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第2章 迷子の仔猫
新たな仲間
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翌日、何故か蒼井までブルーローズの居住スペースを与えられ今住んでいる家を解約する様に言われた。蒼井はこれまではなるべく人が近くにいない方が良かったので住宅街から少し離れたところにある借家に住んでいた。6次元へ行った後からブルーローズの上の居住スペースを勧められていたのだがピアノを理由に断っていたのだ。
しかしスタインウェイ&サンズのグランドピアノを部屋に用意してくれるという言葉にまんまとつられ、気づいた時には住むことになっていた。もちろん蒼井の部屋はいつでも気兼ねなくピアノを弾けるように特別完全防音仕様になっている。だが実は他の部屋も普通に防音仕様にはなっていたりする。
鳥居は既に昨日の夜から猫と共に用意された部屋で暮らし始めている、らしい。
午後になると、ブルーローズに藤原夫妻が訪ねてきた。今日の営業は夜からなので他に客はいない。猫を抱いている鳥居を見て二人は驚いていたが、同時にホッとした表情も浮かべていた。
藤原夫人は鳥居に近づき猫を手渡されると優しく抱きしめた。
「みいちゃん、もうこれからは毎日会えないけど大丈夫? みいちゃんに忘れられないように会いに来るからね。九条さんこちらにきても大丈夫かしら」
九条へと視線を向けた藤原夫人の言葉は本気なのか演技なのか見分けがつかない。
「勿論大丈夫です。みいちゃんも喜ぶでしょう」
すると、鳥居が少し言いづらそうにして伝えた。
「あのー、その猫のこと俺は ミーシャ って呼んでるんですけど みいちゃん にしたほうがいいですかー」
「そうなの! 良い名前じゃない。みいちゃんよりミーシャの方が素敵だしこの子に合っている気がするわ。私も呼んでみようかしら。ミーシャ」
「ニャーーン」
「ミーシャおいで」
「ニャーン」
鳥居に声をかけられて嬉しそうに猫はまた鳥居の腕に収まった。
「そうね、みいちゃんを狙っていた奴らにはみいちゃんはトルコに帰ったことしてあるから丁度良いかもしれないわね」
「それにこの子も彼のことが気に入っているみたいだし、とても大事にされているのが伝わってくるよ。安心して預けられる人でよかった」
「えぇあなた、本当に」
人見知りのみいちゃんを心配していたご主人も、目の前の様子を見てブルーローズで預かることに賛成してくれた。
やはり日本人は金髪のイケメンには弱いのだろうか。そうでは無い、とは言い切れないところがちょっと悲しかったりする。
すると突然、少し乱暴に店の入り口のドアが開いた。
鳥居は猫を藤原夫妻に預けてサッと店の奥へと姿を隠した。
蒼井の姿を見るなり門脇は慌てて近づいてくると、挨拶よりも先に開口一番にこう言い放った。
「猫が見つかったって本当か?」
藤原夫妻から連絡をもらいブルーローズにいることを聞いて急いでやってきたという門脇は、余程心配していたのだろう、心なしか窶れたように見える。
昨日門脇は取引の様子を超小型ドローンを使って見ていた。だが見えたのは猫が取引相手に渡されずに魔法男と一緒にどこかに消えてしまった所までだった。
門脇の質問に答えたのは藤原夫人だった。
「えぇ、昨日物音がするからみいちゃんの部屋に行ってみたんです。そうしたらこの子がちょこんと座ってこちらを見ていたの」
彼女は猫を抱えてにこりと笑って答えた。
「そうだったんですか、とにかく無事で良かったです。あっ、ご連絡ありがとうございました」
門脇は『犯人は仲間割れでもしたんだろうか、それとも足がつくのを恐れたのか…… 。とにかく良かった』そう思ったが口には出さなかった。いや、出せなかった。
「ご依頼をお受けしたのにお役に立てず申し訳ありませんでした。今回の調査内容をまとめてきました。お受け取りください」
書類をご主人に渡すと、門脇は藤原夫妻に深く頭を下げた。
「いえ、無事に帰ってきたのだから何も問題はありません。
それと、みいちゃんを狙っている者はまだ他にもいるので、一旦トルコの取引先の社長の元にお返しします。
先方にはこれまでのことをお話してあるので協力すると言ってくれていますので大丈夫です。ちょっと寂しくなりますがみいちゃんには安全なところにいてもらいたいので。もし誰かに何か聞かれるような事があったら『猫はもう日本にはいないようだ』とだけ言っていただけますか」
「分かりました。お話して下さりありがとうございます。猫の所在に関してはそのように対応いたします。とにかく皆さんが無事で安心いたしました。では私はこれで失礼いたします。九条さん今回はありがとうございました。蒼井もありがとう、じゃあな」
「じゃあね」
蒼井は軽く手をあげて挨拶した。
門脇は藤原夫妻と九条に一礼し、もう一度蒼井に軽く手を振ると長居は無用とあっという間に帰って行った。
「嵐のようでしたね、門脇は」
蒼井は九条の方を見て申し訳なさそうにしていた。
「まぁ、良いんじゃないかな彼らしくて。それに門脇探偵事務所の所長が猫はもう日本にいないって噂を流してくれるだろうしね」
「そんなことまで考えてたんですか、全く。それよりみいちゃん、じゃなかったミーシャはトルコに帰ったことになってるんですか?」
すると藤原夫妻が顔を見合わせた。
「もう既に、信頼できるところから噂を流しているから、うちの周りにも変な奴らがうろつかなくなるだろうしね。これ以上間接的にでも営業妨害されるのは困るからね」
「そう言うことなの。ミーシャちゃんはちょっと繊細なところがあるけど、皆さんよろしくお願いしますね」
「はい、大切にお預かりします。会いたい時はいつでもご連絡ください。楽しく遊べるように広めの個室をご用意してお待ちしています」
「ありがとう九条さん。名残惜しいけど、今日はこれで失礼させていただきますね」
藤原夫妻は役者としても通用するのでは無いか、という程の芝居をしてくれた。世界を相手に取引をするだけのことはあるようだ。
そんな夫人は猫のミーシャを鳥居に預けると何度も二人でミーシャを撫でた。ミーシャも嬉しそうにそして気持ちよさそうにしていた。その姿に後ろ髪を引かれつつも二人は広い自宅に帰ることにした。
姿を見られてはいけないミーシャは外から見えない位置に鳥居に抱えらえて移動する。九条と蒼井は夫妻を店の入り口まで見送ると鳥居とミーシャの近くへ歩みを進めた。
「蒼井くん猫アレルギーとかないよね」
「えぇ大丈夫ですけど、どうしてですか」
「多分大丈夫だと思うからミーシャのこと抱いてみて」
「えーー、嫌がるんじゃないですか」
「大丈夫だと思うよー、昨日九条さんは大丈夫だったしー」
「えっ、九条さん大丈夫だったんですか。本当はこの猫人見知りしないんじゃ……」
「いやいや、君見たでしょ。シークレットエージェントにいた女が威嚇されるところ」
「そうですけど、大丈夫なんですか僕が触っても…… お願いだから怖がらないでくれよ…… 」
そう言って恐る恐る、蒼井はミーシャに触ったが猫が嫌がる様子はなかった。ついでにと言われ抱っこしてみたが嫌がることなく蒼井の腕の中に収まった。
「やっぱり、人見知りなんて嘘なんじゃ…… 」
「多分悪意を持った人間がわかるんじゃないのかなこの猫は、素晴らしいね」
「猫の気持ちは猫にしか分からないですよ」
蒼井は呆れた顔で九条を見据えた。
「全部じゃないけど猫の気持ち分かるよー、ミーシャはちゃーんと好き嫌いあるもんねー」
「ニャーン」
鳥居に撫でられたミーシャはまるで『そうだよ』と言っているようだった。
三人三様勝手なことを言っているが皆この高貴な猫に気に入られたようだ。
そして、今日から鳥居はブルーローズの厨房で働きながら蒼井と一緒に次元監視者の仕事を始めることになった。
鳥居が仕事仲間として加わることをブルーローズの中で一番喜んだのは、なんとロバートだった。
まずパティシエとして作るデザートはロバートの作る料理と、とても相性が良かったのには皆が驚かされた。まるで始めからコース料理の一部であるような馴染み具合だったのだ。
オーナーである九条はこれからもっと客足が増えるはずだと笑顔を浮かべていた。なぜなのか、九条の笑顔は何か裏がありそうで怖い。
それに加えてイギリス人の祖父を持つ鳥居はクォーターであり、これまでイギリスを拠点に生活していたことが分かると、二人は自然とイギリスの話で盛り上がっていった。鳥居の方は人見知りをしないようだ。
九条は少し癖のあるブルーローズの皆にすぐに馴染んだ鳥居にホッとしていた。あまり物事に動じることのない九条だが、意外にも魔法使いと一緒に仕事をするのは初めてだった。
高貴な猫の世話にも慣れてきた九条。彼自身も猫の様な気ままな性質なので高貴な猫とも気があったのだろう。多分。
九条はこの時までは、もう1人増えて2人になった新米次元監視者の指導を、天ヶ瀬だけに任せるつもりだった。
しかしスタインウェイ&サンズのグランドピアノを部屋に用意してくれるという言葉にまんまとつられ、気づいた時には住むことになっていた。もちろん蒼井の部屋はいつでも気兼ねなくピアノを弾けるように特別完全防音仕様になっている。だが実は他の部屋も普通に防音仕様にはなっていたりする。
鳥居は既に昨日の夜から猫と共に用意された部屋で暮らし始めている、らしい。
午後になると、ブルーローズに藤原夫妻が訪ねてきた。今日の営業は夜からなので他に客はいない。猫を抱いている鳥居を見て二人は驚いていたが、同時にホッとした表情も浮かべていた。
藤原夫人は鳥居に近づき猫を手渡されると優しく抱きしめた。
「みいちゃん、もうこれからは毎日会えないけど大丈夫? みいちゃんに忘れられないように会いに来るからね。九条さんこちらにきても大丈夫かしら」
九条へと視線を向けた藤原夫人の言葉は本気なのか演技なのか見分けがつかない。
「勿論大丈夫です。みいちゃんも喜ぶでしょう」
すると、鳥居が少し言いづらそうにして伝えた。
「あのー、その猫のこと俺は ミーシャ って呼んでるんですけど みいちゃん にしたほうがいいですかー」
「そうなの! 良い名前じゃない。みいちゃんよりミーシャの方が素敵だしこの子に合っている気がするわ。私も呼んでみようかしら。ミーシャ」
「ニャーーン」
「ミーシャおいで」
「ニャーン」
鳥居に声をかけられて嬉しそうに猫はまた鳥居の腕に収まった。
「そうね、みいちゃんを狙っていた奴らにはみいちゃんはトルコに帰ったことしてあるから丁度良いかもしれないわね」
「それにこの子も彼のことが気に入っているみたいだし、とても大事にされているのが伝わってくるよ。安心して預けられる人でよかった」
「えぇあなた、本当に」
人見知りのみいちゃんを心配していたご主人も、目の前の様子を見てブルーローズで預かることに賛成してくれた。
やはり日本人は金髪のイケメンには弱いのだろうか。そうでは無い、とは言い切れないところがちょっと悲しかったりする。
すると突然、少し乱暴に店の入り口のドアが開いた。
鳥居は猫を藤原夫妻に預けてサッと店の奥へと姿を隠した。
蒼井の姿を見るなり門脇は慌てて近づいてくると、挨拶よりも先に開口一番にこう言い放った。
「猫が見つかったって本当か?」
藤原夫妻から連絡をもらいブルーローズにいることを聞いて急いでやってきたという門脇は、余程心配していたのだろう、心なしか窶れたように見える。
昨日門脇は取引の様子を超小型ドローンを使って見ていた。だが見えたのは猫が取引相手に渡されずに魔法男と一緒にどこかに消えてしまった所までだった。
門脇の質問に答えたのは藤原夫人だった。
「えぇ、昨日物音がするからみいちゃんの部屋に行ってみたんです。そうしたらこの子がちょこんと座ってこちらを見ていたの」
彼女は猫を抱えてにこりと笑って答えた。
「そうだったんですか、とにかく無事で良かったです。あっ、ご連絡ありがとうございました」
門脇は『犯人は仲間割れでもしたんだろうか、それとも足がつくのを恐れたのか…… 。とにかく良かった』そう思ったが口には出さなかった。いや、出せなかった。
「ご依頼をお受けしたのにお役に立てず申し訳ありませんでした。今回の調査内容をまとめてきました。お受け取りください」
書類をご主人に渡すと、門脇は藤原夫妻に深く頭を下げた。
「いえ、無事に帰ってきたのだから何も問題はありません。
それと、みいちゃんを狙っている者はまだ他にもいるので、一旦トルコの取引先の社長の元にお返しします。
先方にはこれまでのことをお話してあるので協力すると言ってくれていますので大丈夫です。ちょっと寂しくなりますがみいちゃんには安全なところにいてもらいたいので。もし誰かに何か聞かれるような事があったら『猫はもう日本にはいないようだ』とだけ言っていただけますか」
「分かりました。お話して下さりありがとうございます。猫の所在に関してはそのように対応いたします。とにかく皆さんが無事で安心いたしました。では私はこれで失礼いたします。九条さん今回はありがとうございました。蒼井もありがとう、じゃあな」
「じゃあね」
蒼井は軽く手をあげて挨拶した。
門脇は藤原夫妻と九条に一礼し、もう一度蒼井に軽く手を振ると長居は無用とあっという間に帰って行った。
「嵐のようでしたね、門脇は」
蒼井は九条の方を見て申し訳なさそうにしていた。
「まぁ、良いんじゃないかな彼らしくて。それに門脇探偵事務所の所長が猫はもう日本にいないって噂を流してくれるだろうしね」
「そんなことまで考えてたんですか、全く。それよりみいちゃん、じゃなかったミーシャはトルコに帰ったことになってるんですか?」
すると藤原夫妻が顔を見合わせた。
「もう既に、信頼できるところから噂を流しているから、うちの周りにも変な奴らがうろつかなくなるだろうしね。これ以上間接的にでも営業妨害されるのは困るからね」
「そう言うことなの。ミーシャちゃんはちょっと繊細なところがあるけど、皆さんよろしくお願いしますね」
「はい、大切にお預かりします。会いたい時はいつでもご連絡ください。楽しく遊べるように広めの個室をご用意してお待ちしています」
「ありがとう九条さん。名残惜しいけど、今日はこれで失礼させていただきますね」
藤原夫妻は役者としても通用するのでは無いか、という程の芝居をしてくれた。世界を相手に取引をするだけのことはあるようだ。
そんな夫人は猫のミーシャを鳥居に預けると何度も二人でミーシャを撫でた。ミーシャも嬉しそうにそして気持ちよさそうにしていた。その姿に後ろ髪を引かれつつも二人は広い自宅に帰ることにした。
姿を見られてはいけないミーシャは外から見えない位置に鳥居に抱えらえて移動する。九条と蒼井は夫妻を店の入り口まで見送ると鳥居とミーシャの近くへ歩みを進めた。
「蒼井くん猫アレルギーとかないよね」
「えぇ大丈夫ですけど、どうしてですか」
「多分大丈夫だと思うからミーシャのこと抱いてみて」
「えーー、嫌がるんじゃないですか」
「大丈夫だと思うよー、昨日九条さんは大丈夫だったしー」
「えっ、九条さん大丈夫だったんですか。本当はこの猫人見知りしないんじゃ……」
「いやいや、君見たでしょ。シークレットエージェントにいた女が威嚇されるところ」
「そうですけど、大丈夫なんですか僕が触っても…… お願いだから怖がらないでくれよ…… 」
そう言って恐る恐る、蒼井はミーシャに触ったが猫が嫌がる様子はなかった。ついでにと言われ抱っこしてみたが嫌がることなく蒼井の腕の中に収まった。
「やっぱり、人見知りなんて嘘なんじゃ…… 」
「多分悪意を持った人間がわかるんじゃないのかなこの猫は、素晴らしいね」
「猫の気持ちは猫にしか分からないですよ」
蒼井は呆れた顔で九条を見据えた。
「全部じゃないけど猫の気持ち分かるよー、ミーシャはちゃーんと好き嫌いあるもんねー」
「ニャーン」
鳥居に撫でられたミーシャはまるで『そうだよ』と言っているようだった。
三人三様勝手なことを言っているが皆この高貴な猫に気に入られたようだ。
そして、今日から鳥居はブルーローズの厨房で働きながら蒼井と一緒に次元監視者の仕事を始めることになった。
鳥居が仕事仲間として加わることをブルーローズの中で一番喜んだのは、なんとロバートだった。
まずパティシエとして作るデザートはロバートの作る料理と、とても相性が良かったのには皆が驚かされた。まるで始めからコース料理の一部であるような馴染み具合だったのだ。
オーナーである九条はこれからもっと客足が増えるはずだと笑顔を浮かべていた。なぜなのか、九条の笑顔は何か裏がありそうで怖い。
それに加えてイギリス人の祖父を持つ鳥居はクォーターであり、これまでイギリスを拠点に生活していたことが分かると、二人は自然とイギリスの話で盛り上がっていった。鳥居の方は人見知りをしないようだ。
九条は少し癖のあるブルーローズの皆にすぐに馴染んだ鳥居にホッとしていた。あまり物事に動じることのない九条だが、意外にも魔法使いと一緒に仕事をするのは初めてだった。
高貴な猫の世話にも慣れてきた九条。彼自身も猫の様な気ままな性質なので高貴な猫とも気があったのだろう。多分。
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