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第2章「振られた翌日の、悪夢みたいな」
45.たった四つ。
しおりを挟む「そうだ、先に言っておきたいんだけどさ」
「……?」
「学校ではちゃんとするつもりだから心配しないでね。……迫ったりしないし。新任の教師としてちゃんと頑張るし。誰かに悟られるようなことはしないように頑張るから」
「――」
「困らせることは、しないようにする」
少し考えて、うん、と頷く。
なんとなく……そんなこと、する人ではない気がする。
って。……まだ、そこまで、琉生のこと、知らないのだけど。なんだかそんな風に思える。
「あと何か、聞きたいこと、ある?」
「――」
聞きたいこと……。
「……あの……」
「うん」
「私、すごく年上なんだけど……本気で言ってる?」
「すごくって、たった四つでしょ」
「たったって……」
四つって、たった、ていうんだろうか。と、思わず首を傾げてしまうと。
「オレ、あんまり年相応に見られないんだよね。落ち着いてるとか、たまに老けてるとか言われるし」
「老けては、ないよ」
思わず、クスクス笑ってしまった。
「でもって、琴葉は若く見られると思うから……見た目は、ちょうどいいんじゃない?」
「――見た目とかじゃなくて……」
付き合うとかなった時、見た目がどうとか関係なく、どうしたって実年齢が関係あるのに、と思ったのだけれど。
これを言ったら、既に付き合う時のことを真剣に考えてるみたいだ、と思って、口をつぐむ。
……琉生は、本気で言ってるんだろうか。
そう見えなくもないんだけど……でも、四つも年上を選ばなくても、琉生みたいな人の周りには、絶対可愛い女の子たちが居ると思うし。
卑屈になってるとかじゃなくて、もう容易に想像できるよね。
「そう言ってくれるのは、嬉しくないことも、ないんだけど……」
「何、その言い方」
ぷ、と笑いだして、琉生が私を斜めに見つめて、優しく瞳を細める。
「素直に嬉しいって言って?」
そんな風に言われるけど、小さく首を振ってしまう。
「そんな風には、言えないかな……」
「どうして?」
「だって……年もだし、立場もだし……婚約、解消したばかりだし」
色々思い浮かぶ気になりすぎることを並べていると。
琉生は、んー、と首を傾げて。それから、ふ、と微笑んだ。
「年は関係ないし、立場も、別にあの学校、職場恋愛禁止してないし。婚約は、解消したんだったらもうその時から、関係ないよ」
「――」
「逆にさ、どれくらい経てば、解消したこと、気にならなくなるの?」
「……どれくらいってことはないけど」
「ないでしょ? 琴葉が吹っ切れたら、もう関係ないと思う」
そう言われると、確かにとは思うんだけど。
「なんか……なんだろう、すごく薄情な気がするというか……」
切り替えが早すぎるというか。
これですぐにほかの誰かとか。うーん……。
昨日あんなことして言えた話じゃないかもしれないけど。でもあれは、ほんとに、特別で、一夜限りのつもりで……。
うーん……。
婚約解消された翌日に、こんな話をしていることすら、どうなんだろうと、思ってしまう。
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