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依存の強硬手段

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シャズがヨロヨロと帰ると、引っ越しのように屋敷から何かを運び出しているようだった。
嫌な予感がして隠れて見ていると、あの部屋にあったリーシュの母親のベッドを運び出していた。
一気に現実に引き戻される。

まさかどうしてこんな日に!俺はロジーに電話した。絶句した後に黙りこくったかと思えば
「私は執事です。旦那様にリーシュの事はユージュアルに頼んでいる。と言われてしまえば、何もできません・・・!」
「じゃあアイツがリーシュを傷つけててもほっとくのかよ!」
「・・・・・・。・・・?シャズさん、こんな時間に屋敷にいるという事は体調悪いんじゃないですか!?声にも覇気がありません。大丈夫ですか!?」
「だから電話したんだろ?走って止めたら一瞬で捕まっちまう」
「残念ながら、私には出来ません。私は、唯の執事なんです!ご命令には、逆らえません」
「お前はリーシュの執事だろうが!!!」
「誰か居るのか!?」
ヤベ見つかった。よりによってコイツに!仕方ない。

「俺だよ」
「・・・!?どうしてここにキミがいる!?」
「体調崩して早退した」
「そんな連絡は受けてない」
「当たり前だ。してないんだから。で?何してんだ?」
「見てわかるだろ?あの部屋がある限りリーシュは弱っていく一方だ。依存性だ。断ち切るべきだよ」
「・・・わかんねーのかよ。出会って1年経ってない俺でもわかるぞ。寂しいんだよ!こんなデカい屋敷に身内は1人もいない!アイツが母親に依存してる理由が、しなきゃいけない理由がわからねーのかよ!!??」
「ぼ、僕は・・・!」
「クソッ退け!」
「シャズ!?危険だ!」

俺は出発しだした荷台トラックに乗せられたベッドに向かって走った。衝動的に、本能に任せて飛びついたら何とかシーツを掴んだ!よし、このままよじ登って、トラックを止める。

その時、視界がグラッとした。目が霞む。息が荒い。寒気がする。
クソッどうしてこんな日に!
そこでシーツがビリビリ破れた。登ろうとしても身体に力が入らない。
トラックがスピードを上げだした。この手だけは離しちゃいけない気がして意地でも離さなかった。
すると、シーツが落ちてきて、俺は一緒に落ちた。不思議と痛くなく、まるで眠りにでもつくように意識を手放した。
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