3 / 152
海の貧民街
身代わりの男
一晩で、色々と変わった。
特に変わったことがあるとすれば、俺が見る景色が変わったということだ。
昨日までは、野良の妖精が見える程度だった。それが、一晩たつと、俺の隣りにとんでもない力を持つ男型の妖精がついて離れない、なんて光景を見ることとなった。
「どうして、私がこんな男を咥えるような男の護衛をしなければならないんだ」
「聞こえる!?」
「良かったな、妖精憑きとしての格が一気に上がったぞ」
「わからん!!」
いきなり、見える妖精も変わってしまった。頭がクラクラするので、俺は早朝稽古を休むことにした。ここにきて、初めてのことだ。
まあ、俺がタリムを相手に閨事をした、という話が広がっていて、そっち方面で、納得されたが。そうか、タリム、すごいもの持っているって、有名なんだな。
食事も拒否して、俺は隣りにいる男型の妖精を見上げる。ものすごい美形だ。男型だけど。不機嫌そうに、俺を見下ろしてくる。ハガルで見慣れているので、魅了はされないな。こいつ、完全な男だから、そういうことは起こらないな。
「あの、色々と教えてほしいんだけど」
「いいぞ。話し相手がないから、暇だったんだ。いくらでも聞いてくれ」
無茶苦茶、偉そうだな、この妖精。まあ、神の使いなんだから、俺よりは偉いよな。
「お前は、ハガルの妖精なのか?」
「そうだ。私はハガルの命令で、お前の護衛をすることとなった」
頼んでない!!! 本当に、ハガル、勝手にやってくるな!?
きっと、俺が自殺したりするんじゃないか、と心配になったんだろうな。まあ、飽きたら自殺しちゃえばいいや、と思ったことはあるけどな。俺には生きる目的、ないから。
「楽な命令だ、と言われたのに、お前は妙なところに首を突っ込むし、大変だったんだぞ。お前は気づいていないだろうが、お前が対処出来る格より高い妖精は、私が払ってやってたんだ」
「そうなの!? 知らなかった。すみません。ありがとう」
「片手間だけどな。いいか、お前の護衛だけだ。妖精に寿命を狙われている爺は知らん」
そうか、実は毎日、俺は妖精に殺されそうになってたんだ。見えない戦いをこの男型の妖精はしていたのだ。
「俺がここにいること、ハガルは知ってるのか?」
「そういう命令は受けていない」
「教えないの!?」
「聞かれたら教える。命令されないことは、俺はしない」
ということは、ハガルは俺が海の貧民街にいることは知らない、ということか。ハガル、俺のこと、そこまで興味がないんだな。寂しい。
「どうして、コクーン爺さんが妖精に命を狙われているか、わかる?」
「命令されていない。貴様に頼まれても、調べない」
「そうだよね!!」
そこはしっかりとしているね。あわよくば、と思ったけど、ダメだった。
「じゃあさ、妖精のこと、教えてよ。お前は、最高位だって言ってたけど、その、格? てどこまであるの?」
「お前の妖精の格が低いから、知識を与えられなかったんだな。本来、妖精の格については、生まれ持つ妖精から学ぶことだ。ハガルも、私たちが教えた」
「教えてもらえないんかい!!」
「お前の格は上がったんだ。私から教えてやろう」
「ありがとうございます!!」
暇なんだろうな。とても嬉しそうに教えてくれた。
妖精には格がある。格は、体の大きさと、持って生まれた力で決まるという。
普段、俺のような平均的な妖精憑きが見ている小型の妖精は、最下位の妖精だ。魔法だって、時魔法は使えないという。
最下位の妖精の上が、中位妖精。中位妖精でも、力がちょっと強いくらいだ。時魔法は使えないけど、二つの属性魔法を同時行使が出来るという。
中位妖精の上が高位妖精だ。ここになると、人型ほどの大きさとなる。時魔法も使えるようになるとか。高位妖精は、格が高いだけでなく、最下位妖精、中位妖精を支配下に置いている。
高位妖精の上が、最高位妖精だ。人型なのは、高位妖精と同じだが、力が違い過ぎる。人の奇跡まで起こせるというほど強い。しかも、高位妖精を支配下に置いている。
「最高位妖精は、いくつも存在する。力比べは、高位妖精の支配数で決まるんだ。こう見えても、私は高位妖精を二十は支配している」
「ハガルって、最高位妖精、何体持ってるの?」
「………」
あ、聞いちゃダメなやつなんだ。そりゃそうだ。戦力なんて、教えるはずがない。いくら、この男型妖精が、妖精除けをしてるといっても、どこで情報が漏れるか、わからないからな。
「それで、お前の存在が俺にバレちゃったけど、それはいいわけ?」
「仕方がない。あの高位妖精が、余計なことをしてくれたから、貴様の格が上がってしまったんだ」
「何したの?」
「妖精の視認化だ。あの高位妖精、わざと貴様の前で姿を見えるようにしたんだ。そのせいで、お前の格が上がってしまった。急に格が上がったから、狂って、私まで見えてしまったんだ。一度でも見えてしまうと、妖精憑きは勝手に格が上がってしまう。そう、神が決めている」
「それで、俺、どうなるの?」
「貴様が生まれ憑いている中位妖精が見えるようになったな。出来ることが増えた」
そうかー、ちょっと見え過ぎるな、と思ったら、俺の妖精か。こんなにいるとは知らなかったよ、俺。
「俺って、中位妖精までしかいない?」
「そうそう、高位妖精や最高位妖精なんか持って生まれないぞ。よほどのことだぞ」
「ハガルって、すごいんだな」
「そう、ハガルはすごいんだ!! もっと尊敬しろ!!!」
ハガル、大好きなんだね、この妖精。ハガルを褒めると、物凄く上機嫌になる男型の妖精さん。そりゃそうだ、生まれた時からずっと一緒だもんな。大好きに決まっている。
「わかった。じゃあ、俺、今日もお仕事だから」
「あんな最低な仕事、やめろ」
「ハガルだって、皇帝と閨事してただろう」
「………」
「他の生き方が見つかるまでだ。俺が客とってる時は、外に行ってろよ」
「わかってる」
見えなかったが、そういう心遣いはあったんだな。見られていなくて、良かったと思えばいいのかな。
「そうだ、お前、名前、ある?」
ふと、聞いてみた。俺に憑いている妖精には、名前があるかもしれないが、数が多いので、聞いていない。ほら、覚えきれないだろう、こんないっぱい。
「ハガルがつけてくた名前ならある。カーラーンだ。呼んでいいぞ」
自慢なんだな。ハガルのことが大好きな男型の妖精カーラーンは、むしろ、俺に呼んでほしそうに名乗った。
「じゃあ、俺も普通にルキエルでいいよ。俺が死ぬまで、よろしく頼む」
「お前の寿命が尽きるまで、守ろう」
末長いな、それ。よろしくしたけど、もう、別れたくなった。
いつもの店に行けば、タリムが俺に向かってきた。
「タリム、昨日はどうだった?」
俺は途中で意識を飛ばしたから、タリムの感想が気になった。
「ルキエル、体のほうは大丈夫か!?」
逆に、心配された。身売りする女たちまで、心配そうに俺を見てくる。相当、大変だったんだな、皆。
「女相手にがっつくのはやめてやれ。あれは、大変だぞ」
「そ、そうか。ルキエルも、痛かったんだな」
「俺は慣れているから大丈夫だ。久しぶりで、良かった」
思い出すと、体が熱くなる。仕方がない、親父の剛直を毎日、受け止めていたのだ。体はあれを喜んでしまうのだ。
「ほ、本当か!?」
「嘘をついてどうする。だけど、あの調子で女を抱くなよ。あれは絶対にダメだ。少しずつ、調整出来るようになったほうがいい」
「その、今日も、お願いしていいか?」
「一つ聞くが、女好きだよな?」
「それは、もちろん!!」
「………なら、いいが」
何か、嫌な予感がする。頭の片隅で、ハガルと皇帝ラインハルトのことを思い出す。あの二人は、互いに、随分と深みに嵌っていた。
俺は貧民として育っている。貧民としての常識が身に染みている。だから、こういう行為も頭のどこかでは、割り切ってしまっている。だから、仕事として、男を受け止められるのだ。
タリムはどうだろうか? タリムのことは知らない。昨日会ったばかりの客だ。金のやり取りだから、俺は割り切るが、タリムはそうじゃない。タリムの全てを受け入れられる俺に、嵌ったのかもしれない。
「タリム、わかっていると思うが、売り買いの関係だ。俺は金を受け取った分、お前に奉仕するだけだ」
「奉仕はいらない。俺が一方的にやりたいだけだ」
「もうちょっと、力加減を覚えろよ」
「ああ!!」
「………」
あ、これ、ダメなやつだ。こいつ、覚える気なんてさらさらないな。
俺は仕方がないので、タリムを親父のように受け止めることにした。
二回目にして、タリムの本性を垣間見た。相当な好きモノだよ、あいつ。だけど、二回目も、俺は喜んだ。
ハガルのお陰で、あのとんでもない衝動はなくなったが、それだけだ。タリムの剛直を目の前にすると、理性なんて吹っ飛ぶ。奉仕はいらない、と言われたが、どうしても奉仕したくなる。
「奉仕、しないって」
「させてほしい」
俺がねだれば、タリムは不承不承、と俺の奉仕を受け入れてくれる。タリムの一物をつかみ、口に含むだけで、俺の一物が反応する。嬉しい! これをまた、受け入れられるなんて、奇跡のようだ!!
タリムは俺の奉仕に、なにか切り替わったようだ。俺の頭をつかみと、俺の喉奥へと剛直を突っ込む。そうして、俺の口を性器のように剛直を挿入させる。
しばらくして、タリムは白濁を俺の喉奥に放った。俺はもう、味わうとかない。すぐに飲み込んで、タリムへの奉仕を終わらせた。
タリムは昨日のように俺を押し倒そうとするが、俺はそれを止める。
「タリム、口づけをしてほしい」
俺から口付けすると、タリムが答えてくれる。きっと、いつもは興奮して、すぐに押し倒して挿入なんだろうな。それは、女たちに評判が悪い。
俺が段階を踏むように導いていく。口づけし、舌をからめつつ、俺はタリムの剛直をつかんだ。我慢がきかないのか、タリムは口づけのまま、俺の上に圧し掛かる。
すぐに挿入しようと動くが、俺はタリムの剛直を離さない。入れてもらいたいが、その前段階も楽しみたい。
「ほら、愛撫だ。俺を仕込んだ奴は、口づけの後は、愛撫してくれた。首を舐めてほしい」
「こ、こうか」
「そう!」
嬉しい!! 舐めまわされ、胸を撫でられると、体が喜ぶ。
「情痕もつけてほしい」
「どこに」
「胸とか、背中とか、脇とか、ともかく、あちこち、つけてほしい」
「こうすればいいか」
「そ、そう!! もっと強く!!」
久しぶりの刺激だ。欲しい所にくれるわけではない。だけど、どんどんと吸われて、情痕をつけられる行為だけで、俺は軽く絶頂した。白濁を放った。
「男はな、濡れないんだ。だから、これを、塗るんだよ」
俺が放った白濁をタリムの剛直に塗りこめた。
「その、準備は」
「俺には必要ない。だいたい、毎日のように、これと同じものを受け入れていた。慣れてる」
「そうか!」
嬉しそうに笑うタリム。やっとお許しが出て、タリムは容赦なく、俺の後ろの蕾に剛直を挿入する。
容赦なく最奥が突いてきた。いつもよりも質量が大きいようなきがする。そこに、嫌なものを感じて、聞いてみた。
「まさか、薬っ」
親父が薬を飲んで閨事に挑んだ時の恐怖は、今も忘れられない。あれは絶対にダメなやつだ。
「ちょっと、試してみたくて。こんなに硬くなるなんて、知らなかった」
「おまっ、ちょっと、それはぁあああああああ」
苦情の途中で、無茶苦茶、いい所を突いてきた。二回目にして、俺の弱いところを見つけやがったよタリム!!
「ここがいいんだな」
そういうこと、女相手にもしてあげてぇ!!
男である俺には、随分と研究熱心だ。きっと、俺が意識飛ばした後も、散々、突いて、どこがいいか、探ったんだろうな。
親父に随分と仕込まれてしまったので、どこを突かれても、俺は絶頂出来る。しかし、弱い所は弱いのだ。そこを見つけたタリム、こするように挿入するので、もう、俺のほうがおかしくなってきた。
「やあ、そこ、よわぃ、だめ、もう」
言葉がもう、言葉にならない。最奥をつくだけでなく、弱いところをこすっていく行為に、俺は乱れ、自我が崩壊したみたいに叫ぶしかない。こんなの、もう無理だ。
ちゃんと調整しろ、と俺が言ったからだろう。タリム、俺相手に調整しやかった。集中的に、その弱いところを突いてきたのだ。最奥を突かれるよりも、そこを突かれるほうが、俺は耐えられない。
「く、くるっ」
全身を物凄い悦楽が流れる。これは、かなりまずいのだ。
そして、わざとか、タリムが最奥をドンと痛いほど突いた。その途端、射精のない絶頂を迎える。全身がものすごく痙攣し、頭の中まで、快楽が走り廻る。
そこから、タリムの挿入を受けては、止まらない絶頂が続く。叫ぶしかない。タリムの体がちょっと触れるだけで、俺は悦楽を感じる。ただ、撫でられるだけで、体が痙攣する。
「すごいな。俺のものをすごいしめて、離してくれない」
「あ、ああ、もっと、ほしい」
「ああ、いいぞ!!」
そこから、タリムは好き勝手に動いた。そのどれも、俺を喜ばせた。
意識を飛ばすことはなかった。タリムが満足して離れると、俺はまだ痙攣する体を持てあます。触れられると、物凄く気持ち良いので、逆に離れてもらえて良かった。
「タリム、金は返す」
「どうして!?」
まだ、体が震えるが、俺はベッドから出て、金をタリムに返した。
「あ、部屋代は欲しいな」
「そうじゃなくて、どうして返すんだ!?」
「金はいらない。時々、俺を抱いてほしい」
「とき、どき?」
「毎日、これはさすがに無理だ。週一でいいから、抱いてほしい。あ、けど、お前に彼女とか出来たのなら、やめてくれていいから。それまでの体だけの関係だ」
「どうして!?」
「俺は一生、この身売りから抜け出せない。タリムに抱かれて、それがわかった。俺は、これが好きなんだ」
タリムに散々されて、気づいた。確かに、きっかけは親父だ。親父の無理矢理で、俺は男を受け入れられる体となった。散々、仕込まれたのだ、仕方がない。
だけど、俺はここから抜け出せない。衝動はなくなったが、タリムを目の前にすると、突き動かされる。一生、俺は娼夫だ。
金はいらない、そう言ってやってるってのに、タリムは俺の手に金を押し付ける。
「明日も抱きたい」
「タリム、女好きなんだよな」
「そうだけど、ルキエルは特別だ」
「………」
嫌な予感が的中した。タリム、俺に嵌った。どうしても、ハガルと皇帝ラインハルトが思い浮かぶ。だけど、すぐに振り払う。残念、俺はそこまで嵌っていない。
「俺は、人の好き嫌いがよくわからないんだ。だから、割り切れないのなら、やめたほうがいい」
「金を払う。これで割り切れる」
「毎日はダメだ。そういう女を探したほうがいい。だいたい、俺相手で、きちんと調整出来てるじゃないか。あれでいいんだ」
「それは、ルキエルが一つずつ、導いてくれたからだ」
「同じようなことを女相手にすればいい。同じことだ」
「ルキエルがいい」
「………」
拒絶がしづらい。金払いはいいし、俺が喜ぶ剛直を持っている。きちんと教えてやれば、俺を喜ばせてくれる。俺が喜ぶところをしっかりとおさえてくれている。
それ以前、俺が拒絶したら、タリム、色々な意味で終わるよな。身売りの女全てに拒絶されているのだ。俺まで拒絶したら、後がないな。
「毎日はお互い、大変だ。金だって有限だ。それ以前に、俺は金に困っていないんだ」
「そうなのか!? てっきり、金に困って身売りを」
「色々と、事情があってやっていることだ。まあ、俺が表立ってやれることは、身売りくらいだった、というだけなんだ」
「じゃあ、もう、この仕事は、しない?」
「その内な。だから、きちんと考えてほしい。俺は、別に金には執着していない。タリムの体には随分と惚れ込んでいる。しかし、毎日を受け入れるのは、お互いに良くない。だったら、週一、お互いの都合がいい日にしたほうがいい。そういうのがいい」
最低だな、俺。体だけでいい、なんてタリムに言ってるよ。言われたタリムは、意味わかってないよね。
「明日は」
「金はいらないから、週一でやろう」
「週三で」
「仕事にならない」
「金には困ってないって!?」
「建前があるんだ!! 俺は今、世話になってるんだ。そこに金をいれてる。いらない、と言われているが、何もしないのは、良くない」
「週二で」
「………わかった」
もう、諦めるしかない。だって、タリム、俺を押し倒して、体を愛撫してきやがった。こいつ、俺が弱いとこばっかり舐めまわしやがって!!
俺はタリムの顔を押した。
「いいか、女探すんだぞ!! いいな!!」
「わかったわかった。もう一回、やろう」
「やらない!! 帰らないと、心配されるんだ!!!」
調子に乗りすぎだ!! タリムは力づくで俺を拘束するが、蹴ってやる。
さすがに嫌われると感じたようで、タリムは諦めてくれた。
特に変わったことがあるとすれば、俺が見る景色が変わったということだ。
昨日までは、野良の妖精が見える程度だった。それが、一晩たつと、俺の隣りにとんでもない力を持つ男型の妖精がついて離れない、なんて光景を見ることとなった。
「どうして、私がこんな男を咥えるような男の護衛をしなければならないんだ」
「聞こえる!?」
「良かったな、妖精憑きとしての格が一気に上がったぞ」
「わからん!!」
いきなり、見える妖精も変わってしまった。頭がクラクラするので、俺は早朝稽古を休むことにした。ここにきて、初めてのことだ。
まあ、俺がタリムを相手に閨事をした、という話が広がっていて、そっち方面で、納得されたが。そうか、タリム、すごいもの持っているって、有名なんだな。
食事も拒否して、俺は隣りにいる男型の妖精を見上げる。ものすごい美形だ。男型だけど。不機嫌そうに、俺を見下ろしてくる。ハガルで見慣れているので、魅了はされないな。こいつ、完全な男だから、そういうことは起こらないな。
「あの、色々と教えてほしいんだけど」
「いいぞ。話し相手がないから、暇だったんだ。いくらでも聞いてくれ」
無茶苦茶、偉そうだな、この妖精。まあ、神の使いなんだから、俺よりは偉いよな。
「お前は、ハガルの妖精なのか?」
「そうだ。私はハガルの命令で、お前の護衛をすることとなった」
頼んでない!!! 本当に、ハガル、勝手にやってくるな!?
きっと、俺が自殺したりするんじゃないか、と心配になったんだろうな。まあ、飽きたら自殺しちゃえばいいや、と思ったことはあるけどな。俺には生きる目的、ないから。
「楽な命令だ、と言われたのに、お前は妙なところに首を突っ込むし、大変だったんだぞ。お前は気づいていないだろうが、お前が対処出来る格より高い妖精は、私が払ってやってたんだ」
「そうなの!? 知らなかった。すみません。ありがとう」
「片手間だけどな。いいか、お前の護衛だけだ。妖精に寿命を狙われている爺は知らん」
そうか、実は毎日、俺は妖精に殺されそうになってたんだ。見えない戦いをこの男型の妖精はしていたのだ。
「俺がここにいること、ハガルは知ってるのか?」
「そういう命令は受けていない」
「教えないの!?」
「聞かれたら教える。命令されないことは、俺はしない」
ということは、ハガルは俺が海の貧民街にいることは知らない、ということか。ハガル、俺のこと、そこまで興味がないんだな。寂しい。
「どうして、コクーン爺さんが妖精に命を狙われているか、わかる?」
「命令されていない。貴様に頼まれても、調べない」
「そうだよね!!」
そこはしっかりとしているね。あわよくば、と思ったけど、ダメだった。
「じゃあさ、妖精のこと、教えてよ。お前は、最高位だって言ってたけど、その、格? てどこまであるの?」
「お前の妖精の格が低いから、知識を与えられなかったんだな。本来、妖精の格については、生まれ持つ妖精から学ぶことだ。ハガルも、私たちが教えた」
「教えてもらえないんかい!!」
「お前の格は上がったんだ。私から教えてやろう」
「ありがとうございます!!」
暇なんだろうな。とても嬉しそうに教えてくれた。
妖精には格がある。格は、体の大きさと、持って生まれた力で決まるという。
普段、俺のような平均的な妖精憑きが見ている小型の妖精は、最下位の妖精だ。魔法だって、時魔法は使えないという。
最下位の妖精の上が、中位妖精。中位妖精でも、力がちょっと強いくらいだ。時魔法は使えないけど、二つの属性魔法を同時行使が出来るという。
中位妖精の上が高位妖精だ。ここになると、人型ほどの大きさとなる。時魔法も使えるようになるとか。高位妖精は、格が高いだけでなく、最下位妖精、中位妖精を支配下に置いている。
高位妖精の上が、最高位妖精だ。人型なのは、高位妖精と同じだが、力が違い過ぎる。人の奇跡まで起こせるというほど強い。しかも、高位妖精を支配下に置いている。
「最高位妖精は、いくつも存在する。力比べは、高位妖精の支配数で決まるんだ。こう見えても、私は高位妖精を二十は支配している」
「ハガルって、最高位妖精、何体持ってるの?」
「………」
あ、聞いちゃダメなやつなんだ。そりゃそうだ。戦力なんて、教えるはずがない。いくら、この男型妖精が、妖精除けをしてるといっても、どこで情報が漏れるか、わからないからな。
「それで、お前の存在が俺にバレちゃったけど、それはいいわけ?」
「仕方がない。あの高位妖精が、余計なことをしてくれたから、貴様の格が上がってしまったんだ」
「何したの?」
「妖精の視認化だ。あの高位妖精、わざと貴様の前で姿を見えるようにしたんだ。そのせいで、お前の格が上がってしまった。急に格が上がったから、狂って、私まで見えてしまったんだ。一度でも見えてしまうと、妖精憑きは勝手に格が上がってしまう。そう、神が決めている」
「それで、俺、どうなるの?」
「貴様が生まれ憑いている中位妖精が見えるようになったな。出来ることが増えた」
そうかー、ちょっと見え過ぎるな、と思ったら、俺の妖精か。こんなにいるとは知らなかったよ、俺。
「俺って、中位妖精までしかいない?」
「そうそう、高位妖精や最高位妖精なんか持って生まれないぞ。よほどのことだぞ」
「ハガルって、すごいんだな」
「そう、ハガルはすごいんだ!! もっと尊敬しろ!!!」
ハガル、大好きなんだね、この妖精。ハガルを褒めると、物凄く上機嫌になる男型の妖精さん。そりゃそうだ、生まれた時からずっと一緒だもんな。大好きに決まっている。
「わかった。じゃあ、俺、今日もお仕事だから」
「あんな最低な仕事、やめろ」
「ハガルだって、皇帝と閨事してただろう」
「………」
「他の生き方が見つかるまでだ。俺が客とってる時は、外に行ってろよ」
「わかってる」
見えなかったが、そういう心遣いはあったんだな。見られていなくて、良かったと思えばいいのかな。
「そうだ、お前、名前、ある?」
ふと、聞いてみた。俺に憑いている妖精には、名前があるかもしれないが、数が多いので、聞いていない。ほら、覚えきれないだろう、こんないっぱい。
「ハガルがつけてくた名前ならある。カーラーンだ。呼んでいいぞ」
自慢なんだな。ハガルのことが大好きな男型の妖精カーラーンは、むしろ、俺に呼んでほしそうに名乗った。
「じゃあ、俺も普通にルキエルでいいよ。俺が死ぬまで、よろしく頼む」
「お前の寿命が尽きるまで、守ろう」
末長いな、それ。よろしくしたけど、もう、別れたくなった。
いつもの店に行けば、タリムが俺に向かってきた。
「タリム、昨日はどうだった?」
俺は途中で意識を飛ばしたから、タリムの感想が気になった。
「ルキエル、体のほうは大丈夫か!?」
逆に、心配された。身売りする女たちまで、心配そうに俺を見てくる。相当、大変だったんだな、皆。
「女相手にがっつくのはやめてやれ。あれは、大変だぞ」
「そ、そうか。ルキエルも、痛かったんだな」
「俺は慣れているから大丈夫だ。久しぶりで、良かった」
思い出すと、体が熱くなる。仕方がない、親父の剛直を毎日、受け止めていたのだ。体はあれを喜んでしまうのだ。
「ほ、本当か!?」
「嘘をついてどうする。だけど、あの調子で女を抱くなよ。あれは絶対にダメだ。少しずつ、調整出来るようになったほうがいい」
「その、今日も、お願いしていいか?」
「一つ聞くが、女好きだよな?」
「それは、もちろん!!」
「………なら、いいが」
何か、嫌な予感がする。頭の片隅で、ハガルと皇帝ラインハルトのことを思い出す。あの二人は、互いに、随分と深みに嵌っていた。
俺は貧民として育っている。貧民としての常識が身に染みている。だから、こういう行為も頭のどこかでは、割り切ってしまっている。だから、仕事として、男を受け止められるのだ。
タリムはどうだろうか? タリムのことは知らない。昨日会ったばかりの客だ。金のやり取りだから、俺は割り切るが、タリムはそうじゃない。タリムの全てを受け入れられる俺に、嵌ったのかもしれない。
「タリム、わかっていると思うが、売り買いの関係だ。俺は金を受け取った分、お前に奉仕するだけだ」
「奉仕はいらない。俺が一方的にやりたいだけだ」
「もうちょっと、力加減を覚えろよ」
「ああ!!」
「………」
あ、これ、ダメなやつだ。こいつ、覚える気なんてさらさらないな。
俺は仕方がないので、タリムを親父のように受け止めることにした。
二回目にして、タリムの本性を垣間見た。相当な好きモノだよ、あいつ。だけど、二回目も、俺は喜んだ。
ハガルのお陰で、あのとんでもない衝動はなくなったが、それだけだ。タリムの剛直を目の前にすると、理性なんて吹っ飛ぶ。奉仕はいらない、と言われたが、どうしても奉仕したくなる。
「奉仕、しないって」
「させてほしい」
俺がねだれば、タリムは不承不承、と俺の奉仕を受け入れてくれる。タリムの一物をつかみ、口に含むだけで、俺の一物が反応する。嬉しい! これをまた、受け入れられるなんて、奇跡のようだ!!
タリムは俺の奉仕に、なにか切り替わったようだ。俺の頭をつかみと、俺の喉奥へと剛直を突っ込む。そうして、俺の口を性器のように剛直を挿入させる。
しばらくして、タリムは白濁を俺の喉奥に放った。俺はもう、味わうとかない。すぐに飲み込んで、タリムへの奉仕を終わらせた。
タリムは昨日のように俺を押し倒そうとするが、俺はそれを止める。
「タリム、口づけをしてほしい」
俺から口付けすると、タリムが答えてくれる。きっと、いつもは興奮して、すぐに押し倒して挿入なんだろうな。それは、女たちに評判が悪い。
俺が段階を踏むように導いていく。口づけし、舌をからめつつ、俺はタリムの剛直をつかんだ。我慢がきかないのか、タリムは口づけのまま、俺の上に圧し掛かる。
すぐに挿入しようと動くが、俺はタリムの剛直を離さない。入れてもらいたいが、その前段階も楽しみたい。
「ほら、愛撫だ。俺を仕込んだ奴は、口づけの後は、愛撫してくれた。首を舐めてほしい」
「こ、こうか」
「そう!」
嬉しい!! 舐めまわされ、胸を撫でられると、体が喜ぶ。
「情痕もつけてほしい」
「どこに」
「胸とか、背中とか、脇とか、ともかく、あちこち、つけてほしい」
「こうすればいいか」
「そ、そう!! もっと強く!!」
久しぶりの刺激だ。欲しい所にくれるわけではない。だけど、どんどんと吸われて、情痕をつけられる行為だけで、俺は軽く絶頂した。白濁を放った。
「男はな、濡れないんだ。だから、これを、塗るんだよ」
俺が放った白濁をタリムの剛直に塗りこめた。
「その、準備は」
「俺には必要ない。だいたい、毎日のように、これと同じものを受け入れていた。慣れてる」
「そうか!」
嬉しそうに笑うタリム。やっとお許しが出て、タリムは容赦なく、俺の後ろの蕾に剛直を挿入する。
容赦なく最奥が突いてきた。いつもよりも質量が大きいようなきがする。そこに、嫌なものを感じて、聞いてみた。
「まさか、薬っ」
親父が薬を飲んで閨事に挑んだ時の恐怖は、今も忘れられない。あれは絶対にダメなやつだ。
「ちょっと、試してみたくて。こんなに硬くなるなんて、知らなかった」
「おまっ、ちょっと、それはぁあああああああ」
苦情の途中で、無茶苦茶、いい所を突いてきた。二回目にして、俺の弱いところを見つけやがったよタリム!!
「ここがいいんだな」
そういうこと、女相手にもしてあげてぇ!!
男である俺には、随分と研究熱心だ。きっと、俺が意識飛ばした後も、散々、突いて、どこがいいか、探ったんだろうな。
親父に随分と仕込まれてしまったので、どこを突かれても、俺は絶頂出来る。しかし、弱い所は弱いのだ。そこを見つけたタリム、こするように挿入するので、もう、俺のほうがおかしくなってきた。
「やあ、そこ、よわぃ、だめ、もう」
言葉がもう、言葉にならない。最奥をつくだけでなく、弱いところをこすっていく行為に、俺は乱れ、自我が崩壊したみたいに叫ぶしかない。こんなの、もう無理だ。
ちゃんと調整しろ、と俺が言ったからだろう。タリム、俺相手に調整しやかった。集中的に、その弱いところを突いてきたのだ。最奥を突かれるよりも、そこを突かれるほうが、俺は耐えられない。
「く、くるっ」
全身を物凄い悦楽が流れる。これは、かなりまずいのだ。
そして、わざとか、タリムが最奥をドンと痛いほど突いた。その途端、射精のない絶頂を迎える。全身がものすごく痙攣し、頭の中まで、快楽が走り廻る。
そこから、タリムの挿入を受けては、止まらない絶頂が続く。叫ぶしかない。タリムの体がちょっと触れるだけで、俺は悦楽を感じる。ただ、撫でられるだけで、体が痙攣する。
「すごいな。俺のものをすごいしめて、離してくれない」
「あ、ああ、もっと、ほしい」
「ああ、いいぞ!!」
そこから、タリムは好き勝手に動いた。そのどれも、俺を喜ばせた。
意識を飛ばすことはなかった。タリムが満足して離れると、俺はまだ痙攣する体を持てあます。触れられると、物凄く気持ち良いので、逆に離れてもらえて良かった。
「タリム、金は返す」
「どうして!?」
まだ、体が震えるが、俺はベッドから出て、金をタリムに返した。
「あ、部屋代は欲しいな」
「そうじゃなくて、どうして返すんだ!?」
「金はいらない。時々、俺を抱いてほしい」
「とき、どき?」
「毎日、これはさすがに無理だ。週一でいいから、抱いてほしい。あ、けど、お前に彼女とか出来たのなら、やめてくれていいから。それまでの体だけの関係だ」
「どうして!?」
「俺は一生、この身売りから抜け出せない。タリムに抱かれて、それがわかった。俺は、これが好きなんだ」
タリムに散々されて、気づいた。確かに、きっかけは親父だ。親父の無理矢理で、俺は男を受け入れられる体となった。散々、仕込まれたのだ、仕方がない。
だけど、俺はここから抜け出せない。衝動はなくなったが、タリムを目の前にすると、突き動かされる。一生、俺は娼夫だ。
金はいらない、そう言ってやってるってのに、タリムは俺の手に金を押し付ける。
「明日も抱きたい」
「タリム、女好きなんだよな」
「そうだけど、ルキエルは特別だ」
「………」
嫌な予感が的中した。タリム、俺に嵌った。どうしても、ハガルと皇帝ラインハルトが思い浮かぶ。だけど、すぐに振り払う。残念、俺はそこまで嵌っていない。
「俺は、人の好き嫌いがよくわからないんだ。だから、割り切れないのなら、やめたほうがいい」
「金を払う。これで割り切れる」
「毎日はダメだ。そういう女を探したほうがいい。だいたい、俺相手で、きちんと調整出来てるじゃないか。あれでいいんだ」
「それは、ルキエルが一つずつ、導いてくれたからだ」
「同じようなことを女相手にすればいい。同じことだ」
「ルキエルがいい」
「………」
拒絶がしづらい。金払いはいいし、俺が喜ぶ剛直を持っている。きちんと教えてやれば、俺を喜ばせてくれる。俺が喜ぶところをしっかりとおさえてくれている。
それ以前、俺が拒絶したら、タリム、色々な意味で終わるよな。身売りの女全てに拒絶されているのだ。俺まで拒絶したら、後がないな。
「毎日はお互い、大変だ。金だって有限だ。それ以前に、俺は金に困っていないんだ」
「そうなのか!? てっきり、金に困って身売りを」
「色々と、事情があってやっていることだ。まあ、俺が表立ってやれることは、身売りくらいだった、というだけなんだ」
「じゃあ、もう、この仕事は、しない?」
「その内な。だから、きちんと考えてほしい。俺は、別に金には執着していない。タリムの体には随分と惚れ込んでいる。しかし、毎日を受け入れるのは、お互いに良くない。だったら、週一、お互いの都合がいい日にしたほうがいい。そういうのがいい」
最低だな、俺。体だけでいい、なんてタリムに言ってるよ。言われたタリムは、意味わかってないよね。
「明日は」
「金はいらないから、週一でやろう」
「週三で」
「仕事にならない」
「金には困ってないって!?」
「建前があるんだ!! 俺は今、世話になってるんだ。そこに金をいれてる。いらない、と言われているが、何もしないのは、良くない」
「週二で」
「………わかった」
もう、諦めるしかない。だって、タリム、俺を押し倒して、体を愛撫してきやがった。こいつ、俺が弱いとこばっかり舐めまわしやがって!!
俺はタリムの顔を押した。
「いいか、女探すんだぞ!! いいな!!」
「わかったわかった。もう一回、やろう」
「やらない!! 帰らないと、心配されるんだ!!!」
調子に乗りすぎだ!! タリムは力づくで俺を拘束するが、蹴ってやる。
さすがに嫌われると感じたようで、タリムは諦めてくれた。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。