誰かと待ち合わせた先輩に、会うかなと思ったけれど、駅では会わなかった。



 ――――……まあ別に。興味ねえから、良いんだけど。






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