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過去からの捜索者たち
本物
ちょっと前に、俺を誘拐しようとした奴らの尋問、コクーン爺さんはすぐに終わらせてくれた。やっぱり、その道の人にやらせると、早いね。俺はねー、尋問相手が男だから、体篭絡してから、と時間かかっちゃうんだよ。あ、一人、篭絡済みだったな。
もう、俺一人で行動させてくれないナナキとレーリエット。出来るなら、レーリエットはご遠慮願いたいんだけどね。あまり、見せたくない。
尋問後の男たちは、大変な状態である。
「こいつら、どうする?」
「てっきり、コクーン爺さん、殺して埋めちゃうと思ってたんだけど」
「ワシらには関係ない奴らだからな。判断は、ルキエルに任せる」
「任せるって、もう殺したほうがいい感じだけど」
見慣れた光景である。レーリエットが心配でちらっと見てみれば、平然としている。そうか、レーリエットも親父から、こういう英才教育受けちゃったかー。やっぱ、親子だな。
「依頼主の名前は聞いたことがないな。偽名だろう。貴族らしいが、どこの誰かなー?」
「こいつら、王都の貧民街で活動している奴らだ」
「俺の弱点を知ってるのが気になる。依頼主は、誰に聞いたんだ?」
「知り合いの貴族にいるのか?」
「もう、この世にはいないな」
俺の弱点を知っていそうな貴族は、ハガルが妖精の呪いという刑罰で、一族ごと消滅した。貴族同士は、足の引っ張り合いだ。こういう秘密は、簡単に外部に漏らさないだろう。
俺の身売りの噂は、相当、遠くまで流れているはずだ。何せ、この噂を聞いて、ナナキとレーリエットがわざわざ海の貧民街まで来たのだ。ルキエルではなく、王都の貧民街の元支配者の娼夫に興味を持つ輩はいるだろう。そこに、貴族がいたとしても、俺の弱点を知っているのはおかしい。
「もう少し、ワシのほうで、調べてやろうか?」
「いや、そこまではいい。しばらくは、身売りの仕事は休もう。また、同じような方法で誘拐されそうだ」
「だったら、僕が護衛しますから、貧民街を案内してください」
「さっさと王都に帰れ」
「そうですね。さっさと王都に戻って、支配者を誰かに押し付けてきます!」
どっちにしても、ナナキは側に戻ってくるのか。面倒臭いな、こいつ。
「お兄ちゃんにあんなもの使って誘拐しようとするなんて、汚らわしい」
レーリエットは、やっぱ、潔癖症だな。妖精を狂わせる香を使われたことを知って、蔑むように誘拐犯たちを見下ろす。
「たまに使われると、楽しかったけどな。あれはあれで良かった」
「もう、お兄ちゃん、いやらしい顔してる!? その顔、嫌い!!」
「仕方がない、そういうのが大好きなんだから。最近、やってないなー。ユーリに頼もうかな」
「お兄ちゃん!!」
「冗談だ、冗談。ここでは身売りしない」
身売りはしていないけど、閨事はしたことあるけど。一度目は敵として捕まえたタリム、二度目は目の前でボロボロになってる奴。ユーリにこっそり、閨事頼もうかな。
俺の考えを読めるほど理解を深めた最高位妖精カーラーンは、蔑むように俺を見下ろしてくれる。ここで閨事する場合、カーラーンの協力は必要だ。人払いから防音まで、最高位妖精様は万能だからね。
「ナナキ、こいつら、楽にしてあげて」
「わかりました」
俺のご指名に、ナナキは大喜びだ。俺自身の手でやってあげたいが、妖精殺しの短剣をナナキの目の前では使いたくない。使ってはいけないような予感がする。
「王都の貧民街にいながら、ルキエル様に手を出すとは、身の程を知らぬ若造には、生きている価値はない」
支配者の顔をして、ナナキは誘拐犯たちを殺した。
最後に閨事をしたのは、あの誘拐犯を相手にした時だ。動けない男を下にして、一方的に俺が動いてただけなので、ちょっと物足りなかった。妖精を狂わせる香による情欲は、まあまあ落ち着いたかに見えたが、それから身売りもしていないから、満足いかなかったようだ。
レーリエットはぐっすりと眠っている。明日には、王都に戻るというので、今日も同衾である。妹相手に、間違いを犯すことはない。
ナナキは、寝ているかと思ったら、起きていた。床で寝ながら、物言いたげに俺を見上げている。
「悪い、起こしたみたいなだな」
「僕がお相手しましょうか?」
「………お前はちょっと」
「男だからですか?」
「いや、その、お前のものが、想像つかない」
この綺麗な顔の男の下半身が想像できない。元妖精なんだけど、あるんだ。だって、昔は俺がナナキの面倒を見ていた。服だって脱がして、風呂にも入れたんだ。きちんと男だと確認出来るものが、下半身にあったことを思い出す。
ナナキと出会ったのは、ナナキが幼い姿だった。可愛かったな。下半身も可愛かったな。あれが、成長したんだけど、どうなっているのか、わからない。小さいままだったら、俺のほうががっかりしちゃうよ。
「あの男がするように、出来ますよ。よく、盗み見ていました」
迫ってくるナナキ。俺の隣りには、潔癖症のレーリエットがいるんだけど!!
「あの妖精に防音とかさせればいい。レーリエットには、眠りの魔法をすれば、朝まで起きない。ちょっと、変は夢を見るかもしれないがな」
「床でやるのか!? 悪いが、きちんとベッドでやったぞ!!」
この部屋でも、一応、ベッドで閨事した。床は親父相手でも、やったことは、あるけど、それは俺への罰だ。俺が抵抗したから、床に押さえつけられて、痛い目にあわせながらの閨事だ。
ナナキは俺をベッドから床へと引きずり落とす。俺は力がないので、ナナキにされるがままだ。あっという間に、俺とナナキは逆転する。俺は床に転がされ、ナナキは俺の上に圧し掛かる。
「男になって、後悔した。女だったら、ルキエルの子が産めた」
「良かったな、女だったら、永遠に圏外だ」
「そうだな」
ナナキは俺に口づけする。どこで習ったのか知らないが、舌まで入れてくる。それが、ものすごく上手だ。夢中になって、俺はナナキの口づけを受け、舌を絡めていると、ナナキは服の上から俺を愛撫する。滑るように、時々、爪でひっかくようなことをして、刺激してくる。
「ん、うん、んー--!!」
口づけはそのままに、優しい愛撫をしながら、服を脱がしていく。親父の娼夫となってからずっと、俺の服は脱がせやすいものだ。
そうして、ナナキの手で素っ裸にされる。後ろの蕾に指を入れられると、俺はナナキの口づけから離れ、のけぞる。
「あ、そこ、やぁ」
いきなり、いいトコを指でこすってきた。こういうのは、教えられるものではない。
「たまにだけど、僕がルキエル様の体を清めてたんだ。抱いていないよ。ただ、ここの中を綺麗にする時、どうしても、触ってしまうからね」
「だ、だめ、いっちゃうぅ」
言い訳なんて聞こえていない。いいトコを強弱をつけて指で撫でられる。あまりのことに、ナナキに縋りついた。
「一度、いっておこうか」
耳元で、そう囁かれ、俺の弱いところを激しく指でついてきた。それには、俺は耐えられなくて、ナナキの背中に爪をたてる。それほどの悦楽を指だけで与えられた。
「ああああああー------!!!!」
物凄い声が出た。剛直を挿入されていないというのに、指だけで絶頂させられた。しかも、射精が伴わないそれは、恐ろしく長い悦楽だ。
触れられるだけで、体が喜ぶ。口づけが気持ち良い。舌の先まで、気持ちよく感じる。
全身が悍ましい性器のようで、びくびくと震える。そんな俺をうつ伏せにさせ、ナナキは嬉しそうに見下ろした。
「やっと、僕のものに出来る」
ナナキは服を脱ぎ、ゆっくりと俺の後ろの蕾に、ナナキの剛直が挿入される。
「あ、ああ、ああああー----!!!」
ゆっくりとした挿入だが、その太さ、長さ、質量に、俺は喜んだ。床に爪をたてて、悶絶する。奥を押し破るように、最後、突かれた。
たったそれだけで、達した。久しぶりの苦痛と喜びに、全身が喜ぶ。
なのに、ナナキは後ろから俺を抱きしめて、動かない。
「ナナキ、うご、いて」
「やっと、手に入れたんだ。味わいたい。このまま、じっとしているのも、喜びだ。全身で感じる。こうしているだけで、幸福だ」
挿入されたまま、ナナキは俺の背中を撫でる。それが物凄く気持ちよい。俺は震える。
「ここに、何かされたのか? 僕のルキエル様を契約で縛ろうだなんて、身の程知らずが」
「あ、や、そこ、変な、感じ」
「契約から解放されていますが、どうしても、痕跡が残ってしまう。この痕跡も、僕が上書きしてあげましょう」
「ああ、ああああ」
舐めて、強く吸われて、と丹念にされる。もう、火傷なんて忘れてしまっている。だけど、ナナキに触れられ、舐められ、としていると、戻ってくる。
たった一度だが、皇族の血筋に支配されていた。あれは、とんでもない強制力と痛みがあった。あれが、どんどんとナナキが与える快楽へと塗り替えられる。
蕾の奥まで詰まる剛直に震え、背中の消された火傷の痕跡を愛撫され、頭の奥まで震えるほどの悦楽だ。こんな状態が続くのに、まだ、終わらないのだ。
そうして、契約の痕跡が綺麗に塗り替えられたのを感じた。
「もう、いいだろう」
それなのに、背中を舐めまわし、愛撫し、強く吸い、とじれったい。
「このままで、ずっといたい」
俺はそうではない。ナナキは元妖精の感性だが、俺はただの人だ。俗物なんだよ。
俺の不満が伝わったのだろう。ナナキは苦笑する。
「人の時間は短い。仕方がありませんね」
やっと、ナナキの剛直が動き出す。ぎりぎりまで引かれ、一気に挿入された。それを、ゆっくりとされる。いつもなら、そのじれったさが、物足りないのだが、今はそうではない。
散々、焦らされ、愛撫され、体全てに喜びが満たされた所に、ナナキの剛直が動き出すと、体全体が震え、喜び、小さい絶頂が止まらない。
「中まで震えているな」
「あ、ああ、そこ、奥を」
「ここがいいんだろう?」
奥がいいというのに、弱い所をこすってくる。そこは弱いんだ。確かにいい。
俺から動きたい。だけど、ナナキは俺の腰をがっしりつかんで、俺の自由を許さない。ナナキにされるままだ。深さまで、ナナキに操作されている。
「お、奥に」
「でも、ここを突くと、物凄く喜ぶのに?」
「奥に、ほしい!! ナナキ、ナナキぃ!!」
「………やっと、呼んでくれた。そうだ、僕の名は、ルキエル様がつけてくれた。僕の全ては、ルキエル様のものだ!!」
「ナナキ、ああ、ナナキ!!」
ナナキと呼べば、喜んで、奥を突いてくれる。それが嬉しくて、俺はナナキを呼ぶ。顔が見たくて、後ろを振り返れば、ナナキは陶酔していた。俺が振り返ると、口づけして、舌を絡めてきた。態勢はきついが、嬉しくて、俺は舌を出して、ナナキを口づけを求めた。それの行為に、ナナキは喜んで与えてくれる。
「ナナキ、もう、呼び捨てでいい」
「ルキエル様?」
俺が何を言っているのか、ナナキは理解できずに、動きを止める。
いつの間にか、俺はナナキの下で仰向けにされ、両足を持ち上げられていた。俺の上に圧し掛かり、ナナキと深く繋がっていた。
「ルキエル、だ。様は、いらない」
「支配されたい」
妖精と人とでは感性が違う。ナナキは、俺に敬称をつけることで、支配されている感じを受けるのだろう。
俺は、ナナキの顔を両手で覆い、口づけをする。
「本物が欲しい」
「本物?」
「ハガルと皇帝みたいな、あんなものに、なりたい」
心の奥底から、そう願う。あんなふうになりたい。
ハガルと皇帝を見てしまった。あんなものを見てしまったら、求めてしまう。ナナキを本物にしたい。
俺がどのような顔をしているのか、わからない。きっと、情欲に溺れているだろう。そんな俺を見て、ナナキは嬉しそうに笑い、口づけを返してくれる。
「ルキエル、僕のルキエル」
ナナキは俺に支配されたい、と願った。だけど、今、俺がナナキに支配されている。奥の奥をえぐるような挿入に、俺はのけぞるように喜んだ。
「ナナキぃ!!!」
「僕のものだ」
強く奥をつかれる。抱きしめ、体を起こし、座位にされる。
「ナナキ、ナナキ!!」
「ほら、奥にあげよう」
「ああ!!」
奥の奥で白濁を放たれる。あまりのことに、大きい並のような悦楽が流れる。それが、とても嬉しい。もう、喜びしかない。
「もっと、もっと!!」
「感じる。中が全て、僕のものだ!!」
におい付けのようなものだろう。中から、ナナキの色に塗り替えられているのを感じる。
長年、親父に受けたもの全てが、ナナキに塗り替えられる。肌と肌が触れあっているだけで、外も、ナナキを感じて、喜ぶ。
俺は嬉しくて、ナナキの頬を、瞼を、耳を、顎を、と口づけしていく。その全てが喜びだ。
「ルキエル、ルキエル、僕のルキエル」
また、中に白濁が放たれる。この恐ろしい悦楽に、俺は溺れた。座位のまま、下からナナキに打ち上げられ、奥へと何度も白濁を受け、俺も数えきれないほど絶頂した。
もう、全身が酷い状態だ。体力だって底を尽きかけているというのに、止められない。意識を手放したくない。ずっと、ナナキを感じて、受けて、そのままでいたい。とんでもない肉欲に支配される。
「もっと、こうしていたいが、朝だ」
抱きしめ、俺の頬に舐めるように口づけするナナキは、俺自身を持ち上げると、ぐいっと、落とすように俺の奥にナナキの剛直を突いた。最後の最後で、俺の意識を根こそぎ奪った。
最高位妖精様様だ。あれほど大変な状態だったというのに、カーラーンが何も言わないでも、後処理をしてくれた。俺は、気づいたら、ベッドで横になっていた。ベッドの横には、ナナキが膝をついて、俺の上に頭を乗せて甘えていた。
「重い」
俺はナナキを押し離して起きた。カーラーン、本当にいい奴だな。体力まで回復してくれてる。あんなに濃い閨事をしたから、色々と覚悟していたが、気だるさもない。頭のほうもすっきりだ。数日、苛まれていた物足りなさがなくなった。
「すっきりした」
「お前、他にいうことがあるだろう!?」
カーラーンが黙っていられなくて、俺に怒る。
「ナナキ、俺のことは、呼び捨てにしろよ」
「他にもいうことがあるだろう!!」
「今度は、レーリエットのいないところでやろう」
「違うっ!! あんなに互いを求めあっていたというのに、なんだ、これは!? もっと、こう、いうことがあるだろう!!」
「煩いな、カーラーン」
どうも、カーラーンは、夢見がちなところがある。そんな、甘っちょろいもの、俺にあるわけがないだろう。
「最低だな!!」
「若いな。こういうとこがいいんだ」
閨事では、あんなに俺を支配していたナナキは、日中ではすっかり俺に支配されちゃってるよ。それを喜んでいるナナキ。それを見て、カーラーンは頭を抱える。
「こんなのが本物だと? ハガルと皇帝は、もっと、こう、違ったぞ!!」
「お前な、人の数だけ、本物の形があるんだ。同じものばっかりだと、詰まらないだろう。俺とナナキは、これでいいんだ」
「………」
納得はしてもらえたようだ。しかし、カーラーンの中で、俺とナナキの関係は、残念でならないようだ。本当に、夢見過ぎだよ、この妖精は!!
「じゃあ、ナナキ、今日こそは、王都に向かって行ってくれ」
「離れたくない」
「一緒にいるための、必要な儀式だと思え。あとくされなくしてから、レーリエットと戻ってこいよ」
「レーリエットを置いていってはダメ?」
「レーリエットの護衛は、ナナキの役割だ。忘れるな。王都に戻る時は、レーリエットも一緒だ」
「それはいいが、往復で、時間がかかる」
「そうだ。それがいい。時間をかけて、往復しろ。時間をかけて、長く離れて、次、会った時は、想像以上の喜びだろうな」
「………そうだな」
想像したのだろう。もう、一年以上、離れていたしな。一年ぶりの再会を思い出して、物凄く嬉しそうに笑うナナキ。ごめん、俺はその時、面倒くさいのが来たな、なんて思ってた。
次の再会は、どんな気持ちになるのか、想像がつかない。もし、ナナキが俺の本物だったら、すごいことになるのだろう。
ナナキにとって、俺は本物だ。だけど、俺にとってナナキが本物となるかは、まだわからない。心も体も縋りついてくるナナキは、無償で全てを捧げてくる。人によっては、それは重い、と言われるだろう。
実際、体全てを傾けて、重いものを押し付けてくるナナキ。一夜を経たことで、ナナキは体全体で俺を求めるように抱きしめてきた。
「準備しろ」
だけど、鬱陶しいと感じるので、俺は押し離した。
「お前、本当に最低だな!!!」
「誉め言葉だ」
カーラーンにそう言われるのは、嬉しいな。ついつい笑ってしまった。
もう、俺一人で行動させてくれないナナキとレーリエット。出来るなら、レーリエットはご遠慮願いたいんだけどね。あまり、見せたくない。
尋問後の男たちは、大変な状態である。
「こいつら、どうする?」
「てっきり、コクーン爺さん、殺して埋めちゃうと思ってたんだけど」
「ワシらには関係ない奴らだからな。判断は、ルキエルに任せる」
「任せるって、もう殺したほうがいい感じだけど」
見慣れた光景である。レーリエットが心配でちらっと見てみれば、平然としている。そうか、レーリエットも親父から、こういう英才教育受けちゃったかー。やっぱ、親子だな。
「依頼主の名前は聞いたことがないな。偽名だろう。貴族らしいが、どこの誰かなー?」
「こいつら、王都の貧民街で活動している奴らだ」
「俺の弱点を知ってるのが気になる。依頼主は、誰に聞いたんだ?」
「知り合いの貴族にいるのか?」
「もう、この世にはいないな」
俺の弱点を知っていそうな貴族は、ハガルが妖精の呪いという刑罰で、一族ごと消滅した。貴族同士は、足の引っ張り合いだ。こういう秘密は、簡単に外部に漏らさないだろう。
俺の身売りの噂は、相当、遠くまで流れているはずだ。何せ、この噂を聞いて、ナナキとレーリエットがわざわざ海の貧民街まで来たのだ。ルキエルではなく、王都の貧民街の元支配者の娼夫に興味を持つ輩はいるだろう。そこに、貴族がいたとしても、俺の弱点を知っているのはおかしい。
「もう少し、ワシのほうで、調べてやろうか?」
「いや、そこまではいい。しばらくは、身売りの仕事は休もう。また、同じような方法で誘拐されそうだ」
「だったら、僕が護衛しますから、貧民街を案内してください」
「さっさと王都に帰れ」
「そうですね。さっさと王都に戻って、支配者を誰かに押し付けてきます!」
どっちにしても、ナナキは側に戻ってくるのか。面倒臭いな、こいつ。
「お兄ちゃんにあんなもの使って誘拐しようとするなんて、汚らわしい」
レーリエットは、やっぱ、潔癖症だな。妖精を狂わせる香を使われたことを知って、蔑むように誘拐犯たちを見下ろす。
「たまに使われると、楽しかったけどな。あれはあれで良かった」
「もう、お兄ちゃん、いやらしい顔してる!? その顔、嫌い!!」
「仕方がない、そういうのが大好きなんだから。最近、やってないなー。ユーリに頼もうかな」
「お兄ちゃん!!」
「冗談だ、冗談。ここでは身売りしない」
身売りはしていないけど、閨事はしたことあるけど。一度目は敵として捕まえたタリム、二度目は目の前でボロボロになってる奴。ユーリにこっそり、閨事頼もうかな。
俺の考えを読めるほど理解を深めた最高位妖精カーラーンは、蔑むように俺を見下ろしてくれる。ここで閨事する場合、カーラーンの協力は必要だ。人払いから防音まで、最高位妖精様は万能だからね。
「ナナキ、こいつら、楽にしてあげて」
「わかりました」
俺のご指名に、ナナキは大喜びだ。俺自身の手でやってあげたいが、妖精殺しの短剣をナナキの目の前では使いたくない。使ってはいけないような予感がする。
「王都の貧民街にいながら、ルキエル様に手を出すとは、身の程を知らぬ若造には、生きている価値はない」
支配者の顔をして、ナナキは誘拐犯たちを殺した。
最後に閨事をしたのは、あの誘拐犯を相手にした時だ。動けない男を下にして、一方的に俺が動いてただけなので、ちょっと物足りなかった。妖精を狂わせる香による情欲は、まあまあ落ち着いたかに見えたが、それから身売りもしていないから、満足いかなかったようだ。
レーリエットはぐっすりと眠っている。明日には、王都に戻るというので、今日も同衾である。妹相手に、間違いを犯すことはない。
ナナキは、寝ているかと思ったら、起きていた。床で寝ながら、物言いたげに俺を見上げている。
「悪い、起こしたみたいなだな」
「僕がお相手しましょうか?」
「………お前はちょっと」
「男だからですか?」
「いや、その、お前のものが、想像つかない」
この綺麗な顔の男の下半身が想像できない。元妖精なんだけど、あるんだ。だって、昔は俺がナナキの面倒を見ていた。服だって脱がして、風呂にも入れたんだ。きちんと男だと確認出来るものが、下半身にあったことを思い出す。
ナナキと出会ったのは、ナナキが幼い姿だった。可愛かったな。下半身も可愛かったな。あれが、成長したんだけど、どうなっているのか、わからない。小さいままだったら、俺のほうががっかりしちゃうよ。
「あの男がするように、出来ますよ。よく、盗み見ていました」
迫ってくるナナキ。俺の隣りには、潔癖症のレーリエットがいるんだけど!!
「あの妖精に防音とかさせればいい。レーリエットには、眠りの魔法をすれば、朝まで起きない。ちょっと、変は夢を見るかもしれないがな」
「床でやるのか!? 悪いが、きちんとベッドでやったぞ!!」
この部屋でも、一応、ベッドで閨事した。床は親父相手でも、やったことは、あるけど、それは俺への罰だ。俺が抵抗したから、床に押さえつけられて、痛い目にあわせながらの閨事だ。
ナナキは俺をベッドから床へと引きずり落とす。俺は力がないので、ナナキにされるがままだ。あっという間に、俺とナナキは逆転する。俺は床に転がされ、ナナキは俺の上に圧し掛かる。
「男になって、後悔した。女だったら、ルキエルの子が産めた」
「良かったな、女だったら、永遠に圏外だ」
「そうだな」
ナナキは俺に口づけする。どこで習ったのか知らないが、舌まで入れてくる。それが、ものすごく上手だ。夢中になって、俺はナナキの口づけを受け、舌を絡めていると、ナナキは服の上から俺を愛撫する。滑るように、時々、爪でひっかくようなことをして、刺激してくる。
「ん、うん、んー--!!」
口づけはそのままに、優しい愛撫をしながら、服を脱がしていく。親父の娼夫となってからずっと、俺の服は脱がせやすいものだ。
そうして、ナナキの手で素っ裸にされる。後ろの蕾に指を入れられると、俺はナナキの口づけから離れ、のけぞる。
「あ、そこ、やぁ」
いきなり、いいトコを指でこすってきた。こういうのは、教えられるものではない。
「たまにだけど、僕がルキエル様の体を清めてたんだ。抱いていないよ。ただ、ここの中を綺麗にする時、どうしても、触ってしまうからね」
「だ、だめ、いっちゃうぅ」
言い訳なんて聞こえていない。いいトコを強弱をつけて指で撫でられる。あまりのことに、ナナキに縋りついた。
「一度、いっておこうか」
耳元で、そう囁かれ、俺の弱いところを激しく指でついてきた。それには、俺は耐えられなくて、ナナキの背中に爪をたてる。それほどの悦楽を指だけで与えられた。
「ああああああー------!!!!」
物凄い声が出た。剛直を挿入されていないというのに、指だけで絶頂させられた。しかも、射精が伴わないそれは、恐ろしく長い悦楽だ。
触れられるだけで、体が喜ぶ。口づけが気持ち良い。舌の先まで、気持ちよく感じる。
全身が悍ましい性器のようで、びくびくと震える。そんな俺をうつ伏せにさせ、ナナキは嬉しそうに見下ろした。
「やっと、僕のものに出来る」
ナナキは服を脱ぎ、ゆっくりと俺の後ろの蕾に、ナナキの剛直が挿入される。
「あ、ああ、ああああー----!!!」
ゆっくりとした挿入だが、その太さ、長さ、質量に、俺は喜んだ。床に爪をたてて、悶絶する。奥を押し破るように、最後、突かれた。
たったそれだけで、達した。久しぶりの苦痛と喜びに、全身が喜ぶ。
なのに、ナナキは後ろから俺を抱きしめて、動かない。
「ナナキ、うご、いて」
「やっと、手に入れたんだ。味わいたい。このまま、じっとしているのも、喜びだ。全身で感じる。こうしているだけで、幸福だ」
挿入されたまま、ナナキは俺の背中を撫でる。それが物凄く気持ちよい。俺は震える。
「ここに、何かされたのか? 僕のルキエル様を契約で縛ろうだなんて、身の程知らずが」
「あ、や、そこ、変な、感じ」
「契約から解放されていますが、どうしても、痕跡が残ってしまう。この痕跡も、僕が上書きしてあげましょう」
「ああ、ああああ」
舐めて、強く吸われて、と丹念にされる。もう、火傷なんて忘れてしまっている。だけど、ナナキに触れられ、舐められ、としていると、戻ってくる。
たった一度だが、皇族の血筋に支配されていた。あれは、とんでもない強制力と痛みがあった。あれが、どんどんとナナキが与える快楽へと塗り替えられる。
蕾の奥まで詰まる剛直に震え、背中の消された火傷の痕跡を愛撫され、頭の奥まで震えるほどの悦楽だ。こんな状態が続くのに、まだ、終わらないのだ。
そうして、契約の痕跡が綺麗に塗り替えられたのを感じた。
「もう、いいだろう」
それなのに、背中を舐めまわし、愛撫し、強く吸い、とじれったい。
「このままで、ずっといたい」
俺はそうではない。ナナキは元妖精の感性だが、俺はただの人だ。俗物なんだよ。
俺の不満が伝わったのだろう。ナナキは苦笑する。
「人の時間は短い。仕方がありませんね」
やっと、ナナキの剛直が動き出す。ぎりぎりまで引かれ、一気に挿入された。それを、ゆっくりとされる。いつもなら、そのじれったさが、物足りないのだが、今はそうではない。
散々、焦らされ、愛撫され、体全てに喜びが満たされた所に、ナナキの剛直が動き出すと、体全体が震え、喜び、小さい絶頂が止まらない。
「中まで震えているな」
「あ、ああ、そこ、奥を」
「ここがいいんだろう?」
奥がいいというのに、弱い所をこすってくる。そこは弱いんだ。確かにいい。
俺から動きたい。だけど、ナナキは俺の腰をがっしりつかんで、俺の自由を許さない。ナナキにされるままだ。深さまで、ナナキに操作されている。
「お、奥に」
「でも、ここを突くと、物凄く喜ぶのに?」
「奥に、ほしい!! ナナキ、ナナキぃ!!」
「………やっと、呼んでくれた。そうだ、僕の名は、ルキエル様がつけてくれた。僕の全ては、ルキエル様のものだ!!」
「ナナキ、ああ、ナナキ!!」
ナナキと呼べば、喜んで、奥を突いてくれる。それが嬉しくて、俺はナナキを呼ぶ。顔が見たくて、後ろを振り返れば、ナナキは陶酔していた。俺が振り返ると、口づけして、舌を絡めてきた。態勢はきついが、嬉しくて、俺は舌を出して、ナナキを口づけを求めた。それの行為に、ナナキは喜んで与えてくれる。
「ナナキ、もう、呼び捨てでいい」
「ルキエル様?」
俺が何を言っているのか、ナナキは理解できずに、動きを止める。
いつの間にか、俺はナナキの下で仰向けにされ、両足を持ち上げられていた。俺の上に圧し掛かり、ナナキと深く繋がっていた。
「ルキエル、だ。様は、いらない」
「支配されたい」
妖精と人とでは感性が違う。ナナキは、俺に敬称をつけることで、支配されている感じを受けるのだろう。
俺は、ナナキの顔を両手で覆い、口づけをする。
「本物が欲しい」
「本物?」
「ハガルと皇帝みたいな、あんなものに、なりたい」
心の奥底から、そう願う。あんなふうになりたい。
ハガルと皇帝を見てしまった。あんなものを見てしまったら、求めてしまう。ナナキを本物にしたい。
俺がどのような顔をしているのか、わからない。きっと、情欲に溺れているだろう。そんな俺を見て、ナナキは嬉しそうに笑い、口づけを返してくれる。
「ルキエル、僕のルキエル」
ナナキは俺に支配されたい、と願った。だけど、今、俺がナナキに支配されている。奥の奥をえぐるような挿入に、俺はのけぞるように喜んだ。
「ナナキぃ!!!」
「僕のものだ」
強く奥をつかれる。抱きしめ、体を起こし、座位にされる。
「ナナキ、ナナキ!!」
「ほら、奥にあげよう」
「ああ!!」
奥の奥で白濁を放たれる。あまりのことに、大きい並のような悦楽が流れる。それが、とても嬉しい。もう、喜びしかない。
「もっと、もっと!!」
「感じる。中が全て、僕のものだ!!」
におい付けのようなものだろう。中から、ナナキの色に塗り替えられているのを感じる。
長年、親父に受けたもの全てが、ナナキに塗り替えられる。肌と肌が触れあっているだけで、外も、ナナキを感じて、喜ぶ。
俺は嬉しくて、ナナキの頬を、瞼を、耳を、顎を、と口づけしていく。その全てが喜びだ。
「ルキエル、ルキエル、僕のルキエル」
また、中に白濁が放たれる。この恐ろしい悦楽に、俺は溺れた。座位のまま、下からナナキに打ち上げられ、奥へと何度も白濁を受け、俺も数えきれないほど絶頂した。
もう、全身が酷い状態だ。体力だって底を尽きかけているというのに、止められない。意識を手放したくない。ずっと、ナナキを感じて、受けて、そのままでいたい。とんでもない肉欲に支配される。
「もっと、こうしていたいが、朝だ」
抱きしめ、俺の頬に舐めるように口づけするナナキは、俺自身を持ち上げると、ぐいっと、落とすように俺の奥にナナキの剛直を突いた。最後の最後で、俺の意識を根こそぎ奪った。
最高位妖精様様だ。あれほど大変な状態だったというのに、カーラーンが何も言わないでも、後処理をしてくれた。俺は、気づいたら、ベッドで横になっていた。ベッドの横には、ナナキが膝をついて、俺の上に頭を乗せて甘えていた。
「重い」
俺はナナキを押し離して起きた。カーラーン、本当にいい奴だな。体力まで回復してくれてる。あんなに濃い閨事をしたから、色々と覚悟していたが、気だるさもない。頭のほうもすっきりだ。数日、苛まれていた物足りなさがなくなった。
「すっきりした」
「お前、他にいうことがあるだろう!?」
カーラーンが黙っていられなくて、俺に怒る。
「ナナキ、俺のことは、呼び捨てにしろよ」
「他にもいうことがあるだろう!!」
「今度は、レーリエットのいないところでやろう」
「違うっ!! あんなに互いを求めあっていたというのに、なんだ、これは!? もっと、こう、いうことがあるだろう!!」
「煩いな、カーラーン」
どうも、カーラーンは、夢見がちなところがある。そんな、甘っちょろいもの、俺にあるわけがないだろう。
「最低だな!!」
「若いな。こういうとこがいいんだ」
閨事では、あんなに俺を支配していたナナキは、日中ではすっかり俺に支配されちゃってるよ。それを喜んでいるナナキ。それを見て、カーラーンは頭を抱える。
「こんなのが本物だと? ハガルと皇帝は、もっと、こう、違ったぞ!!」
「お前な、人の数だけ、本物の形があるんだ。同じものばっかりだと、詰まらないだろう。俺とナナキは、これでいいんだ」
「………」
納得はしてもらえたようだ。しかし、カーラーンの中で、俺とナナキの関係は、残念でならないようだ。本当に、夢見過ぎだよ、この妖精は!!
「じゃあ、ナナキ、今日こそは、王都に向かって行ってくれ」
「離れたくない」
「一緒にいるための、必要な儀式だと思え。あとくされなくしてから、レーリエットと戻ってこいよ」
「レーリエットを置いていってはダメ?」
「レーリエットの護衛は、ナナキの役割だ。忘れるな。王都に戻る時は、レーリエットも一緒だ」
「それはいいが、往復で、時間がかかる」
「そうだ。それがいい。時間をかけて、往復しろ。時間をかけて、長く離れて、次、会った時は、想像以上の喜びだろうな」
「………そうだな」
想像したのだろう。もう、一年以上、離れていたしな。一年ぶりの再会を思い出して、物凄く嬉しそうに笑うナナキ。ごめん、俺はその時、面倒くさいのが来たな、なんて思ってた。
次の再会は、どんな気持ちになるのか、想像がつかない。もし、ナナキが俺の本物だったら、すごいことになるのだろう。
ナナキにとって、俺は本物だ。だけど、俺にとってナナキが本物となるかは、まだわからない。心も体も縋りついてくるナナキは、無償で全てを捧げてくる。人によっては、それは重い、と言われるだろう。
実際、体全てを傾けて、重いものを押し付けてくるナナキ。一夜を経たことで、ナナキは体全体で俺を求めるように抱きしめてきた。
「準備しろ」
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「お前、本当に最低だな!!!」
「誉め言葉だ」
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