【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中🍫バレンタインデー💖

星井 悠里

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至近距離で

「どうせ」*奏斗

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 カレーを食べて、四ノ宮の車でマンションに帰って来た。
 部屋の階に着いて、ふと思ったのは。

 オレって、どっちに帰るんだろう、て事。

 ……って、そんなの考える事自体、ちょっとおかしいのは分かってるんだけど。当たり前に自分ちなはずなんだけど。

 四ノ宮の言葉の端々に、今日も泊まれば的な発言があるので、なんか、ちょっと迷ってしまう。

 部屋に少しずつ近づきながら、四ノ宮が自分の部屋の鍵を取り出してるのを横目にしながら。
 オレが、自分の家の鍵出したら。なんか言うのかな。

 つか。オレ。
 ……一体、何を気にしてるんだろう。

 オレの帰る所はオレの家なんだから、四ノ宮に何言われたって、そっちに帰れば良い訳で……。


 ――――……そうだ。自分ちに、帰ろう。

 そう思って、オレも、鞄から鍵を取り出した。
 ふ、と四ノ宮がこっちを見た気がして。何か言われるかなと思ったけど。
 特に何も言わなかった。

 部屋の前について、四ノ宮が自分の部屋の鍵を開ける。
 オレも同じように、鍵を挿しこむと。


「――――……帰んの? そっち」

 そう言われて。
 四ノ宮の顔を見ると。特に何の感情も無さそうな。普通の顔でそう聞いてきて。

「うん。……明日学校だし」
「……ふぅん」

 そう言いながら、四ノ宮はオレを見つめてる。

「……まあ今帰ってきて、クラブも行かないだろうし――――……」
「――――……」


「……帰りたいなら良いけど」
「――――……」

 別に。
 ……四ノ宮に良いとか、悪いとか、言われる事じゃない。

 ……金曜からずっと一緒で。一人に……なりたいし。
 でも、ダメだって言われたら、断るのも面倒くさいし。

 だから、良いって、言われたんだから――――……。
 ここは、喜んで、自分の家に帰れば良いところだ。……よね?


「……ありがと、色々」

 そう言って、何だか、よく分からない気持ちのまま、ドアを開けようとしたら。


「奏斗」
「――――……」


「奏斗って呼ぶ時間――――……あと、3時間位。あるんだけど」
「――――……」


「……もう呼ばれたくない?」
「――――……」



 意味が分かんない。
 呼ばれたくないって、ずっとオレ、言ってるじゃん。

 なんで改めて、聞くんだよ。


「……オレ、帰ったらすぐシャワー浴びる。で……アイスティーいれようかなーと、思ってるけど。もう飲んだから、要らない?」
「――――……」


 四ノ宮は、なんだか次々と、色々聞いてきて、勝手に、オレの答えも聞かずに進んでいく。


「奏斗もシャワー浴びてさ」
「――――……」

「来ていいからね?」


 四ノ宮のセリフに、少し黙ってから。


「……行かないし」

 そう、答えたのに。


「オレは待ってるけど」


 くす、と笑って、四ノ宮はオレをじっと見つめる。


「……今日、はもう、行かない。――――……おやすみ」

 何とかそう言うと。四ノ宮は、少しだけ首を傾げてオレを見て。ん、と頷いた。


 オレは、ドアを開けて、中に入って。
 鍵を閉めた。


 少しして、隣も、ドアが閉まる音。




 ――――……何。
 奏斗って呼ぶ時間とか。呼ばれたくないか、とか。
 呼ばれたくないって言ってるじゃん。
 ――――……アイスティーとか……。コーヒー好きなくせに。
 
 ……クラブに行かないだろうから、帰っていい、とか。


 何それ。
 ……クラブに行かないように見張るために、居るの?
 つか、意味わかんない。


 オレが他の奴と寝るのを、極端に嫌がってるのは分かる。
 他の奴のとこにオレが行くなら、自分がしても良いってなる位に。

  何で、そうなんの?

 恋人が出来たら、引き下がるとかいうくせに、

 おじいちゃんになっても、付き合うとか。
 ……適当なことばっか、言って。
 
「――――……」

 って落ち着け。

 オレ、今、考えてる事、全部おかしい。

 どうでもいい。

 オレは、一人で生きてく。って言ったって、別に孤独で生きてくとか言ってるんじゃないし。周りの人とはうまくやってるし。皆と遊ぶのも楽しいし、何も問題ない。

 抱かれたい時だけ、良さそうな奴、選ぶ。
 それで良かった。今だって、変わってない。



 なんかオレ。よくわかんないけど。
 ――――……すごい、かき乱されてるけど。


 なんか。
 ――――……なんだろう。これ。



 どうせ、居なくなるのに。

 ……なんか、あったかいのだけ、よこすの。

 ほんと、むりなんだけど――――……。




 自分で断って、帰ってきたのに。
 
 なんでこんなに。泣きたい気分なんだろ、オレ。





 




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