【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

星井 悠里

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第2章

「タイミング最悪」

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 ご飯を食べ終わって、ルカが剥いてくれるチョコの実もたんまり食べて、おなかも満たされてきた頃。


 リアが、このお酒甘くて美味しいよというので、一口貰ったらほんとに美味しくて。

 そのまま、ごくごく飲んでいると。気づいたルカに止められた。


「お前、酒弱そうなんだけど。大丈夫なのか?」

 眉を顰められる。


 ていうかさあ。よく考えたら、ルカ普通に飲んでるけど、未成年じゃん。

 ……って思うのだけど、きっとここにそんな概念ないんだろうな。と思って、口には出さない。



「平気だよー、少しは飲んだことあるし」

「――――……既に赤いけど」

「大丈夫だよー、これ、甘くて美味しいし」



「……もうやめとけよ。 お前、ベッドで寝ちまいそうだから」

 そんな事を言われて、取り上げられてしまう。


 そんな事を言われると、いっそ、飲んで、ぐーぐー寝てしまいたいけど。


 ていうか、昨日ずっとしてて、お昼にもして、なのにまた、夜もする事は絶対なの??

 どんだけなんだー!


 そんな事を思いながら、むー、と不満で黙っていると。



「全部終わったら、飲んでもいいぞ? 飲める元気があるなら。買って持っていっとくか?」

「――――……っっ……いらないよ」



 もう。……ルカ、嫌い。

 言葉に出すと面倒なので、黙ってると。



「そろそろ宿屋行くか」

「――――……」



 ぐいと腕を引かれて、立ち上がらされて。

 ああ、また、あの時間が始まるのかと、とっても憂鬱になった瞬間。


 少し席を外して 離れてたゴウがやってきた。

 
「ルカ、ちょっと話があるんだけど」

「ああ――――……ソラ、待ってろよ」

「ルカ、あそこにある売り物、見てていい?」

「ん」

 酒を注文できるカウンターみたいな所の横に、何だか色々品物が並んでるのを見つけて、そこに近寄る。


 何か乱雑に色んなものが置いてある。

 アクセサリーだったり、バックみたいなものだったり、色んなお菓子だったり。


 お菓子、色々食べてみたいな。

 どんな食材があるのか、分かるかも……。 いくつか買ってもいいかなあ。ルカに聞いてみよ。良いって言ってくれる気がする。
 
 味の想像が出来ないお菓子もあって、何だかワクワクしていると。とんとん、と背中を叩かれた。

 振り返ると、女の子。――――……あ。服屋さんの子だ。


「来てたんですね? 連れの方も一緒ですか?」

「あ、うん。今向こうに居るよ」

「ソラさん、ですよね?」

「ん、そうだけど……」

「一緒に居た方がそう呼んでたから」

 ふふ、と笑うその子に、ああ、そっか、と笑い返す。


「今日はどこに泊まるんですか?」

「宿屋って言ってたよ?」

「ソラさんだけ、うちに来ませんか?」

「え?」

 する、と、腕にその子の手が絡む。

 細くて、柔らかい。



 ……あ。そういう、お誘いか。



 ――――……ん、なんか、分かってきた。

 凄く、性に於いて、きっとオープンな世界なんだ。



 気に入ったら、男女関係なく、迫る。

 嫌なら嫌と言えばいいし、お互い合意なら、突き進む。



 勇者グループが、モテる人達で特殊なのかと思ってたけど、こんな、普通の女の子までこんな感じってことは、そういうことなんだろうなあ、と思いながら。



「ほんと、気持ちは嬉しいんだけど――――……」

「だめですか? 私、好みじゃないですか?」

 断りかけたら、途端に眉を寄せて、寂しそうな表情になってしまった。



「あ、だめって事じゃなくて……」


 全然、すごく可愛いし。 

 触れてる肌が柔らかくて、女の子って良いなと、思うし。


 でもオレ、この後――――……ルカと、部屋に行って……。



「――――……」



 って、オレ、何でこんな可愛い女の子に誘われてるのに、

 ルカとの事を理由に断らないといけないんだろう……。うう。

 と、そうは思うのだけれど。 ルカのものになるって、約束、してるし……。



「ソラさん?」

「あ、ごめんね。やっぱり……」



 はー、とため息をつきながら、そう言いかけた瞬間。

 突然、唇に触れた、柔らかい感触。


 彼女に、キスされたと知って、しばし呆然。



「――――……」



 つか。

 この世界で、キスって言うのは。

 ……相手に断りなく、さらっとしていいものなのか??



 別に、ゴウと違って、可愛い女の子だし、そんなに嫌ではないけれど。



「ソラさん、すっごくすごく、好きなタイプで……一晩でも、どうですか?」


 もしかして、日本にも、こういう子はいるのかもしれないけど。まあ海外ならキスもハードル低いだろうし、情熱の国とかなら、こんなこともよくあるのかもしれない。

 まあオレも。
 合コンとかで、気持ちよく酔って、とか。そう言う事はあったけど。



 でも、こんな感じで、普通に迫ってくる子は、オレの周りには居なかった。


 結構なカルチャーショックを、またしてもこんな場面で受けながら。
 目の前の女の子をマジマジ見つめると。



「――――……」



 ほんと、この子、顔、可愛い。

 こんな可愛い子が、自分からキスして、誘ってくれるとか。なかなか無い。



 ……いやいや、でもダメだ、絶対ダメだ。

 そもそもこんな所、あの良く分からない独占欲勇者に見つかったら、どう思われるか。



「ごめんね、あの……」

 そう言えば、名前――――……。



「私、シオンです」

「シオンちゃん、あのね――――……」



「シオン、でいいですよ?」

「ん、シオン――――……あのね」



 ごめんね、オレ、この後約束があるから。

 そう、言おうとした時だった。



 ぐい、と腕を引かれて。

 嫌な予感に振り返ると、思った通り、ルカで。

 でもって、思った通り、絶対、怒ってる。



 キス。見られたかな。



「こいつ、オレのだから、無理」



 ルカはシオンにそう言い放ち。

 オレが、さっきからずっと抱えてたお菓子を奪って棚にポイポイ戻すと。



 オレは、どう見ても怒ってるルカに、腕を引かれ。

 酒場を引きずられるように出る事になった。



 つか。

 あと少しだけほっといてくれたら、ちゃんと自分で、断ったのに。

 何で、最悪なタイミングで、来るかな……っ。



 お菓子、買いたかったな……。

 しょんぼりしながら、背中だけでも、イライラしてるのか見て取れる、こういうとこは、なんか分かりやすくて、年下っぽいなと思いながら。



 多分宿屋に向かってるルカの後を、黙ってついてく事しか、出来なかった。




 
  
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