76 / 83
外伝 辺境の伝統
木登り名人
しおりを挟む
神殿の近くには、でかい木がある。ようは、大木だ。大人は、あの大木に登るな、という。バカ高いし、神殿の横にある大木だから、ご神木みたいだ、なんて言っていた。
だけど、神殿に親に連れられてくるガキは、皆、あの大木に登るんだ。だって、神殿の説教や、大人同士の世間話なんて、詰まらない。親は、話に夢中だから、ガキが集まって、何やろうか、となる。
神殿に来るのに、遊び道具なんて持ってない。何より、神殿に来るガキは、平民から貴族と様々だ。身分が違う者同士、どうすればいいか、困る。
だいたい、こういう時は、ガキの間でも、年齢の高い者が率先するものだ。
「いいか、ここでは、この木に高く登れる奴が偉いんだ!!」
結局、男同士の順位は力づくである。喧嘩すると、何かと大人が煩いから、木登りという技術で競い合う。
だいたい、こんな木登り、高位貴族の子だったらしない。身分が高い者はー、と言って、あえて遠巻きに見ているものだ。それ以前に、こんな場所で威張り散らしているガキは、だいたい、平民のガキ大将である。その身なりから、高位貴族の子は近づかない。
俺は、貴族の子といっても、下っ端の下っ端、男爵の次男坊である。跡継ぎの予備、なんて言われるほど、我が家は偉くない。男爵といっても、毛が生えた程度である。木登りだって普通にする。
だから、そう言われて、俺は木登りの戦いに参加した。それで怒るような親でもない。
「この木で、一番、高く登った人が、偉いのですか?」
そこに、いかにも育ちのいい話し方をする子どもが混ざった。身なりは、まあまあいい子どもだ。ニコニコと笑って、ガキ大将に確認する。
「おいおい、大丈夫か? 怪我しても、知らないぞ」
「ご心配なく。木登り、得意ですから。この木は、いい感じに大きいですね」
子どもは、目をキラキラ輝かせて、大木を見上げた。こんな大木、いい感じ、なんて言ってしまうほどの高さではない。俺が知る大木の中で、一番大きい大木だ。
「あ、危ないよぉ」
幼馴染みのメリーが、消え入りそうな声で、俺を止めてきた。今にも、泣きそうだ。
「心配いりません。神殿のお膝元ですよ。妖精が守ってくれます」
また、あの育ちのいい子どもが、泣きそうなメリーを元気つけるようにいう。ニコニコと笑っているから、メリーはかすかに笑顔を見せた。
「よし、いくぞ!!」
ガキ大将が、周囲の準備とか無視して、開始の声をあげて、さっさと登り始めた。
それから、どんどんと子どもたちはあの大木を登った。皆、暇だし、ガキ大将がするすると昇っていくから、簡単そうに見えたのだろう。
簡単なことではない。木の肌は滑らなそうに見えるのに、滑るんだ。手だけで登らなければ進めない部分だってある。
何より、それなりに高い場所にあると、怖くて、子どもは泣き出した。
そんな中、ガキ大将は大木の真ん中で止まった。それよりも上は、さすがに、ガキ大将も怖いと感じたのだろう。いやいや、真ん中といえども、よく登ったと思う。俺は、そこまで登れない。
ところが、あの育ちのいい感じの子どもは、するするとガキ大将よりも高い所へと登っていく。
「お、おい、それ以上は、危ないぞ!! ここより先は、登っちゃダメなんだ!!!」
ガキ大将が、そこで止まったのは、安全のためだ。そういうことを代々のガキ大将は伝授しているのだろう。
「私一人なら、大丈夫ですよ!!」
それなのに、育ちのいい感じの子どもは、どんどんと登って、てっぺんに到達してしまう。
「きゃああーーーーーー!! アーサーーーーーーーー!!!」
「アーサー、なんてことを!!!」
育ちのいい感じの子どもアーサーの母親が悲鳴をあげた。その悲鳴に、神殿から、教皇フーリードが飛び出した。
「アーサー、降りてきなさい!!」
「もう少し、ここにいます。すごい、遠くまで、何もない!!」
アーサーは、木のてっぺんで、誰にも見られない光景をキラキラと目を輝かせて見て、喜んだ。
大騒ぎとなったため、子どもたちは続々と降りることとなった。その様子をアーサーは木のてっぺんで見ていた。最後の一人が降りるのを見届けると、アーサーは身軽に木の枝を蹴って、飛び降りたのだ。
「アーサー!!」
「きゃああーーーーーーー!!!
またも悲鳴があがる。
アーサーは、木の枝を飛び移り、両手でぶら下がり、としながら、呆然となる俺たちの目の前に、ぴょんと降り立った。
「母上、すごかったですよ!!」
「なんてことをするのですか!!! あんな所から落ちたら、死んでしまいますよ!!!!」
「死にません。もっと高い木に、いつも登ってますから」
「アーサー」
母親の叱りなんて右から左と聞き流すアーサーの耳を教皇フーリードがひっぱった。
「マイアがどれほど心配したことか」
「でも、あのてっぺんから見る景色を見たかったんです。いつも、母上はダメだ、危ない、というばかりで」
「危ないことなんだ。アーサーがすることを他の子どもたちが真似したら、どうするんだ? アーサーは無事でも、真似した子どもたちは大怪我をする」
「………ごめんなさい、私が間違っていました」
「もう、あんな高い所まで登らないように。いいな」
「はい、ここでは、てっぺんまで登りません」
「………」
何か言いたげに黙り込む教皇フーリード。だけど、フーリードは深いため息をついて、落ち込むアーサーを抱き上げた。
「ほら、解散だ。皆、家に帰りなさい。アーサーは、説教だ」
「ご、ごめんなさいぃ」
「お前は賢過ぎるから、気をつけないといけない。神官たち、シスターたちに揉まれてきなさい」
「母上ー!!」
「説教を聞いてきなさい」
半泣きしてアーサーは母親に助けを求めるが、心配して、怒って、と疲れた母親は、その場に座り込んでしまった。
アーサーが神殿に連れて行かれると、大人たちが、アーサーの母親に声をかけて、元気つけていた。
アーサーのことを大人に聞けば、よく知っていた。
「あの子は、例の食糧庫の領主の息子よ」
「ああ、あの食糧庫の」
それだけで、どこの誰かわかった。
辺境は荒廃した大地なため、農業には向かない。だから、食糧は他の領地から買うしかない。それには、運搬やら何やらで、高額だ。辺境は、鉄鋼や宝石を加工して、それを売った金で生活しているから、それなりに金持ちだ。しかし、辺境の外から仕入れた食糧は、とんでもなく高いため、稼いだ金のほとんどが食糧で消えてしまう。
それでは、辺境は貧しいばかりだ。だから、辺境でも、唯一、農業に適している禁則地周辺を開拓した。禁則地は、別名、妖精の安息地と呼ばれる、妖精のための領地だ。そこでは、人どころか、神の使いである妖精を生まれ持つ妖精憑きでさえ、礼儀をわきまえないと死ぬことがある、とても危険な場所だ。
そんな危険な場所の周囲は、辺境でありながら、緑豊かだ。そこでは、農業も畜産も、辺境全体を支えられるほどの恵みを生み出せるほど、妖精の加護を受けている。
アーサーは、その辺境の食糧庫と呼ばれる領地を治める領主の息子だ。
同じ貴族の子だが、アーサーは、俺と同じように貴族らしくない。育ちのよい話し方であるが、木登りをして、叱られても済ました顔をして言い訳するのは、ちょっと賢い平民の子どものようだ。
辺境の食糧庫の領主一族であれば、仕方がない。
辺境の貴族であれば、辺境の食糧庫の領主一族のことは、生暖かい目で見る。それは、貴族の子どもまでだ。
辺境の食糧庫なんて厄介な領地、誰も手を出したくない。ともかく、妖精の悪戯が横行するような領地である。一歩間違えれば、妖精の復讐をうけるのだ。
だから、アーサーのような、物をわかっていない領主一族に押し付けられたのだ。辺境を支える重要な役目なのに、領主は子爵である。本来であれば、伯爵であってもいいはずだ。それを子爵から上げさせないのは、領地替えをさせないためである。伯爵になった時、領地替えを希望されると、別の貴族が領主となってしまう。そうなると、辺境にとって都合の悪い取引をされてしまうかもしれない。
だから、辺境の食糧庫の代々の領主はおだてられ、爵位を上げないようにして、いいように利用されていた。
だけど、アーサーは、これまでの領主一族とは違った。何事にも楽しさを見出すような、あのキラキラと輝く目が印象的だ。
何より、神殿に連れて行かれたアーサーは、神官たちシスターたちに叱られながらも、可愛がられていた。俺たちとは違う、別の存在に見えた。
縁がないだろう、と俺は思った。アーサーは俺よりも二歳年下だ。まず、貴族の学校で出会うことはない。
ところが、神殿に行けば、アーサーを見ることとなった。別に、俺が狙っているわけではない。たまたま、本当に偶然だ。
「あ、あの時の!!」
アーサーは見覚えのある俺を見て、まっすぐ走ってきた。
「アーサー、もう、木を登っちゃいけませんよ!!」
「ええーーーーー!!」
「半分よ、半分」
「そんな、大したものが見えないよぉ」
「半分!!」
「わかった!!」
アーサーの母は、うまい具合に言いくるめられたようだ。木登りを許可した。
アーサーとアーサーの母親のやり取りが神殿の中にまで響き渡ったのだろう。神官たち、シスターたちが出てきて、アーサーの様子を見ていた。アーサーの母親の隣りには、教皇フーリードが声をかけて、慰めていた。
アーサー一人だけで、神殿は大騒ぎになった。
そんな周囲のことなんか気にせず、俺の元に駆け寄ってきた。
まさか、噂のアーサーが俺の元に来るなんて、俺の母親だって驚いた。どうしようか、と固まった。
アーサーは、俺の腕をつかむなり、引っ張った。
「ほら、木登りしよう!!」
「おい、勝手に」
「もしかして、忙しい? 私は、もう、神殿のお祈りは終わったけど。そうか、まだ、終わってないのか」
「い、いや、終わったけど………」
「じゃあ、遊ぼう!!」
「う、うん」
俺の母親、相手が辺境の食糧の領主一族だとわかっているので、ダメとは言えないみたいだ。俺の手をあっさりと離した。親がー、という理由が使えなかった。
また、あの問題の大木の元にいけば、ガキ大将たちが待っていた。
「また来たのかよ」
「お前のせいで、母ちゃんに殴られたんだぞ」
「えへへへへ、ごめん。今日は、母上に許可貰ったから」
「そうなんだ」
アーサーの母親を伺うガキ大将たち。アーサーの母親は、真っ青な顔をして、神に祈っていた。あれは、許可した、というよりも、止められないと悟ったのだ。
「いいか、ここは半分までしか行けないからな」
「わかったわかった」
「降りる時も、あんな飛ぶように降りるなよ」
「えー、早く降りれるのにー」
「他の奴らが真似するだろう!!」
「じゃあ、教えてあげるよ。手見せて」
どっちが年上かわからない。アーサーは人を乗せるのがうまいから、ガキ大将たちは、言われるままだ。
全員が両手を出した。その中で、驚いたのは、育ちのいい感じのアーサーの手が使い込まれた感じなのだ。
「うーん、どれも、枝とか握ったら、滑っちゃうね」
「お前、本当に貴族かよ!!」
「きちんと、貴族としての教育も受けてるよ。借金があるから、私も大事な労働力なんだよ」
「そ、そうなんだ」
笑顔で借金なんていうから、ガキ大将たちは気まずくなった。なんとなく、苦労してるんだな、と皆、思ったんだろう。
俺も驚いた。そして、今更ながら、アーサーが着ている服が、着古したものだとわかった。遠くから見れば、仕立てのいいものだが、近くで見れば、経年の落ちない汚れが見られた。
それから、アーサーは、木登りのこつの伝授である。大木で、どこが登りやすくて、どこが危ないか、ということを登りながら教えた。
あんなに小柄なのに、アーサーはすいすいと登っていく。登っては、止まって、待って、の繰り返しだ。アーサーは、待っている間、遠くへと視線を飛ばしていた。
そういうことを繰り返すと、皆、あっという間に大木の真ん中あたりに到達していた。
「もっと登りたいなー」
アーサーは物足りないようで、太い枝に座って、足をぶらぶらとさせて、愚痴った。
「いやいや、ここで十分だよ!!」
俺は、大木の真ん中だけで、下を見れば、ぞっとする。気をつけないと落ちる。
「下を見るなんて、勿体ない。ほら、遠くを見て!!」
アーサーは、遠くを指さした。それにつられて、俺も見た。
何もない辺境。本当に岩と砂ばかりだ。緑なんて見られない。そんな不毛の地だ。
「あそこが、私が暮らしてる場所だよ!!」
アーサーが指さす先には、緑が広がっていた。この神殿は、辺境の食糧庫に一番近い場所だ。それでも、禁則地にいる妖精の祝福は届かない。
話では聞いていたが、実際に見るのは、これが初めてだ。当然だ、辺境の食糧庫なんて、行くことはない。あそこに行くのは、食糧を買い付ける商人くらいだ。
何より、あの領地と親交を持つ領地民はいない。
辺境の食糧庫では、大昔、悪い妖精憑きによって、ただの人は奴隷にようにされていた、という伝説がある。そのため、あそこの領地民は、妖精憑きを毛嫌いしている。
神殿にいる神官たちシスターたちは妖精憑きだ。
辺境の食糧庫で暮らす領地民は、絶対に神殿には近づかない。逆にいえば、一番近いのは神殿であるので、領地民は領地から、余程のことがない限り、出ないのだ。
生涯、辺境の食糧庫で暮らす領地民は、領地から外に出ない、と言われる。
そして、辺境の食糧庫周辺の領地民たちは、禁則地を恐れて、絶対に近づかない。だから、同じ辺境の民なのに、親交がないのだ。
そのことを思い出して、アーサーの存在は特異だと気づいた。
「ねえねえ、君の名前、教えてよ!!」
いつの間にか、アーサーは、ガキ大将たちとは自己紹介しあっていた。身分関係なく、友達みたいに話している。
アーサーに言われて、俺が一方的にアーサーのこと知っていることに気づいた。
「俺は、ケイン」
「私は、アーサー!! また、遊んで」
そう言って、アーサーはまた、ぴょんぴょんと枝を伝って、飛び降りてしまった。
「あいつ、危ないことを!!」
「アーサー、てめぇ!!!」
「ごめんごめん!! 母上が呼んでるからー!!!」
謝っているが、声がそうでなない。アーサーは、何かと理由をつけては、反省しない。だけど、皆、アーサーだから、みたいに溜息をついて、諦めた。
俺が降り立った時、アーサーは母親に叱られていた。
「もう、ゆっくりと降りてきなさい!! 危ないでしょう!!!」
「はーい、母上」
反省してない。それどころか、嬉しそうに笑っているアーサー。叱っているアーサーの母親は、諦めたように溜息をついた。
そして、アーサーの母親は俺たちの安全を見守るために神殿から出てきた教皇フーリードに深く頭を下げた。
「フーリード様、お騒がせしました」
「アーサーも、そういう年頃なんだ。アーサー、領地でも、危ないことをしないように」
そう言って、フーリードはアーサーを抱き上げて笑う。アーサーは、フーリードの胸に顔を埋めて喜んだ。
「はい、気をつけます!!」
「………」
その場の誰もが思った。アーサー、絶対に何かやるな。
アーサーは、ガキ大将でさえ閉口させてしまほど、手がつけられない子どもだった。
だけど、神殿に親に連れられてくるガキは、皆、あの大木に登るんだ。だって、神殿の説教や、大人同士の世間話なんて、詰まらない。親は、話に夢中だから、ガキが集まって、何やろうか、となる。
神殿に来るのに、遊び道具なんて持ってない。何より、神殿に来るガキは、平民から貴族と様々だ。身分が違う者同士、どうすればいいか、困る。
だいたい、こういう時は、ガキの間でも、年齢の高い者が率先するものだ。
「いいか、ここでは、この木に高く登れる奴が偉いんだ!!」
結局、男同士の順位は力づくである。喧嘩すると、何かと大人が煩いから、木登りという技術で競い合う。
だいたい、こんな木登り、高位貴族の子だったらしない。身分が高い者はー、と言って、あえて遠巻きに見ているものだ。それ以前に、こんな場所で威張り散らしているガキは、だいたい、平民のガキ大将である。その身なりから、高位貴族の子は近づかない。
俺は、貴族の子といっても、下っ端の下っ端、男爵の次男坊である。跡継ぎの予備、なんて言われるほど、我が家は偉くない。男爵といっても、毛が生えた程度である。木登りだって普通にする。
だから、そう言われて、俺は木登りの戦いに参加した。それで怒るような親でもない。
「この木で、一番、高く登った人が、偉いのですか?」
そこに、いかにも育ちのいい話し方をする子どもが混ざった。身なりは、まあまあいい子どもだ。ニコニコと笑って、ガキ大将に確認する。
「おいおい、大丈夫か? 怪我しても、知らないぞ」
「ご心配なく。木登り、得意ですから。この木は、いい感じに大きいですね」
子どもは、目をキラキラ輝かせて、大木を見上げた。こんな大木、いい感じ、なんて言ってしまうほどの高さではない。俺が知る大木の中で、一番大きい大木だ。
「あ、危ないよぉ」
幼馴染みのメリーが、消え入りそうな声で、俺を止めてきた。今にも、泣きそうだ。
「心配いりません。神殿のお膝元ですよ。妖精が守ってくれます」
また、あの育ちのいい子どもが、泣きそうなメリーを元気つけるようにいう。ニコニコと笑っているから、メリーはかすかに笑顔を見せた。
「よし、いくぞ!!」
ガキ大将が、周囲の準備とか無視して、開始の声をあげて、さっさと登り始めた。
それから、どんどんと子どもたちはあの大木を登った。皆、暇だし、ガキ大将がするすると昇っていくから、簡単そうに見えたのだろう。
簡単なことではない。木の肌は滑らなそうに見えるのに、滑るんだ。手だけで登らなければ進めない部分だってある。
何より、それなりに高い場所にあると、怖くて、子どもは泣き出した。
そんな中、ガキ大将は大木の真ん中で止まった。それよりも上は、さすがに、ガキ大将も怖いと感じたのだろう。いやいや、真ん中といえども、よく登ったと思う。俺は、そこまで登れない。
ところが、あの育ちのいい感じの子どもは、するするとガキ大将よりも高い所へと登っていく。
「お、おい、それ以上は、危ないぞ!! ここより先は、登っちゃダメなんだ!!!」
ガキ大将が、そこで止まったのは、安全のためだ。そういうことを代々のガキ大将は伝授しているのだろう。
「私一人なら、大丈夫ですよ!!」
それなのに、育ちのいい感じの子どもは、どんどんと登って、てっぺんに到達してしまう。
「きゃああーーーーーー!! アーサーーーーーーーー!!!」
「アーサー、なんてことを!!!」
育ちのいい感じの子どもアーサーの母親が悲鳴をあげた。その悲鳴に、神殿から、教皇フーリードが飛び出した。
「アーサー、降りてきなさい!!」
「もう少し、ここにいます。すごい、遠くまで、何もない!!」
アーサーは、木のてっぺんで、誰にも見られない光景をキラキラと目を輝かせて見て、喜んだ。
大騒ぎとなったため、子どもたちは続々と降りることとなった。その様子をアーサーは木のてっぺんで見ていた。最後の一人が降りるのを見届けると、アーサーは身軽に木の枝を蹴って、飛び降りたのだ。
「アーサー!!」
「きゃああーーーーーーー!!!
またも悲鳴があがる。
アーサーは、木の枝を飛び移り、両手でぶら下がり、としながら、呆然となる俺たちの目の前に、ぴょんと降り立った。
「母上、すごかったですよ!!」
「なんてことをするのですか!!! あんな所から落ちたら、死んでしまいますよ!!!!」
「死にません。もっと高い木に、いつも登ってますから」
「アーサー」
母親の叱りなんて右から左と聞き流すアーサーの耳を教皇フーリードがひっぱった。
「マイアがどれほど心配したことか」
「でも、あのてっぺんから見る景色を見たかったんです。いつも、母上はダメだ、危ない、というばかりで」
「危ないことなんだ。アーサーがすることを他の子どもたちが真似したら、どうするんだ? アーサーは無事でも、真似した子どもたちは大怪我をする」
「………ごめんなさい、私が間違っていました」
「もう、あんな高い所まで登らないように。いいな」
「はい、ここでは、てっぺんまで登りません」
「………」
何か言いたげに黙り込む教皇フーリード。だけど、フーリードは深いため息をついて、落ち込むアーサーを抱き上げた。
「ほら、解散だ。皆、家に帰りなさい。アーサーは、説教だ」
「ご、ごめんなさいぃ」
「お前は賢過ぎるから、気をつけないといけない。神官たち、シスターたちに揉まれてきなさい」
「母上ー!!」
「説教を聞いてきなさい」
半泣きしてアーサーは母親に助けを求めるが、心配して、怒って、と疲れた母親は、その場に座り込んでしまった。
アーサーが神殿に連れて行かれると、大人たちが、アーサーの母親に声をかけて、元気つけていた。
アーサーのことを大人に聞けば、よく知っていた。
「あの子は、例の食糧庫の領主の息子よ」
「ああ、あの食糧庫の」
それだけで、どこの誰かわかった。
辺境は荒廃した大地なため、農業には向かない。だから、食糧は他の領地から買うしかない。それには、運搬やら何やらで、高額だ。辺境は、鉄鋼や宝石を加工して、それを売った金で生活しているから、それなりに金持ちだ。しかし、辺境の外から仕入れた食糧は、とんでもなく高いため、稼いだ金のほとんどが食糧で消えてしまう。
それでは、辺境は貧しいばかりだ。だから、辺境でも、唯一、農業に適している禁則地周辺を開拓した。禁則地は、別名、妖精の安息地と呼ばれる、妖精のための領地だ。そこでは、人どころか、神の使いである妖精を生まれ持つ妖精憑きでさえ、礼儀をわきまえないと死ぬことがある、とても危険な場所だ。
そんな危険な場所の周囲は、辺境でありながら、緑豊かだ。そこでは、農業も畜産も、辺境全体を支えられるほどの恵みを生み出せるほど、妖精の加護を受けている。
アーサーは、その辺境の食糧庫と呼ばれる領地を治める領主の息子だ。
同じ貴族の子だが、アーサーは、俺と同じように貴族らしくない。育ちのよい話し方であるが、木登りをして、叱られても済ました顔をして言い訳するのは、ちょっと賢い平民の子どものようだ。
辺境の食糧庫の領主一族であれば、仕方がない。
辺境の貴族であれば、辺境の食糧庫の領主一族のことは、生暖かい目で見る。それは、貴族の子どもまでだ。
辺境の食糧庫なんて厄介な領地、誰も手を出したくない。ともかく、妖精の悪戯が横行するような領地である。一歩間違えれば、妖精の復讐をうけるのだ。
だから、アーサーのような、物をわかっていない領主一族に押し付けられたのだ。辺境を支える重要な役目なのに、領主は子爵である。本来であれば、伯爵であってもいいはずだ。それを子爵から上げさせないのは、領地替えをさせないためである。伯爵になった時、領地替えを希望されると、別の貴族が領主となってしまう。そうなると、辺境にとって都合の悪い取引をされてしまうかもしれない。
だから、辺境の食糧庫の代々の領主はおだてられ、爵位を上げないようにして、いいように利用されていた。
だけど、アーサーは、これまでの領主一族とは違った。何事にも楽しさを見出すような、あのキラキラと輝く目が印象的だ。
何より、神殿に連れて行かれたアーサーは、神官たちシスターたちに叱られながらも、可愛がられていた。俺たちとは違う、別の存在に見えた。
縁がないだろう、と俺は思った。アーサーは俺よりも二歳年下だ。まず、貴族の学校で出会うことはない。
ところが、神殿に行けば、アーサーを見ることとなった。別に、俺が狙っているわけではない。たまたま、本当に偶然だ。
「あ、あの時の!!」
アーサーは見覚えのある俺を見て、まっすぐ走ってきた。
「アーサー、もう、木を登っちゃいけませんよ!!」
「ええーーーーー!!」
「半分よ、半分」
「そんな、大したものが見えないよぉ」
「半分!!」
「わかった!!」
アーサーの母は、うまい具合に言いくるめられたようだ。木登りを許可した。
アーサーとアーサーの母親のやり取りが神殿の中にまで響き渡ったのだろう。神官たち、シスターたちが出てきて、アーサーの様子を見ていた。アーサーの母親の隣りには、教皇フーリードが声をかけて、慰めていた。
アーサー一人だけで、神殿は大騒ぎになった。
そんな周囲のことなんか気にせず、俺の元に駆け寄ってきた。
まさか、噂のアーサーが俺の元に来るなんて、俺の母親だって驚いた。どうしようか、と固まった。
アーサーは、俺の腕をつかむなり、引っ張った。
「ほら、木登りしよう!!」
「おい、勝手に」
「もしかして、忙しい? 私は、もう、神殿のお祈りは終わったけど。そうか、まだ、終わってないのか」
「い、いや、終わったけど………」
「じゃあ、遊ぼう!!」
「う、うん」
俺の母親、相手が辺境の食糧の領主一族だとわかっているので、ダメとは言えないみたいだ。俺の手をあっさりと離した。親がー、という理由が使えなかった。
また、あの問題の大木の元にいけば、ガキ大将たちが待っていた。
「また来たのかよ」
「お前のせいで、母ちゃんに殴られたんだぞ」
「えへへへへ、ごめん。今日は、母上に許可貰ったから」
「そうなんだ」
アーサーの母親を伺うガキ大将たち。アーサーの母親は、真っ青な顔をして、神に祈っていた。あれは、許可した、というよりも、止められないと悟ったのだ。
「いいか、ここは半分までしか行けないからな」
「わかったわかった」
「降りる時も、あんな飛ぶように降りるなよ」
「えー、早く降りれるのにー」
「他の奴らが真似するだろう!!」
「じゃあ、教えてあげるよ。手見せて」
どっちが年上かわからない。アーサーは人を乗せるのがうまいから、ガキ大将たちは、言われるままだ。
全員が両手を出した。その中で、驚いたのは、育ちのいい感じのアーサーの手が使い込まれた感じなのだ。
「うーん、どれも、枝とか握ったら、滑っちゃうね」
「お前、本当に貴族かよ!!」
「きちんと、貴族としての教育も受けてるよ。借金があるから、私も大事な労働力なんだよ」
「そ、そうなんだ」
笑顔で借金なんていうから、ガキ大将たちは気まずくなった。なんとなく、苦労してるんだな、と皆、思ったんだろう。
俺も驚いた。そして、今更ながら、アーサーが着ている服が、着古したものだとわかった。遠くから見れば、仕立てのいいものだが、近くで見れば、経年の落ちない汚れが見られた。
それから、アーサーは、木登りのこつの伝授である。大木で、どこが登りやすくて、どこが危ないか、ということを登りながら教えた。
あんなに小柄なのに、アーサーはすいすいと登っていく。登っては、止まって、待って、の繰り返しだ。アーサーは、待っている間、遠くへと視線を飛ばしていた。
そういうことを繰り返すと、皆、あっという間に大木の真ん中あたりに到達していた。
「もっと登りたいなー」
アーサーは物足りないようで、太い枝に座って、足をぶらぶらとさせて、愚痴った。
「いやいや、ここで十分だよ!!」
俺は、大木の真ん中だけで、下を見れば、ぞっとする。気をつけないと落ちる。
「下を見るなんて、勿体ない。ほら、遠くを見て!!」
アーサーは、遠くを指さした。それにつられて、俺も見た。
何もない辺境。本当に岩と砂ばかりだ。緑なんて見られない。そんな不毛の地だ。
「あそこが、私が暮らしてる場所だよ!!」
アーサーが指さす先には、緑が広がっていた。この神殿は、辺境の食糧庫に一番近い場所だ。それでも、禁則地にいる妖精の祝福は届かない。
話では聞いていたが、実際に見るのは、これが初めてだ。当然だ、辺境の食糧庫なんて、行くことはない。あそこに行くのは、食糧を買い付ける商人くらいだ。
何より、あの領地と親交を持つ領地民はいない。
辺境の食糧庫では、大昔、悪い妖精憑きによって、ただの人は奴隷にようにされていた、という伝説がある。そのため、あそこの領地民は、妖精憑きを毛嫌いしている。
神殿にいる神官たちシスターたちは妖精憑きだ。
辺境の食糧庫で暮らす領地民は、絶対に神殿には近づかない。逆にいえば、一番近いのは神殿であるので、領地民は領地から、余程のことがない限り、出ないのだ。
生涯、辺境の食糧庫で暮らす領地民は、領地から外に出ない、と言われる。
そして、辺境の食糧庫周辺の領地民たちは、禁則地を恐れて、絶対に近づかない。だから、同じ辺境の民なのに、親交がないのだ。
そのことを思い出して、アーサーの存在は特異だと気づいた。
「ねえねえ、君の名前、教えてよ!!」
いつの間にか、アーサーは、ガキ大将たちとは自己紹介しあっていた。身分関係なく、友達みたいに話している。
アーサーに言われて、俺が一方的にアーサーのこと知っていることに気づいた。
「俺は、ケイン」
「私は、アーサー!! また、遊んで」
そう言って、アーサーはまた、ぴょんぴょんと枝を伝って、飛び降りてしまった。
「あいつ、危ないことを!!」
「アーサー、てめぇ!!!」
「ごめんごめん!! 母上が呼んでるからー!!!」
謝っているが、声がそうでなない。アーサーは、何かと理由をつけては、反省しない。だけど、皆、アーサーだから、みたいに溜息をついて、諦めた。
俺が降り立った時、アーサーは母親に叱られていた。
「もう、ゆっくりと降りてきなさい!! 危ないでしょう!!!」
「はーい、母上」
反省してない。それどころか、嬉しそうに笑っているアーサー。叱っているアーサーの母親は、諦めたように溜息をついた。
そして、アーサーの母親は俺たちの安全を見守るために神殿から出てきた教皇フーリードに深く頭を下げた。
「フーリード様、お騒がせしました」
「アーサーも、そういう年頃なんだ。アーサー、領地でも、危ないことをしないように」
そう言って、フーリードはアーサーを抱き上げて笑う。アーサーは、フーリードの胸に顔を埋めて喜んだ。
「はい、気をつけます!!」
「………」
その場の誰もが思った。アーサー、絶対に何かやるな。
アーサーは、ガキ大将でさえ閉口させてしまほど、手がつけられない子どもだった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる