【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

星井 悠里

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第2章

「眠すぎ」

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「すっごい眠くなってきちゃった……」
「ん?」

 ルカと温泉、かなり長いことまったりと浸かっていたら。
 ほんとに、眠くなってきちゃった。


「一度シャオの町に戻って、昼寝するか?」
「……してもいい?」

「ダメな訳ねーだろ。別に今日何もねえし」

 ルカがオレの腕を掴んで、立たせながらそう言う。


「昨日のダメージ抜けてねえんだろ。来いよ」
「……ん」

 皆の所に行くと、ちょうど皆もそろそろ良いかって話になってたらしくて。
 服を着替えて、帰る事になった。

 リアと別れて、男4人で着替え始める。

 濡れた服を脱いで、いつもの服をすぽ、と頭からかぶった所で、はわはわと大きなあくびをしていたら、ルカがクスクス笑う。

 ふわん、と髪の毛を温かい風が包んで、髪が乾く。
 

「わー……ありがと……」

 なんて便利なんだ、ルカ……。
 口にしたら怒られそうな感想を、心の中で言っていると。

 着替えの入ったカゴから、紐を手に取って、オレのウエストの所できゅ、と縛ってくれる。

 なんか、これ、よくルカがやってくれる。
 いつも通りなので、普通に縛ってくれる間、待ってたら。

 キースとゴウが、笑い出す。


「うん……?」

 どしたの?と2人に首を傾げると。


「ルカが世話焼きの奥さんみたいに見えてきて」

 キースがクスクス笑う。

「王子カッコいいとか言ってる城の女達が見たら、すげえびっくりするだろうな」

 ゴウは、もうほんとに面白ぇと言いながら、クックッと笑い続けてる。



「…………」

 …………よく考えたら、確かに。
 服のウエストの紐、結んでもらうとか。


 なんか、最初にこの服を着た時から、ルカがいつも大体やってくれてて。
 自然と、受けてしまっていたけど。


 服着て、ベルト閉めてもらってるようなもの??
 ……確かに、ものすごく、おかしいな。

 と、そんな事に、今更、はっと、気づく。


「ルカ、自分でやる」
「は? もう終わったし」

「……今度から自分でやるから」
「何で? いーじゃんか、別に」

「……なんでって…… できるよ?」
「分かってるよ。一番最初は、分からねえからやってやったけど、今はもう、出来ねーと思って、やってる訳じゃねえよ」

「…………じゃ何で?」」


「最後結ぶと、なんか、オレのって感じするから」
「――――……」


 意味が分からない……。


「別にすげえ嫌な訳じゃねーだろ?」
「……うん」

「じゃあ、オレはすげえやりたいから、やらせとけ」
「………………」

 もうなんか、逆らう気もしない。
 うん、と頷いてると、キース達が笑ってるのが分かるけど。


 まあ笑われてるのルカだし。
 いいや、ほっとこ……。


 リアと合流は町の入り口。ついてすぐ、「ミウー!」と声を出した。

 見える所には、ミウは居ない。
 でも、すぐ、絶対聞こえないだろうって所から現れて、ぴゅーん、と飛んでくる。すっぽり腕の中に納まるミウを抱き締める。


「おまたせ、ミウ」

 よしよし、と抱っこしていると、ゴウがミウに手を伸ばしてきた。


「お前、ソラの声、聞こえたの?」

 ごついてで撫でられながら、ミウはじっとゴウを見てる。


「耳じゃないのかもね、何か、繋がってるのかな、ソラと」
「――――……?」

 キースの言う事はよく分からないけど、確かに、オレの声が、ミウに届いたとは思えない。

 そんな会話をしながら、ミウを抱き締めていると。
 リアが「おまたせー」と現れた。



 シャオの町に戻って皆と別れる。
 皆は町のカジノに行くんだそうな。オレも後で行ってみたい……。

 でも眠い。


「ルカもカジノで良いよ? オレ眠っちゃうし」
「――――……カジノは別に今はいい」

 なんか、足元がぽわぽわ、する。
 だめだ。オレ絶対、お布団入ったら即寝るな……。


 こんな昼間からこんなに眠いとか。
 ――――……昨日のダメージ、ほんと残ってるのかな……。

 宿屋に入って、部屋に戻る。
 お布団にもぞもぞ潜って、横になった。


「ルカは……? 寝ない?」
「オレは眠くないけど――――……」

 ルカがベッドの端に座る。
 ルカの手がオレの頭に触れた。


「いいよ。寝て」
「ん……」


 でっかい手……。

 あったかいなあ。
 またあくびが出た瞬間。

 クスクス笑いながらルカが、オレの隣に入って来て。

 腕枕、の形で抱き寄せられた。


「おやすみ、ソラ」
「――――……うん。おやすみ……」




 暖かくて。
 あっという間に、眠りにつきそう。というか、もうほとんど眠ってる中で。


「早や……」

 くす、と笑いながら言う声がして。
 くしゃくしゃと頭を撫でられた、気がした。







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