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不完全な復讐
気持ち悪い言いがかり
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来客って、重なる時は重なるんだね。なんと、辺境の教皇フーリード様まで来た。
「長期休暇が始まったと聞いたので、様子見です。無茶をしていないか心配して、見に来ましたが………」
屋敷周辺が、いっぱいの私設騎士たちで物々しくなっているから、フーリード様は苦笑する。
「賑やかですね。もう、あなたはか弱い貴族の女性なんですから、無理に農作業はしないように。ここまで人手がいるのですから、頼りなさい」
「いえいえ、彼らは、それぞれ、護衛対象がいますから。農作業のために来たわけではありません」
「あんなのがいたって、役に立たないぞ」
農作業しに来た元婚約者ヘリオスがわざわざ、出迎えにやってきた。婚約者時代の癖だな。いつも、来客があると、婚約者として、ヘリオスも対応してたんだ。
「お久しぶりです、ヘラ」
「今はヘリオスだ。お久しぶりです、フーリード様」
ヘリオスは、きちんとフーリード様の前で膝をついて挨拶する。相手は辺境の教皇フーリード様だ。教皇って、実はそこら辺の貴族よりも地位が高いんだよね。
「今後は、そのようにしなくていいですよ。あなたとは、長い縁です。必要ありません」
「ありがとうございます」
「なるほど、アーサーが惜しいというだけのことはありますね」
「また一から口説きます」
「私の審査は厳しいですよ」
「………」
辺境の教皇フーリード様は、冷笑を浮かべる。その持っている空気が物々しくなる。この人は、今でこそ教皇をしているが、元は魔法使いである。魔法使いになれるほどの実力の持ち主でないと教皇になれないと言っていたが、かなり上位なんだろうな。たまに、神殿でフーリード様と現役魔法使いが話している所を見るのだけど、魔法使いのほうが膝を折って、深く頭を下げているよ。
ヘリオス、まさか、辺境の教皇フーリード様という伏兵がいるなんて、思ってもいなかったのだろう。だらだらと冷や汗を流して黙り込んだ。
「その前に、アーサーの祖父でしょうね。彼のほうが、もっと手ごわいでしょう」
フーリード様は、階上にいる私の母方の祖父ウラーノを見上げた。
前にフーリード様、後ろに祖父ウラーノに挟まれた形となったヘリオスは、生きた心地がしないだろう。年季が違うよね。
「もう、ヘリオスをいじめないでください。未来ある若者なんですから」
「何言ってるんだ。俺のアーサーを奪うヤツは、敵だ」
そこに、私の妖精憑きキロンが参戦である。キロンには、祖父ウラーノも、フーリード様も、苦い表情となる。キロンは認めるしかないのだ。
母が亡くなって、たった一年、一年も、妖精憑きキロンは身を挺して私を守った。その事実は明らかだ。そんなキロンを審査するなんて、言えないよね。
「もう、空気が悪い。これから食事なんです。フーリード様もご一緒にどうぞ」
「それはさすがに」
「一人増えても大丈夫ですよ。すでに、予定外で五人も増えてますから」
その一人はお前だよ、ヘリオス。私は溜息をついた。まさか、長期休暇の初日で、五人もの来客を受けるなんて、思ってもいなかった。皆、先ぶれくれないなー。
どういうことかわからないフーリード様の背中を押す私。フーリード様は、嬉しそうに笑いながら、食堂に行って、驚くのだった。
「まさか、ここに、辺境の三大貴族のご令嬢が揃うとは。先日は、ありがとうございました、シリア。妖精憑きは、元気に過ごしていますよ」
「そ、そう」
顔を真っ赤にする侯爵令嬢シリア。この子、世間知らずの我儘を発揮して、妖精憑きのお気に入りになろうと、洗脳された妖精憑きの男の子を連れてきたんだよ。結局、嘘だとバレちゃうから、妖精憑きの男の子の妖精を私の妖精憑きキロンが盗って、無力化して、そのまま、神殿に保護してもらったんだ。
さすがに我儘がすぎたと各方面から叱られたようで、シリアは反省した。だけど、まだ、妖精憑きの男の子には未練があるんだよね。火傷、まだ続いてるんだ。
「あの妖精憑きは、実力、どれほどなんですか?」
興味本位で聞いてみた。気になるじゃない。それは、侯爵令嬢シリアもだ。
「元は、魔法使いになれるほどの妖精憑きでしたね。今は、療養中です。もしかしたら、力を取り戻して、見習い魔法使いになれるかもしれません。そのために、奉仕作業をさせています」
「そうですか。そうなるといいですね」
いい方向に行っていると聞いて、侯爵令嬢シリアは笑顔を見せた。結果的には、あの妖精憑きの男の子は運よく拾い上げられたといっていい。
侯爵令嬢シリアの我儘は、悪いことだ。だけど、その我儘のお陰で、妖精憑きの男の子は奴隷から、魔法使いへと格上げされたのだ。
野良の妖精憑きは、だいたい、後ろ暗い組織に捕縛され、洗脳され、奴隷のように扱われる。妖精憑きは、悪行をすると力が削られ、寿命だって削られることがあるのだ。あの妖精憑きの男の子もまた、そういう未来だった。それも、侯爵令嬢シリアの我儘で、救いあげられたのだ。これもまた、神と妖精、聖域に導きといっていい。
だから、我儘も程々に、とシリアは軽く叱られただけで済んだのだろう。結果的には、いいことになったのだ。シリアの我儘は、決して悪なわけではない。可愛らしいのだ。
そういうちょっとした会話をしている間に、食事が運ばれてきた。
「肉だ!!」
あまり期待していなかった元婚約者ヘリオスが大きな声を出す。
「何か、祝い事か!?」
そして、経験のある伯爵令嬢フローラも驚いた。ごめん、お肉ちょっぴりな食事ばっかり出して。
「妖精憑きのお気に入りが貧血で倒れたというから、帝国から送られてきたんですよ。有難くいただきましょう」
私はいつもの通り、神と妖精、聖域の恵みに感謝した。
初日から大人数に、騎士団が三つと物々しくなったから、ちょっと外を散歩することとなった。こんなにいっぱいの護衛がいるし、辺境の教皇フーリード様もいるのだ。何か問題が起こることなんてないと思った。
別邸にいる使用人が外を歩く私に声をかけてきた。
「アーサー様、リブロ様が、外に出たいと言っていますが」
別邸の前まで、騎士団の野営が行われているので、使用人が判断出来なかったのだろう。困っていた。
急なことなので、私はまだ、指示を出していなかった。義兄リブロ、普段は、別邸に引きこもっているのに、外が物々しいから、出たいと言ったんだな。別邸を見上げれば、カーテンの隙間から、義妹エリザが見ろしていた。どんな顔しているのか、わからないなー。だけど、別邸の外に、私だけでなく、侯爵令嬢シリア、伯爵令嬢フローラがいるのは見えているはずだ。きちんと護衛がこの二人を囲んでいるから、義兄と義妹、妙な気を起こすまい、と思っていたんだけど。
義兄リブロは、妙なことを考えているんだな。だから、外に出たいと言い出したんだ。
「外に出たいなんて、随分と贅沢な囚人だな」
「わたくしは、見たくないわ」
伯爵令嬢フローラも、侯爵令嬢シリアも、リブロに関わりたくない。当然だ。あの男、無様をさらしたのだ。考えただけで不快なんだろうな。
「では、しばらくは家で大人しくしてもらいましょう。抵抗するかもしれません。お祖父様の騎士数名が同行してください」
私がそう言えば、男爵家の騎士が数名、使用人に付いて行った。
だけど、私の義兄リブロは、本当に無様で執念深く、愚かなのだ。
私と使用人が相談しあっている間に、リブロは無様な姿で別邸を出てきた。
「た、助けてくれ!! アーサーが、俺の食事に毒を混ぜるんだ!!!」
そう叫んで、手近の騎士に縋った。騎士たちは、助けを求められたので、困っていた。
「フローラ、助けに来てくれたのか!!」
そして、濁った眼で伯爵令嬢フローラを見つけると、片足を引きずって近づいてくる。それを騎士たちが止めた。
「離せぇ!! 俺は、伯爵家に婿入りするんだぞ!!!」
いきなり、とんでもことを言い出す義兄リブロ。それを聞いたフローラは、表情を冷たくする。
「片親が平民の分際で、気安くわたくしの名を呼ぶな!! お前たち、おさえつけろ!!!」
「フローラ、嫉妬で俺を去勢するほど愛してくれるなんて、知らなかったよ」
フローラだけではない。侯爵令嬢シリアも気持ち悪くて、鳥肌がたったようだ。腕をさすったりした。
「どういう妄想ですか、義兄上」
「こいつ、毒殺つもりだ!! いくら、俺がフローラに婿入りして、お前より上に立つからって」
「フローラは婿を取りません。嫁ぎます」
「悔しいからだろ。俺は、嫉妬で去勢されるほど、フローラに愛されてる」
「私が父を去勢したのは、これ以上、種を振り撒いて、問題を大きくされては困るからですよ」
「だから、父上に愛されなかったんだよ!! そうやって、愛されなくて、悔しくて、そんなことしたんだ!!!」
「まあ、過去には、期待しましたけど、母が亡くなってから、たった一年、一年も、あんなことされれば、父にも、義母にも、義兄にも、義妹にも、期待するのをやめました。はやく、この男を部屋に閉じ込めてください」
「離せぇえええええ!!!」
こういう狂った男は、時には、とんでもない力を発揮するのだ。騎士たちが捕縛しているというのに、義兄リブロは、それを振り払って、這いずるようにフローラに近づいてきたのだ。
「フローラ、責任をとって、俺と結婚するんだ。辺境の三大貴族の一つ、子爵家である俺にこんなことをしたんだ。お前には、責任をとる義務がある」
「アーサーだったら、喜んでします。だけど、貴様には、まず、視界に入ることすら許さない」
フローラ、容赦なくリブロを蹴り飛ばした。いい感じに吹っ飛んだなー。
「フローラ!! 夫にこんなことして、ただで済むと思うなよ!!! 今に見てろ!!!!」
両手両足、胴体まで騎士によって拘束された義兄リブロは、無駄にあがいた。その姿は、私が見ても気持ち悪いと感じる。
「ねえ、あの男、そのまま生かしておいていいの?」
侯爵令嬢シリアは違う心配をしていた。どう見ても、リブロ、まともではない。何より、あの男をそのままにしておくのは、危険な感じがした。
「うーん、生かさず殺さずと、言ってしまいましたからね」
私は、父たち、領地民のことについて、女帝レオナ様には、想像を越えた復讐をする、という条件で、皇族であることを秘密にしてもらっているのだ。
ここで父たちを処刑してしまうと、女帝レオナ様の期待を裏切ることになるな。
表に出せない言い分である。もっと、表に出せる言い分で、今いる人たちを納得させないといけない。
「殺すな。リブロは、俺の獲物だ」
騒ぎを聞きつけてやってきた元婚約者ヘリオスがいう。その目を憎悪でギラギラと光らせていた。
「あいつは、絶対に許さない。ただ、死んで終わりなんて生ぬるい最後なんて、許されないんだ。もっと、リブロは苦しんで、死ぬべきなんだ。今のままじゃ、まだまだ足りない」
ヘリオスの目から見ても、リブロの苦しみは生易しいのだろう。
「我々には護衛がついているから、そういう心配はないだろう。一応、この別邸周辺も、監視をつけよう」
「中は大丈夫なの?」
「逃げた時は逃げた時です。むしろ、フローラとシリアの護衛を徹底してください」
「逃げた時って」
逃げられる、という言葉に、侯爵令嬢シリアは気持ち悪い想像をしたようである。
今回、リブロは伯爵令嬢フローラを狙っている。だけど、リブロは標的を侯爵令嬢シリアに変えるかもしれないのだ。明らかに、フローラよりもシリアのほうが組しやすいのだ。
他にも、義妹エリザがいる。エリザは、どこかを見ているが、何を見ているのか、外からはわからない。
「何もしなければ、成人するまでは、平民以上、貴族未満の生活を送らせてあげられるのですけどね」
「甘いわよ!!」
「それで、薬を混ぜているのか?」
リブロの発現が気になる伯爵令嬢フローラ。侯爵令嬢シリアは私を疑っていないが、フローラは疑っているんだな。ほら、私の恨みは深いから。
「やられたことをやり返すなんてしません。私は神と妖精、聖域の教えに従って、施しをあげています。食べられないのは、彼らの心根に問題があるからです」
「食べられないって、腐っているとか、そういうわけではなく?」
「私たちと同じ食事ですよ。体調が悪いそうな時は、きちんと療養食にしていました。ほら、ずっと監禁されているようなものですから、消化の良い、栄養がとれるものを出しています。食べられない、と投げ捨てるのは彼らです」
「今日のは、男爵家の実情を知っている私からすれば、かなり贅沢だったぞ」
「すみません、以前は粗食で」
「い、いや、いいんだ。あれはあれで、贅沢なんだ」
野菜ばかりで、肉はちょっとなんて食事、誰だって辛いだろう。だけど、野菜が豪勢なのだ。
なんと、皇族様よりもいい野菜を食べているのだ。生で食べても美味しい野菜で、味付けも、実は、禁則地でとれたものを使っている。ものすごく、贅沢なんだよ、我が家の食事は。
「母が亡くなって、彼らが屋敷に乗り込んできてすぐ、食事に難癖ばっかりつけていたと聞いています。使用人たちは、言われるままに調理して出しているのに、どれを食べても、まずいと文句ばかりだとか。私が子爵の権利を全て奪った時、食事の内容が伝統からかけ離れてしまったので、全て元通りにしたんです。私も使用人たちも美味しいと食べているのに、父たちはまずいと不満ばかり。あの時は、嫌がらせだと思っていたのですが、そうじゃなかったのかもしれませんね」
「どういうことだ?」
「まだ、不確定要素ばかりなので、はっきりとは言えませんが、父たちはもう、神から与えられた恵みを体が受け付けられなくなっています」
「?」
「辺境は、禁則地周辺で採れた作物を食べています。その作物には、妖精の祝福が多く含まれているのでしょう。ただ、実りが多いだけではありません。作物には、何かもう一つ、特別なものがあるのかもしれません。そのため、父たちは、我が家の料理を受け付けなくなっているのでしょう」
「あいつら、神と妖精、聖域にまで拒絶されるって、どこまで愚かなんだ」
「予想ですけどね。どうして、そこまで愚かになったのか、最初は不思議で仕方がありませんでした」
でも、見方を変えたら、見えてくることがある。
「この領地での常識は、外に出れば非常識なんです」
「?」
「ここの領地民は、妖精の加護を受けている領地で暮らしているというのに、妖精憑きを毛嫌いしています」
「聞いた聞いた。大昔の妖精憑きが、ただの人を奴隷のごとく扱ったから、という話だな」
この話を初めて聞いた伯爵令嬢フローラは大笑いしたのだ。神と妖精、聖域の教えを受けている者たちは、貴族も平民も、この話を聞くと笑って、罰当たりめ、と罵る。
それが普通なのだ。皆、月に一度、最低でも年に数回は、神殿で有難いお話を聞くのだ。それに、親兄弟から、昔話を伝え聞く。そうして、妖精と一緒に誕生する妖精憑きを尊いものと考えるのだ。
「ここの領地民は、数年に一度、神殿に行くかどうかです。寄付お布施もしません。何故って、神殿にいる神官やシスターは、皆、妖精憑きです。妖精憑きを毛嫌いする領地民たちは、神殿には近づきたくないのです。すると、教えは領地内で教えあうこととなります。そうすると、教えが歪むんです」
「歪むって」
「百年二百年なんて、生易しい単位ではありませんよ。何千年、何万年と拒絶し続ければ、教えも歪みます。神殿での教えだって、千年前と今では、きっと違うところがあるでしょう。帝国の仕組みだって変わったのです。大昔は、女でも皇帝になれました。それも、時代の移り変わりで、男のみが皇帝となり、今は、再び、女でも皇帝になれます。そう、その時代その時代に人々にとって、都合がいいように、歪めていくのです」
「………」
「帝国は常に変化しています。だけど、ここにいる領地民たちは、ずっと閉じこもって、領地内で始まり、領地内で終わります。平民であれば、それが普通でしょう。そこに、領地内特有の価値観が固定化されます。それが極端に歪んだのが、父たちでしょう」
いつまでも反省せず、全てを他人のせいにする父たち。
私たちの目の前で、私の義兄リブロは、反省一つしていない姿を見せてくれた。それどころか、自分の都合のいいように歪めて、私を憎んでいる。
気持ち悪い出来事は、ついさっきだ。再び、侯爵令嬢シリアは身震いした。そして、何か感じたのだろう。別邸を見上げて、「ひっ」と小さい悲鳴をあげて、護衛の騎士の後ろに隠れた。
何が見えたのか、確認するために、私が見上げると、義妹エリザがカーテンを固く閉ざした。私からは見えなかったけど、シリアには、エリザのことが見えたんだな。
「もう、準備も出来ましたし、もうそろそろ、引導を渡してやります」
「そ、そうよ、処刑しちゃいましょう!!」
「だから、簡単に処刑出来ないんですよ。私にも、色々と都合があります」
「そんなぁ!! あんな気持ち悪い人たち、生かしておくなんて、どこまでバカなの!!!」
「他にも、頼まれているんですよ」
私だって、どうにかしたい。だけど、彼らの処分は、私だけの判断では許されないほど、罪深いのだ。
私はすでに、父、義母、義兄、義妹を貶める材料は揃えたのだ。私も、我慢の限界だった。もう、あんなのは関わりたくない。
「もうそろそろ、さっさと進めてしまいましょう。キロン、フーリード様に、しばらく、我が家に宿泊してもらうように、頼んできてください。辺境の三大貴族の一員います。ちょうどいいでしょう」
「わかった」
だけど、キロンは私の側から離れない。私たちに見えない妖精を使って、フーリード様に伝言を送った。
「長期休暇が始まったと聞いたので、様子見です。無茶をしていないか心配して、見に来ましたが………」
屋敷周辺が、いっぱいの私設騎士たちで物々しくなっているから、フーリード様は苦笑する。
「賑やかですね。もう、あなたはか弱い貴族の女性なんですから、無理に農作業はしないように。ここまで人手がいるのですから、頼りなさい」
「いえいえ、彼らは、それぞれ、護衛対象がいますから。農作業のために来たわけではありません」
「あんなのがいたって、役に立たないぞ」
農作業しに来た元婚約者ヘリオスがわざわざ、出迎えにやってきた。婚約者時代の癖だな。いつも、来客があると、婚約者として、ヘリオスも対応してたんだ。
「お久しぶりです、ヘラ」
「今はヘリオスだ。お久しぶりです、フーリード様」
ヘリオスは、きちんとフーリード様の前で膝をついて挨拶する。相手は辺境の教皇フーリード様だ。教皇って、実はそこら辺の貴族よりも地位が高いんだよね。
「今後は、そのようにしなくていいですよ。あなたとは、長い縁です。必要ありません」
「ありがとうございます」
「なるほど、アーサーが惜しいというだけのことはありますね」
「また一から口説きます」
「私の審査は厳しいですよ」
「………」
辺境の教皇フーリード様は、冷笑を浮かべる。その持っている空気が物々しくなる。この人は、今でこそ教皇をしているが、元は魔法使いである。魔法使いになれるほどの実力の持ち主でないと教皇になれないと言っていたが、かなり上位なんだろうな。たまに、神殿でフーリード様と現役魔法使いが話している所を見るのだけど、魔法使いのほうが膝を折って、深く頭を下げているよ。
ヘリオス、まさか、辺境の教皇フーリード様という伏兵がいるなんて、思ってもいなかったのだろう。だらだらと冷や汗を流して黙り込んだ。
「その前に、アーサーの祖父でしょうね。彼のほうが、もっと手ごわいでしょう」
フーリード様は、階上にいる私の母方の祖父ウラーノを見上げた。
前にフーリード様、後ろに祖父ウラーノに挟まれた形となったヘリオスは、生きた心地がしないだろう。年季が違うよね。
「もう、ヘリオスをいじめないでください。未来ある若者なんですから」
「何言ってるんだ。俺のアーサーを奪うヤツは、敵だ」
そこに、私の妖精憑きキロンが参戦である。キロンには、祖父ウラーノも、フーリード様も、苦い表情となる。キロンは認めるしかないのだ。
母が亡くなって、たった一年、一年も、妖精憑きキロンは身を挺して私を守った。その事実は明らかだ。そんなキロンを審査するなんて、言えないよね。
「もう、空気が悪い。これから食事なんです。フーリード様もご一緒にどうぞ」
「それはさすがに」
「一人増えても大丈夫ですよ。すでに、予定外で五人も増えてますから」
その一人はお前だよ、ヘリオス。私は溜息をついた。まさか、長期休暇の初日で、五人もの来客を受けるなんて、思ってもいなかった。皆、先ぶれくれないなー。
どういうことかわからないフーリード様の背中を押す私。フーリード様は、嬉しそうに笑いながら、食堂に行って、驚くのだった。
「まさか、ここに、辺境の三大貴族のご令嬢が揃うとは。先日は、ありがとうございました、シリア。妖精憑きは、元気に過ごしていますよ」
「そ、そう」
顔を真っ赤にする侯爵令嬢シリア。この子、世間知らずの我儘を発揮して、妖精憑きのお気に入りになろうと、洗脳された妖精憑きの男の子を連れてきたんだよ。結局、嘘だとバレちゃうから、妖精憑きの男の子の妖精を私の妖精憑きキロンが盗って、無力化して、そのまま、神殿に保護してもらったんだ。
さすがに我儘がすぎたと各方面から叱られたようで、シリアは反省した。だけど、まだ、妖精憑きの男の子には未練があるんだよね。火傷、まだ続いてるんだ。
「あの妖精憑きは、実力、どれほどなんですか?」
興味本位で聞いてみた。気になるじゃない。それは、侯爵令嬢シリアもだ。
「元は、魔法使いになれるほどの妖精憑きでしたね。今は、療養中です。もしかしたら、力を取り戻して、見習い魔法使いになれるかもしれません。そのために、奉仕作業をさせています」
「そうですか。そうなるといいですね」
いい方向に行っていると聞いて、侯爵令嬢シリアは笑顔を見せた。結果的には、あの妖精憑きの男の子は運よく拾い上げられたといっていい。
侯爵令嬢シリアの我儘は、悪いことだ。だけど、その我儘のお陰で、妖精憑きの男の子は奴隷から、魔法使いへと格上げされたのだ。
野良の妖精憑きは、だいたい、後ろ暗い組織に捕縛され、洗脳され、奴隷のように扱われる。妖精憑きは、悪行をすると力が削られ、寿命だって削られることがあるのだ。あの妖精憑きの男の子もまた、そういう未来だった。それも、侯爵令嬢シリアの我儘で、救いあげられたのだ。これもまた、神と妖精、聖域に導きといっていい。
だから、我儘も程々に、とシリアは軽く叱られただけで済んだのだろう。結果的には、いいことになったのだ。シリアの我儘は、決して悪なわけではない。可愛らしいのだ。
そういうちょっとした会話をしている間に、食事が運ばれてきた。
「肉だ!!」
あまり期待していなかった元婚約者ヘリオスが大きな声を出す。
「何か、祝い事か!?」
そして、経験のある伯爵令嬢フローラも驚いた。ごめん、お肉ちょっぴりな食事ばっかり出して。
「妖精憑きのお気に入りが貧血で倒れたというから、帝国から送られてきたんですよ。有難くいただきましょう」
私はいつもの通り、神と妖精、聖域の恵みに感謝した。
初日から大人数に、騎士団が三つと物々しくなったから、ちょっと外を散歩することとなった。こんなにいっぱいの護衛がいるし、辺境の教皇フーリード様もいるのだ。何か問題が起こることなんてないと思った。
別邸にいる使用人が外を歩く私に声をかけてきた。
「アーサー様、リブロ様が、外に出たいと言っていますが」
別邸の前まで、騎士団の野営が行われているので、使用人が判断出来なかったのだろう。困っていた。
急なことなので、私はまだ、指示を出していなかった。義兄リブロ、普段は、別邸に引きこもっているのに、外が物々しいから、出たいと言ったんだな。別邸を見上げれば、カーテンの隙間から、義妹エリザが見ろしていた。どんな顔しているのか、わからないなー。だけど、別邸の外に、私だけでなく、侯爵令嬢シリア、伯爵令嬢フローラがいるのは見えているはずだ。きちんと護衛がこの二人を囲んでいるから、義兄と義妹、妙な気を起こすまい、と思っていたんだけど。
義兄リブロは、妙なことを考えているんだな。だから、外に出たいと言い出したんだ。
「外に出たいなんて、随分と贅沢な囚人だな」
「わたくしは、見たくないわ」
伯爵令嬢フローラも、侯爵令嬢シリアも、リブロに関わりたくない。当然だ。あの男、無様をさらしたのだ。考えただけで不快なんだろうな。
「では、しばらくは家で大人しくしてもらいましょう。抵抗するかもしれません。お祖父様の騎士数名が同行してください」
私がそう言えば、男爵家の騎士が数名、使用人に付いて行った。
だけど、私の義兄リブロは、本当に無様で執念深く、愚かなのだ。
私と使用人が相談しあっている間に、リブロは無様な姿で別邸を出てきた。
「た、助けてくれ!! アーサーが、俺の食事に毒を混ぜるんだ!!!」
そう叫んで、手近の騎士に縋った。騎士たちは、助けを求められたので、困っていた。
「フローラ、助けに来てくれたのか!!」
そして、濁った眼で伯爵令嬢フローラを見つけると、片足を引きずって近づいてくる。それを騎士たちが止めた。
「離せぇ!! 俺は、伯爵家に婿入りするんだぞ!!!」
いきなり、とんでもことを言い出す義兄リブロ。それを聞いたフローラは、表情を冷たくする。
「片親が平民の分際で、気安くわたくしの名を呼ぶな!! お前たち、おさえつけろ!!!」
「フローラ、嫉妬で俺を去勢するほど愛してくれるなんて、知らなかったよ」
フローラだけではない。侯爵令嬢シリアも気持ち悪くて、鳥肌がたったようだ。腕をさすったりした。
「どういう妄想ですか、義兄上」
「こいつ、毒殺つもりだ!! いくら、俺がフローラに婿入りして、お前より上に立つからって」
「フローラは婿を取りません。嫁ぎます」
「悔しいからだろ。俺は、嫉妬で去勢されるほど、フローラに愛されてる」
「私が父を去勢したのは、これ以上、種を振り撒いて、問題を大きくされては困るからですよ」
「だから、父上に愛されなかったんだよ!! そうやって、愛されなくて、悔しくて、そんなことしたんだ!!!」
「まあ、過去には、期待しましたけど、母が亡くなってから、たった一年、一年も、あんなことされれば、父にも、義母にも、義兄にも、義妹にも、期待するのをやめました。はやく、この男を部屋に閉じ込めてください」
「離せぇえええええ!!!」
こういう狂った男は、時には、とんでもない力を発揮するのだ。騎士たちが捕縛しているというのに、義兄リブロは、それを振り払って、這いずるようにフローラに近づいてきたのだ。
「フローラ、責任をとって、俺と結婚するんだ。辺境の三大貴族の一つ、子爵家である俺にこんなことをしたんだ。お前には、責任をとる義務がある」
「アーサーだったら、喜んでします。だけど、貴様には、まず、視界に入ることすら許さない」
フローラ、容赦なくリブロを蹴り飛ばした。いい感じに吹っ飛んだなー。
「フローラ!! 夫にこんなことして、ただで済むと思うなよ!!! 今に見てろ!!!!」
両手両足、胴体まで騎士によって拘束された義兄リブロは、無駄にあがいた。その姿は、私が見ても気持ち悪いと感じる。
「ねえ、あの男、そのまま生かしておいていいの?」
侯爵令嬢シリアは違う心配をしていた。どう見ても、リブロ、まともではない。何より、あの男をそのままにしておくのは、危険な感じがした。
「うーん、生かさず殺さずと、言ってしまいましたからね」
私は、父たち、領地民のことについて、女帝レオナ様には、想像を越えた復讐をする、という条件で、皇族であることを秘密にしてもらっているのだ。
ここで父たちを処刑してしまうと、女帝レオナ様の期待を裏切ることになるな。
表に出せない言い分である。もっと、表に出せる言い分で、今いる人たちを納得させないといけない。
「殺すな。リブロは、俺の獲物だ」
騒ぎを聞きつけてやってきた元婚約者ヘリオスがいう。その目を憎悪でギラギラと光らせていた。
「あいつは、絶対に許さない。ただ、死んで終わりなんて生ぬるい最後なんて、許されないんだ。もっと、リブロは苦しんで、死ぬべきなんだ。今のままじゃ、まだまだ足りない」
ヘリオスの目から見ても、リブロの苦しみは生易しいのだろう。
「我々には護衛がついているから、そういう心配はないだろう。一応、この別邸周辺も、監視をつけよう」
「中は大丈夫なの?」
「逃げた時は逃げた時です。むしろ、フローラとシリアの護衛を徹底してください」
「逃げた時って」
逃げられる、という言葉に、侯爵令嬢シリアは気持ち悪い想像をしたようである。
今回、リブロは伯爵令嬢フローラを狙っている。だけど、リブロは標的を侯爵令嬢シリアに変えるかもしれないのだ。明らかに、フローラよりもシリアのほうが組しやすいのだ。
他にも、義妹エリザがいる。エリザは、どこかを見ているが、何を見ているのか、外からはわからない。
「何もしなければ、成人するまでは、平民以上、貴族未満の生活を送らせてあげられるのですけどね」
「甘いわよ!!」
「それで、薬を混ぜているのか?」
リブロの発現が気になる伯爵令嬢フローラ。侯爵令嬢シリアは私を疑っていないが、フローラは疑っているんだな。ほら、私の恨みは深いから。
「やられたことをやり返すなんてしません。私は神と妖精、聖域の教えに従って、施しをあげています。食べられないのは、彼らの心根に問題があるからです」
「食べられないって、腐っているとか、そういうわけではなく?」
「私たちと同じ食事ですよ。体調が悪いそうな時は、きちんと療養食にしていました。ほら、ずっと監禁されているようなものですから、消化の良い、栄養がとれるものを出しています。食べられない、と投げ捨てるのは彼らです」
「今日のは、男爵家の実情を知っている私からすれば、かなり贅沢だったぞ」
「すみません、以前は粗食で」
「い、いや、いいんだ。あれはあれで、贅沢なんだ」
野菜ばかりで、肉はちょっとなんて食事、誰だって辛いだろう。だけど、野菜が豪勢なのだ。
なんと、皇族様よりもいい野菜を食べているのだ。生で食べても美味しい野菜で、味付けも、実は、禁則地でとれたものを使っている。ものすごく、贅沢なんだよ、我が家の食事は。
「母が亡くなって、彼らが屋敷に乗り込んできてすぐ、食事に難癖ばっかりつけていたと聞いています。使用人たちは、言われるままに調理して出しているのに、どれを食べても、まずいと文句ばかりだとか。私が子爵の権利を全て奪った時、食事の内容が伝統からかけ離れてしまったので、全て元通りにしたんです。私も使用人たちも美味しいと食べているのに、父たちはまずいと不満ばかり。あの時は、嫌がらせだと思っていたのですが、そうじゃなかったのかもしれませんね」
「どういうことだ?」
「まだ、不確定要素ばかりなので、はっきりとは言えませんが、父たちはもう、神から与えられた恵みを体が受け付けられなくなっています」
「?」
「辺境は、禁則地周辺で採れた作物を食べています。その作物には、妖精の祝福が多く含まれているのでしょう。ただ、実りが多いだけではありません。作物には、何かもう一つ、特別なものがあるのかもしれません。そのため、父たちは、我が家の料理を受け付けなくなっているのでしょう」
「あいつら、神と妖精、聖域にまで拒絶されるって、どこまで愚かなんだ」
「予想ですけどね。どうして、そこまで愚かになったのか、最初は不思議で仕方がありませんでした」
でも、見方を変えたら、見えてくることがある。
「この領地での常識は、外に出れば非常識なんです」
「?」
「ここの領地民は、妖精の加護を受けている領地で暮らしているというのに、妖精憑きを毛嫌いしています」
「聞いた聞いた。大昔の妖精憑きが、ただの人を奴隷のごとく扱ったから、という話だな」
この話を初めて聞いた伯爵令嬢フローラは大笑いしたのだ。神と妖精、聖域の教えを受けている者たちは、貴族も平民も、この話を聞くと笑って、罰当たりめ、と罵る。
それが普通なのだ。皆、月に一度、最低でも年に数回は、神殿で有難いお話を聞くのだ。それに、親兄弟から、昔話を伝え聞く。そうして、妖精と一緒に誕生する妖精憑きを尊いものと考えるのだ。
「ここの領地民は、数年に一度、神殿に行くかどうかです。寄付お布施もしません。何故って、神殿にいる神官やシスターは、皆、妖精憑きです。妖精憑きを毛嫌いする領地民たちは、神殿には近づきたくないのです。すると、教えは領地内で教えあうこととなります。そうすると、教えが歪むんです」
「歪むって」
「百年二百年なんて、生易しい単位ではありませんよ。何千年、何万年と拒絶し続ければ、教えも歪みます。神殿での教えだって、千年前と今では、きっと違うところがあるでしょう。帝国の仕組みだって変わったのです。大昔は、女でも皇帝になれました。それも、時代の移り変わりで、男のみが皇帝となり、今は、再び、女でも皇帝になれます。そう、その時代その時代に人々にとって、都合がいいように、歪めていくのです」
「………」
「帝国は常に変化しています。だけど、ここにいる領地民たちは、ずっと閉じこもって、領地内で始まり、領地内で終わります。平民であれば、それが普通でしょう。そこに、領地内特有の価値観が固定化されます。それが極端に歪んだのが、父たちでしょう」
いつまでも反省せず、全てを他人のせいにする父たち。
私たちの目の前で、私の義兄リブロは、反省一つしていない姿を見せてくれた。それどころか、自分の都合のいいように歪めて、私を憎んでいる。
気持ち悪い出来事は、ついさっきだ。再び、侯爵令嬢シリアは身震いした。そして、何か感じたのだろう。別邸を見上げて、「ひっ」と小さい悲鳴をあげて、護衛の騎士の後ろに隠れた。
何が見えたのか、確認するために、私が見上げると、義妹エリザがカーテンを固く閉ざした。私からは見えなかったけど、シリアには、エリザのことが見えたんだな。
「もう、準備も出来ましたし、もうそろそろ、引導を渡してやります」
「そ、そうよ、処刑しちゃいましょう!!」
「だから、簡単に処刑出来ないんですよ。私にも、色々と都合があります」
「そんなぁ!! あんな気持ち悪い人たち、生かしておくなんて、どこまでバカなの!!!」
「他にも、頼まれているんですよ」
私だって、どうにかしたい。だけど、彼らの処分は、私だけの判断では許されないほど、罪深いのだ。
私はすでに、父、義母、義兄、義妹を貶める材料は揃えたのだ。私も、我慢の限界だった。もう、あんなのは関わりたくない。
「もうそろそろ、さっさと進めてしまいましょう。キロン、フーリード様に、しばらく、我が家に宿泊してもらうように、頼んできてください。辺境の三大貴族の一員います。ちょうどいいでしょう」
「わかった」
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