【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

星井 悠里

文字の大きさ
206 / 309
第2章

「頑張る」

しおりを挟む


「ボスと戦う時は、波の出どころに居る訳だから、多分、船は大丈夫だと思うんだけどな」
「ていうか、もう戦ってたんだね……」

 知らない間に。……オレがぐっすり寝てる間に。
 うう。なんかすみません。
 ……まあオレ居ても、役に立たないけど。


「戦うのは、日常だからな。ソラが思う程、特別な事じゃない」

 余裕そうな顔をするルカ。
 ……まあ、確かに。そう、なんだろうけど。

 でもやっぱり、戦いって何があるか分かんないし。
 心配は心配だけど……。

 そう思っていると、不意に手首を掴まれて、引かれた。

「ちょっと来な」
「うん」

 船の先へと歩いて行って、寝室やキッチンにつながる階段とは別の階段を、ルカが下りていく。

「ついてこいよ」
「ん」

 この階段は初めて下りるなあ……。向こうの階段より断然狭い。
 何だろ、ここ。

 ちょっとドキドキしながら下りていくとそこは小さな……2畳くらいの部屋になってて。ぱあっと明るい。

「わーなに、すごい……!」

 びっくりしたのは、窓になっていて、外が見えること。
 海の中の生き物が、見える。

「さっきアランと見てたんだけどな。波が荒れてなければ、もっと小さくて綺麗な魚も見れるらしい。今は、波に逆らえる大きさのしか見えねーけど」
「じゃあ、倒したら、帰りは綺麗なの、見えるのかな?」
「海が落ち着けば、そうかもな」
「わー、でも、おっきいのだけでも、すごい」

 海は、青い。
 綺麗。こんなに荒れてても、青いんだ。不思議。
 すっごい綺麗。

 見た事ない魚とかもたくさん見える。


「うひゃー、何あれ、でっかい! 何て魚?」
「魚の名前はよく知らねえ」

 クックッと笑いながら、ルカの腕がオレを抱き寄せて、そのまま一緒に窓を覗き込む感じの体勢になる。

「ソラ、こういうの好きそうって思ったけど」
「好き好き。オレ、水族館、好き」
「すいぞくかん?」
「うん。向こうにあるんだよ、水族館って言って…… 海がないとこでも、海の生き物が見れるようにしてあるところが」

「ふーん……たまに魚飼ってる奴居るけど、そんなようなことか?」
「あー……うん、多分、それがもっと、でっかーくなったのが、水族館」

 ルカを見上げて言うと、ふうん?と、面白そうにオレを見て、笑う。


「楽しそうだな、ソラ」

 クシャクシャ撫でられまくる。


「いつかソラと、行けたらいいよな。すいぞくかん」
「――――……ルカと、水族館……?」

 ルカが日本に来ちゃったら、結界とか、どーなるんだろ。
 ……あ、そっか。倒してからって言ってたっけ。

 ルカが、日本にか。

 何回目だろう、また想像して。ルカがすごい目立ってるのを、思い浮かべて、笑ってしまった瞬間。


「――――……」


 ぐい、とルカに引き寄せられて、キスされる。


「……ふ、っ――――……んん……?」


 いつでもキスされるな、もう……。
 これが当たり前になってるオレって、どうなの……。

 思いながらも、自然と、キスに応えてしまう。


 しばらく、キスされて、ゆっくり離された。
 もうなんか、すぐ熱くなる、体というか。ぼうっとする頭というか。

 どんだけなんだ、もう。


「……絶対行こうな」

 ルカが、オレをまっすぐみて、なんか、ものすごーく、太々しく笑う。


「……どーやって?」
「さあ。……これから、調べる」

 ぶに、と頬をつままれる。


 色々言いたいことはあるのだけれど。
 ……この人、ほんとにやりそう……と、ちょっと思ってしまうから不思議。

 やっぱり、人って。
 色々努力して、頑張って、それで自信があって、前を見据えてる人って。


 きっと、すごく、強いんだろうな。



「ソラ、居るかー?」

 アランの声が上から聞こえる。


「居るよー」
「あ、居た」

 階段を下りてくる音がして、アランが顔を出した。

「ソラ、気分は?」
「大丈夫そう」

「今このまま、まっすぐ進んでればいいからさ、少し早いけど、夕飯の準備しようぜ」
「あ、うん、するする!」


 わーい、とりあえず、オレもできること、がんばろーっと。


「じゃあねー、ルカ」

 ルカの側からする、と離れると。


「もしかして、オレ、邪魔したか?」

 アランがルカにそんな風に聞いてる。


「邪魔。……でも仕方ない。ソラ頑張れよ」
「頑張る」

 言いながら階段を上って、甲板に出る。
 あとからアランも、その後からルカも出てきた。
 

「いってきまーす」
「あとで覗きに行く」

「うん」



 じゃーねー、と手を振ってルカと別れて、アランとキッチンの方に降りた。








しおりを挟む
感想 279

あなたにおすすめの小説

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

処理中です...