次元トランジット 〜時空を超えた先にあるもの〜
近頃では3Dプリンターを使って家が建ち屋上にはドローン専用発着場を個人が所有することが普通になってきた。
そんな時代の流れに逆らうように大通りから1本裏道に入ったその場所には、ひっそりと佇む古城を思わせる建物が立っている。レストラン・ブルーローズはそこにあった。
その店のオーナー九条薫は一風変わった力を持っている。
それは『過去や未来、そして異次元へと繋がる扉を開く』という特殊とも言える能力だった。
異次元へと繋がる扉を体感できるのは『ディメンション』という名の九条のもう1つの店に辿り着いた者だけ 。
いつしか特殊能力の話が都市伝説のようにして広がり、いつしかそれは『ディメンションに行き店主に会えれば必ず過去へ行ける』と言われるようになっていた。
そんなある日、九条の元に過去へ行きたいと言う女が現れた。何でも一目惚れした男が自分以外の女と結婚してしまったので、結婚が成立する前の時間に行きたいというのだ。
その後無事過去へと行った女には気付かれないように、次元監視者という防犯カメラのような存在がその女の行動を監視していた。
レストラン・ブルーローズでピアニストとして働く蒼井静佳は、九条の居るディメンションの控室にその日の演奏確認に行ったはずなのになぜか次元管理者見習いとして過去に行くことになってしまった。
気付いた時には監視対象を見失わないように急かされ過去へと向かっていた。次元監視者の先輩と行った初仕事は、5次元を通って余剰次元である6次元へ行くという何とも奇妙なものだった。
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