【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中🍫バレンタインデー💖

星井 悠里

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近くて遠い

「そういうとこ」*大翔

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「……何がやなの? 変な奴に会わせたくないってこと?」
「――――……」

 まあそれもそうなんだけど……。
 よく分からないから、はっきり言えない。


「……あのさ、四ノ宮さ。大学入ってからはずっと、オレこうやってたし。そんなに危ない目にも合ってないよ? クラブの店員さんと割と仲良くて、良さそうな人教えてくれるしさ。ちゃんと気を付けてるからさ。ほんと、心配しないでよ?」

 とか言ってくる。

「――――……んな事言っても、1人で行かないでくださいよ」


 オレがあくまでそう言うと。

 先輩は、う……と言葉を失って。
 はーと、ため息を付きながら、お湯を落としながら。


「……カップ用意して」

 もうこの話は何か言うのを諦めたのか。
 カップの話になった。


「はい」

 返事をしながら食器棚。


 ――――……こんなの、キレてもいいのに。
 意味わかんねえって、言ってもいいのに。

 ……言わねえんだな。
 心配、してると思ってるから、きっと無下にできないんだろうなぁ……。


 ほんと人が好いなと。
 苦笑い。


 先輩がコーヒーを淹れ終わって、2人でまたテーブルで向かい合う。

「美味しいですね。何がちがうんだろ……」
「今淹れ方みてたんじゃないの? 近くで」

「……そういう見方はしてませんでした」
「えーじゃあ何であんなに近くに居たの?」

 クスクス笑う先輩。
 そー言われると何でだか。


「……四ノ宮ってさ」
「はい」

 ……先輩の、四ノ宮ってさ、っていう呼びかけ。
 ほんと多い気がする。


「オレのこと嫌い、じゃないんだよな?」
「オレ、嫌いな人、家に呼ぶよーな奴じゃないです」

「分かった。……じゃあさ」
「はい」

「怒ってんなら、ちゃんと話してよ」
「――――……別に、オレ、怒ってないですよ」

「……すぐ眉、寄るじゃん」
「先輩の方が寄ってますけどね。今」

「オレは、なんか、困ってんだよ。怒ってるんじゃないよ?」


 ――――……ほんと。
 なんか。


 ……こういう喋り方。
 なんか、気に入ってる、気がする。

 素直で。でもこんな話をしていても、攻撃的な訳じゃなくて。
 ――――……なんだろうな。これ。

「先輩ってさ」


 ――――……オレのこの言い方も、多いかな?


「うん?」

「誰に対しても、そんな感じで話すんですか?」
「――――……そんな感じって?」

「……その感じ」
「その感じって言われても、分かんない」

 先輩は、ぶー、と膨らんでから。ぷ、と笑う。

「ゼミの時とか、頭よさそーに喋んのに、何でオレとしゃべる時は、必要な事も言わねえの? 良く黙るし」

「――――……」


 言っちゃいけない事があるかな、と考えるから。
 または、明らかに、オレが言う権利がないよく分かんねえセリフが浮かんでるから。


 ――――……とは、言えない。



「勉強系で考えて話す事は、得意なんです」
「……普通はそっちの方が苦手だけどね」
「そうですか?」
「……だって、そっちは頭使わないといけないけど……普通の会話は思ってる事言えばいいだけじゃん」

「――――……」


 ああ、そういうとこだな。


 ――――……ゲイ関連の会話は、別だろうけど。
 それ以外のとこは、思った事をほぼそのまんま話してる、てことだよな。


 そんでもって、攻撃にならないって。
 すげえなと。

 そういうとこが、気に入ってんのかも。


 ちょっと尊敬もしてしまう。



 でもって、そんな人が、恋人でもない知らねえ奴に――――……って思うと。



 ……やっぱ腹立つ。










 


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