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アーサー、アーシャ、アーサー
狂気
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アーサーに最初、絶望を与えたのは、アーサーの母マイアだ。
「アーサーは置いていくしかないの」
「どうして!?」
いつも我儘も言わない、素直なアーサーが、珍しく、マイアに反抗した。マイアの服を掴み、泣きながら、見上げていた。
話が違う。俺もそう思った。
アーサーの母マイアは、領地が安定してからずっと、離婚して、アーサーとここから離れる計画を進めていた。
元々は、領地運営を失敗して出来た借金を男爵が肩代わりする代わりに、子爵であるネロと男爵の娘であるマイアの間に誕生したアーサーに爵位を譲る、という契約を行ったことから、いやいや、マイアは結婚したのだ。
だけど、領地も安定し、子爵であるネロは領地民と浮気して、子が二人もいるのに、マイアは腹が立った。ネロは、爵位こを持っているが、遊んでいるだけだ。しかも、勝手に、平民との間に生まれた子を跡継ぎにする、なんて言っているのだ。
だったら、そうしてもらおう。マイアは、男爵が肩代わりした借金を全て返済して、契約破棄をし、離婚することにしたのだ。そのため、借金返済するために、色々と切り詰め、領地運営だけでなく、商売にまで手を広げたのだ。
元々、禁則地周辺で育つ作物は、廃棄されていた。それをマイアは、皇族の食材へと売り込んだのである。禁則地周辺は手作業でしか出来ない農地で、妖精の悪戯ばかり受けて、大変な場所だ。しかし、妖精の加護が高く、とても出来がいい作物が育つ。そこを利用したのだ。それに、皇族側が価値ありと判断して、皇族御用達の食材としての地位を手に入れたのだ。それから、辺境では消費出来ない食材を皇族御用達の領地の食材として売り込み、高額に取引させたのである。
そのお陰で、数年で、男爵が肩代わりした借金は返済出来る目途がついたのだ。
そういういい話をマイアは、アーサーと俺の前だけでした。
「俺も一緒に連れてってくれるのか?」
「キロンも一緒でいいよね?」
「妖精憑きとそのお気に入りを離してはいけないのよ。一緒に出て行きましょう」
「ずっと、三人一緒だ!!」
俺がそこに入っている事実に、俺は喜んだ。俺はもう、アーサーの家族だった。
それなのに、突然、マイアはアーサーを連れて行けない、と言い出した。アーサーは泣いて、避けんで、寝室に閉じこもってしまった。
俺すら拒否するアーサー。どうしてこうなったのか、俺はマイアに聞いた。
「アーサーには内緒にしてちょうだ。旦那様と平民の間に出来たという子、旦那様の子ではなかったの」
「そういう話だと、俺は聞いてる」
「親子鑑定をこっそりとしたのよ。そしたら、こんな結果になったの」
マイアは、親子鑑定の結果を見せてくれた。辺境の教皇フーリードが行ったものだ。そう、書いてある。
平民の二人の子には、子爵ネロとの親子関係は認められない、と出ていた。
この結果、俺は無表情で見た。そんなの、見ればわかることだから、驚きもしない。
「そんなの、どうだっていいだろう。あいつらは勝手に言ってるんだ。言わせておけ」
「この嘘は、爵位を受け継ぐ時にバレるわ。その時に、血縁関係の審査が行われるのよ」
「血縁じゃないと、受け継げないのか?」
「帝国では、そう決まっているのよ!! この事実が出た場合、血縁を探すの。大体、片親が平民で、貴族の血が入っていないのよ。あの子たちは、平民だから、貴族にはなれない!!」
「俺はよくわからないけど、ここは、閉鎖された領地だから、血が似てくるって、フーリードが言ってた。大丈夫だろう」
俺の親子鑑定で文句を言った時に、フーリードがそんな話をしていた。あまり煩いなら、そう誤魔化せ、と。
「旦那様の先代まで、領地外の、王都で暮らしていたの。旦那様の血は、領地民とかけ離れているのよ!!」
「………」
マイアなりに考えたのだ。だけど、最悪な未来しか見えなかったのだ。
「もう一人、旦那様の子が外で出来てくれれば。なんで、わたくしにだけ、出来るのよ!!」
「そりゃ、やることやれば」
「よく聞きなさい。わたくしが旦那様を相手にしたのは、たった一回よ!! お互い、子作りなんてしたくなかったの。あの男は、平民に夢中で、その子どもを跡継ぎにしたがっていたのよ。わたくしは、あんな男に閨事なんて、絶対にイヤ、と拒否したの。白い結婚だったのよ。なのに、あの男、血迷って、たた一度、妻の務めを果たせと無理矢理よ!! 痛いだけ、最悪だってのに、あのたった一回で、まさか、アーサーが誕生するなんて」
マイアは、子爵ネロに憎悪しか抱いていないが、その血をひくアーサーには愛情を持っているように見えた。
だが、ここに来て、マイアは、アーサーを拒絶したのだ。愛人の子が実は子爵ネロと血のつながりがないなんて、言い訳だ。
マイアの憎悪を見て、俺は冷めた。アーサーはあんなに、全てを受け入れているというのに、この領地は、アーサーを拒否するばかりだ。
次にアーサーを絶望に叩き落したのは、アーサーの祖父ウラーノだ。母マイアを亡くして、アーサーは落ち込んだ。マイアは気が触れて、それをアーサーは必死に隠して、それでも、マイアの実家がどうしてくれる、と縋ったりもした。だけど、誰も来なかった。
それでも、アーサーは期待した。この領地の味方は、いない。領主代行は味方ではあるが、表だっては味方にはなれないから、距離をとっていた。
アーサーは、俺の手を握って、母マイアが死んだことを喜ぶ父ネロを見て、色々と耐えていた。
まだ、ネロは好き勝手出来なかった。ほら、男爵家の息がかかった者たちが屋敷にいるのだ。
マイアが死んで、葬儀も終わってから、祖父ウラーノがやってきた。ウラーノは、色々と知っているというのに、冷たくアーサーを見下ろしていた。アーサーは期待をこめて、ウラーノを見上げた。泣きそうな顔をしていた。
「お祖父様、あの」
「お前はここに残って、あの男を監視するんだ」
「………え?」
「血のつながった子なんだ。悪いようにはしないだろう」
「で、でも、私は、こ、子ども、です」
「お前には金がかかっている。爵位を得るために、あんなに金を使ったんだ。それが、お前の価値だ」
「………はい」
母マイアが死んで、まだ、男爵家へ借金を返せるような蓄えはない。あと少しだが、まだだ。
ウラーノは、冷たい言葉だけ吐き出して、さっさと、領地を出て行った。アーサーはウラーノと話、見送りし、その後もずっと、俺の手を握っていた。
アーサーにトドメを刺したのは、婚約者ヘラだ。アーサーは、本当は女だが、爵位が男しか継げないことから、男と偽っているのだ。その嘘が婚約者からバレてしまうといけないからと、早々に、祖父ウラーノは、婚約者をあてがったのだ。それが、ヘラだ。
ヘラは見た目は女だが、実際は男だ。アーサーの子に爵位を引き継がせるためには、アーサーが出産しなければならない。かといって、本当の女と結婚しても、子は出来ない。だったら、と婚約者の男を女装させたのだ。
俺がアーサーに出会う前からの付き合いだと聞いている。婚約者ヘラは、女装しているだけで、男だ。だけど、アーサーの婚約者だから、領地では、誰もヘラに話しかけたりしない。だから、ヘラが男だとバレることはなかった。
ヘラは女装させられ、アーサーと婚約することを不満に思っていた。いくら、アーサーの祖父ウラーノに弱味を握られているから、といっても、子どもなんだから、不満を持つ。
だから、アーサーは、ヘラを自由にするためにも、男爵家への借金返済を心待ちにしていた。アーサーは、ヘラとは友達付き合いをしているが、結婚するつもりはなかった。
だけど、うまくいかない。母マイアを失い、祖父ウラーノに見捨てられたアーサーは、屋敷の外にある小屋に閉じ込められた。
「きっと、ヘラが遊びに来て、気づいてくれる」
「そうだな」
ヘラは貴族の学校の長期休暇で、アーサーのもとに遊びに行く約束をしていたのだ。ただ、あの男はバカだから、子爵ネロの嘘に騙されるだろう。その時は、俺が妖精を使って、ヘラに語り掛ければいい、そう考えていた。
ある日、合わない服を着たネロの愛人リサの長男リブロが、手紙を持ってやってきた。
「お前の婚約者が手紙を送ってきたから、俺が代わりに、返事を書いてやったんだよ。そうしたら、こんな返事がきた!!」
リブロは、まだ、文字を読み取るのは下手なようで、拙い言葉で読み上げた。時々、詰まったとしていた。
だが、アーサーを絶望に叩き落すには十分だった。最後まで読み終わったリブロは、ヘラの手紙をアーサーに投げつけた。
アーサーは、ぐしゃぐしゃになったヘラの手紙を綺麗に広げて読んだ。そして、ボロボロと涙を零した。
「学校が楽しいんだな!! 俺も楽しい!!! 伯爵令嬢フローラが、お前のことを聞きたがっていたから、教えてやった。お前は、傲慢で、我儘で、無駄遣いばかりする、最低な奴だってな!!! あははははははは」
リブロは大笑いして、小屋から出ていった。
アーサーは、ヘラの手紙を綺麗に畳んで、胸に抱いた。
「うううう、ああああああ、あああああああああーーーーーーーーー!!!」
「アーサー、俺がずっと守るから、大丈夫だから!!」
そこから、アーサーは少しずつ壊れた。
酷いことは続く。俺とアーサーが閉じ込められた小屋に、俺の子や孫がやってきたのだ。
「一緒に暮らそう!!」
「こんな所にいては、病気になる」
「家族はやっぱり、一緒にいないと」
家族に見捨てられたアーサーを前にして、あいつらは、酷いことを言った。
「煩い!! お前らなんか知らない!!!」
「ほら、アーサー、見ろ。親子鑑定だ」
俺にしがみついて離れないアーサーに、俺の子だという親子鑑定の書類を突きつける。
「あんたの母親は酷いな。愛し合っている子爵様とリサの間を引き裂いて。だけど、罰が当たって、死んだ。神は言ってるんだ!! 正しい親子が一緒になるべきだって!!! アタシたちのものだ。返せ!!!」
気が触れても、アーサーは変わらない。アーサーは俺を手放し、神と妖精、聖域の教えに従い、俺を家族へと差し出すのだ。
「ふざけるな!! 俺を捨てておいて、やっぱり惜しくなったから、と拾った奴に文句をいうのか!!! 俺はアーサーから離れない。お前らなんか、知らん」
「アタシたちに言ったって、無駄だよ。アーサー、この男には、いっぱい、子や孫がいるんだよ!! ちょっと優しくされると、すーぐに言いなりだ。この男は、簡単に裏切るんだよ!!!!」
「あっちいけ!!」
俺はそいつらを追い出した。
振り返れば、アーサーは俺を見て、絶望していた。俺の過去の所業は、見方によっては、確かに、裏切っている。だけど、俺は裏切られたんだ。皆、俺を捨てたんだ。
「アーサー、俺は」
「あ、き、キロン、どうすればいい? どうすれば、キロンは私のものになる? キロンの子をこの腹に宿せばいい?」
気が触れ、絶望して、何もかも失ったアーサーは、神と妖精、聖域の教えを捨てた。
たった一年、一年も、アーサーの監禁は続いた。俺がアーサーを置いて助けを呼べば済んだ話、と見ていた奴らはいうんだ。
最初、俺はアーサーから離されたんだ。その間に、アーサーは死にかけた。それから、離れることが出来なくなった。離れれば、アーサーの身に何をされるかわかったものじゃない。
側にいたって、俺は役立たずだ。体を使って、アーサーを守るしかない。それでも、数の暴力で負ける。人を傷つける魔法を使えば、俺はアーサーから引き離されてしまう。そんな面倒臭い世の理のせいで、アーサーを守り切ることが出来なかった。
だから、俺は領地を呪った。アーサーを追い詰め、苦しめる領地民どもが憎い。今更、血のつながりがあるから、と言って、アーサーを苦しめる、俺の子や孫が許せなかった。
おもしろいことに、領地を呪うのは簡単だった。あの妖精がいっぱいいる禁則地は、抵抗が強くて、なかなか大変だったが、そこ以外は、簡単だ。
そして、大凶作にしてやった。子爵ネロは、皇族御用達である食材を使って、優先する契約なんかとっていたのだ。その違約金が物凄かった。
大失敗による大借金だ。そうなると予想していたアーサーの祖父ウラーノは、やっと子爵家の屋敷にやってきて、アーサーの現状を知った。そして、アーサーだけを保護しようとしたのだ。
「あああああああーーーーーーーーー」
アーサーは俺から離されると、大泣きして、暴れた。
「アーサー、これからは、ずっと一緒にいるから」
婚約者ヘラがアーサーを抱きしめるが、アーサーはそれを拒絶するように暴れた。
やせ細っていても、いざという時は力が出る。手入れされていない爪でヘラの腕をひっかいた。それだけで、ヘラはアーサーを手放してしまった。
「アーサー、大丈夫だから」
俺がアーサーを抱きしめた。アーサーは俺の体に爪をたてた。いつものことだ。血も出るが気にしない。俺はアーサーを強く抱きしめた。そうして、やっとアーサーは落ち着いて、笑顔を見せた。
俺の胸にいながら、アーサーはヘラを振り返った。
「ごめんなさい、ごめんなさい、生まれてきて、ごめんなさい、ごめんなさい」
アーサーは笑顔で謝罪の言葉を繰り返した。
子爵ネロの愛人リサは酷い女だ。何事かあるとアーサーを鞭で打った。痛いんだ、泣くのは当然なんだ。
「泣くな!! お前たちが悪いんだ!!! 泣いたら、アタシが悪いみたいじゃないか!!!!」
そう言って、さらにアーサーを鞭打ったのだ。俺は体を使って、それを防ごうといしたが、人の数が多くて、完璧には出来なかった。
アーサーはそういう日々を繰り返して、とうとう、鞭で打たれても泣かなくなった。俺の腕の中にいて、笑って、謝罪するようになったのだ。それを見て、リサたち親子はアーサーを嘲笑い、満足したのだ。
笑って謝れば、痛いことがされない。そう、アーサーは判断し、それは、助けられた後も続いた。
もう、まともでないアーサーは、俺が側からいなくなると、暴れて、叫んで、手がつけられない。仕方なく、俺と一緒の保護となった。
それから、アーサーの母親の生家で暮らすこととなった。マイアには兄弟姉妹がいた。俺は見たことがあるが、それは、マイアの葬儀の時だけである。それ以外では、なかった。
どういう人なんだろう、なんて観察していたら、まともだった。
「父上の実権は全て奪った。これからは、アーサーをやめてしまえばいい。アーシャとして、ここにずっといればいい」
マイアの兄が、アーサーより低い目線となるように、しゃがんで、アーサーに優しく語り掛けた。
アーサーは、赤ん坊のように、反射で笑った。相手が笑ったから、アーサーも笑ったのだ。
なのに、アーサーの祖父ウラーノは、最低最悪なんだ。
「甘やかして育てるから、こうなるんだ!!」
心を病んでいるアーサーを引っ叩いたのだ。もちろん、アーサーは大泣きして、俺に縋りついた。
「アーサーに何するんだ!!」
「この程度で泣くな!!」
「父上!!」
監視がいたのだろう。報告を受けたマイアの兄は、アーサーが見ている前で、ウラーノを殴った。
「お前、父親に向かって」
「心が病んだ孫を引っ叩いたあんたに言う資格はない!! アーシャには近づくなと言ったのに、また近づいて」
「アーサーだ!!」
「この子は女の子、アーシャだ!! さっさと連れて行け!!!」
激怒して、ウラーノを追い出すマイアの兄。それを見て、聞いて、アーサーは怯え、震え、泣きそうになる。
マイアの兄はすぐ、アーサーよりも低い目線となるためにしゃがみ、優しく笑いかける。
「悪い奴は皆、我々がやっつけてやる。もう、大丈夫だ」
「いやぁ!!」
マイアの兄がアーサーの頭を撫でようと手を伸ばしたが、アーサーは強く拒絶した。殴られると思ったのだ。
だけど、マイアの兄は気にしない。笑っている。アーサーは恐る恐るとマイアの兄を見る。怒鳴られるとアーサーは思ったのだろう。領地では、そうだったからだ。
「すまなかった。怖かったな。もうしない。ここに来て、あまり、食べたり飲んだりしていないな。何が食べたいもの、飲みたいものはあるか?」
「………腐った味がするから、いらない」
「っ!?」
アーサーは、何を食べても飲んでも、全て、腐っていると感じていた。
「アーサー、俺が作るから」
「服、気持ち悪い」
「それも、俺がどうにかする」
「暗いの、怖い」
「ずっと俺が側にいるから。灯りつけっぱなしでも、許してくれる」
「私、失敗作」
「あのクソ親父!!」
また、マイアの兄は怒って、部屋を出ていった。
「アーサーは置いていくしかないの」
「どうして!?」
いつも我儘も言わない、素直なアーサーが、珍しく、マイアに反抗した。マイアの服を掴み、泣きながら、見上げていた。
話が違う。俺もそう思った。
アーサーの母マイアは、領地が安定してからずっと、離婚して、アーサーとここから離れる計画を進めていた。
元々は、領地運営を失敗して出来た借金を男爵が肩代わりする代わりに、子爵であるネロと男爵の娘であるマイアの間に誕生したアーサーに爵位を譲る、という契約を行ったことから、いやいや、マイアは結婚したのだ。
だけど、領地も安定し、子爵であるネロは領地民と浮気して、子が二人もいるのに、マイアは腹が立った。ネロは、爵位こを持っているが、遊んでいるだけだ。しかも、勝手に、平民との間に生まれた子を跡継ぎにする、なんて言っているのだ。
だったら、そうしてもらおう。マイアは、男爵が肩代わりした借金を全て返済して、契約破棄をし、離婚することにしたのだ。そのため、借金返済するために、色々と切り詰め、領地運営だけでなく、商売にまで手を広げたのだ。
元々、禁則地周辺で育つ作物は、廃棄されていた。それをマイアは、皇族の食材へと売り込んだのである。禁則地周辺は手作業でしか出来ない農地で、妖精の悪戯ばかり受けて、大変な場所だ。しかし、妖精の加護が高く、とても出来がいい作物が育つ。そこを利用したのだ。それに、皇族側が価値ありと判断して、皇族御用達の食材としての地位を手に入れたのだ。それから、辺境では消費出来ない食材を皇族御用達の領地の食材として売り込み、高額に取引させたのである。
そのお陰で、数年で、男爵が肩代わりした借金は返済出来る目途がついたのだ。
そういういい話をマイアは、アーサーと俺の前だけでした。
「俺も一緒に連れてってくれるのか?」
「キロンも一緒でいいよね?」
「妖精憑きとそのお気に入りを離してはいけないのよ。一緒に出て行きましょう」
「ずっと、三人一緒だ!!」
俺がそこに入っている事実に、俺は喜んだ。俺はもう、アーサーの家族だった。
それなのに、突然、マイアはアーサーを連れて行けない、と言い出した。アーサーは泣いて、避けんで、寝室に閉じこもってしまった。
俺すら拒否するアーサー。どうしてこうなったのか、俺はマイアに聞いた。
「アーサーには内緒にしてちょうだ。旦那様と平民の間に出来たという子、旦那様の子ではなかったの」
「そういう話だと、俺は聞いてる」
「親子鑑定をこっそりとしたのよ。そしたら、こんな結果になったの」
マイアは、親子鑑定の結果を見せてくれた。辺境の教皇フーリードが行ったものだ。そう、書いてある。
平民の二人の子には、子爵ネロとの親子関係は認められない、と出ていた。
この結果、俺は無表情で見た。そんなの、見ればわかることだから、驚きもしない。
「そんなの、どうだっていいだろう。あいつらは勝手に言ってるんだ。言わせておけ」
「この嘘は、爵位を受け継ぐ時にバレるわ。その時に、血縁関係の審査が行われるのよ」
「血縁じゃないと、受け継げないのか?」
「帝国では、そう決まっているのよ!! この事実が出た場合、血縁を探すの。大体、片親が平民で、貴族の血が入っていないのよ。あの子たちは、平民だから、貴族にはなれない!!」
「俺はよくわからないけど、ここは、閉鎖された領地だから、血が似てくるって、フーリードが言ってた。大丈夫だろう」
俺の親子鑑定で文句を言った時に、フーリードがそんな話をしていた。あまり煩いなら、そう誤魔化せ、と。
「旦那様の先代まで、領地外の、王都で暮らしていたの。旦那様の血は、領地民とかけ離れているのよ!!」
「………」
マイアなりに考えたのだ。だけど、最悪な未来しか見えなかったのだ。
「もう一人、旦那様の子が外で出来てくれれば。なんで、わたくしにだけ、出来るのよ!!」
「そりゃ、やることやれば」
「よく聞きなさい。わたくしが旦那様を相手にしたのは、たった一回よ!! お互い、子作りなんてしたくなかったの。あの男は、平民に夢中で、その子どもを跡継ぎにしたがっていたのよ。わたくしは、あんな男に閨事なんて、絶対にイヤ、と拒否したの。白い結婚だったのよ。なのに、あの男、血迷って、たた一度、妻の務めを果たせと無理矢理よ!! 痛いだけ、最悪だってのに、あのたった一回で、まさか、アーサーが誕生するなんて」
マイアは、子爵ネロに憎悪しか抱いていないが、その血をひくアーサーには愛情を持っているように見えた。
だが、ここに来て、マイアは、アーサーを拒絶したのだ。愛人の子が実は子爵ネロと血のつながりがないなんて、言い訳だ。
マイアの憎悪を見て、俺は冷めた。アーサーはあんなに、全てを受け入れているというのに、この領地は、アーサーを拒否するばかりだ。
次にアーサーを絶望に叩き落したのは、アーサーの祖父ウラーノだ。母マイアを亡くして、アーサーは落ち込んだ。マイアは気が触れて、それをアーサーは必死に隠して、それでも、マイアの実家がどうしてくれる、と縋ったりもした。だけど、誰も来なかった。
それでも、アーサーは期待した。この領地の味方は、いない。領主代行は味方ではあるが、表だっては味方にはなれないから、距離をとっていた。
アーサーは、俺の手を握って、母マイアが死んだことを喜ぶ父ネロを見て、色々と耐えていた。
まだ、ネロは好き勝手出来なかった。ほら、男爵家の息がかかった者たちが屋敷にいるのだ。
マイアが死んで、葬儀も終わってから、祖父ウラーノがやってきた。ウラーノは、色々と知っているというのに、冷たくアーサーを見下ろしていた。アーサーは期待をこめて、ウラーノを見上げた。泣きそうな顔をしていた。
「お祖父様、あの」
「お前はここに残って、あの男を監視するんだ」
「………え?」
「血のつながった子なんだ。悪いようにはしないだろう」
「で、でも、私は、こ、子ども、です」
「お前には金がかかっている。爵位を得るために、あんなに金を使ったんだ。それが、お前の価値だ」
「………はい」
母マイアが死んで、まだ、男爵家へ借金を返せるような蓄えはない。あと少しだが、まだだ。
ウラーノは、冷たい言葉だけ吐き出して、さっさと、領地を出て行った。アーサーはウラーノと話、見送りし、その後もずっと、俺の手を握っていた。
アーサーにトドメを刺したのは、婚約者ヘラだ。アーサーは、本当は女だが、爵位が男しか継げないことから、男と偽っているのだ。その嘘が婚約者からバレてしまうといけないからと、早々に、祖父ウラーノは、婚約者をあてがったのだ。それが、ヘラだ。
ヘラは見た目は女だが、実際は男だ。アーサーの子に爵位を引き継がせるためには、アーサーが出産しなければならない。かといって、本当の女と結婚しても、子は出来ない。だったら、と婚約者の男を女装させたのだ。
俺がアーサーに出会う前からの付き合いだと聞いている。婚約者ヘラは、女装しているだけで、男だ。だけど、アーサーの婚約者だから、領地では、誰もヘラに話しかけたりしない。だから、ヘラが男だとバレることはなかった。
ヘラは女装させられ、アーサーと婚約することを不満に思っていた。いくら、アーサーの祖父ウラーノに弱味を握られているから、といっても、子どもなんだから、不満を持つ。
だから、アーサーは、ヘラを自由にするためにも、男爵家への借金返済を心待ちにしていた。アーサーは、ヘラとは友達付き合いをしているが、結婚するつもりはなかった。
だけど、うまくいかない。母マイアを失い、祖父ウラーノに見捨てられたアーサーは、屋敷の外にある小屋に閉じ込められた。
「きっと、ヘラが遊びに来て、気づいてくれる」
「そうだな」
ヘラは貴族の学校の長期休暇で、アーサーのもとに遊びに行く約束をしていたのだ。ただ、あの男はバカだから、子爵ネロの嘘に騙されるだろう。その時は、俺が妖精を使って、ヘラに語り掛ければいい、そう考えていた。
ある日、合わない服を着たネロの愛人リサの長男リブロが、手紙を持ってやってきた。
「お前の婚約者が手紙を送ってきたから、俺が代わりに、返事を書いてやったんだよ。そうしたら、こんな返事がきた!!」
リブロは、まだ、文字を読み取るのは下手なようで、拙い言葉で読み上げた。時々、詰まったとしていた。
だが、アーサーを絶望に叩き落すには十分だった。最後まで読み終わったリブロは、ヘラの手紙をアーサーに投げつけた。
アーサーは、ぐしゃぐしゃになったヘラの手紙を綺麗に広げて読んだ。そして、ボロボロと涙を零した。
「学校が楽しいんだな!! 俺も楽しい!!! 伯爵令嬢フローラが、お前のことを聞きたがっていたから、教えてやった。お前は、傲慢で、我儘で、無駄遣いばかりする、最低な奴だってな!!! あははははははは」
リブロは大笑いして、小屋から出ていった。
アーサーは、ヘラの手紙を綺麗に畳んで、胸に抱いた。
「うううう、ああああああ、あああああああああーーーーーーーーー!!!」
「アーサー、俺がずっと守るから、大丈夫だから!!」
そこから、アーサーは少しずつ壊れた。
酷いことは続く。俺とアーサーが閉じ込められた小屋に、俺の子や孫がやってきたのだ。
「一緒に暮らそう!!」
「こんな所にいては、病気になる」
「家族はやっぱり、一緒にいないと」
家族に見捨てられたアーサーを前にして、あいつらは、酷いことを言った。
「煩い!! お前らなんか知らない!!!」
「ほら、アーサー、見ろ。親子鑑定だ」
俺にしがみついて離れないアーサーに、俺の子だという親子鑑定の書類を突きつける。
「あんたの母親は酷いな。愛し合っている子爵様とリサの間を引き裂いて。だけど、罰が当たって、死んだ。神は言ってるんだ!! 正しい親子が一緒になるべきだって!!! アタシたちのものだ。返せ!!!」
気が触れても、アーサーは変わらない。アーサーは俺を手放し、神と妖精、聖域の教えに従い、俺を家族へと差し出すのだ。
「ふざけるな!! 俺を捨てておいて、やっぱり惜しくなったから、と拾った奴に文句をいうのか!!! 俺はアーサーから離れない。お前らなんか、知らん」
「アタシたちに言ったって、無駄だよ。アーサー、この男には、いっぱい、子や孫がいるんだよ!! ちょっと優しくされると、すーぐに言いなりだ。この男は、簡単に裏切るんだよ!!!!」
「あっちいけ!!」
俺はそいつらを追い出した。
振り返れば、アーサーは俺を見て、絶望していた。俺の過去の所業は、見方によっては、確かに、裏切っている。だけど、俺は裏切られたんだ。皆、俺を捨てたんだ。
「アーサー、俺は」
「あ、き、キロン、どうすればいい? どうすれば、キロンは私のものになる? キロンの子をこの腹に宿せばいい?」
気が触れ、絶望して、何もかも失ったアーサーは、神と妖精、聖域の教えを捨てた。
たった一年、一年も、アーサーの監禁は続いた。俺がアーサーを置いて助けを呼べば済んだ話、と見ていた奴らはいうんだ。
最初、俺はアーサーから離されたんだ。その間に、アーサーは死にかけた。それから、離れることが出来なくなった。離れれば、アーサーの身に何をされるかわかったものじゃない。
側にいたって、俺は役立たずだ。体を使って、アーサーを守るしかない。それでも、数の暴力で負ける。人を傷つける魔法を使えば、俺はアーサーから引き離されてしまう。そんな面倒臭い世の理のせいで、アーサーを守り切ることが出来なかった。
だから、俺は領地を呪った。アーサーを追い詰め、苦しめる領地民どもが憎い。今更、血のつながりがあるから、と言って、アーサーを苦しめる、俺の子や孫が許せなかった。
おもしろいことに、領地を呪うのは簡単だった。あの妖精がいっぱいいる禁則地は、抵抗が強くて、なかなか大変だったが、そこ以外は、簡単だ。
そして、大凶作にしてやった。子爵ネロは、皇族御用達である食材を使って、優先する契約なんかとっていたのだ。その違約金が物凄かった。
大失敗による大借金だ。そうなると予想していたアーサーの祖父ウラーノは、やっと子爵家の屋敷にやってきて、アーサーの現状を知った。そして、アーサーだけを保護しようとしたのだ。
「あああああああーーーーーーーーー」
アーサーは俺から離されると、大泣きして、暴れた。
「アーサー、これからは、ずっと一緒にいるから」
婚約者ヘラがアーサーを抱きしめるが、アーサーはそれを拒絶するように暴れた。
やせ細っていても、いざという時は力が出る。手入れされていない爪でヘラの腕をひっかいた。それだけで、ヘラはアーサーを手放してしまった。
「アーサー、大丈夫だから」
俺がアーサーを抱きしめた。アーサーは俺の体に爪をたてた。いつものことだ。血も出るが気にしない。俺はアーサーを強く抱きしめた。そうして、やっとアーサーは落ち着いて、笑顔を見せた。
俺の胸にいながら、アーサーはヘラを振り返った。
「ごめんなさい、ごめんなさい、生まれてきて、ごめんなさい、ごめんなさい」
アーサーは笑顔で謝罪の言葉を繰り返した。
子爵ネロの愛人リサは酷い女だ。何事かあるとアーサーを鞭で打った。痛いんだ、泣くのは当然なんだ。
「泣くな!! お前たちが悪いんだ!!! 泣いたら、アタシが悪いみたいじゃないか!!!!」
そう言って、さらにアーサーを鞭打ったのだ。俺は体を使って、それを防ごうといしたが、人の数が多くて、完璧には出来なかった。
アーサーはそういう日々を繰り返して、とうとう、鞭で打たれても泣かなくなった。俺の腕の中にいて、笑って、謝罪するようになったのだ。それを見て、リサたち親子はアーサーを嘲笑い、満足したのだ。
笑って謝れば、痛いことがされない。そう、アーサーは判断し、それは、助けられた後も続いた。
もう、まともでないアーサーは、俺が側からいなくなると、暴れて、叫んで、手がつけられない。仕方なく、俺と一緒の保護となった。
それから、アーサーの母親の生家で暮らすこととなった。マイアには兄弟姉妹がいた。俺は見たことがあるが、それは、マイアの葬儀の時だけである。それ以外では、なかった。
どういう人なんだろう、なんて観察していたら、まともだった。
「父上の実権は全て奪った。これからは、アーサーをやめてしまえばいい。アーシャとして、ここにずっといればいい」
マイアの兄が、アーサーより低い目線となるように、しゃがんで、アーサーに優しく語り掛けた。
アーサーは、赤ん坊のように、反射で笑った。相手が笑ったから、アーサーも笑ったのだ。
なのに、アーサーの祖父ウラーノは、最低最悪なんだ。
「甘やかして育てるから、こうなるんだ!!」
心を病んでいるアーサーを引っ叩いたのだ。もちろん、アーサーは大泣きして、俺に縋りついた。
「アーサーに何するんだ!!」
「この程度で泣くな!!」
「父上!!」
監視がいたのだろう。報告を受けたマイアの兄は、アーサーが見ている前で、ウラーノを殴った。
「お前、父親に向かって」
「心が病んだ孫を引っ叩いたあんたに言う資格はない!! アーシャには近づくなと言ったのに、また近づいて」
「アーサーだ!!」
「この子は女の子、アーシャだ!! さっさと連れて行け!!!」
激怒して、ウラーノを追い出すマイアの兄。それを見て、聞いて、アーサーは怯え、震え、泣きそうになる。
マイアの兄はすぐ、アーサーよりも低い目線となるためにしゃがみ、優しく笑いかける。
「悪い奴は皆、我々がやっつけてやる。もう、大丈夫だ」
「いやぁ!!」
マイアの兄がアーサーの頭を撫でようと手を伸ばしたが、アーサーは強く拒絶した。殴られると思ったのだ。
だけど、マイアの兄は気にしない。笑っている。アーサーは恐る恐るとマイアの兄を見る。怒鳴られるとアーサーは思ったのだろう。領地では、そうだったからだ。
「すまなかった。怖かったな。もうしない。ここに来て、あまり、食べたり飲んだりしていないな。何が食べたいもの、飲みたいものはあるか?」
「………腐った味がするから、いらない」
「っ!?」
アーサーは、何を食べても飲んでも、全て、腐っていると感じていた。
「アーサー、俺が作るから」
「服、気持ち悪い」
「それも、俺がどうにかする」
「暗いの、怖い」
「ずっと俺が側にいるから。灯りつけっぱなしでも、許してくれる」
「私、失敗作」
「あのクソ親父!!」
また、マイアの兄は怒って、部屋を出ていった。
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