霊媒体質 九条遙加の厄難 ー学生時代編ー

柿村 呼波

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第2章 大学編

ふたたび

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 アニメ・ピンクスペクトルの人気は中高生だけでなくその親世代にまで広がって行った。
若手声優だけでなく幅広い年代の人気声優が出演していることでも話題になっていたからだった。

 そして、アニメの中でピンクスペクトルが華々しくデビューした日の放送終了後、ブルーローズもデビューした。インターネット上だけで。本格的な活動はアニメの放送終了後の予定になった。

 5人バンドでボーカルのみが女性。そのボーカルはアニメと同じように顔の上半分を隠す仮面をつけて歌っている。しかも他の男性メンバーたちのビジュアルまでもがアニメと酷似していたのだ。

それはメンバーがわざとアニメに寄せたわけではなく、作者がブルーローズのファンだったというとても簡単な理由からだった。

 インターネット上のみでのデビューだったが、実質的なデビュー曲のダウンロード数は急上昇。しかもアニメが世界配信されていた影響で、日本以外の純粋に曲を聴きたいファンからもダウンロードされていたのだ。

 プロデューサー兼マネージャーである如月の目論見は見事成功。コンテンツのダウンロード数は日々右肩上がりだ。
高校時代のライブハウスのファンたちも大喜びだった。

 しかし約1名、嫉妬心を露にする者がいた。

モデルの速水玲那。1年ほど前に大物カメラマン藤村大翔の写真集で話題になったものの、その後特に大きな活躍は見られなかった。
性格に難がある彼女。そこがいいと言われて藤村と仕事をしたがそれ以外からはその性格のせいでお呼びがかからなかった。

 いつも自分が1番でないと気に入らない彼女は隠しているつもりでも態度の端々にそれが出てしまうのだ。それでは周りのスタッフと上手くいくはずもない。

自分の思うように人気の出ない速水玲那。それでも雑誌の専属モデルの仕事は無くならなかったのは事務所の力でもあるのだろう。

 そんなある日のこと。
スタジオ撮影の休憩時間にスマホを見ていたら、見覚えのあるバンドの曲がおすすめで出てきた。

ブルーローズ。速水玲那はそのバンドのボーカルに一方的な嫌悪感を抱いていた。そのバンドが出てくるまでは自分はまるでお姫様のように扱われていたのにそのボーカルのせいで皆の注目はその女の方へ行ってしまった。彼女はそう思っていた。

 速水玲那は時間もあるので取り敢えず確認のため曲を聞くことにした。 
ボーカルの顔は顔半分が隠れているためによく分からないが歌声は確かに九条遙加だと確信した。悔しいし認めたくもないが歌は速水玲那よりも上手いのだった。

周りにいるバンド連中も見知った顔があったので間違いなくアイツらだろうと確信した。

どうして美しい自分が思ったほど人気が出ないのに世間はアイツらばかり持ち上げるのだろう。理由は他にあるのに、認めたくない速水玲那は本気でそう思っていた。

時間が経てば経つほど九条遙加への恨みや嫉妬が膨らんでいき心の中がどす黒いもので一杯になって行った。



 


 ブルーローズはデビューはしたが、ライブハウスへの出演などの本格的な活動はアニメの放送が終了してから。今は曲作りや練習、大学を卒業できるように単位の取得にも励んでいる。

 遙加もライブ活動に向けて今できることを頑張っていた。
だからだろうか。最近周りからやけに顔色が悪いと言われていた。
本人は少し頑張りすぎたので疲れたのだと思っていた。

 遙加が家に帰るとその日は珍しく薫が夕食の準備をして迎えてくれた。

「ただいま」

薫は遙加の顔を見るなり眉間に皺を寄せた。

「遙加、後ろに憑けてるのはなんだい」

「えっ?」

「体調が悪いんじゃないか。また生き霊が憑いてる」

「…………あー、やっぱりだったんだ……」

「これは元から絶たないと駄目だな。取り敢えず今はこれ以上酷くならないように応急処置をしておこうか」

「ありがとう、ごめんね薫……」

九条薫は遙加に護符を持たせながら思った。
『これはアイツに頼むしかないか……。もしかしたら呼ばなくても近くまで来てるかもしれないしな……』

 その後2人が食事を済ませて遙加を休ませた後、薫はディメンションの控え室に行った。

扉を開けるとそこには呼んでもいないのに得意顔で椅子に腰掛ける男がいた。




 
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