butter

江嶋美優

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バターの誘惑

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まだ働き続ける時計を気の毒に思いながら立ち尽くしていると男はあることに気がついた。そもそも街に人がいないなんておかしい。周りを見渡しても建物に灯りがついているだけで人影すら見えない。何が起こっているのかわからなくなっていた。疲れているのだろう、そう自分の中で考えていると風に乗ってバターの香りがふわりふわりと男の鼻を刺激していた。
こんな夜中にパン屋が空いているのか。いや、明日の仕込みをしているのかもしれないと考えながら足はだんだん濃ゆくなるバターに釣られていつの間にか店の前にたっていた。
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