【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中🍫バレンタインデー💖

星井 悠里

文字の大きさ
95 / 569
近くて遠い

「そのかわり」*大翔

しおりを挟む


「……なか、熱い……」

 そんな事を言って、きつそうに歪む顔。涙で潤みまくった瞳。
 目を逸らそうとした瞬間、首に回っていた手に引き寄せられて。


「……キス、したい――――……」
「……っ」

 
 ――――……どんだけ、だよ。バカ野郎。

 薬が無くても、こうやって――――……色んな奴と、ヤってきたんだよな。
 相手なんか、別にオレじゃなくても。


 かずき、以外は、誰でも一緒なんだろ。
  


 何だか物凄く、ムカついて。


 また、触れてきた唇に。
 ……守ろうとしてた、何かが、一瞬、途絶えた。

 

「――――……っ……」


 先輩の後頭部に手を回して、より引き寄せて。
 唇を合わせた。

 触れてくる舌、そこで一瞬、躊躇うけれど。


 絡めて――――……熱い舌を、奪った。


「……ん…… ふ……っ……」


 キスされてるこの人を見て、感じる欲。

 甘い、としか感じない声。



 つか。
 ――――……これを、甘い、と感じてしまう自分。


 そう思わないように、してきたのに。


 誰かと寝るこの人がムカつくのも。
 危ないから、心配だから、意味わかんないから。
 そう思おうとしてきたのに。

 どこかに行くのも仕方ない、危なくないと思えればいいなんて、クラブについてくなんて言ったりして。



 それもこれも。

 オレがかわりに抱いてやる訳にはいかないんだからと。

 ずっと、思おうとしていた、から。



 男に、そんな意味で執着してるなんて、思いたくなかったのに。
 


「――――……ちっくしょ……」


 唇を離して、呟く。

 
 今多分、おかしくなってるこの人を抱いて。

 ――――……これからどうなるっていうんだろう。


 全然この先が、読めない。
 こんな関係、本当は、持ちたくない。


 バカみたいな事してる先輩を心配しながら、どうにかトラウマ克服させて、一夜限りなんかやめさせて――――……誰か、良い奴と、付き合う方向に持っていけたら、一番良かったのに。


 こんな事がなければ、この人に欲情するとか。
 ムカつくのが、独占欲だとか。

 気づかないように、無理やりに押し込めたままで、いられたはずなのに。
 



「――――……」



 ――――……もう、思い知ってしまった。



 今、目の前の、こんな姿。

 ……もう、誰にも、見せたくない。



「――――……っ……分かった。抱くから」


 先輩の、頬に触れて。
 片手で肩を押して、ゆっくり、ベッドに押し倒す。

 大きめの枕に、背中から上、沈めさせた。


「……その代わり」

「――――……」
 



「もう、他の奴と、させないから」



 どうでも良いような奴と、もう、やらせないからな。



 分かってるんだか、いないんだか。
 ――――……分かっていないと思うけど、そう伝えて。




 涙目で見上げてくる先輩に、深く、口づけた。





しおりを挟む
感想 356

あなたにおすすめの小説

【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
続編・番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

『定時後の偶然が多すぎる』

こさ
BL
定時後に残業をするたび、 なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。 仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。 必要以上に踏み込まず、距離を保つ人―― それが、彼の上司だった。 ただの偶然。 そう思っていたはずなのに、 声をかけられる回数が増え、 視線が重なる時間が長くなっていく。 「無理はするな」 それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、 彼自身はまだ知らない。 これは、 気づかないふりをする上司と、 勘違いだと思い込もうとする部下が、 少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。 静かで、逃げ場のない溺愛が、 定時後から始まる。

やきもち

すずかけあおい
BL
攻めがやきもちを妬く話です。

薔薇摘む人

Kokonuca.
BL
おじさんに引き取られた男の子のお話。全部で短編三部作になります

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた

木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。 自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。 しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。 ユエ×フォラン (ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)

召喚呪文書・第2巻 ※十八禁

淀川 乱歩
BL
召喚呪文書・第2巻 ※十八禁

処理中です...