37 / 83
アーサー、アーシャ、アーサー
ヘリオスへ
しおりを挟む
武道大会の一般枠に出場するために、貴族の学校が終わると、すぐ、訓練をした。訓練に付き合ってくれたのは、無事、騎士となった兄ハリスだ。
騎士団に入団するほうほうは、二つだ。一つは、普通に試験を受けて、数年の見習い期間を経て、晴れて正式入団である。だいたいは、この方法だ。見習い騎士の試験は、完全に体力勝負であえる。頭は、見習い期間でどうにかすることとなっているのだ。だから、見習い期間は給与をもらいながら、勉強に訓練である。それが、一般的だ。
もう一つは、武道大会で優勝することである。ただ、優勝したからといって、騎士になれるわけではない。優勝して、騎士と勝負である。ここで、いい成績をおさめれば、騎士になれるのだ。だいたい、ここまで勝ち上がっているのだから、疲れて、勝負どころではないが。
俺は、少しでも早く騎士になるために、武道大会に出場することにした。貴族の学校枠のほうが予選突破は簡単だ。だが、あえて、困難で、競争率が激しい一般枠の予選に申し込んだのだ。どうせ、見習い騎士の試験も受けるんだ。ちょうどいい。
兄ハリスは容赦がない。俺は、女として過ごさなかければならなかったから、騎士の訓練も最低限だ。それも、必要がなくなってから、がむしゃらに行った。だけど、貴族の学校に通いながらでは、時間が足りない。
「見習い騎士でも、そこそこの実力なんだから、いいだろう。十分だ」
「それでも、優勝は出来ない」
昨年の武道大会を見て、知っていた。一般枠はともかく危ない。正々堂々なんて、人が見ているところだけだ。少し、横に逸れれば、すぐ、足の引っ張りあいだ。
少し、くじけそうになった。こんなのでは、皇族となったアーサーの後ろに立てない。もしかしたら、このまま、ただの平騎士なのかもしれない。
先のことを考えれば、暗くなる。現役騎士である父だって、それなりの立場だ。皇族の騎士なんて、かなりの実力と運と、柵あってこそだろう。
「少し、休め。体を壊したら、騎士にすらなれないぞ」
「休んでたら」
「休憩も、大事なんだ。ほら」
「………わかった」
現役騎士である兄が相手にしてくれているのだ。忠告を聞き入れた。
「あー、いたー」
そこに、一年前とこれっぽっちも変わっていない、妖精憑きキロンが笑顔でやってきた。
「お前、どこに行ってたんだよ!! アーサーは!!!」
俺はキロンにつかみかかった。
一年前、お家騒動を終わらせたアーサーは、妖精憑きキロンと二人で消息を断った。一応、王都から出発する、という証言があったので、俺はすぐ、馬で王都に戻ったのだ。そして、王都中を探し回ったというのに、見つからなかった。
だというのに、こいつ、よりによって、今、目の前に普通にいるのだ。怒りしかない。
俺の内心なんて、妖精憑きキロンは全く気にしない。一年前と同じく、ヘラヘラと笑っている。こいつ、本当に軽いな!!
「悪かった悪かった。アーシャがさ、体調あんまり良くなくて、安全な場所で休ませてたんだよ。やっと落ち着いたら、一年も経っててびっくりだな。一年って、短いな!!」
あまりに軽く、明るくいうから、俺の怒りはすっと消えた。
「アーサーは?」
体調が悪くて休んでいたのなら、今は体調がいいということである。俺は、キロンの後ろとかを見た。
「アーシャは死んだ」
「………は?」
「それで、今、アーシャが書いた手紙を配ってるんだ」
「なんで死なせた!!」
俺はキロンを殴った。キロン、あっけなく吹っ飛んだ。さらに殴ろうとする俺を兄ハリスが止めた。
「おい、落ち着け!!」
「アーサーが死んだって」
「どうして死んだか、聞いたのか?」
「アーサーを死なせたんだぞ!!」
「病気かもしれないぞ。アーサーは、その、気狂いを持っていただろう」
「………」
アーサーは、母親が亡くなってすぐ、実の父親によって、屋敷の外にある小屋に閉じ込められ、散々な虐待を受けて、気が触れたのだ。助け出されるまでの一年間、妖精憑きキロンがアーサーの肉体面を守っていたが、精神面は、度重なる不幸から、ズタボロになっていた。助け出された時、アーサーは気が触れて、おかしくなっていた。
どういうわけは、半月で、アーサーは元に戻ったのだ。だけど、声が届いていない時があった。アーサーの祖父ウラーノが、爵位はもういらない、はした金だ、と色々と言ってやっても、アーサーの耳には届いていなかった。それどころか、過去、ウラーノが吐き出した言葉をアーサーは返したのだ。
一見、まともだ。だが、そうではない。まともに見えて、気狂いを起こしていたのだ。
それも、お家騒動が一段落して、やっと、アーサーは、これまで見えていなかったアーサーの母マイアの兄弟姉妹を視認し、祖父ウラーノの本音を聞き入れたのだ。
だが、気狂いが完全に治ったという話は聞いたことがない。アーサーの気狂いはそのまま残ったのだろう。
俺はキロンを責める手を止めた。どっちにしても、兄ハリスが俺を羽交い絞めにしていた。さすが、現役騎士だ。俺では抜け出せない。
「あいたた、油断した、痛かった」
「悪かった、きちんと聞かなくて」
「いや、死なせたのは事実だからな。アーシャ、子ども産みたいっていうから、産ませたんだ。産まなければ、うんと長生き出来たんだけどなー。その話もしたんだけど、アーシャは産むと言ったんだ。アーシャが望んだ。俺は叶えるだけだ」
「え? 子ども? どこに!?」
俺はまた、キロンにつかみかかった。今度は、兄ハリスも止めなかった。ハリスだって、掴みかかりたいんだ。
見たかぎり、見当たらない。こいつ、アーサーの子どもを置いて、ほっつき歩いてたのか!!
「アーシャが、女帝に頼んでほしい、と言ったから、さっき、頼んできた。ティーレットが、赤ん坊見て、手放さなくなったから、そのまま置いてきた」
「人に任せるって、無責任すぎるだろう!!」
「仕方ないだろう。俺は、城にそのまま居座っちゃいけないんだ。そういうのなんだよ。だけど、俺の側にいたら、赤ん坊は不幸になる。だったら、帝国で一番安全な場所で赤ん坊を預けるしかない。女帝の側が、一番安全だ!!」
「アホか!! あの人は、気分一つで、人を殺すんだぞ!!!」
女帝レオナ様は、昔、皇族を半分にしてしまうほど、殺したのだ。皇位簒奪を企んだら、その家族ごと殺したのだ。女子ども、関係ない。赤ん坊だって、レオナ様の手で殺したのだ。
一番、子育てから遠い人だよ!! 帝国の、王都にいる者たちは、貧民、平民、貴族関係なく、そのことをよく知っている。貴族だって、女帝自らが処刑だ。殺しすぎなんだよ!!
「人柄からいったら、アーサーの母方の実家だろう」
アーサーの母の兄弟姉妹はまともなんだ。子爵家のお家騒動の後始末も、彼らが円満におさめてくれたのだ。人柄だけでなく、その実力は、男爵家の肩書を忘れさせるものだった。
「俺も、そう思ったんだ。だけど、皇族かもしれないから、とアーシャがいうんだ」
「アーサーが皇族だって話、まだ未発表だぞ。しかも、アーサーは城の外で死んだんだ。たぶん、その赤ん坊は、皇族とは認められないぞ」
「そこは、ティーレットがどうにかしてくれるだろう。ティーレット、離さなかったしな」
「アーサーの子だからだろう」
「俺の子でもあるんだぞ。ティーレットがアーシャに抱いてたのは、そういうのじゃない。ティーレットが待っていた皇族は、あの赤ん坊だ」
「そこは、妖精憑きの感性だから、よくわからないが」
本当に、わからない。妖精憑きは、突然、お気に入りと出会うのだ。キロンがそうなのだ。アーサーと出会ってからずっと、キロンはアーサーにべったりだ。
筆頭魔法使いティーレットも、アーサーに会えば、べったりとくっついていた。アーサーのことを皇帝にしたがっていた。
俺は、キロンとティーレットがアーサーに抱いていたのは、恋とか愛とか思っていた。実際、キロンはそうなんだろう。
だが、筆頭魔法使いティーレットは、アーサーが失踪してから、大人しくなったという話を聞く。落ち込んでいるような気がするのだけど、キロンは違うという。
「だからといって、お前の子だろう。お前が責任を持って、育てろ!!」
「俺が一緒だと、子が不幸になるんだ。だから、これでいいんだ。もう、子の話はやめろ。取り返したくなる」
「取り返してこい!!」
「やっと、手放したんだ」
「捨てられたと思うだろう!!」
「そこは、ティーレットがわかってくれる。俺のことをわかってくれるのは、ティーレットだけだ」
自信満々にいう妖精憑きキロン。この男は、ただの妖精憑きではない。賢者ラシフよりも強い妖精憑きだという。
そんな化け物じみた力を持つ妖精憑き、聞いたことがない。賢者ラシフは、筆頭魔法使いティーレットが立つ前までは、帝国最強の妖精憑きだった。筆頭魔法使いティーレットがいなければ、今も、賢者ラシフが最強の妖精憑きのはずなのだ。
それなのに、賢者ラシフでさえ、野良の妖精憑きキロンには勝てないという話だ。一体、キロンは何者なんだ?
色々と聞きたい。だが、キロンは時間がないみたいに、太い手紙を俺の胸に押し付けた。
「ほら、アーサーからの手紙だ」
「そんなこと、後でいいだろう!!」
「お前は、手紙一つで、アーシャに恨まれてただろう」
「………」
俺が偽物の手紙を見破れなかった事実をアーサーに恨み事で聞かされた。耳の痛い話だ。
俺は、アーサーからの手紙を受け取った。
「まだ、時間があるだろう。泊まっていけ。そうすれば、明日には、気が変わっているだろう」
キロンの気が変わって、預けた子どもを取り戻しに行くかもしれない。そういうこと、捨て子でよくあるのだ。捨てたが、やっぱり親の気が変わって、また、手元に戻すという。
「俺、まだ、届けないといけないんだよな。次は、辺境だから、遠いなー。俺、フローラの家、知らないんだよなー」
「待て待て、一人で行くんじゃない。俺も一緒に行く」
「妖精に聞けばいいか。じゃあな」
待たない!! 妖精憑きは妖精に近い。だから、すーぐ、どこかに行ってしまう。ただの人では、妖精憑きを止めるのは不可能だ。
「あれで親なのか!!」
「実際には、たくさんの子や孫がいるという話だ」
「………」
そうだった!! アーサーに出会う前の話だ。妖精憑きキロンは、元々、領地で迫害を受けていたのだ。小屋に閉じ込められ、散々なことをされていた。その中には、キロンのあの見た目に心を奪われ、子まで作るようなことをした女もいたのだ。
実際に、キロンの子や孫は存在する。ただ、その事実はもう、口ずさむことは許されない。皇族となったアーサーを溺愛する妖精憑きが父親だなんて、帝国に喧嘩を売っているようなものである。
「どうせ、また、来るだろう」
あの気まぐれな妖精憑きキロンだ。きっと、一か月くらい経ったら、笑顔で来ていそうな気がした。
ヘリオス、お元気でしょうか。この手紙を読んでいるということは、もう、私はこの世にいないのですね。この手紙を書いている時は、まだ、出産前です。妊婦は危ないから、とキロンが上に下にと置いて、動くなと言います。仕方がないので、手紙を書いています。
こうやって、手紙を書くのは、久しぶりな感じです。婚約者同士だった頃は、私はいっぱい書きましたが、ヘリオスはそれほどではありませんでしたね。やっぱり、私は女で、ヘリオスは男です。性別を偽っても、いつかはバレてしまいましたね。結果的には、きちんと性別を正して良かったです。
私は今、とても反省しています。ヘリオスが学校の友達の約束を理由に、長期休暇に辺境に来なかったこと、偽物の手紙に気づいてくれなかったこと、責めてしまいました。でも、お門違いですよね。ヘリオス、悪くありません。
実際、私も貴族の学校に通ってみて、とても楽しかったです。最初は、知り合いはいないし、リブロとエリザが、私の悪口を学校で言いふらして、腫れもの扱いされていましたが、伯爵令嬢フローラと侯爵令嬢シリアと仲良くなってから、学校、楽しくなりました。途中、リブロとエリザが退学になったから、過ごしやすくなって、最高でした。
今、落ち着いて、あの時のことを考えます。私が本物の手紙を出したとしても、ヘリオスは、辺境に来ませんでした。だって、学校、楽しいです。本物偽物、関係ありませんよね。ヘリオスはこれっぽっちも悪くありません。
あの時、お互い、子どもでした。子どもなりに、私は期待して、希望を抱いたのです。その中に、ヘリオスがいました。勝手に、そう見てただけです。ヘリオスは、私のこと、そこまで好きじゃなかったですよね。知ってます。だから、母が亡くなってたった一年、一年も、ヘリオスが気づかなかったのは、仕方がありません。私には興味がなかったし、婚約は仕方なくだし、なにより、学校は楽しい。
だから、ヘリオス、気にしないでください。ヘリオスは悪くない。悪いのは、父とリサ親子です。私の信頼を裏切ったのは、彼らです。ヘリオスは、私が勝手に期待しただけです。
ヘリオス、今も学校、楽しく通っていますか? 私はもう、通えません。だからというわけではありませんが、ヘリオス、楽しんで、きちんと、学校を卒業してください。私の時間は、ここで止まります。だけど、ヘリオスの時間は続きます。私のために、なんて言って、無茶して、武道大会に出場して、優勝を目指さないように。ヘリオスの人生はとっても長いんです。だったら、体を大事にしてください。体、大事ですよ。
私を理由にしないでください。私は、ヘリオスを理由にして、怒って、憎んで、今、後悔しています。ヘリオスを責めて、ヘリオスを傷つけました。ヘリオス、本当は、悪くないのに。
もっと、楽しんでください。最後は、幸せになった者が勝ちです。
私は、勝ちました。最後は、キロンを独り占めです。キロンは、私のものです。
騎士になってすぐ、呼び出された。まだ、下っ端騎士だってのに、呼び出されるなんて、僻地に飛ばされるのかなー、なんて思った。辺境には縁があるからな。
行ってみれば、兄ハリスがいる。俺とは違って、もう、立派な騎士だ。威厳が違う。ついでに、結婚して、一男一女と、家庭も円満である。
「来ましたね」
将軍の隣りに、筆頭魔法使いティーレットがいた。その間に、女帝レオナ様が椅子に座っていた。
反射で膝をついた。見習いの時、この上下関係を精神に叩き込まれた。
「立て立て。今日は非公式だ」
言われてみれば、兄ハリスは立ったままである。俺は、無礼にならないように、姿勢を正した。
「お前は出ていけ」
「はいはい」
女帝レオナ様、なんと、将軍を追い出した!! 将軍、女帝レオナ様に対して、敬意一つない。生返事をして、部屋を出て行った。
「久しぶりだなー。騎士の家系という話だが、まさか、兄弟揃って、騎士になるとはなー」
「ありがとうございます」
「当然だよな。親が騎士で、日頃から鍛えてるんだからな。これで騎士にならなかったら、お前たちの親は、騎士を辞めてもらってたな」
「………」
この女帝、気分一つで、すぐ処刑だ。油断してはいけない。俺は気を引き締めた。
「お前たち親子のことは、アーシャに頼まれた。本来であれば、騎士を辞めさせるところだったんだが、アーシャがやめてくれと頼んできたから、我慢した。本来なら、皇族相手にバカにしたことした、と処刑していた。アーシャには感謝するように」
こわっ!! 笑顔でとんでもない過去話をする女帝レオナ様。この人を思いとどまらせるって、アーサー、本当にすごいな。
今でも、俺はアーサーには相応しくない男だった。アーサーという女は、とんでもなく高嶺の花だった。
「キロンかアーシャから聞いていると思うが、俺様が後見人となって、アーシャの子を養育している。アーシャたってのご希望で、俺様の息子として育ててほしい、と頼まれたんだ。俺様な、子育ての才能がこれっぽっちもないんだなー。ティーレットが、まさしくそうだ」
「えへへへへ」
筆頭魔法使いティーレットは照れたように笑う。一時期は、真面目になった、と言われたティーレット、それはメッキだった。すぐに、筆頭魔法使いらしくない筆頭魔法使いとして、名を広められたのだ。
「アーシャは、息子をティーレットみたいに育ててほしい、と頼んできた。俺様もそうしようと、努力したんだが、やっぱり、才能がなかったんだな。同じようにはならなかったんだ」
「女帝陛下、立派に育てていますよ」
「うーん、そうだな。お前とは真逆になったな」
「そんなことありません!! 僕のアーサーは、立派な皇族に育っています」
筆頭魔法使いティーレットは、きっと、アーサーの子がどんなふうに育っても、気にしないな。重要なのは、アーサーの子、という部分だ。性格とか、そういうのは、どうだっていいんだ。妖精憑きあるあるだ。
しかし、驚いた。アーサーの子をアーサーと名付けたのか。子爵の子アーサーではなく、母アーシャとして、何か考えたのだろう。
ちなみに、子爵ネロと男爵の娘マイアの間に生まれた子に名付けたのは、マイアの父ウラーノである。
「ティーレット、アーサーを連れてこい」
「はいはい」
笑顔で返事をして、筆頭魔法使いティーレットは出てすぐ、一人の子どもを連れて来た。
俺と兄ハリスは、息を飲んだ。幼い頃のアーサーに瓜二つだ。ここまで似ていれば、アーサーの子だとわかる。
「アーサーも大きくなってきて、こう、手がかかるようになった。大人しくもしてないからな。そこで、護衛騎士をつけることにした。お前たち、アーサーの護衛騎士になってくれ」
「我々が?」
「ですが、俺は、騎士になったばかりで」
栄転である。だが、縁故のような感じで、俺はイヤだった。だから、建前で断ろうとした。
「アーサー、こいつらはな、お前の両親のことをよく知っているぞ」
「本当ですか!? ぜひ、教えてください!!!」
皇族アーサーは、目をきらきらと輝かせて、俺たちの側に来た。こんな顔をされて、俺は、断れなくなった。皇族アーサーを見ていると、辺境で駆けまわっていたアーサーを思い出した。
騎士団に入団するほうほうは、二つだ。一つは、普通に試験を受けて、数年の見習い期間を経て、晴れて正式入団である。だいたいは、この方法だ。見習い騎士の試験は、完全に体力勝負であえる。頭は、見習い期間でどうにかすることとなっているのだ。だから、見習い期間は給与をもらいながら、勉強に訓練である。それが、一般的だ。
もう一つは、武道大会で優勝することである。ただ、優勝したからといって、騎士になれるわけではない。優勝して、騎士と勝負である。ここで、いい成績をおさめれば、騎士になれるのだ。だいたい、ここまで勝ち上がっているのだから、疲れて、勝負どころではないが。
俺は、少しでも早く騎士になるために、武道大会に出場することにした。貴族の学校枠のほうが予選突破は簡単だ。だが、あえて、困難で、競争率が激しい一般枠の予選に申し込んだのだ。どうせ、見習い騎士の試験も受けるんだ。ちょうどいい。
兄ハリスは容赦がない。俺は、女として過ごさなかければならなかったから、騎士の訓練も最低限だ。それも、必要がなくなってから、がむしゃらに行った。だけど、貴族の学校に通いながらでは、時間が足りない。
「見習い騎士でも、そこそこの実力なんだから、いいだろう。十分だ」
「それでも、優勝は出来ない」
昨年の武道大会を見て、知っていた。一般枠はともかく危ない。正々堂々なんて、人が見ているところだけだ。少し、横に逸れれば、すぐ、足の引っ張りあいだ。
少し、くじけそうになった。こんなのでは、皇族となったアーサーの後ろに立てない。もしかしたら、このまま、ただの平騎士なのかもしれない。
先のことを考えれば、暗くなる。現役騎士である父だって、それなりの立場だ。皇族の騎士なんて、かなりの実力と運と、柵あってこそだろう。
「少し、休め。体を壊したら、騎士にすらなれないぞ」
「休んでたら」
「休憩も、大事なんだ。ほら」
「………わかった」
現役騎士である兄が相手にしてくれているのだ。忠告を聞き入れた。
「あー、いたー」
そこに、一年前とこれっぽっちも変わっていない、妖精憑きキロンが笑顔でやってきた。
「お前、どこに行ってたんだよ!! アーサーは!!!」
俺はキロンにつかみかかった。
一年前、お家騒動を終わらせたアーサーは、妖精憑きキロンと二人で消息を断った。一応、王都から出発する、という証言があったので、俺はすぐ、馬で王都に戻ったのだ。そして、王都中を探し回ったというのに、見つからなかった。
だというのに、こいつ、よりによって、今、目の前に普通にいるのだ。怒りしかない。
俺の内心なんて、妖精憑きキロンは全く気にしない。一年前と同じく、ヘラヘラと笑っている。こいつ、本当に軽いな!!
「悪かった悪かった。アーシャがさ、体調あんまり良くなくて、安全な場所で休ませてたんだよ。やっと落ち着いたら、一年も経っててびっくりだな。一年って、短いな!!」
あまりに軽く、明るくいうから、俺の怒りはすっと消えた。
「アーサーは?」
体調が悪くて休んでいたのなら、今は体調がいいということである。俺は、キロンの後ろとかを見た。
「アーシャは死んだ」
「………は?」
「それで、今、アーシャが書いた手紙を配ってるんだ」
「なんで死なせた!!」
俺はキロンを殴った。キロン、あっけなく吹っ飛んだ。さらに殴ろうとする俺を兄ハリスが止めた。
「おい、落ち着け!!」
「アーサーが死んだって」
「どうして死んだか、聞いたのか?」
「アーサーを死なせたんだぞ!!」
「病気かもしれないぞ。アーサーは、その、気狂いを持っていただろう」
「………」
アーサーは、母親が亡くなってすぐ、実の父親によって、屋敷の外にある小屋に閉じ込められ、散々な虐待を受けて、気が触れたのだ。助け出されるまでの一年間、妖精憑きキロンがアーサーの肉体面を守っていたが、精神面は、度重なる不幸から、ズタボロになっていた。助け出された時、アーサーは気が触れて、おかしくなっていた。
どういうわけは、半月で、アーサーは元に戻ったのだ。だけど、声が届いていない時があった。アーサーの祖父ウラーノが、爵位はもういらない、はした金だ、と色々と言ってやっても、アーサーの耳には届いていなかった。それどころか、過去、ウラーノが吐き出した言葉をアーサーは返したのだ。
一見、まともだ。だが、そうではない。まともに見えて、気狂いを起こしていたのだ。
それも、お家騒動が一段落して、やっと、アーサーは、これまで見えていなかったアーサーの母マイアの兄弟姉妹を視認し、祖父ウラーノの本音を聞き入れたのだ。
だが、気狂いが完全に治ったという話は聞いたことがない。アーサーの気狂いはそのまま残ったのだろう。
俺はキロンを責める手を止めた。どっちにしても、兄ハリスが俺を羽交い絞めにしていた。さすが、現役騎士だ。俺では抜け出せない。
「あいたた、油断した、痛かった」
「悪かった、きちんと聞かなくて」
「いや、死なせたのは事実だからな。アーシャ、子ども産みたいっていうから、産ませたんだ。産まなければ、うんと長生き出来たんだけどなー。その話もしたんだけど、アーシャは産むと言ったんだ。アーシャが望んだ。俺は叶えるだけだ」
「え? 子ども? どこに!?」
俺はまた、キロンにつかみかかった。今度は、兄ハリスも止めなかった。ハリスだって、掴みかかりたいんだ。
見たかぎり、見当たらない。こいつ、アーサーの子どもを置いて、ほっつき歩いてたのか!!
「アーシャが、女帝に頼んでほしい、と言ったから、さっき、頼んできた。ティーレットが、赤ん坊見て、手放さなくなったから、そのまま置いてきた」
「人に任せるって、無責任すぎるだろう!!」
「仕方ないだろう。俺は、城にそのまま居座っちゃいけないんだ。そういうのなんだよ。だけど、俺の側にいたら、赤ん坊は不幸になる。だったら、帝国で一番安全な場所で赤ん坊を預けるしかない。女帝の側が、一番安全だ!!」
「アホか!! あの人は、気分一つで、人を殺すんだぞ!!!」
女帝レオナ様は、昔、皇族を半分にしてしまうほど、殺したのだ。皇位簒奪を企んだら、その家族ごと殺したのだ。女子ども、関係ない。赤ん坊だって、レオナ様の手で殺したのだ。
一番、子育てから遠い人だよ!! 帝国の、王都にいる者たちは、貧民、平民、貴族関係なく、そのことをよく知っている。貴族だって、女帝自らが処刑だ。殺しすぎなんだよ!!
「人柄からいったら、アーサーの母方の実家だろう」
アーサーの母の兄弟姉妹はまともなんだ。子爵家のお家騒動の後始末も、彼らが円満におさめてくれたのだ。人柄だけでなく、その実力は、男爵家の肩書を忘れさせるものだった。
「俺も、そう思ったんだ。だけど、皇族かもしれないから、とアーシャがいうんだ」
「アーサーが皇族だって話、まだ未発表だぞ。しかも、アーサーは城の外で死んだんだ。たぶん、その赤ん坊は、皇族とは認められないぞ」
「そこは、ティーレットがどうにかしてくれるだろう。ティーレット、離さなかったしな」
「アーサーの子だからだろう」
「俺の子でもあるんだぞ。ティーレットがアーシャに抱いてたのは、そういうのじゃない。ティーレットが待っていた皇族は、あの赤ん坊だ」
「そこは、妖精憑きの感性だから、よくわからないが」
本当に、わからない。妖精憑きは、突然、お気に入りと出会うのだ。キロンがそうなのだ。アーサーと出会ってからずっと、キロンはアーサーにべったりだ。
筆頭魔法使いティーレットも、アーサーに会えば、べったりとくっついていた。アーサーのことを皇帝にしたがっていた。
俺は、キロンとティーレットがアーサーに抱いていたのは、恋とか愛とか思っていた。実際、キロンはそうなんだろう。
だが、筆頭魔法使いティーレットは、アーサーが失踪してから、大人しくなったという話を聞く。落ち込んでいるような気がするのだけど、キロンは違うという。
「だからといって、お前の子だろう。お前が責任を持って、育てろ!!」
「俺が一緒だと、子が不幸になるんだ。だから、これでいいんだ。もう、子の話はやめろ。取り返したくなる」
「取り返してこい!!」
「やっと、手放したんだ」
「捨てられたと思うだろう!!」
「そこは、ティーレットがわかってくれる。俺のことをわかってくれるのは、ティーレットだけだ」
自信満々にいう妖精憑きキロン。この男は、ただの妖精憑きではない。賢者ラシフよりも強い妖精憑きだという。
そんな化け物じみた力を持つ妖精憑き、聞いたことがない。賢者ラシフは、筆頭魔法使いティーレットが立つ前までは、帝国最強の妖精憑きだった。筆頭魔法使いティーレットがいなければ、今も、賢者ラシフが最強の妖精憑きのはずなのだ。
それなのに、賢者ラシフでさえ、野良の妖精憑きキロンには勝てないという話だ。一体、キロンは何者なんだ?
色々と聞きたい。だが、キロンは時間がないみたいに、太い手紙を俺の胸に押し付けた。
「ほら、アーサーからの手紙だ」
「そんなこと、後でいいだろう!!」
「お前は、手紙一つで、アーシャに恨まれてただろう」
「………」
俺が偽物の手紙を見破れなかった事実をアーサーに恨み事で聞かされた。耳の痛い話だ。
俺は、アーサーからの手紙を受け取った。
「まだ、時間があるだろう。泊まっていけ。そうすれば、明日には、気が変わっているだろう」
キロンの気が変わって、預けた子どもを取り戻しに行くかもしれない。そういうこと、捨て子でよくあるのだ。捨てたが、やっぱり親の気が変わって、また、手元に戻すという。
「俺、まだ、届けないといけないんだよな。次は、辺境だから、遠いなー。俺、フローラの家、知らないんだよなー」
「待て待て、一人で行くんじゃない。俺も一緒に行く」
「妖精に聞けばいいか。じゃあな」
待たない!! 妖精憑きは妖精に近い。だから、すーぐ、どこかに行ってしまう。ただの人では、妖精憑きを止めるのは不可能だ。
「あれで親なのか!!」
「実際には、たくさんの子や孫がいるという話だ」
「………」
そうだった!! アーサーに出会う前の話だ。妖精憑きキロンは、元々、領地で迫害を受けていたのだ。小屋に閉じ込められ、散々なことをされていた。その中には、キロンのあの見た目に心を奪われ、子まで作るようなことをした女もいたのだ。
実際に、キロンの子や孫は存在する。ただ、その事実はもう、口ずさむことは許されない。皇族となったアーサーを溺愛する妖精憑きが父親だなんて、帝国に喧嘩を売っているようなものである。
「どうせ、また、来るだろう」
あの気まぐれな妖精憑きキロンだ。きっと、一か月くらい経ったら、笑顔で来ていそうな気がした。
ヘリオス、お元気でしょうか。この手紙を読んでいるということは、もう、私はこの世にいないのですね。この手紙を書いている時は、まだ、出産前です。妊婦は危ないから、とキロンが上に下にと置いて、動くなと言います。仕方がないので、手紙を書いています。
こうやって、手紙を書くのは、久しぶりな感じです。婚約者同士だった頃は、私はいっぱい書きましたが、ヘリオスはそれほどではありませんでしたね。やっぱり、私は女で、ヘリオスは男です。性別を偽っても、いつかはバレてしまいましたね。結果的には、きちんと性別を正して良かったです。
私は今、とても反省しています。ヘリオスが学校の友達の約束を理由に、長期休暇に辺境に来なかったこと、偽物の手紙に気づいてくれなかったこと、責めてしまいました。でも、お門違いですよね。ヘリオス、悪くありません。
実際、私も貴族の学校に通ってみて、とても楽しかったです。最初は、知り合いはいないし、リブロとエリザが、私の悪口を学校で言いふらして、腫れもの扱いされていましたが、伯爵令嬢フローラと侯爵令嬢シリアと仲良くなってから、学校、楽しくなりました。途中、リブロとエリザが退学になったから、過ごしやすくなって、最高でした。
今、落ち着いて、あの時のことを考えます。私が本物の手紙を出したとしても、ヘリオスは、辺境に来ませんでした。だって、学校、楽しいです。本物偽物、関係ありませんよね。ヘリオスはこれっぽっちも悪くありません。
あの時、お互い、子どもでした。子どもなりに、私は期待して、希望を抱いたのです。その中に、ヘリオスがいました。勝手に、そう見てただけです。ヘリオスは、私のこと、そこまで好きじゃなかったですよね。知ってます。だから、母が亡くなってたった一年、一年も、ヘリオスが気づかなかったのは、仕方がありません。私には興味がなかったし、婚約は仕方なくだし、なにより、学校は楽しい。
だから、ヘリオス、気にしないでください。ヘリオスは悪くない。悪いのは、父とリサ親子です。私の信頼を裏切ったのは、彼らです。ヘリオスは、私が勝手に期待しただけです。
ヘリオス、今も学校、楽しく通っていますか? 私はもう、通えません。だからというわけではありませんが、ヘリオス、楽しんで、きちんと、学校を卒業してください。私の時間は、ここで止まります。だけど、ヘリオスの時間は続きます。私のために、なんて言って、無茶して、武道大会に出場して、優勝を目指さないように。ヘリオスの人生はとっても長いんです。だったら、体を大事にしてください。体、大事ですよ。
私を理由にしないでください。私は、ヘリオスを理由にして、怒って、憎んで、今、後悔しています。ヘリオスを責めて、ヘリオスを傷つけました。ヘリオス、本当は、悪くないのに。
もっと、楽しんでください。最後は、幸せになった者が勝ちです。
私は、勝ちました。最後は、キロンを独り占めです。キロンは、私のものです。
騎士になってすぐ、呼び出された。まだ、下っ端騎士だってのに、呼び出されるなんて、僻地に飛ばされるのかなー、なんて思った。辺境には縁があるからな。
行ってみれば、兄ハリスがいる。俺とは違って、もう、立派な騎士だ。威厳が違う。ついでに、結婚して、一男一女と、家庭も円満である。
「来ましたね」
将軍の隣りに、筆頭魔法使いティーレットがいた。その間に、女帝レオナ様が椅子に座っていた。
反射で膝をついた。見習いの時、この上下関係を精神に叩き込まれた。
「立て立て。今日は非公式だ」
言われてみれば、兄ハリスは立ったままである。俺は、無礼にならないように、姿勢を正した。
「お前は出ていけ」
「はいはい」
女帝レオナ様、なんと、将軍を追い出した!! 将軍、女帝レオナ様に対して、敬意一つない。生返事をして、部屋を出て行った。
「久しぶりだなー。騎士の家系という話だが、まさか、兄弟揃って、騎士になるとはなー」
「ありがとうございます」
「当然だよな。親が騎士で、日頃から鍛えてるんだからな。これで騎士にならなかったら、お前たちの親は、騎士を辞めてもらってたな」
「………」
この女帝、気分一つで、すぐ処刑だ。油断してはいけない。俺は気を引き締めた。
「お前たち親子のことは、アーシャに頼まれた。本来であれば、騎士を辞めさせるところだったんだが、アーシャがやめてくれと頼んできたから、我慢した。本来なら、皇族相手にバカにしたことした、と処刑していた。アーシャには感謝するように」
こわっ!! 笑顔でとんでもない過去話をする女帝レオナ様。この人を思いとどまらせるって、アーサー、本当にすごいな。
今でも、俺はアーサーには相応しくない男だった。アーサーという女は、とんでもなく高嶺の花だった。
「キロンかアーシャから聞いていると思うが、俺様が後見人となって、アーシャの子を養育している。アーシャたってのご希望で、俺様の息子として育ててほしい、と頼まれたんだ。俺様な、子育ての才能がこれっぽっちもないんだなー。ティーレットが、まさしくそうだ」
「えへへへへ」
筆頭魔法使いティーレットは照れたように笑う。一時期は、真面目になった、と言われたティーレット、それはメッキだった。すぐに、筆頭魔法使いらしくない筆頭魔法使いとして、名を広められたのだ。
「アーシャは、息子をティーレットみたいに育ててほしい、と頼んできた。俺様もそうしようと、努力したんだが、やっぱり、才能がなかったんだな。同じようにはならなかったんだ」
「女帝陛下、立派に育てていますよ」
「うーん、そうだな。お前とは真逆になったな」
「そんなことありません!! 僕のアーサーは、立派な皇族に育っています」
筆頭魔法使いティーレットは、きっと、アーサーの子がどんなふうに育っても、気にしないな。重要なのは、アーサーの子、という部分だ。性格とか、そういうのは、どうだっていいんだ。妖精憑きあるあるだ。
しかし、驚いた。アーサーの子をアーサーと名付けたのか。子爵の子アーサーではなく、母アーシャとして、何か考えたのだろう。
ちなみに、子爵ネロと男爵の娘マイアの間に生まれた子に名付けたのは、マイアの父ウラーノである。
「ティーレット、アーサーを連れてこい」
「はいはい」
笑顔で返事をして、筆頭魔法使いティーレットは出てすぐ、一人の子どもを連れて来た。
俺と兄ハリスは、息を飲んだ。幼い頃のアーサーに瓜二つだ。ここまで似ていれば、アーサーの子だとわかる。
「アーサーも大きくなってきて、こう、手がかかるようになった。大人しくもしてないからな。そこで、護衛騎士をつけることにした。お前たち、アーサーの護衛騎士になってくれ」
「我々が?」
「ですが、俺は、騎士になったばかりで」
栄転である。だが、縁故のような感じで、俺はイヤだった。だから、建前で断ろうとした。
「アーサー、こいつらはな、お前の両親のことをよく知っているぞ」
「本当ですか!? ぜひ、教えてください!!!」
皇族アーサーは、目をきらきらと輝かせて、俺たちの側に来た。こんな顔をされて、俺は、断れなくなった。皇族アーサーを見ていると、辺境で駆けまわっていたアーサーを思い出した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる