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第2章
「お菓子作り」3
しおりを挟む「じゃあさ、粉をふるうものってある?」
「ふるう??」
「粉を細かくしたいんだけど……だまにならないように」
「どーいうこと?」
……うん。そんな繊細なことはしないらしい。
だよね……。
さっきの天ぷらみたいなのは美味しかったけど。
あ。さっきの料理をこの卵で作ったんだったら、普通に美味しいクッキーになるかも。
「ジェイ、さっきの野菜の料理さ、この卵使った?」
「使ったよ?」
おお、じゃあ味はきっと、ちっちゃい卵と一緒なのかな!
ウキウキしてきた。
「なんか、大きめのお箸か、混ぜる道具とか、ある?」
「あるよ。箸」
箸か。
仕方なく、新しくジェイに借りたボールに、粉を入れて、混ぜ混ぜする。
ほんとは泡だて器の方がいいけど。箸でもできなくはない。
続けていると、粉が細かくなって、ふわふわさらさらしてきた。
「おー、なにそれ。不思議」
ジェイが、不思議そうにのぞき込んでくる。
これ……正直全部どのくらい入れればいいのか、分からない。
測るっても無駄だから……感覚だな。
耳たぶ位になるように。甘さは控えめで……。
うん、なんか、大分向こうの世界とは違うけど。
何となく、出来そう!
「ジェイ、チョコの実ある?」
「外に生えてる。取ってこようか?」
「いいの?」
「いいよ、お前はそっちやってろ」
「うん。ありがと」
ジェイが居なくなって、その間も、かたさを見ながら、材料を混ぜていく。
砂糖がなぁ。
……どんくらい入れればいいんだろ。
んー、と悩んでると。
不意に後ろから。腰に回ってきた腕に抱き寄せられてしまった。
「わ……」
「――――……ソラ、何してんだ?」
「……ルカ」
む。さっきの言葉を思い出して、一瞬で、ムッとしていると。
ルカがくす、と笑った。
「……さっきの怒ってんのか? すり寄ってるってやつ」
「――――……怒ってる」
「……怒んなよ」
ぎゅー、と抱き締められ、首筋にちゅ、とキスされる。
「……っオレ、今作ってるから邪魔しないで」
「……ん」
くす、と笑われて。ぱ、と手を離される。
ルカは、すぐ近くの椅子に腰かけた。
「見てる」
「……ルカ、飲み比べは?」
「オレの勝ち。アランがもう負けで良いって。もー飲みたくないんだと」
「つぶれてないの?」
「つぶれてはないぞ。元気にしゃべってる」
「あ、そ……」
じゃあ結局2人、あんだけ飲んでも酔っ払ってはないのか。
「……いいとこだぞ」
「ん?」
「人懐こくて、すぐ仲良くなるとこ。特技だろお前の」
「……もーいいし」
「素直で可愛がられるし――――……ただ、オレがムカつくだけで」
「――――……?」
「オレのにしときたいから、むかつくだけ」
マジマジとルカを見つめてしまう。
「……ルカって」
「……」
「…………よくわかんないんだけど」
「――――……」
「……オレの事好きなの?」
「――――……は? 今更……」
びっくりした顔をされる。
「え、だって――――……」
まあ……嫌われてるとは思ってないけど……。
リアが、お城に戻ったら、相手がいっぱいいるしねとか、言ってたし。
今だけこんなに、執着されてるのかなと……。
何て言ったらいいのか分からなくて黙っていたその時。
「ソラ、チョコの実どん位だ? こん位で足りるか?」
ジェイが戻ってきた。
「……っと。ルカ王子」
ルカに気付いて、ぴた、と止まる。
「いい、続けろよ」
ルカはため息をついて、そう言った。
「――――……いーのか?」
ジェイがルカに視線を流しながら、オレに聞いてくる。
「うん。……良い、かな……」
多分今、ルカ、話す気なくなってるみたいだし。
「これ、皮剥く?」
「チョコの実、ちょっと混ぜてみたくて」
「どん位?」
「試しに混ぜたいだけだから、10粒くらい。刻みたいなー……」
「OK」
ジェイがチョコの実を剥き始める。
「こういう焼くお菓子ってどこで焼くの?」
「ああ……来てみな」
「うん」
部屋の端っこにある、窯みたいなのの蓋を開けて、見せてくれる。
なるほど。ピザ窯みたいな感じかー。
「ありがとう。あとさ、バターってある?」
「ああ――――……つか、ソラって、どこから来たの? 物は知ってるのにあるかないか、そんなに聞かないとわかんねえの?」
「あー……うん。そーなの」
あはは、と苦笑いしながら、バターを受け取る。
ルカが、ふ、と笑うので、む、と視線を向けると。
「……ソラ、何つくんの?」
「クッキー」
「ふーん。――――……出来たら、食わせて」
「え」
「――――……何。嫌なのかよ」
む、とするルカに、首を振る。
「ていうか……当たり前じゃん。ルカに食べさせようと思って作ってるのに」
そう言ったら、ルカ、珍しくすぐ何も答えなくて。
ふ、とため息を付かれた。
何でか、ジェイが隣で急に、ぷ、と笑う。
「何?」
「……いや、別に。もう焼き窯あっためとく」
「うん」
クスクス笑いながら、ジェイは窯の方に歩いていった。
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