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第2章
「星空キレイ」
しおりを挟む振り返ると、ドアから顔を見せたのは、ルカだった。
「あ、ルカ」
「ソラ」
オレを見て、ちょっとだけホッとしたように、笑う。
「何で外に来てんだよ」
「ちょっと風に当たりに……」
「言ってから行けっつーの」
「あ、うん、ごめん」
だって、アランと盛り上がってたから……。
そう思いながらも、謝ると。
ジェイが隣でくす、と笑った。
「?」
オレも気づいたけど、ルカも気づいたみたいで。
ルカも、ちら、とジェイに目を向ける。
「どーも、ルカ王子。オレ、アランの仲間で。今日も船一緒に直してたんだけど……」
「ああ」
「……アランが言ってた通りだからつい……」
クスクス笑う。
「王子がソラって奴を好きすぎるって」
ジェイが笑いながら、オレを見る。
ああ、それでさっき、お前がソラかって言ったのか。
……アランは一体何を友達に話してるんだ。あほだな、アラン……。
「じゃーな、ソラ、またな」
「うん……」
「今から美味いもん作るから、食べて」
オレを見てから、ルカにも視線を流して、ジェイは店に戻って行った。
「――――……ソラ、消えんなよ」
言いながら、隣に座るルカ。
「ちょっと外に来ただけだってば」
「――――……目に見えるとこに居ろっつーの」
「…………」
こんな事ばっか言ってるから、「好きすぎる」とか、知らないとこで言われちゃうんだと思うんだけど。
なんか、ほんと、過保護。ルカ。
「アランとの飲み比べはどうしたの?」
「ソラ見つけてくるって、中断してきた」
「あ、そうなの?」
ますますアランに、色々思われてそうだけど……。
「ごめんね、なんか静かな所に来たくて」
「……うるさかったか?」
そのルカの質問を聞いた瞬間。
ぷっと吹きだしてしまった。
「……めちゃくちゃうるさいよね、もうどこもかしこも、うるさい」
クスクス笑いながら、ルカを見上げると、ルカはふ、と笑う。
「……でもうるさくても、楽しいなと思うんだけど」
「――――……」
「……ちょっとだけ、休みにきたらさ。星が綺麗すぎて」
「――――……お前の世界には、星はねえの?」
「星はあるよ。でも町が明るすぎると見えないんだよね。明かりの無い場所に行けば、めちゃくちゃ星見える所もあるんだけど――――…… 住んでた所は、星なんて、いくつか数えられる程度しか、見えなかった」
「星が見えない所なんて、あんのか」
「うん。 月は見えるよ?」
「ふーん……それはでかいから?」
「……でっかいし、明るいからかなあ。 星も、明るい星だけが見えて、暗い星は見えないんだよね」
「じゃあ、この星空は、好きか?」
「うん。すっごい好き。ずーっと見ててもいいかも」
空を見上げていたら、ルカが隣で、ふ、と笑う気配。
ん? とルカに視線を向けると。
ルカの手が、オレの頬に触れる。
「……ルカ、手、熱すぎ」
「そうか?」
「燃えてるみたい」
笑っちゃうほど熱い。結構酔ってるなー。
「何でそれで顔はそんなに涼しい顔してんの? 酔ってるんじゃないの?」
「顔が赤くなった事とかないなー」
「……なんか、さすがだよ、ルカ……」
よく分からないけど、さすがな気がして、そう言った瞬間。
頬に触れてた指が、うなじに回って、そのまま、引き寄せられた。
「……んっ? ぅ……」
唇が重なって、ルカの下に抱き込まれる。
咄嗟に体勢立て直そうと思ったけど、抱き締められて。
「……んん、ん……っ」
――――……舌、あっつ……。
「……ふ、はっ……」
熱すぎて、一瞬で、溶けそうな気が、する。
何だ、これ。
「…………ッン……っ……ん、ん…………」
だめだ、これ。
ぞくん、と震える。
キスされて、そんなに経ってないのに。
息が上がって、涙が、目の端から、零れたのが分かって。
「……るか……っん……」
一瞬離させたのに、また塞がれて。
もう、ルカの背中の服を、ぎゅ、と握りしめるしかできなかった。
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