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外伝 凶星の申し子と妖精殺しの蜜月
理想
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可愛いアーシャだ。もう、アーサーをやめて、何もかも捨てて、アーシャとなって、やっと、自由に領地の外に飛び出した。だけど、体調が悪くて、こっそりと、領地にある禁則地に行ったのだ。
妖精たちは、大喜びだ。アーシャが禁則地にやってきて、最高級のおもてなしとばかりに、神の恵みを実らせた。
アーシャが食べたがっていたから、仕方なく、俺が収穫した。神の恵み、これっぽっちも変化しなかった。変なの。俺は、生まれた時から悪だというのに。
俺はこれまで、神の恵みの収穫をしなかった。俺の行いは最悪だ。それをアーシャに知られたくなくて、色々と理由をつけては、神の恵みの収穫を逃れてきた。
腐ると思ったんだ。腐って、いかに俺が穢れているか、と自覚したかった。なのに、神の恵みは腐りもしなかった。試しに食べてみれば、アーシャが収穫した時みたいに、瑞々しく、甘い。
「どうなんてるんだ、これ」
わからない。俺は、この禁則地を滅ぼそうとまでしたのに。
「ん、キロン、いい匂い」
アーシャは、美味しいと感じる匂いに、目を覚ました。慌てて、俺はアーシャの元に戻った。
「これ、キロンが収穫したの?」
一口食べて、今更、アーシャはその事に気づいた。
「試してみたら、こうなった。変な味しない?」
「美味しい!! キロンは、やっぱり、特別な妖精憑きなんだね。だって、賢者ラシフ様よりも強いって聞いた。百年の才よりも上ということは、キロンも、何かすごいのなんだね」
「よくわからん」
俺は誤魔化した。本当のことを言ったら、きっと、アーシャに嫌われる。それが怖くて、どうしても言えなかった。
俺は、一万年に一人、誕生するかどうか、神が帝国に与える試練、凶星の申し子だ。俺が、帝国を滅ぼす妖精憑きだと知ったのは、実は、アーサーと出会ってからである。俺が持つ、最強の妖精たちは、アーサーと出会った日からしばらく、いなくなったのだ。その最強の妖精たちと再会したのは、アーサーが屋敷の外にある小屋に監禁され、そこから救出されてすぐだった。俺は、アーサーを虐めるネロたちと領地民たちを苦しめるために領地を呪った。その悪行が、俺の最強の妖精たちに力を与えたというのだ。
そして、俺は、関わる者全ての運命を捻じ曲げてしまう凶星の申し子であることを最強の妖精たちに教えられた。その実力は、千年に一人必ず誕生する化け物妖精憑きと同格だという。
だから、俺は、千年の才能持ちである筆頭魔法使いティーレットに負けなかった。勝てたわけではない。負けなかっただけだ。
俺のせいで、アーサーは不幸になったかもしれない。本当はどうなのか、わからない。
だけど、俺はアーサーに俺が凶星の申し子であることは言えなかった。これは、ずっと隠し通すしかない。
アーシャは俺が収穫した神の恵みを美味しい美味しいと食べた。ずっと、笑顔のアーシャを見ていたい。
「キロン、ほら、いつもみたいに、膝に座らせて」
「あ、ああ」
言われて、俺は動いた。ずっと、草の上で横にされていて、アーシャ、辛かったのかもしれない。
いつものように、俺はアーシャを膝に乗せて、後ろから抱きしめた。
「やっぱり、キロンとくっつくと、安心するね」
「そうか」
「元気ないね。何かあった?」
「俺………その、うん」
俺の隠していること、思い切って、アーシャに言おうとしたけど、言えなかった。どうしても、嫌われるのが怖かった。
アーシャは俺の顔色を伺う。俺に嫌われたくなくて、捨てられたくなくて、アーシャはよく、そうしていた。
それも、俺がアーシャの初めてを貰ってから、落ち着いたように見えたんだけど、そうじゃなかった。不安なんだ。
「キロン、もしかして、子ども、嫌い?」
「ん? どうして?」
俺では想像つかないことをアーシャは悩んでいるようだ。だけど、その内容が、俺にはよくわからない。
アーシャは視線を泳がせる。言っていいかどうか、アーシャは迷っていた。
「アーシャ、ほら、言って。怒ったりしないから。きっと、それ、俺が直さないといけない、悪い部分だよ」
アーシャに嫌われるかもしれないことだ。だから、俺はどうしても聞きたかった。
アーシャはぺったんこのお腹を撫でた。
「だって、キロンは、子や孫が名乗り出ても、不機嫌になるから。我が子に孫じゃないか」
「知らないうちに出来てたな。俺は、よくわからないままに、閨事していた」
実は、閨事が子作りであると自覚したのは、辺境の教皇フーリードに一般常識を教えられてからだ。それまでは、小屋で俺が言われるままにしていたことが、どういうことなのか、理解していなかった。
「俺、これが子作りだとわかっていてやったの、アーシャが初めてなんだ。だから、アーシャとは、子作りなんだ。だけど、それ以前は、ただ、命じられてただけ。子作りじゃない」
「そ、そうなの?」
「言っただろう。他はどうだっていい。子や孫なんて言われたって、俺は知らない。責任とれと言われたって、勝手にやったことだろう。俺と縁切りするように、怖い大人たちが、俺を殴る蹴るしたんだ。それから、小屋には来なかった。それの繰り返しだ」
「………気持ち悪い」
俺の答えが良くなかったのだろう。アーシャは悩み過ぎて、吐き出した。ただでさえ、細いというのに、アーシャはどんどんと細くなってきた。その上、吐き戻すのだから、何か病気じゃないか、と俺は疑った。
アーシャは妖精の魔法が届かない。だから、アーシャの体調を診るだけでも、俺は寿命を使うこととなる。俺はアーシャを長く生かすためには必要なことだ。
「あれ? 子ども?」
妖精の魔法が届かないから、気づかなかった。妖精すら、アーシャの体がどうなっているか、わからなかっただろう。
「何? 子どもって」
「アーシャ、妊娠してる。良かった、病気じゃなくって」
「に、妊娠? そんな。だって、私、月の物が始まったのって、つい最近だよ」
「ちょっと、やり過ぎたな、俺が」
俺は、アーシャの全てを俺のものに出来たことが嬉しくて、我慢できなくなった。アーシャがやせ細ってきた時は、俺のせいだな、なんて反省したが、止まらなかった。
アーシャは、呆然となって、お腹を撫でた。撫でたって、膨らむのは、まだまだ先だ。
「ここに、赤ちゃん?」
「そうだな」
だけど、ここからが大変だ。簡単に喜んでいられない。
アーシャは、妖精憑きの寿命を奪って生きている。今は、俺の寿命でアーシャを生かしているのだ。だけど、赤ん坊を産むためには、もっと寿命が必要になる。
どちらかを選ばなければならない。だけど、俺はアーシャを選んでいた。
「キロンの赤ちゃん、やった、これで、キロンは私のものだ!!」
大喜びするアーシャ。アーシャは、まだ、生まれてもいない赤ん坊を産もうとしていた。
身重のアーシャのことが心配で、大事にした。それは、禁則地にいる妖精たちもだ。
禁則地に、アーシャのための家が建てられた。その中には、アーシャが快適に過ごせるように、色々な物が作り、置かれた。
俺も、転移の魔道具を使って、必要なものを買ってきては、家に運び込んだ。
人二人が過ごすには、それなりの大きさだ。気が早いと言われそうだが、赤ん坊のベッドまで置かれた。さらに、子ども部屋まで作られた。もう、ちょっとした屋敷だな。
「少しは歩かないと」
「ほら、手をつなごう」
「もう、そう言って、すぐ抱き上げるから」
「お腹、大きくなってきたから、心配なんだよ」
妊婦を見るのは初めてだから、俺は心配でならない。
過去、俺の無責任な行為によって誕生した子や孫を見ても、俺は何も感じなかった。血のつながりは感じる。だけど、それだけだ。
アーシャのお腹にいる赤ん坊は、繋がり以上のものを感じた。
アーシャが妊娠した、と知った時は、赤ん坊を見捨てよう、なんて俺は考えていた。なのに、日に日に大きくなっていくお腹を見ていくと、妙な感情が湧き出てきた。
「キロン、赤ちゃん、抱っこしてくださいね」
「するする」
「肩車もしてあげてください」
「そこまで、生きてたら、絶対にする」
「手を繋いで一緒に歩きましょう」
「生きていたら、絶対にする」
俺は嘘はつかない。アーシャが願うこと全て、叶えられるわけではない。
俺もアーシャも、赤ん坊が寝返り出来る事まで生きていればいいところだ。それほど、出産は、大変なんだ。命を作り出す。俺の寿命は赤ん坊の命を作り出すために、どんどんと消費されている。アーシャには、赤ん坊の命を育むことが出来ないからだ。そのことをアーシャは知らない。俺も教えない。
少し歩けば、すぐ、アーシャは疲れて座り込んだ。それでも、満足するようで、禁則地の風景を見回して、笑顔を見せた。
「綺麗だね。夢の世界みたい」
「ど田舎だけどな」
「………もう、王都のことは、覚えてないな。数日だけ、いただけだし」
「赤ん坊が生まれて、落ち着いたら、一緒に行こう。ティーレットが喜ぶぞ。ついでに、観光だ!!」
「キロンは、行きたいところ、ある?」
「アーシャが行きたいところなら、行ってみたい。ほら、いっぱい本を買ってきた」
俺は、アーシャを元気つけるために、観光関係の本を仕入れてきた。アーシャは、起きているか、眠っているかだ。起きていても、赤ん坊に色々なものを吸われているみたいに、何か出来るというわけではない。
アーシャは、いつものように俺の膝に座って、俺が取り出した本を受け取って、ペラペラとめくった。
「今から、じっくり決めよう」
「私、別に、帝国を見て回りたいなんて、思ったことない」
「でも、アーシャ、旅をしたいって」
「あの領地を出たかっただけ。出るということは、旅でしょう。でも、どこかに行きたいなんて、考えてもいない」
「だから、今からこうやって、本を見て」
「手紙を書きたい。キロン、紙を仕入れてきて。上等なのがいい」
「わかった。どれくらい?」
「いっぱいいる。書き直すかもしれないから、千枚くらいあればいいかなー」
「どんだけいっぱい書くんだよ!!」
「その手紙を配達しながら、帝国を回るんだよ。だから、いっぱい書く」
「そうか!!」
アーシャは、理由をつけて、旅に出ることにした。その理由が、手紙だ。
アーシャは手紙を書くのが好きだ。伯爵令嬢フローラと文通友達となった時も、かなりの頻度で手紙を送りあっていた。元婚約者ヘリオスには、手紙だけでなく、何かの折の贈り物まで送っていたのだ。領地関係でも、丁寧な書類を作って、綺麗な字でお礼状を書いて、とともかく筆まめだ。あんなに書いて、大変だろうに、と見ていたが、アーシャは楽しんでいた。
俺は王都に行って、色々な種類の紙を仕入れた。千枚はちょっと無理だった。百枚だって、普通の店では在庫を抱えていない。そういうものは、貴族様御用達である。
俺みたいに、いかにも怪しい男が入店できる店は限られている。そこで、平民向けの紙を買ってくるしかなかった。
「やっぱり、こういうのが限界だよね」
アーシャ、平民向けの紙は気に入らないようだ。そういうところは、やはり、貴族だな。見る目がある。
「なあ、いっそのこと、俺が作ったほうがいいんじゃないか?」
「作れるの!?」
「そりゃ、材料はあるしな」
禁則地なんて、材料の宝庫だ。アーシャが望む紙を作れるだろう。
作る、なんて考えてすらいなかったアーシャは買ってきた紙を見て悩んだ。そして、何か思いついたように、笑顔になる。
「いや、これにしよう。私とキロンは、お忍びなんだ。こういう紙を使って書くほうが、正しい。こういうのは、拘らないと」
アーシャは、今の状況にあう紙として、買ってきた紙を使うと決めた。
出産前から書き始めた手紙は、出産後まで書き続けていた。その数もすごいが、宛先には、俺は呆れた。
「父親に、あのリサ親子にまで書いたのか」
「私からの情けは、これで最後ですよ。読まないで破り捨てられるでしょうけど」
「そうだな」
「リサ、字の読み書きが出来ませんからね。絶対に破り捨てます」
「なんだ、あいつ、読み書き出来ないのか!!」
笑った。だって、あいつの父親である領主代行は、読み書きどころか、きちんとした書類だって作れたんだ。領地運営において、役所とかに提出する書類も、領主代行が作っていたのだ。
なのに、領主代行一族であったリサは、読み書きすら出来ないという。
「一族全部、根絶やしにしていて、領主代行なんて最後、名乗ってたけど、名前だけで、なんにも出来ないのかよ。どうしようもないな」
「リブロとエリザにやらせればいいことです。リサは、大きな事を大声でいうけど、実は、何も出来ない女なんです。家事も出来ない、字の読み書きも出来ない、その生まれ持った美貌と、領主代行一族という血筋を使って、偉ぶっていただけです」
アーシャは、書き忘れていないか、一つ一つ確認しながら、思い出し笑いをする。
俺は、ベッドにいる赤ん坊を見ていた。生まれたばかりは、小さくて、細かったというのに、与えるものを与えれば、ふくよかな、可愛らしい赤ん坊になった。
生まれた赤ん坊を育てたのは、禁則地にいる妖精だ。アーシャは色々と足りなくて、育てられなかった。ただ、見ていただけである。ほとんど、妖精たちが行った。
俺は赤ん坊を抱き上げて、アーシャに見せた。赤ん坊は、アーシャを見て、笑顔を返した。
「何もしてなくても、私が親だとわかるのですね」
「ほら、抱いて」
「はい」
俺はアーシャに赤ん坊を抱かせるようにしていた。夜泣きした時も、アーシャに抱かせた。こうして、アーシャと赤ん坊の絆を繋いだ。
「胸は硬いですよね。ごめんね」
「赤ん坊には、わからないって。アーシャなんだから、いいんだよ」
「いえ、胸はあったほうがいいに決まっています。そう、記憶しています」
「どうして、そんなに胸に拘るんだよ!! 俺も赤ん坊も、胸に拘ってないよ!!!」
「昔、母の兄嫁に抱きしめられたことがありました」
禁則地によって消されたはずの記憶をアーシャは語りだした。
「母を亡くして、泣いて、これからどうしよう、と途方に暮れていました。父上は最低で、母上が亡くなったというのに、喜んでいました。もう、お先真っ暗でした。そこに、母の兄嫁が、私を抱き上げて、慰めて、父上を叱りました。その時、初めて、女の胸を顔で感じました。あれは、もう、感動です。お祖父様は女なんか、と言ってましたが、男にはないものです。女の胸には、大きな価値があります。同じ女である私だって、感動して、泣き止んだんです。男はあの胸に夢中になると思いました」
「………」
「私は、リサに期待してたんですよ。母親を亡くしたばかりの憐れな子どもなんです。あの立派な胸に抱きしめてくれると思っていました。なのに、期待を裏切られました。本当に残念でした」
「………」
「私にも胸があったら、もっと、自信が持てました。もっと、キロンを夢中にさせられたと思います。成長しなくて、本当に残念です」
「胸から離れよう!!」
もう、妄執である。アーシャ、赤ん坊までいるというのに、まだ、胸の膨らみに拘っていた。
「なあ、そのこと、リサ宛の手紙に書いてないよな?」
「書きましたよ。エリザにも書きました。もっと私を大事にすれば、今頃は、子爵夫人、さらには子爵リブロの母として、栄華を満喫出来たというのに、と。リブロとエリザが父上の子でないと発覚したって、私が上手に隠してあげました。そういう時のために、神殿にはいっぱい寄付したんですから」
「………」
辺境の教皇フーリードや、神殿の神官たちシスターたちが泣いちゃうようなことをいうアーシャ。あいつら、アーシャのことを純真無垢とずっと信じてるよ。
「どうせ、読まれることなく、破り捨てられるんです。書きます。恨みつらみもいっぱい書きましたよ。たった一年、一年もされたこと、一つ一つ、書いてやった。それは、私からキロンを奪おうとしたあいつらにもだ!!」
アーシャは、俺の子や孫だと名乗る者たちにも手紙を書いていた。だから、紙が千枚も必要だったのだ。
アーシャは赤ん坊に歪んだ笑顔を向けた。
「キロンに抱き上げられ、愛された子は、私の子だけだ。あいつらは、ただ、キロンの血筋なだけ。アーサー、アーサー、キロンにこうやって愛されたのは、お前だけだ。お前は幸せになるんだ。男の子として生まれて、私とキロンに愛されて、こうやって、禁則地に大事にされたのは、アーサーだけだ。特別な子、アーサー」
気狂いが起きていた。もう、アーシャに残っている時間は少しだ。アーシャは、赤ん坊アーサーに歪んだ愛を向けた。
「アーシャ、疲れただろう。ほら、俺がアーサーを抱っこしよう」
「横に座って」
「わかった」
アーシャは俺にもたれかかるように座って、俺の腕の中にいる赤ん坊アーサーを見た。赤ん坊アーサーがうとうとと眠そうにすると、それに呼応するように、アーシャも眠そうに目を細めた。
「なあ、どうして、赤ん坊をアーサーと名付けたんだ?」
今更ながら、アーシャに訊いた。赤ん坊が生まれると、アーシャはアーサーと呼んだ。
アーサーなんて、アーシャには忘れたい名前だろう。なのに、赤ん坊をアーサーと呼んだのだ。
眠そうな目をこすって、アーシャは俺を見上げた。
「私の人生のほとんどはアーサーです。アーシャとしての人生なんて、ほんの僅かです。だから、私のことを忘れないように、赤ん坊に名付けました。きっと、私のことを語る人たちは皆、私のことをアーサーと呼びます。そう呼ばれて、この子は私のことを身近に感じてくれるかもしれません」
俺と一緒に死ぬことを選んだアーシャは、死後、赤ん坊アーサーに忘れ去られないために、考えたのだろう。
アーシャは眠ってしまった赤ん坊を優しく撫でる。
「アーサー、弱くたっていい。負けたっていい。幸せになって。そのために、いっぱい、手紙を書いたから。手紙で、頼みました。アーサー、私みたいに、ならないで」
すっとアーシャは眠って、そのまま、二度と、目を覚まさなかった。
妖精たちは、大喜びだ。アーシャが禁則地にやってきて、最高級のおもてなしとばかりに、神の恵みを実らせた。
アーシャが食べたがっていたから、仕方なく、俺が収穫した。神の恵み、これっぽっちも変化しなかった。変なの。俺は、生まれた時から悪だというのに。
俺はこれまで、神の恵みの収穫をしなかった。俺の行いは最悪だ。それをアーシャに知られたくなくて、色々と理由をつけては、神の恵みの収穫を逃れてきた。
腐ると思ったんだ。腐って、いかに俺が穢れているか、と自覚したかった。なのに、神の恵みは腐りもしなかった。試しに食べてみれば、アーシャが収穫した時みたいに、瑞々しく、甘い。
「どうなんてるんだ、これ」
わからない。俺は、この禁則地を滅ぼそうとまでしたのに。
「ん、キロン、いい匂い」
アーシャは、美味しいと感じる匂いに、目を覚ました。慌てて、俺はアーシャの元に戻った。
「これ、キロンが収穫したの?」
一口食べて、今更、アーシャはその事に気づいた。
「試してみたら、こうなった。変な味しない?」
「美味しい!! キロンは、やっぱり、特別な妖精憑きなんだね。だって、賢者ラシフ様よりも強いって聞いた。百年の才よりも上ということは、キロンも、何かすごいのなんだね」
「よくわからん」
俺は誤魔化した。本当のことを言ったら、きっと、アーシャに嫌われる。それが怖くて、どうしても言えなかった。
俺は、一万年に一人、誕生するかどうか、神が帝国に与える試練、凶星の申し子だ。俺が、帝国を滅ぼす妖精憑きだと知ったのは、実は、アーサーと出会ってからである。俺が持つ、最強の妖精たちは、アーサーと出会った日からしばらく、いなくなったのだ。その最強の妖精たちと再会したのは、アーサーが屋敷の外にある小屋に監禁され、そこから救出されてすぐだった。俺は、アーサーを虐めるネロたちと領地民たちを苦しめるために領地を呪った。その悪行が、俺の最強の妖精たちに力を与えたというのだ。
そして、俺は、関わる者全ての運命を捻じ曲げてしまう凶星の申し子であることを最強の妖精たちに教えられた。その実力は、千年に一人必ず誕生する化け物妖精憑きと同格だという。
だから、俺は、千年の才能持ちである筆頭魔法使いティーレットに負けなかった。勝てたわけではない。負けなかっただけだ。
俺のせいで、アーサーは不幸になったかもしれない。本当はどうなのか、わからない。
だけど、俺はアーサーに俺が凶星の申し子であることは言えなかった。これは、ずっと隠し通すしかない。
アーシャは俺が収穫した神の恵みを美味しい美味しいと食べた。ずっと、笑顔のアーシャを見ていたい。
「キロン、ほら、いつもみたいに、膝に座らせて」
「あ、ああ」
言われて、俺は動いた。ずっと、草の上で横にされていて、アーシャ、辛かったのかもしれない。
いつものように、俺はアーシャを膝に乗せて、後ろから抱きしめた。
「やっぱり、キロンとくっつくと、安心するね」
「そうか」
「元気ないね。何かあった?」
「俺………その、うん」
俺の隠していること、思い切って、アーシャに言おうとしたけど、言えなかった。どうしても、嫌われるのが怖かった。
アーシャは俺の顔色を伺う。俺に嫌われたくなくて、捨てられたくなくて、アーシャはよく、そうしていた。
それも、俺がアーシャの初めてを貰ってから、落ち着いたように見えたんだけど、そうじゃなかった。不安なんだ。
「キロン、もしかして、子ども、嫌い?」
「ん? どうして?」
俺では想像つかないことをアーシャは悩んでいるようだ。だけど、その内容が、俺にはよくわからない。
アーシャは視線を泳がせる。言っていいかどうか、アーシャは迷っていた。
「アーシャ、ほら、言って。怒ったりしないから。きっと、それ、俺が直さないといけない、悪い部分だよ」
アーシャに嫌われるかもしれないことだ。だから、俺はどうしても聞きたかった。
アーシャはぺったんこのお腹を撫でた。
「だって、キロンは、子や孫が名乗り出ても、不機嫌になるから。我が子に孫じゃないか」
「知らないうちに出来てたな。俺は、よくわからないままに、閨事していた」
実は、閨事が子作りであると自覚したのは、辺境の教皇フーリードに一般常識を教えられてからだ。それまでは、小屋で俺が言われるままにしていたことが、どういうことなのか、理解していなかった。
「俺、これが子作りだとわかっていてやったの、アーシャが初めてなんだ。だから、アーシャとは、子作りなんだ。だけど、それ以前は、ただ、命じられてただけ。子作りじゃない」
「そ、そうなの?」
「言っただろう。他はどうだっていい。子や孫なんて言われたって、俺は知らない。責任とれと言われたって、勝手にやったことだろう。俺と縁切りするように、怖い大人たちが、俺を殴る蹴るしたんだ。それから、小屋には来なかった。それの繰り返しだ」
「………気持ち悪い」
俺の答えが良くなかったのだろう。アーシャは悩み過ぎて、吐き出した。ただでさえ、細いというのに、アーシャはどんどんと細くなってきた。その上、吐き戻すのだから、何か病気じゃないか、と俺は疑った。
アーシャは妖精の魔法が届かない。だから、アーシャの体調を診るだけでも、俺は寿命を使うこととなる。俺はアーシャを長く生かすためには必要なことだ。
「あれ? 子ども?」
妖精の魔法が届かないから、気づかなかった。妖精すら、アーシャの体がどうなっているか、わからなかっただろう。
「何? 子どもって」
「アーシャ、妊娠してる。良かった、病気じゃなくって」
「に、妊娠? そんな。だって、私、月の物が始まったのって、つい最近だよ」
「ちょっと、やり過ぎたな、俺が」
俺は、アーシャの全てを俺のものに出来たことが嬉しくて、我慢できなくなった。アーシャがやせ細ってきた時は、俺のせいだな、なんて反省したが、止まらなかった。
アーシャは、呆然となって、お腹を撫でた。撫でたって、膨らむのは、まだまだ先だ。
「ここに、赤ちゃん?」
「そうだな」
だけど、ここからが大変だ。簡単に喜んでいられない。
アーシャは、妖精憑きの寿命を奪って生きている。今は、俺の寿命でアーシャを生かしているのだ。だけど、赤ん坊を産むためには、もっと寿命が必要になる。
どちらかを選ばなければならない。だけど、俺はアーシャを選んでいた。
「キロンの赤ちゃん、やった、これで、キロンは私のものだ!!」
大喜びするアーシャ。アーシャは、まだ、生まれてもいない赤ん坊を産もうとしていた。
身重のアーシャのことが心配で、大事にした。それは、禁則地にいる妖精たちもだ。
禁則地に、アーシャのための家が建てられた。その中には、アーシャが快適に過ごせるように、色々な物が作り、置かれた。
俺も、転移の魔道具を使って、必要なものを買ってきては、家に運び込んだ。
人二人が過ごすには、それなりの大きさだ。気が早いと言われそうだが、赤ん坊のベッドまで置かれた。さらに、子ども部屋まで作られた。もう、ちょっとした屋敷だな。
「少しは歩かないと」
「ほら、手をつなごう」
「もう、そう言って、すぐ抱き上げるから」
「お腹、大きくなってきたから、心配なんだよ」
妊婦を見るのは初めてだから、俺は心配でならない。
過去、俺の無責任な行為によって誕生した子や孫を見ても、俺は何も感じなかった。血のつながりは感じる。だけど、それだけだ。
アーシャのお腹にいる赤ん坊は、繋がり以上のものを感じた。
アーシャが妊娠した、と知った時は、赤ん坊を見捨てよう、なんて俺は考えていた。なのに、日に日に大きくなっていくお腹を見ていくと、妙な感情が湧き出てきた。
「キロン、赤ちゃん、抱っこしてくださいね」
「するする」
「肩車もしてあげてください」
「そこまで、生きてたら、絶対にする」
「手を繋いで一緒に歩きましょう」
「生きていたら、絶対にする」
俺は嘘はつかない。アーシャが願うこと全て、叶えられるわけではない。
俺もアーシャも、赤ん坊が寝返り出来る事まで生きていればいいところだ。それほど、出産は、大変なんだ。命を作り出す。俺の寿命は赤ん坊の命を作り出すために、どんどんと消費されている。アーシャには、赤ん坊の命を育むことが出来ないからだ。そのことをアーシャは知らない。俺も教えない。
少し歩けば、すぐ、アーシャは疲れて座り込んだ。それでも、満足するようで、禁則地の風景を見回して、笑顔を見せた。
「綺麗だね。夢の世界みたい」
「ど田舎だけどな」
「………もう、王都のことは、覚えてないな。数日だけ、いただけだし」
「赤ん坊が生まれて、落ち着いたら、一緒に行こう。ティーレットが喜ぶぞ。ついでに、観光だ!!」
「キロンは、行きたいところ、ある?」
「アーシャが行きたいところなら、行ってみたい。ほら、いっぱい本を買ってきた」
俺は、アーシャを元気つけるために、観光関係の本を仕入れてきた。アーシャは、起きているか、眠っているかだ。起きていても、赤ん坊に色々なものを吸われているみたいに、何か出来るというわけではない。
アーシャは、いつものように俺の膝に座って、俺が取り出した本を受け取って、ペラペラとめくった。
「今から、じっくり決めよう」
「私、別に、帝国を見て回りたいなんて、思ったことない」
「でも、アーシャ、旅をしたいって」
「あの領地を出たかっただけ。出るということは、旅でしょう。でも、どこかに行きたいなんて、考えてもいない」
「だから、今からこうやって、本を見て」
「手紙を書きたい。キロン、紙を仕入れてきて。上等なのがいい」
「わかった。どれくらい?」
「いっぱいいる。書き直すかもしれないから、千枚くらいあればいいかなー」
「どんだけいっぱい書くんだよ!!」
「その手紙を配達しながら、帝国を回るんだよ。だから、いっぱい書く」
「そうか!!」
アーシャは、理由をつけて、旅に出ることにした。その理由が、手紙だ。
アーシャは手紙を書くのが好きだ。伯爵令嬢フローラと文通友達となった時も、かなりの頻度で手紙を送りあっていた。元婚約者ヘリオスには、手紙だけでなく、何かの折の贈り物まで送っていたのだ。領地関係でも、丁寧な書類を作って、綺麗な字でお礼状を書いて、とともかく筆まめだ。あんなに書いて、大変だろうに、と見ていたが、アーシャは楽しんでいた。
俺は王都に行って、色々な種類の紙を仕入れた。千枚はちょっと無理だった。百枚だって、普通の店では在庫を抱えていない。そういうものは、貴族様御用達である。
俺みたいに、いかにも怪しい男が入店できる店は限られている。そこで、平民向けの紙を買ってくるしかなかった。
「やっぱり、こういうのが限界だよね」
アーシャ、平民向けの紙は気に入らないようだ。そういうところは、やはり、貴族だな。見る目がある。
「なあ、いっそのこと、俺が作ったほうがいいんじゃないか?」
「作れるの!?」
「そりゃ、材料はあるしな」
禁則地なんて、材料の宝庫だ。アーシャが望む紙を作れるだろう。
作る、なんて考えてすらいなかったアーシャは買ってきた紙を見て悩んだ。そして、何か思いついたように、笑顔になる。
「いや、これにしよう。私とキロンは、お忍びなんだ。こういう紙を使って書くほうが、正しい。こういうのは、拘らないと」
アーシャは、今の状況にあう紙として、買ってきた紙を使うと決めた。
出産前から書き始めた手紙は、出産後まで書き続けていた。その数もすごいが、宛先には、俺は呆れた。
「父親に、あのリサ親子にまで書いたのか」
「私からの情けは、これで最後ですよ。読まないで破り捨てられるでしょうけど」
「そうだな」
「リサ、字の読み書きが出来ませんからね。絶対に破り捨てます」
「なんだ、あいつ、読み書き出来ないのか!!」
笑った。だって、あいつの父親である領主代行は、読み書きどころか、きちんとした書類だって作れたんだ。領地運営において、役所とかに提出する書類も、領主代行が作っていたのだ。
なのに、領主代行一族であったリサは、読み書きすら出来ないという。
「一族全部、根絶やしにしていて、領主代行なんて最後、名乗ってたけど、名前だけで、なんにも出来ないのかよ。どうしようもないな」
「リブロとエリザにやらせればいいことです。リサは、大きな事を大声でいうけど、実は、何も出来ない女なんです。家事も出来ない、字の読み書きも出来ない、その生まれ持った美貌と、領主代行一族という血筋を使って、偉ぶっていただけです」
アーシャは、書き忘れていないか、一つ一つ確認しながら、思い出し笑いをする。
俺は、ベッドにいる赤ん坊を見ていた。生まれたばかりは、小さくて、細かったというのに、与えるものを与えれば、ふくよかな、可愛らしい赤ん坊になった。
生まれた赤ん坊を育てたのは、禁則地にいる妖精だ。アーシャは色々と足りなくて、育てられなかった。ただ、見ていただけである。ほとんど、妖精たちが行った。
俺は赤ん坊を抱き上げて、アーシャに見せた。赤ん坊は、アーシャを見て、笑顔を返した。
「何もしてなくても、私が親だとわかるのですね」
「ほら、抱いて」
「はい」
俺はアーシャに赤ん坊を抱かせるようにしていた。夜泣きした時も、アーシャに抱かせた。こうして、アーシャと赤ん坊の絆を繋いだ。
「胸は硬いですよね。ごめんね」
「赤ん坊には、わからないって。アーシャなんだから、いいんだよ」
「いえ、胸はあったほうがいいに決まっています。そう、記憶しています」
「どうして、そんなに胸に拘るんだよ!! 俺も赤ん坊も、胸に拘ってないよ!!!」
「昔、母の兄嫁に抱きしめられたことがありました」
禁則地によって消されたはずの記憶をアーシャは語りだした。
「母を亡くして、泣いて、これからどうしよう、と途方に暮れていました。父上は最低で、母上が亡くなったというのに、喜んでいました。もう、お先真っ暗でした。そこに、母の兄嫁が、私を抱き上げて、慰めて、父上を叱りました。その時、初めて、女の胸を顔で感じました。あれは、もう、感動です。お祖父様は女なんか、と言ってましたが、男にはないものです。女の胸には、大きな価値があります。同じ女である私だって、感動して、泣き止んだんです。男はあの胸に夢中になると思いました」
「………」
「私は、リサに期待してたんですよ。母親を亡くしたばかりの憐れな子どもなんです。あの立派な胸に抱きしめてくれると思っていました。なのに、期待を裏切られました。本当に残念でした」
「………」
「私にも胸があったら、もっと、自信が持てました。もっと、キロンを夢中にさせられたと思います。成長しなくて、本当に残念です」
「胸から離れよう!!」
もう、妄執である。アーシャ、赤ん坊までいるというのに、まだ、胸の膨らみに拘っていた。
「なあ、そのこと、リサ宛の手紙に書いてないよな?」
「書きましたよ。エリザにも書きました。もっと私を大事にすれば、今頃は、子爵夫人、さらには子爵リブロの母として、栄華を満喫出来たというのに、と。リブロとエリザが父上の子でないと発覚したって、私が上手に隠してあげました。そういう時のために、神殿にはいっぱい寄付したんですから」
「………」
辺境の教皇フーリードや、神殿の神官たちシスターたちが泣いちゃうようなことをいうアーシャ。あいつら、アーシャのことを純真無垢とずっと信じてるよ。
「どうせ、読まれることなく、破り捨てられるんです。書きます。恨みつらみもいっぱい書きましたよ。たった一年、一年もされたこと、一つ一つ、書いてやった。それは、私からキロンを奪おうとしたあいつらにもだ!!」
アーシャは、俺の子や孫だと名乗る者たちにも手紙を書いていた。だから、紙が千枚も必要だったのだ。
アーシャは赤ん坊に歪んだ笑顔を向けた。
「キロンに抱き上げられ、愛された子は、私の子だけだ。あいつらは、ただ、キロンの血筋なだけ。アーサー、アーサー、キロンにこうやって愛されたのは、お前だけだ。お前は幸せになるんだ。男の子として生まれて、私とキロンに愛されて、こうやって、禁則地に大事にされたのは、アーサーだけだ。特別な子、アーサー」
気狂いが起きていた。もう、アーシャに残っている時間は少しだ。アーシャは、赤ん坊アーサーに歪んだ愛を向けた。
「アーシャ、疲れただろう。ほら、俺がアーサーを抱っこしよう」
「横に座って」
「わかった」
アーシャは俺にもたれかかるように座って、俺の腕の中にいる赤ん坊アーサーを見た。赤ん坊アーサーがうとうとと眠そうにすると、それに呼応するように、アーシャも眠そうに目を細めた。
「なあ、どうして、赤ん坊をアーサーと名付けたんだ?」
今更ながら、アーシャに訊いた。赤ん坊が生まれると、アーシャはアーサーと呼んだ。
アーサーなんて、アーシャには忘れたい名前だろう。なのに、赤ん坊をアーサーと呼んだのだ。
眠そうな目をこすって、アーシャは俺を見上げた。
「私の人生のほとんどはアーサーです。アーシャとしての人生なんて、ほんの僅かです。だから、私のことを忘れないように、赤ん坊に名付けました。きっと、私のことを語る人たちは皆、私のことをアーサーと呼びます。そう呼ばれて、この子は私のことを身近に感じてくれるかもしれません」
俺と一緒に死ぬことを選んだアーシャは、死後、赤ん坊アーサーに忘れ去られないために、考えたのだろう。
アーシャは眠ってしまった赤ん坊を優しく撫でる。
「アーサー、弱くたっていい。負けたっていい。幸せになって。そのために、いっぱい、手紙を書いたから。手紙で、頼みました。アーサー、私みたいに、ならないで」
すっとアーシャは眠って、そのまま、二度と、目を覚まさなかった。
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