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外伝 アーサーの円卓
皇族失格者のその後
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俺もね、いらないから持ってって、と頼んだよ。同じ父親の兄弟姉妹、甥姪、なんと父親のひ孫までいるんだ。きっと賑やかになって楽しいよ、と俺は差し出した。ごちゃごちゃ言ってる人たちもいたけど、お迎えに来た騎士団の皆さんを見たら、静かになったよ。
これで、辺境の食糧庫も平和になるなー、なんて俺は気楽に考えていた。
「えーと、交換されても」
お忍びでやってきた女帝レオナに俺は口答えする。ここは、きっぱりはっきり言ってやらないといけない。だけど、相手は帝国で一番の権力者だから、俺の首と胴体がお別れしちゃうことになっちゃうから、そこは慎重に言葉を選んだ。
「悪いとは思ってるんだよ。だけど、部屋が足りなくってさー。思ったよりも、いたんだな」
「そりゃ、百年近く生きた妖精憑きが一方的に迫られてたから、そうなるよ」
「アーサーも、家族を優先したいって。だったら、こいつらの家族にお任せしよう、となったわけだ」
「あー、引き取ってもらえなかったんだね」
女帝レオナの後ろには、拘束された、身なりがなかなかいい男女が跪かされていた。
「俺様としても、処刑すればいい、と言ったんだよ。だけど、アーサーが可哀想というから、アーサーにその後を任せたんだ」
「じゃあ、最後まで責任もつように、と育ての親として、叱ってやってよ」
「俺様、アーサーには甘いから」
「だからって、俺に押し付けるのはやめてぇ!!」
このクソ女帝、よりによって、皇族失格者を辺境に押し付けにやってきたんだよ。そんなの、歴代の皇帝様のように、貴族にするなり、平民にするなり、処刑するなり、好きにすればいいじゃん!! あんた、処刑大好きだろう!!! 処刑しろ!!!!
内心では、色々と考えた。だけど、ここで声を大にして叫んでは、俺も処刑されちゃう。運が悪いと、辺境は消し炭だよ。だから、俺は穏便に事を運ぼうと、言葉を選んだ。
皇族失格者の皆さん、ガクブルと震えているよ。そりゃ、このままでは、女帝のうっぷん晴らしの処刑だからな。いいじゃん、上手いよ。ちょっと我慢すれば、一瞬で終わるよ。痛いとも感じないかもしれないから。
皇族失格者の皆さん、処刑のほうが遥かにマシ、だとわかっていないのだ。城の奥で守られて暮らしていた奴らだ。城の外に出たら、すーぐに死ぬよ。しかも、苦しい死だ。
だったら、俺は皇族失格者を女帝レオナに連れて帰ってほしいのだ。
「ほら、可哀想だろう。家族にも友人知人にも見捨てられて」
「いや、それが普通だから」
「こいつら、皇族の儀式の前に、アーサーに言ったんだ。皇族失格になったら処刑だ、と。なのに、こいつらは皇族失格になったんだよ。笑えるだろう」
「じゃあ、処刑で」
俺は遠慮なく言ってやる。途端、絶望に泣き出す皇族失格者。お前らのは自業自得だろう。大人しく処刑されろ。大丈夫、女帝レオナ、上手だから。
俺としては、ぜひぜひ、皇族失格者の皆さんを女帝レオナ直々に処刑してほしい。辺境は、絶対に、合わないよ。死んだほうがいい、という時があるんだ。
「いやー、でも、俺様が処刑したら、アーサーに嫌われちゃうだろう」
「だから、世間というものをアーサー様に教えるんですよ。これでアーサー様も一つ、男らしくなります」
「ここで処刑するよりも、戦争で役立ってもらいたいんだよな。アーサーの盾になってもらう」
「………」
もっと酷いこと言ってるよ、この人!! 女帝レオナ、皇族アーサーには激アマなのに、それ以外には、なんて手厳しいんだろう。
皇族失格者の皆さん、泣き止まない。どっちにしても、死ぬとわかって、絶望しているのだ。
「レオナ、もう一度、妻にぃ」
「貴様、皇族失格者の分際で、私の皇帝を呼び捨てにするとは!!」
すぐに、賢者ラシフが反応した。女帝レオナにすがりついた皇族失格者を魔法で吹き飛ばした。おー、筆頭魔法使いの儀式をしたラシフの魔法が通じるということは、こいつら、本当に、皇族失格なんだな。
実際に、皇族失格者に魔法が通じるのを見て、俺は筆頭魔法使いティーレットを見直した。てっきり、私情で皇族失格にしたんじゃないか、と疑っていた。だって、皇族アーサーをいじめてたんだろう? アーサー大好きな筆頭魔法使いティーレットとしては、黙っていられないよね。
賢者ラシフは、皇族失格者たちを魔法で吹き飛ばした。また、女帝レオナにすがりつかれるのがイヤなんだな。賢者ラシフにとって、女帝レオナは唯一の存在らしい。妖精憑きは、嫉妬深い。レオナに触れられるのもイヤなんだろう。
家族に縋ろうとしたって、そんなこと出来るはずがないのだ。皇族失格者たちは泣くしかない。
「アーレイ、可哀想ですよ」
「しっ! 黙ってて」
子爵様が、見るからに可哀想な皇族失格者たちに同情するが、俺はそれを黙らせた。
だけど、女帝レオナの耳には子爵様の声が届いちゃったんだなー」
「子爵、この憐れな皇族失格者を引き受けてくれるか?」
「アーレイ、引き受けよう。僕だって、ここに引き受けてもらえなかったら、生きていたかどうか」
「………」
子爵様、実は壮絶な過去持ちである。皇族アーシャ並に、不幸なんだよな。だから、見捨てられないのだ。
「アーサー様が、血のつながりのある者たちを城へと連れて行って、人手も減りました。最初は辛いでしょうが、少しずつ、覚えていきましょう。大丈夫です。僕でも出来たことです」
「おお、優しいな!!」
「ちょっと、女帝陛下、向こうで話しましょう」
子爵様と女帝レオナで話を終わらせようとするので、俺は力づくでレオナを引っ張っていった。
「あ、ラシフ様は離れて」
「私の皇帝です」
「女帝陛下、俺、死んだジジイから、あんたの貧民時代の話、聞いてるんだ」
「ラシフ、待てだ」
「っ!?」
女帝レオナ、どうしても賢者ラシフに聞かれてはいけない過去があるんだよな。女帝レオナは、だらだらと汗を流して、俺に従った。暴君レオナも、ラシフには嫌われたくないんだな。
普段から持ち歩いているのだろう。女帝レオナは防音や妖精除けの魔道具を設置して、俺と対面する。
「で、本当のところは、どういうこと? あの皇族失格者どもは、本来、どういう目的で、牢に入れられてたんだ?」
部屋が足りなくなったんじゃない。牢が足りなくなったのだ。
「いや、牢はいっぱいあるんだ。ただ、アーサーは、キロンの愛人ども、その子、孫があまりにもたくさんいたから、そっちのほうに夢中になって、こいつらの声が耳障りになったんだ」
「あんた、どうして、そういう子育て失敗しちゃうんだよ!!」
表には決して出てこない皇族アーサーの本性はとんでもないな。アーシャの復讐もなかなかえぐいと思っていたが、アーサーのことを聞いた後だと、可愛らしくなっちゃうよ。
女帝レオナ、皇族アーサーを筆頭魔法使いティーレットとは真逆に育ててしまったのだ。ティーレットは、甘ったれの子どものような人だ。同じように育てれば、アーサーだって、甘ったれた子どものようになるはずなのに、真逆になったということは、違う育て方をしたのだろう。
「い、いや、俺様は、ティーレットと同じように育てたぞ!! ただ、アーサーは、アーシャに似たんだな」
「………」
「あと、妖精憑きには、こういうことが起こるんだ」
「妖精憑きなのかよ!?」
よりによって、アーサーには絶対に与えてはいけない力だ。そんなものを生まれ持っているということは、妖精の悪い部分にアーサーは引っ張られたのだろう。
妖精は神の使いだから、善だと思われがちだ。そうじゃない。妖精ってのは、本来は残酷なんだ。人なんて、そこら辺の蟻なんだ。知らないうちに踏みつぶしていたな、と見ているだけである。
皇族アーサーは、妖精の感性に引っ張られているのだ。表向きはティーレットの真似をして、泣き虫皇族アーサーを演じているが、実際は人を平気でいたぶる残酷な本性を隠しているのだ。
ただ、皇族アーサーなりに、無実無関係な人にするわけではないのだ。皇族失格者たちは、アーサーに悪態をついたので、それを理由にしているだけである。
皇族アーサーは思ったのだ。皇族失格になったら処刑してやる、と言われたのだから、皇族失格者たちに仕返ししてもいい、と。
同じようなものだ。父キロンの愛人、その子、その孫は、生前のキロンを知っている。だけど、皇族アーサーは死んだとはいえ、父を独り占めにしたいのだ。父の子はアーサーだけでないとけいない。また、父の妻は母アーシャだけでないといけない。それなのに、キロンの愛人、その子、孫は、生前の母アーシャから父キロンを奪おうとした。
『僕だけの父上です』
そんな幻聴が聞こえた。反省しない領地民たちは、皇族アーサーの怒りを買ったのだ。
優先順位は、父の愛人、その子、孫のほうが高く、魅力的だ。皇族失格者は、そこら辺の石ころに見えたから、捨てたのだ。
ただ、捨て方がすごいんだよな。
『私が皇族失格となった場合は、きっと、レオナ義母上が助けてくれます。血のつながりのない家族でも助けてくれます。だったら、血のつながりのある家族が、きっと、彼らを助けるでしょう』
そうなんだろう。女帝レオナは、アーサーが皇族失格となった場合は、処刑をさせない。それどころか、辺境に護衛つきの貴族にするだろう。しかも、筆頭魔法使いティーレットはアーサーのために日参するのだ。
そうして、皇族失格者の処遇は皇族である家族に任せたのだ。
そして、家族は皇族失格者たちを捨てたのだ。仕方なく、辺境に皇族失格者たちが連れて来られたのだ。これも、皇族アーサーの判断だろう。辺境の食糧庫の人手がごっそりと抜けたから、交換として、皇族失格者を辺境に送ったのだ。
頭が痛い。ちょっと離れたとこにいる子爵様を見てみれば、皇族失格者の皆さんを励ましている。あの人、本当に苦労したからな。辺境の子爵として引き取られなければ、あの男は今、生きていない。
「アーレイは、ウラーノから、どこまで聞いてるんだ?」
女帝レオナは、自らの貧民時代の秘密を知りたがった。俺がどこまで知っているかで、今後の対応を考えるのだろう。
「あんたが貧民だった時に産んだ子がどこにいるか、知ってる」
「あのジジイ、よりによって、そんなことを言い残してたのか!?」
「あんたは報酬として、その子の将来を要求したんだから、そうなる」
女帝レオナは元は貧民だ。たまたま、筆頭魔法使いだった頃のラシフが貧民街を視察している所に、皇族であるレオナを見つけたのだ。女帝レオナと賢者ラシフは、そこからずっと、唯一の皇帝と唯一の魔法使いの関係である。
きっと、この二人は、夫婦よりも深い仲なんだろうな。女帝レオナは、父親不明の子が複数いる。さて、その父親は誰だろうか。
女帝レオナが皇族となる前、妊娠出産したのだ。だけど、貧民であるため、育てる自信がなかったレオナは、俺の祖父ウラーノに仕事の報酬として、子の保護を願ったのだ。たかが一貧民のいうことなんだが、ウラーノはレオナには一目おいていたらしく、その願いを引き受け、レオナが産み落とした子を保護したのである。その後に、レオナは皇族となったのだ。
「その子のことは、絶対にラシフにはいうな」
「バレてるでしょうけど」
「どういうことだ!?」
「意外と近い所にいるからだよ」
木を隠すなら森の中という。つまり、レオナが皇族となる前に産み落とした子どもは、たくさんの子どもがいる所で育てられたのだ。
だからといって、孤児院には入れない。孤児院には、貴族の養子養女になることがあるのだ。それが巡り巡って、皇帝の目に止まった時は大変なこととなる。そうならないように、祖父ウラーノは、自らの子の中に隠したのだ。
「力の強い妖精憑きなら、すぐにバレる。今のうちに、きっちりと話をつけたほうがいい」
「簡単にいうな!! あいつは、怒ると面倒臭いんだ。どんなにご機嫌取りをしたって、ここぞという時は聞き入れない。その子はどこにいる? ラシフにバレてるなら、遠くにやるしかない」
「もう、家庭持ちだよ。子も孫もいる。あんたは知らないでいいんだ。下手にあるかどうかわからない気持ちを傾けると、大変なことになるぞ。アーサーを見てみろ。こじれてる」
皇族アーサーの両親は、アーサーが赤ん坊の頃に死んだ。だから、両親の愛情がどれほどのものかわからない。他人からいっぱい、愛情を傾けられても、やっぱり、両親の愛情が欲しいのだ。
だから、両親の愛情を奪ったかもしれない、父の愛人、その子、孫が許せない。
「今回は、こっちもアーサーに面倒な領地民を押し付けた。だから、あの皇族失格者どもは引き受けよう。しかし、今後は、ここに連れて来るな。いいな」
「わかった」
「てっきり、貧民時代の子を殺せというかと思った」
この話をした時、そんな予想をしていたのだ。貧民時代の子なんて、邪魔だろう。実際、今は亡き妖精憑きキロンが手をつけた女たち、その子、孫は、ものすごく面倒だった。懲りないし、反省しないのだ。それを担ぎ上げる身内がいるから、もう、大変だった。
女帝レオナの常識は貧民だ。貧民は容赦がない。我が子だって金に替える。その常識を女帝となっても貫いているのだ。
「俺様だって、女だ。人並の幸福を夢見ていた。しかし、父親はそうじゃなかった。俺様を捨てたんだ。だから、俺様が子どもの父親を殺した」
なかなか、深い話になってきた。そうか、本気だったんだなー。
「そんな奴の子だ。殺したかったさ。だが、それよりも、俺様みたいに親なしで放り投げてやろうと考えたんだ」
「それで、祖父に渡したのか」
「あいつはな、最低最悪な貴族だ。きっと、酷い扱いをすると思った」
「それじゃあ、捨てた子に家族がいるのは、悔しいわけだ」
「………わからん」
こういうのは、母親にしかわからない感情だ。女帝レオナは、父親不明の子がそれなりにいる。子を産んで、過去、捨てた赤ん坊のことを思い出さないわけがない。
女帝レオナに言っていないことがある。祖父ウラーノは、貧民レオナの子を孤児院に一度は預けたのだ。しかし、レオナが貧民に発現した皇族だとわかった途端、ウラーノは孤児院に預けた子を引き取り、我が子として育てたのである。丁度、ウラーノの子が一人、死産だったから、そこを取り替えたのだ。
死産であることを知る者はウラーノ、ウラーノの妻、子を取り上げた医師の三人だ。ウラーノの子どもたちも知らされなかった。随分と成長した赤ん坊なので、さすがにバレると思ったウラーノは、病気がちだから、と一年間、隠して育てたのだ。そうして、違和感がなくなった頃に、平然とウラーノはその赤ん坊を表に出したのだ。
どの子なのか、俺は永遠に口を噤むことにした。女帝レオナは、一生涯、知らないほうがいい真実だからだ。
交渉と雑談が終わったので、女帝レオナは賢者ラシフの元に戻った。ラシフは、とても不機嫌そうに、レオナに背を向けていた。
女帝ご一行は、皇族失格者を置いて、さっさと王都へと戻って行った。もう二度と来るなよ、と俺は祈ったんだけど、また、来るだろうな。
別れる間際に、女帝レオナは、皇族アーサーからの手紙を俺に渡してくれた。忘れてたんだって。本当に、俺の存在って、手紙一つも忘れ去られちゃうんだね!!
俺は、辺境のごたごたを片づける密命を受けてからずっと、子爵家の屋敷に居候している。ほら、一応、俺は貴族だし、アーシャの親戚だから、立場的には、子爵様と同列なんだよ。騎士って、騎士爵と一代限りの爵位持ち貴族扱いなんだよね。序列は子爵のほうが上だけど、爵位持ちは爵位持ち。そこら辺の貴族の子息令嬢よりは上なんだ。
そういう事情から、俺は子爵家の屋敷に居候している。別邸は、色々とあって、今は土台しか残っていない。別邸を使って、今の屋敷を立て直したんだよ。すぐ側に、使えそうな材料があるから、節約だよ、節約。帝国が資金を出してくれたけど、後で何言われるかわからないし、あの別邸の隠し通路とかはどうなっているかわからないから、残しておくほうが危険だった。
なかなかいい私室で、俺は女帝レオナからお土産で貰った酒を飲んで、皇族アーサーからの手紙の封をきった。
お元気でしょうか、アーレイ。
孤独な僕に、家族を送ってくれて、ありがとうございます。あんなにたくさんいるなんて、驚きました。きっと、僕が城の奥で、両親を失って寂しい思いをする未来を知った父が、僕のために残してくれたのでしょう。なんと、母と同い年の腹違いの姉までいました。母も生きていたら、こんな感じだったのでしょうね、と楽しく話しました。
可哀想な皇族失格者を押し付けてしまって、すみません。城の外では、頼る人はたくさんいますが、僕のことを悪くいった皇族失格者のことを処刑しろ、というばかりでした。だけど、きっと、アーレイはそんなこと言わないと思って、皇族失格者をお願いしました。この手紙を読んでいる、ということは、引き受けてくれたのですね。ありがとうございます。
本当は、憐れな皇族失格者を僕が責任を持って引き受けたかったです。だけど、僕が抱えらる人は限られています。どうしようかと悩んでいた時、アーレイのことを思い出しました。十数年かけて、ただ、女帝の密命というだけで、母が滅茶苦茶にした辺境の食糧庫の問題を解決したアーレイであれば、きっと、この憐れな皇族失格者たちのことも、どうにかしてくれると考えました。
皇族失格者の中には、僕が皇族失格となったら処刑する、といった人たちもいます。だけど、ほとんどの皇族失格者は、僕のことなんて、視界にも入れなかった人たちです。
周囲がいうほど、僕のことを気にしている人はいない。ただ、一部が声を大きくしていうから、僕を大事に思っている人たちには、僕は蔑まれている、と見えてしまっただけだ。
アーレイは遠い辺境にいます。僕の周囲の声は届いていないでしょう。だから、偏見なく、彼らを見れるはずです。
どうか、もう一度、やり直す機会を与えてあげてください。
本当は、アーレイも側に居て欲しい。だけど、アーレイの意思を捻じ曲げたくない。一人だけでも、そういう人がいたほうが、きっと、僕にとってはいい事なんだ。そう思う。だけど、このまま疎遠なのは悲しい。
母とフローラみたいに、文通で繋がりたいです。男同士で気持ち悪い事を言っている、とわかっています。だけど、僕だけは、アーレイのことをしっかり覚えていたい。
返事がなくても、また、書きます。
これで、辺境の食糧庫も平和になるなー、なんて俺は気楽に考えていた。
「えーと、交換されても」
お忍びでやってきた女帝レオナに俺は口答えする。ここは、きっぱりはっきり言ってやらないといけない。だけど、相手は帝国で一番の権力者だから、俺の首と胴体がお別れしちゃうことになっちゃうから、そこは慎重に言葉を選んだ。
「悪いとは思ってるんだよ。だけど、部屋が足りなくってさー。思ったよりも、いたんだな」
「そりゃ、百年近く生きた妖精憑きが一方的に迫られてたから、そうなるよ」
「アーサーも、家族を優先したいって。だったら、こいつらの家族にお任せしよう、となったわけだ」
「あー、引き取ってもらえなかったんだね」
女帝レオナの後ろには、拘束された、身なりがなかなかいい男女が跪かされていた。
「俺様としても、処刑すればいい、と言ったんだよ。だけど、アーサーが可哀想というから、アーサーにその後を任せたんだ」
「じゃあ、最後まで責任もつように、と育ての親として、叱ってやってよ」
「俺様、アーサーには甘いから」
「だからって、俺に押し付けるのはやめてぇ!!」
このクソ女帝、よりによって、皇族失格者を辺境に押し付けにやってきたんだよ。そんなの、歴代の皇帝様のように、貴族にするなり、平民にするなり、処刑するなり、好きにすればいいじゃん!! あんた、処刑大好きだろう!!! 処刑しろ!!!!
内心では、色々と考えた。だけど、ここで声を大にして叫んでは、俺も処刑されちゃう。運が悪いと、辺境は消し炭だよ。だから、俺は穏便に事を運ぼうと、言葉を選んだ。
皇族失格者の皆さん、ガクブルと震えているよ。そりゃ、このままでは、女帝のうっぷん晴らしの処刑だからな。いいじゃん、上手いよ。ちょっと我慢すれば、一瞬で終わるよ。痛いとも感じないかもしれないから。
皇族失格者の皆さん、処刑のほうが遥かにマシ、だとわかっていないのだ。城の奥で守られて暮らしていた奴らだ。城の外に出たら、すーぐに死ぬよ。しかも、苦しい死だ。
だったら、俺は皇族失格者を女帝レオナに連れて帰ってほしいのだ。
「ほら、可哀想だろう。家族にも友人知人にも見捨てられて」
「いや、それが普通だから」
「こいつら、皇族の儀式の前に、アーサーに言ったんだ。皇族失格になったら処刑だ、と。なのに、こいつらは皇族失格になったんだよ。笑えるだろう」
「じゃあ、処刑で」
俺は遠慮なく言ってやる。途端、絶望に泣き出す皇族失格者。お前らのは自業自得だろう。大人しく処刑されろ。大丈夫、女帝レオナ、上手だから。
俺としては、ぜひぜひ、皇族失格者の皆さんを女帝レオナ直々に処刑してほしい。辺境は、絶対に、合わないよ。死んだほうがいい、という時があるんだ。
「いやー、でも、俺様が処刑したら、アーサーに嫌われちゃうだろう」
「だから、世間というものをアーサー様に教えるんですよ。これでアーサー様も一つ、男らしくなります」
「ここで処刑するよりも、戦争で役立ってもらいたいんだよな。アーサーの盾になってもらう」
「………」
もっと酷いこと言ってるよ、この人!! 女帝レオナ、皇族アーサーには激アマなのに、それ以外には、なんて手厳しいんだろう。
皇族失格者の皆さん、泣き止まない。どっちにしても、死ぬとわかって、絶望しているのだ。
「レオナ、もう一度、妻にぃ」
「貴様、皇族失格者の分際で、私の皇帝を呼び捨てにするとは!!」
すぐに、賢者ラシフが反応した。女帝レオナにすがりついた皇族失格者を魔法で吹き飛ばした。おー、筆頭魔法使いの儀式をしたラシフの魔法が通じるということは、こいつら、本当に、皇族失格なんだな。
実際に、皇族失格者に魔法が通じるのを見て、俺は筆頭魔法使いティーレットを見直した。てっきり、私情で皇族失格にしたんじゃないか、と疑っていた。だって、皇族アーサーをいじめてたんだろう? アーサー大好きな筆頭魔法使いティーレットとしては、黙っていられないよね。
賢者ラシフは、皇族失格者たちを魔法で吹き飛ばした。また、女帝レオナにすがりつかれるのがイヤなんだな。賢者ラシフにとって、女帝レオナは唯一の存在らしい。妖精憑きは、嫉妬深い。レオナに触れられるのもイヤなんだろう。
家族に縋ろうとしたって、そんなこと出来るはずがないのだ。皇族失格者たちは泣くしかない。
「アーレイ、可哀想ですよ」
「しっ! 黙ってて」
子爵様が、見るからに可哀想な皇族失格者たちに同情するが、俺はそれを黙らせた。
だけど、女帝レオナの耳には子爵様の声が届いちゃったんだなー」
「子爵、この憐れな皇族失格者を引き受けてくれるか?」
「アーレイ、引き受けよう。僕だって、ここに引き受けてもらえなかったら、生きていたかどうか」
「………」
子爵様、実は壮絶な過去持ちである。皇族アーシャ並に、不幸なんだよな。だから、見捨てられないのだ。
「アーサー様が、血のつながりのある者たちを城へと連れて行って、人手も減りました。最初は辛いでしょうが、少しずつ、覚えていきましょう。大丈夫です。僕でも出来たことです」
「おお、優しいな!!」
「ちょっと、女帝陛下、向こうで話しましょう」
子爵様と女帝レオナで話を終わらせようとするので、俺は力づくでレオナを引っ張っていった。
「あ、ラシフ様は離れて」
「私の皇帝です」
「女帝陛下、俺、死んだジジイから、あんたの貧民時代の話、聞いてるんだ」
「ラシフ、待てだ」
「っ!?」
女帝レオナ、どうしても賢者ラシフに聞かれてはいけない過去があるんだよな。女帝レオナは、だらだらと汗を流して、俺に従った。暴君レオナも、ラシフには嫌われたくないんだな。
普段から持ち歩いているのだろう。女帝レオナは防音や妖精除けの魔道具を設置して、俺と対面する。
「で、本当のところは、どういうこと? あの皇族失格者どもは、本来、どういう目的で、牢に入れられてたんだ?」
部屋が足りなくなったんじゃない。牢が足りなくなったのだ。
「いや、牢はいっぱいあるんだ。ただ、アーサーは、キロンの愛人ども、その子、孫があまりにもたくさんいたから、そっちのほうに夢中になって、こいつらの声が耳障りになったんだ」
「あんた、どうして、そういう子育て失敗しちゃうんだよ!!」
表には決して出てこない皇族アーサーの本性はとんでもないな。アーシャの復讐もなかなかえぐいと思っていたが、アーサーのことを聞いた後だと、可愛らしくなっちゃうよ。
女帝レオナ、皇族アーサーを筆頭魔法使いティーレットとは真逆に育ててしまったのだ。ティーレットは、甘ったれの子どものような人だ。同じように育てれば、アーサーだって、甘ったれた子どものようになるはずなのに、真逆になったということは、違う育て方をしたのだろう。
「い、いや、俺様は、ティーレットと同じように育てたぞ!! ただ、アーサーは、アーシャに似たんだな」
「………」
「あと、妖精憑きには、こういうことが起こるんだ」
「妖精憑きなのかよ!?」
よりによって、アーサーには絶対に与えてはいけない力だ。そんなものを生まれ持っているということは、妖精の悪い部分にアーサーは引っ張られたのだろう。
妖精は神の使いだから、善だと思われがちだ。そうじゃない。妖精ってのは、本来は残酷なんだ。人なんて、そこら辺の蟻なんだ。知らないうちに踏みつぶしていたな、と見ているだけである。
皇族アーサーは、妖精の感性に引っ張られているのだ。表向きはティーレットの真似をして、泣き虫皇族アーサーを演じているが、実際は人を平気でいたぶる残酷な本性を隠しているのだ。
ただ、皇族アーサーなりに、無実無関係な人にするわけではないのだ。皇族失格者たちは、アーサーに悪態をついたので、それを理由にしているだけである。
皇族アーサーは思ったのだ。皇族失格になったら処刑してやる、と言われたのだから、皇族失格者たちに仕返ししてもいい、と。
同じようなものだ。父キロンの愛人、その子、その孫は、生前のキロンを知っている。だけど、皇族アーサーは死んだとはいえ、父を独り占めにしたいのだ。父の子はアーサーだけでないとけいない。また、父の妻は母アーシャだけでないといけない。それなのに、キロンの愛人、その子、孫は、生前の母アーシャから父キロンを奪おうとした。
『僕だけの父上です』
そんな幻聴が聞こえた。反省しない領地民たちは、皇族アーサーの怒りを買ったのだ。
優先順位は、父の愛人、その子、孫のほうが高く、魅力的だ。皇族失格者は、そこら辺の石ころに見えたから、捨てたのだ。
ただ、捨て方がすごいんだよな。
『私が皇族失格となった場合は、きっと、レオナ義母上が助けてくれます。血のつながりのない家族でも助けてくれます。だったら、血のつながりのある家族が、きっと、彼らを助けるでしょう』
そうなんだろう。女帝レオナは、アーサーが皇族失格となった場合は、処刑をさせない。それどころか、辺境に護衛つきの貴族にするだろう。しかも、筆頭魔法使いティーレットはアーサーのために日参するのだ。
そうして、皇族失格者の処遇は皇族である家族に任せたのだ。
そして、家族は皇族失格者たちを捨てたのだ。仕方なく、辺境に皇族失格者たちが連れて来られたのだ。これも、皇族アーサーの判断だろう。辺境の食糧庫の人手がごっそりと抜けたから、交換として、皇族失格者を辺境に送ったのだ。
頭が痛い。ちょっと離れたとこにいる子爵様を見てみれば、皇族失格者の皆さんを励ましている。あの人、本当に苦労したからな。辺境の子爵として引き取られなければ、あの男は今、生きていない。
「アーレイは、ウラーノから、どこまで聞いてるんだ?」
女帝レオナは、自らの貧民時代の秘密を知りたがった。俺がどこまで知っているかで、今後の対応を考えるのだろう。
「あんたが貧民だった時に産んだ子がどこにいるか、知ってる」
「あのジジイ、よりによって、そんなことを言い残してたのか!?」
「あんたは報酬として、その子の将来を要求したんだから、そうなる」
女帝レオナは元は貧民だ。たまたま、筆頭魔法使いだった頃のラシフが貧民街を視察している所に、皇族であるレオナを見つけたのだ。女帝レオナと賢者ラシフは、そこからずっと、唯一の皇帝と唯一の魔法使いの関係である。
きっと、この二人は、夫婦よりも深い仲なんだろうな。女帝レオナは、父親不明の子が複数いる。さて、その父親は誰だろうか。
女帝レオナが皇族となる前、妊娠出産したのだ。だけど、貧民であるため、育てる自信がなかったレオナは、俺の祖父ウラーノに仕事の報酬として、子の保護を願ったのだ。たかが一貧民のいうことなんだが、ウラーノはレオナには一目おいていたらしく、その願いを引き受け、レオナが産み落とした子を保護したのである。その後に、レオナは皇族となったのだ。
「その子のことは、絶対にラシフにはいうな」
「バレてるでしょうけど」
「どういうことだ!?」
「意外と近い所にいるからだよ」
木を隠すなら森の中という。つまり、レオナが皇族となる前に産み落とした子どもは、たくさんの子どもがいる所で育てられたのだ。
だからといって、孤児院には入れない。孤児院には、貴族の養子養女になることがあるのだ。それが巡り巡って、皇帝の目に止まった時は大変なこととなる。そうならないように、祖父ウラーノは、自らの子の中に隠したのだ。
「力の強い妖精憑きなら、すぐにバレる。今のうちに、きっちりと話をつけたほうがいい」
「簡単にいうな!! あいつは、怒ると面倒臭いんだ。どんなにご機嫌取りをしたって、ここぞという時は聞き入れない。その子はどこにいる? ラシフにバレてるなら、遠くにやるしかない」
「もう、家庭持ちだよ。子も孫もいる。あんたは知らないでいいんだ。下手にあるかどうかわからない気持ちを傾けると、大変なことになるぞ。アーサーを見てみろ。こじれてる」
皇族アーサーの両親は、アーサーが赤ん坊の頃に死んだ。だから、両親の愛情がどれほどのものかわからない。他人からいっぱい、愛情を傾けられても、やっぱり、両親の愛情が欲しいのだ。
だから、両親の愛情を奪ったかもしれない、父の愛人、その子、孫が許せない。
「今回は、こっちもアーサーに面倒な領地民を押し付けた。だから、あの皇族失格者どもは引き受けよう。しかし、今後は、ここに連れて来るな。いいな」
「わかった」
「てっきり、貧民時代の子を殺せというかと思った」
この話をした時、そんな予想をしていたのだ。貧民時代の子なんて、邪魔だろう。実際、今は亡き妖精憑きキロンが手をつけた女たち、その子、孫は、ものすごく面倒だった。懲りないし、反省しないのだ。それを担ぎ上げる身内がいるから、もう、大変だった。
女帝レオナの常識は貧民だ。貧民は容赦がない。我が子だって金に替える。その常識を女帝となっても貫いているのだ。
「俺様だって、女だ。人並の幸福を夢見ていた。しかし、父親はそうじゃなかった。俺様を捨てたんだ。だから、俺様が子どもの父親を殺した」
なかなか、深い話になってきた。そうか、本気だったんだなー。
「そんな奴の子だ。殺したかったさ。だが、それよりも、俺様みたいに親なしで放り投げてやろうと考えたんだ」
「それで、祖父に渡したのか」
「あいつはな、最低最悪な貴族だ。きっと、酷い扱いをすると思った」
「それじゃあ、捨てた子に家族がいるのは、悔しいわけだ」
「………わからん」
こういうのは、母親にしかわからない感情だ。女帝レオナは、父親不明の子がそれなりにいる。子を産んで、過去、捨てた赤ん坊のことを思い出さないわけがない。
女帝レオナに言っていないことがある。祖父ウラーノは、貧民レオナの子を孤児院に一度は預けたのだ。しかし、レオナが貧民に発現した皇族だとわかった途端、ウラーノは孤児院に預けた子を引き取り、我が子として育てたのである。丁度、ウラーノの子が一人、死産だったから、そこを取り替えたのだ。
死産であることを知る者はウラーノ、ウラーノの妻、子を取り上げた医師の三人だ。ウラーノの子どもたちも知らされなかった。随分と成長した赤ん坊なので、さすがにバレると思ったウラーノは、病気がちだから、と一年間、隠して育てたのだ。そうして、違和感がなくなった頃に、平然とウラーノはその赤ん坊を表に出したのだ。
どの子なのか、俺は永遠に口を噤むことにした。女帝レオナは、一生涯、知らないほうがいい真実だからだ。
交渉と雑談が終わったので、女帝レオナは賢者ラシフの元に戻った。ラシフは、とても不機嫌そうに、レオナに背を向けていた。
女帝ご一行は、皇族失格者を置いて、さっさと王都へと戻って行った。もう二度と来るなよ、と俺は祈ったんだけど、また、来るだろうな。
別れる間際に、女帝レオナは、皇族アーサーからの手紙を俺に渡してくれた。忘れてたんだって。本当に、俺の存在って、手紙一つも忘れ去られちゃうんだね!!
俺は、辺境のごたごたを片づける密命を受けてからずっと、子爵家の屋敷に居候している。ほら、一応、俺は貴族だし、アーシャの親戚だから、立場的には、子爵様と同列なんだよ。騎士って、騎士爵と一代限りの爵位持ち貴族扱いなんだよね。序列は子爵のほうが上だけど、爵位持ちは爵位持ち。そこら辺の貴族の子息令嬢よりは上なんだ。
そういう事情から、俺は子爵家の屋敷に居候している。別邸は、色々とあって、今は土台しか残っていない。別邸を使って、今の屋敷を立て直したんだよ。すぐ側に、使えそうな材料があるから、節約だよ、節約。帝国が資金を出してくれたけど、後で何言われるかわからないし、あの別邸の隠し通路とかはどうなっているかわからないから、残しておくほうが危険だった。
なかなかいい私室で、俺は女帝レオナからお土産で貰った酒を飲んで、皇族アーサーからの手紙の封をきった。
お元気でしょうか、アーレイ。
孤独な僕に、家族を送ってくれて、ありがとうございます。あんなにたくさんいるなんて、驚きました。きっと、僕が城の奥で、両親を失って寂しい思いをする未来を知った父が、僕のために残してくれたのでしょう。なんと、母と同い年の腹違いの姉までいました。母も生きていたら、こんな感じだったのでしょうね、と楽しく話しました。
可哀想な皇族失格者を押し付けてしまって、すみません。城の外では、頼る人はたくさんいますが、僕のことを悪くいった皇族失格者のことを処刑しろ、というばかりでした。だけど、きっと、アーレイはそんなこと言わないと思って、皇族失格者をお願いしました。この手紙を読んでいる、ということは、引き受けてくれたのですね。ありがとうございます。
本当は、憐れな皇族失格者を僕が責任を持って引き受けたかったです。だけど、僕が抱えらる人は限られています。どうしようかと悩んでいた時、アーレイのことを思い出しました。十数年かけて、ただ、女帝の密命というだけで、母が滅茶苦茶にした辺境の食糧庫の問題を解決したアーレイであれば、きっと、この憐れな皇族失格者たちのことも、どうにかしてくれると考えました。
皇族失格者の中には、僕が皇族失格となったら処刑する、といった人たちもいます。だけど、ほとんどの皇族失格者は、僕のことなんて、視界にも入れなかった人たちです。
周囲がいうほど、僕のことを気にしている人はいない。ただ、一部が声を大きくしていうから、僕を大事に思っている人たちには、僕は蔑まれている、と見えてしまっただけだ。
アーレイは遠い辺境にいます。僕の周囲の声は届いていないでしょう。だから、偏見なく、彼らを見れるはずです。
どうか、もう一度、やり直す機会を与えてあげてください。
本当は、アーレイも側に居て欲しい。だけど、アーレイの意思を捻じ曲げたくない。一人だけでも、そういう人がいたほうが、きっと、僕にとってはいい事なんだ。そう思う。だけど、このまま疎遠なのは悲しい。
母とフローラみたいに、文通で繋がりたいです。男同士で気持ち悪い事を言っている、とわかっています。だけど、僕だけは、アーレイのことをしっかり覚えていたい。
返事がなくても、また、書きます。
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