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伯爵家の悪女
零落
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着の身着のままに追い出されたので、さっさと服をうっぱらって、平民の服に替えました。だけど、こういうことがあってもいいように、こっそりお金を隠した所がいくつかあります。だから、当面の生活は困りません。
でも、働かないのは目立ちますので、住み込みのお仕事を探しました。一応、飲み屋の手伝いがありましたので、そこに頼み込みます。
「あんた、明らかに貴族のお嬢様じゃないか。ここは、あんたみたいなお上品な子が来るような所じゃないよ」
「昨日、追い出されてしまいました。着の身着のままですので、お金もありません。頑張りますので、どうか、雇ってください」
「ちょっと、あんた、そんなことしないでぇええええ!!」
わたくしは地べたに座って、頭を擦りつけて頼み込みました。だいたい、ここまで下手になれば、人情熱い人は、受け入れてくれます。
その飲み屋の女将さんは、人情熱い人でした。呆気なく、陥落してくれました。ちょろいです。
そうして、昼と夜は注文を受けて、料理を運んで、お金をいただいて、として、それ以外はお手紙を書いたり、倒れたりしていました。思ったよりも、お仕事って、大変ですね。
「もう、昼か夜だけでいいから!!」
「いえいえ、頑張ります。もう、帰る家もありませんし」
「あんた、いい人じゃないか。頭も物凄くいいし」
「いい人ではありません。頭は、それしか取柄がありませんから」
店の経理や仕入れについて、わたくしが口出しするようになりました。そこは、女将さんも助かっているようです。
そういう仕事をしていると、わたくしのことを探している人には、噂が届くのでしょう。なんと騎士アルロがお客様としてやってきました。
「あら、アルロ、お久しぶりです」
「迎えに来た」
大勢の前で、跪いていうアルロ。その光景に、そういう事が大好きな皆さんはきゃーきゃー言ってきます。
「あの、その、なんで?」
「話は聞いた。俺のせいで、浮気者の汚名を被せられ、家を追い出されたと」
「あ、ああ、そんな話、ありましたね」
すっかり忘れていました。ほら、平民に混ざって生きていくのは、大変なんです。過去を振り返っていられません。
女将さんが、もう、興奮した顔でわたくしを見てきます。もう、ここから出ていっていいよ、みたいに目で訴えてきます。
「その、立ってください。ここで話すことではありませんから。その、外に行きましょう!!」
わたくしはアルロの太い腕を引っ張って、外に出ました。出てしまえば、もう、誰も、わたくしとアルロのことは注目されません。さっさと店から離れましょう。
路地裏に入って、わたくしはアルロと向き合います。
「アルロのせいではありません。その、アルロはわたくしに利用されてしまっただけですよ」
「しかし、俺は、下心があった」
「………」
貧民出のくせに、バカ正直な人です。アルロは全身を真っ赤にします。言われたわたくしだって、顔が赤くなります。
「いけません。アルロは立派な騎士です。もう戻ってください。わたくしのことは忘れてください」
「騎士はやめた」
「え、どうして!?」
騎士なんて、そう簡単になれるものではない。憧れても、なれないのだ。身分関係なく、実力だけでなれる騎士は、帝国民の憧れの職業です。誉れある職業なのです。
貧民であるアルロにとって、騎士という職業は、やめていいものではありません。
「サツキが家から追い出された理由を聞いて、我慢できなくて、あの婚約者の男を殴ったんだ。師匠に迷惑となるから、騎士はやめた」
「………ご、ごめんなさい。きちんと、お話すれば良かったですね。わたくしは、追い出されるために、あなたを利用しました」
わたくしは誠意を示すために、地べたに座り込み、頭を地べたに擦りつけました。
唖然とするアルロ。こんないい人を巻き込んでしまいました。もう、謝るしかありません。
「あなたの人生を壊してしまいました。本当に、ごめんなさい」
「何故、貴族をやめるようなことを。言ってたじゃないか。貴族をやめたら、大変だって」
「あなたがエクルドを殴らなくても、エクルドは終わりでした。エクルドは、どうせ、侯爵夫妻に見捨てられます。お父様も、義母も、義妹も、終わりです」
「どういうことだ?」
「わたくしが、コクーン様に説明します。アルロが責任をとるようなことなんて、ありません。今すぐ、戻りましょう」
「あんたは、戻るのか?」
「いえ、わたくしはこのままです。もう、終わりましたので、王都から離れます。ここにいては、命が危ないですからね」
わたくしの目的は、もう達成されています。だから、もうそろそろ、王都を離れなければなりません。わたくしが生きていると都合が悪い人たちは大勢います。
「なんで、そんな危険な目にあってまで」
「わたくしの復讐です。お父様はお母様がいながら、義母と浮気をしました。そして、義母は、お母様が暖かく受け入れてくれたというのに、お母様を毒殺しました」
「………」
呆然とするアルロ。笑顔で話すわたくしのこと、アルロは理解出来ないでしょう。復讐のために、身分まで捨てるのですから。
よくある話です。貴族で浮気なんて、普通です。お母様は、そんなよくある話だから、と義母を受け入れました。義妹のことも、分け隔てなく扱いました。だけど、義母にとっては、お母様はお父様との結婚を邪魔した女です。我慢ならなくて、義母はお母様を毒殺しました。そして、証拠がないのをいいことに、そのまま居座ったのです。
残るはわたくしです。邪魔なわたくしは、すぐ毒殺するわけにはいきませんでした。帝国では、成人前の跡継ぎが急死した場合、帝国が調査に入ります。だから、わたくしが成人するまで、義母は我慢するしかありません。そして、お父様の後妻となり、家の支配者となって、使用人たちも支配しました。お陰で、わたくしの味方はいませんでした。社交もさせず、家に閉じ込め、わたくしに色々と嫌がらせをしてくれました。大した嫌がらせではありませんでしたけどね。
そこに、婿をとらなければならない事実を聞きつけた侯爵夫妻が入ってきました。そこから、時間をかけて、わたくしは彼らを勘違いさせていきました。
少しずつ、時間をかけて、義妹も跡継ぎだ、と思い込ませたのです。
実際は違います。義妹は跡継ぎになれません。お父様は入り婿です。血筋が違います。わたくしに万が一のことがあった場合は、親戚のそれなりの血筋の人が跡継ぎとなるのです。
わたくしは、家から追い出されると、いくつかの親戚に手紙を送りました。その事実を指摘してやれば、親戚は大騒ぎです。成人前の跡継ぎを追い出した乗っ取りだ、と帝国に訴えるのです。ついでに、わたくしは手紙で、お母様の毒殺について仄めかします。
そして、帝国は動かざるを得ません。動くでしょうね。だって、わたくしは生徒会役員ですもの。会長である皇族の覚え目出たいから、動いてくれたでしょうね。手紙書きましたし。
わたくしのことを良く思っている有力貴族にも手紙を書けば、あとは勝手に自滅していきます。侯爵夫妻は道連れですよ、道連れ。だって、婚約者交代の書類まで作ったのですから。侯爵夫妻がここから逃れる方法はただ一つ、エクルドがクラリッサのためにした、というとってつけたような理由を訴えてくるでしょう。エクルドに責任を全て押し付けるのですよ。
毎日、新聞を読んでいれば、もうそろそろ終わりだな、ということはわたくしでもわかります。この情報を新聞社に送ったのもわたくしです。この話題は、面白おかしく書かれていますよ。ついでに、小説や戯曲にもなっています。小説なんか、わたくしのことを悲劇の令嬢、みたいに書いてあって、痒くなってきました。わたくし、こんなバカな女ではありません。
そんなことをわたくしは簡単に説明します。アルロも、小説の中に出ていますよ。なんと、わたくしはアルロと結婚することとなっています。そんなこと、現実にはありませんけどね。
「ですから、騎士に戻りましょう。わたくしから、コクーン様に説明します。コクーン様は話のわかる方です。あなたを騎士に戻してくれます」
「それで、あんたは、王都を出ていくのか?」
「そんな、簡単に出ませんよ。挨拶しないと」
「嘘だな」
アルロが怖い顔をします。ぶっきらぼうな姿しか見たことがないので、この顔には、さすがにわたくしも恐怖します。
これが、本当のアルロです。騎士として、貧民の怖い部分を隠していたのでしょう。わたくしの腕を痛くなるほど力強くつかんで引っ張り、抱きしめてきました。
「俺は、あんたのために、騎士をやめた」
「だから、コクーン様にわたくしから謝ればすむことです。一緒に行きましょう」
「騎士なんか、どうだっていい」
「そんな、いけません!! 軍神コクーンの弟子なんて、誰もが憧れますよ。それを捨てるなんて、もったいない」
「それで、あんたは王都から出ていくのか」
「だから、挨拶もしないといけませんし、お金だって貯めないと」
「命が危ないのにか? 俺だって見つけられたんだ。あんたの命を狙う奴らは、すぐに殺しに来るぞ」
「だから、逃げるんですよ。すぐです、すぐ!!」
「俺が守ってやる」
「いりません!! あなたは騎士です。帝国を守ってください」
どうにかアルロの腕から逃れようとしますが、びくともしません、暴れたって、鍛えられたアルロには、子猫の抵抗です。
「離してください!!」
「ごちゃごちゃ煩い」
わたくしを黙らせようと、アルロは無理矢理、口づけしてきました。
わたくし、女としての経験値は最低です。こんなことされてしまうと、わたくしは冷静でいられません。
しかも、アルロ、きっと経験が豊富です。舌をいれて、わたくしの体をまさぐってきます。その衝撃に、わたくしは免疫がありませんので、あっという間に、意識を飛ばしてしまいました。
気づいたら、掘っ立て小屋みたいな所に閉じ込められていました。アルロはいません。
逃げたいのですが、足枷されて、鎖で家に繋がれてしまっています。こういうのって、現実にあるのですね。ついつい、見てしまいます。初めての経験ですから、新鮮です。
しばらく起きたり、ゴロゴロと転がったりしていると、アルロが戻ってきました。
「おかえりなさい!」
「っ!?」
何故か驚くアルロ。あら、ご挨拶してはいけなかったのかしら。
しばらくは固まっていたアルロは、どうにか現実に戻って、持ってきた食べ物を机に置く。
「これは、最近、王都で流行っている菓子だと聞いた。貴族のあんたには、こういうの、珍しくもないだろう」
「ありがとうございます。こんなふうに扱ってもらえるのは、初めてですよ。嬉しいです」
あの婚約者も、侯爵夫妻も、義妹クラリッサを可愛がって、わたくしには、贈り物一つないですよ。家に来る時の手土産はクラリッサが受け取って、わたくしは嫌味ですよ。本当に、ざまあみろです、エクルド!!
「そんな、嘘はいわなくていい」
「あなたは知らないのですよ、あの家でのわたくしの扱いなんて酷いものですよ。虐待です、虐待!! 使用人もわかっていませんよ。わたくしがいなくなって、今頃、大変になっていますよ。誰が領地経営していたのか、知った時には遅いです」
笑ってやる。わたくしは頭だけは良かったので、母亡き後は、わたくしが領地経営です。使用人の給料も、わたくしが払っていたようなものですよ。だって、お父様、何も出来ない、役立たずなのですから。お母様も、どうしてこんな役立たずな男と結婚したんだか。あれです、わたくしと同じですよね。上の身分だったから、断れなかったのでしょうね。
「ど、どういうことだ?」
「今頃、あの家は大変だってことですよ。わたくしがいる間は、借金もどうにか抑え込んであげていましたが、それもなくなって、たった一か月で、随分と使い込んだのでしょうね。わたくしの親戚が、使い込んだお父様と義母と義妹の首を絞めてるでしょう。食事は適当で大丈夫ですよ。食べなくても、一週間くらいは平気です。腐ったものでも、お腹壊したことありませんから。それよりも、新聞をください。あと、お金の隠し場所を教えます。それを使って、もっといい場所に移り住みましょう。貧民街に近い所がいいですね。わたくしの親戚も、おいそれと手が出せないでしょう」
「逃げない、のか?」
「こんなことされて、逃げられるわけないでしょう。諦めが大事です。あなたの気が済むまで、付き合ってあげます」
責任をとらないといけません。アルロの人生を台無しにしてしまったのですから。
アルロは、とても嬉しそうに笑い、わたくしを抱きしめます。利用されているというのに、心の広い男です。
こうして、わたくしはアルロに末永くお付き合いすることとなりました。
わたくしの中では、一か月くらいで飽きるだろうな、程度でした。一度、騎士としての栄光を受けたのです。貧民に戻るのなんて、いくらアルロでもイヤでしょう。そう思ってのお付き合いです。
アルロは、わたくしが隠したお金をかき集めて、貧民街の近くにある豪勢な一軒家を購入しました。二人で暮らすには、大きすぎますし、色々と狙われるでしょうに、と見ていましたが、そんな心配はなくなってしまいました。
アルロ、王都の貧民街の支配者になっていました。そんな強い男だなんて、知りませんでした。怒らせないように気を付けないといけませんね。
だけど、アルロはわたくしには優しいです。相変わらず、寝室で軟禁です。足枷をつけて、鎖で部屋につなげられて、出るに出られません。
何かするのかな? と見ていますが、何もしません。この家に来てから、触れることもありません。身の回りを甲斐甲斐しく世話をしてくれます。
新聞は毎日、買ってきてくれます。そして、わたくしの予想通りにどんどんと面白おかしく進んで行っています。お父様も義母も義妹も、家から追い出されちゃいましたよ。あ、義母は犯罪者ですね。お母様の毒殺の証拠が見つかったんですって。
元婚約者の侯爵家次男エクルドはというと、全ての責任を押し付けられて、平民に落とされてしまいました。色々と調べられて、わたくしとの婚約者交代前に義妹と浮気している事実まで暴露されたんですよね。あれだけ大っぴらにくっついていれば、証言してくれる人はいっぱいです。学校では、真実の愛、なんて笑える話が飛び交っていました。バカバカしい。
そして、大問題が残ります。追い出されたわたくしの大捜索です。ちょっと、わたくしはやりすぎました。新聞にまで情報提供しましたので、大衆の注目がとんでもないこととなりました。何せ、帝国全土が知っているのです。そうなると、正当な跡継ぎであるわたくしを探さないといけません。
そんな、ちょっと困った状況になって、わたくしは、仕方なく、貧民街の支配者であるアルロの力を借りることにしました。
「アルロ、お願いがあります」
ずっと距離をとられるわたくし。わたくしはくっついていてもいいのですよ。アルロが距離をとるのです。だから、わたくしはアルロに近づこうとして、短い鎖で転びます。そうすると、アルロが慌ててわたくしを抱き起こします。ほら、ちょろい。
「す、すまない、触ってしまって。サツキを探す依頼がきている。もうすぐ、サツキは貴族に戻れる」
「そこです。わたくしは今更、貴族に戻ろうなんて思ってもいません。むしろ、このまま貧民になります」
「どうして!?」
「戻ったって、どうせ、わたくしはいいように使われるだけです」
きっと、今、家は大変なことになっている。これまでは、わたくしの手腕でどうにかなっていたものが、手もつけられない状態となっています。だったら、わたくしに任せて、いい感じの頃合いで、政略結婚させよう、なんて皆さん、考えています。
アルロへの依頼ですが、そういう思惑を持った貴族からでしょうね。面倒臭い。
わたくしはアルロにぎゅーと抱きつきます。
「ここでは、アルロが女としての一生分の幸せをくれます。ここがいいです」
「そんなこと」
「知らないのですよ。社交やら、領地経営やら、もう、面倒臭いことばっかり。誰もわたくしのことを女扱いしてくれません。でも、ここでは、アルロが女扱いしてくれます。とても幸せです」
これまで受けたことがないような、嬉しい扱いです。閉じ込められているのだって、家と変わりませんよ。学校に通うから、外に出ましたが、それだけです。家に戻れば、領地経営やら嫌がらせやら、本当にうんざりでした。
「馬で送ってくれて、嬉しかったです。歩いて帰るわたくしを誰も見向きもしません。アルロだけです」
「………いいのか?」
「でも、その前にやらないといけないことがあります。わたくしに似た死体を探してください」
「ど、どうして?」
「わたくしの死を偽装します。わたくしを死んだことにするのですよ。これで、わたくしを探す人はいなくなります」
「貴族に戻れなくなるぞ!!」
「戻りたくないから、そうするのです。あなたは、騎士に戻りますか? 戻るのでした、わたくしは貴族に戻りますよ」
「戻らない!!」
わたくしを抱きしめるアルロ。戻ると言うかな、と予想しましたが、そうではありませんでした。うーん、難しいですね。
わたくしはアルロの背中に腕を回します。
「では、身代わりの死体を探してください」
「死体は、難しいな。似た奴を殺そう」
「………死体、探してからにしてください」
「いや、殺したほうが楽だ」
「………」
まだまだわたくしは、貧民の考え方には染まれません。わたくしを隠すには、犠牲がどうしても必要でした。
でも、働かないのは目立ちますので、住み込みのお仕事を探しました。一応、飲み屋の手伝いがありましたので、そこに頼み込みます。
「あんた、明らかに貴族のお嬢様じゃないか。ここは、あんたみたいなお上品な子が来るような所じゃないよ」
「昨日、追い出されてしまいました。着の身着のままですので、お金もありません。頑張りますので、どうか、雇ってください」
「ちょっと、あんた、そんなことしないでぇええええ!!」
わたくしは地べたに座って、頭を擦りつけて頼み込みました。だいたい、ここまで下手になれば、人情熱い人は、受け入れてくれます。
その飲み屋の女将さんは、人情熱い人でした。呆気なく、陥落してくれました。ちょろいです。
そうして、昼と夜は注文を受けて、料理を運んで、お金をいただいて、として、それ以外はお手紙を書いたり、倒れたりしていました。思ったよりも、お仕事って、大変ですね。
「もう、昼か夜だけでいいから!!」
「いえいえ、頑張ります。もう、帰る家もありませんし」
「あんた、いい人じゃないか。頭も物凄くいいし」
「いい人ではありません。頭は、それしか取柄がありませんから」
店の経理や仕入れについて、わたくしが口出しするようになりました。そこは、女将さんも助かっているようです。
そういう仕事をしていると、わたくしのことを探している人には、噂が届くのでしょう。なんと騎士アルロがお客様としてやってきました。
「あら、アルロ、お久しぶりです」
「迎えに来た」
大勢の前で、跪いていうアルロ。その光景に、そういう事が大好きな皆さんはきゃーきゃー言ってきます。
「あの、その、なんで?」
「話は聞いた。俺のせいで、浮気者の汚名を被せられ、家を追い出されたと」
「あ、ああ、そんな話、ありましたね」
すっかり忘れていました。ほら、平民に混ざって生きていくのは、大変なんです。過去を振り返っていられません。
女将さんが、もう、興奮した顔でわたくしを見てきます。もう、ここから出ていっていいよ、みたいに目で訴えてきます。
「その、立ってください。ここで話すことではありませんから。その、外に行きましょう!!」
わたくしはアルロの太い腕を引っ張って、外に出ました。出てしまえば、もう、誰も、わたくしとアルロのことは注目されません。さっさと店から離れましょう。
路地裏に入って、わたくしはアルロと向き合います。
「アルロのせいではありません。その、アルロはわたくしに利用されてしまっただけですよ」
「しかし、俺は、下心があった」
「………」
貧民出のくせに、バカ正直な人です。アルロは全身を真っ赤にします。言われたわたくしだって、顔が赤くなります。
「いけません。アルロは立派な騎士です。もう戻ってください。わたくしのことは忘れてください」
「騎士はやめた」
「え、どうして!?」
騎士なんて、そう簡単になれるものではない。憧れても、なれないのだ。身分関係なく、実力だけでなれる騎士は、帝国民の憧れの職業です。誉れある職業なのです。
貧民であるアルロにとって、騎士という職業は、やめていいものではありません。
「サツキが家から追い出された理由を聞いて、我慢できなくて、あの婚約者の男を殴ったんだ。師匠に迷惑となるから、騎士はやめた」
「………ご、ごめんなさい。きちんと、お話すれば良かったですね。わたくしは、追い出されるために、あなたを利用しました」
わたくしは誠意を示すために、地べたに座り込み、頭を地べたに擦りつけました。
唖然とするアルロ。こんないい人を巻き込んでしまいました。もう、謝るしかありません。
「あなたの人生を壊してしまいました。本当に、ごめんなさい」
「何故、貴族をやめるようなことを。言ってたじゃないか。貴族をやめたら、大変だって」
「あなたがエクルドを殴らなくても、エクルドは終わりでした。エクルドは、どうせ、侯爵夫妻に見捨てられます。お父様も、義母も、義妹も、終わりです」
「どういうことだ?」
「わたくしが、コクーン様に説明します。アルロが責任をとるようなことなんて、ありません。今すぐ、戻りましょう」
「あんたは、戻るのか?」
「いえ、わたくしはこのままです。もう、終わりましたので、王都から離れます。ここにいては、命が危ないですからね」
わたくしの目的は、もう達成されています。だから、もうそろそろ、王都を離れなければなりません。わたくしが生きていると都合が悪い人たちは大勢います。
「なんで、そんな危険な目にあってまで」
「わたくしの復讐です。お父様はお母様がいながら、義母と浮気をしました。そして、義母は、お母様が暖かく受け入れてくれたというのに、お母様を毒殺しました」
「………」
呆然とするアルロ。笑顔で話すわたくしのこと、アルロは理解出来ないでしょう。復讐のために、身分まで捨てるのですから。
よくある話です。貴族で浮気なんて、普通です。お母様は、そんなよくある話だから、と義母を受け入れました。義妹のことも、分け隔てなく扱いました。だけど、義母にとっては、お母様はお父様との結婚を邪魔した女です。我慢ならなくて、義母はお母様を毒殺しました。そして、証拠がないのをいいことに、そのまま居座ったのです。
残るはわたくしです。邪魔なわたくしは、すぐ毒殺するわけにはいきませんでした。帝国では、成人前の跡継ぎが急死した場合、帝国が調査に入ります。だから、わたくしが成人するまで、義母は我慢するしかありません。そして、お父様の後妻となり、家の支配者となって、使用人たちも支配しました。お陰で、わたくしの味方はいませんでした。社交もさせず、家に閉じ込め、わたくしに色々と嫌がらせをしてくれました。大した嫌がらせではありませんでしたけどね。
そこに、婿をとらなければならない事実を聞きつけた侯爵夫妻が入ってきました。そこから、時間をかけて、わたくしは彼らを勘違いさせていきました。
少しずつ、時間をかけて、義妹も跡継ぎだ、と思い込ませたのです。
実際は違います。義妹は跡継ぎになれません。お父様は入り婿です。血筋が違います。わたくしに万が一のことがあった場合は、親戚のそれなりの血筋の人が跡継ぎとなるのです。
わたくしは、家から追い出されると、いくつかの親戚に手紙を送りました。その事実を指摘してやれば、親戚は大騒ぎです。成人前の跡継ぎを追い出した乗っ取りだ、と帝国に訴えるのです。ついでに、わたくしは手紙で、お母様の毒殺について仄めかします。
そして、帝国は動かざるを得ません。動くでしょうね。だって、わたくしは生徒会役員ですもの。会長である皇族の覚え目出たいから、動いてくれたでしょうね。手紙書きましたし。
わたくしのことを良く思っている有力貴族にも手紙を書けば、あとは勝手に自滅していきます。侯爵夫妻は道連れですよ、道連れ。だって、婚約者交代の書類まで作ったのですから。侯爵夫妻がここから逃れる方法はただ一つ、エクルドがクラリッサのためにした、というとってつけたような理由を訴えてくるでしょう。エクルドに責任を全て押し付けるのですよ。
毎日、新聞を読んでいれば、もうそろそろ終わりだな、ということはわたくしでもわかります。この情報を新聞社に送ったのもわたくしです。この話題は、面白おかしく書かれていますよ。ついでに、小説や戯曲にもなっています。小説なんか、わたくしのことを悲劇の令嬢、みたいに書いてあって、痒くなってきました。わたくし、こんなバカな女ではありません。
そんなことをわたくしは簡単に説明します。アルロも、小説の中に出ていますよ。なんと、わたくしはアルロと結婚することとなっています。そんなこと、現実にはありませんけどね。
「ですから、騎士に戻りましょう。わたくしから、コクーン様に説明します。コクーン様は話のわかる方です。あなたを騎士に戻してくれます」
「それで、あんたは、王都を出ていくのか?」
「そんな、簡単に出ませんよ。挨拶しないと」
「嘘だな」
アルロが怖い顔をします。ぶっきらぼうな姿しか見たことがないので、この顔には、さすがにわたくしも恐怖します。
これが、本当のアルロです。騎士として、貧民の怖い部分を隠していたのでしょう。わたくしの腕を痛くなるほど力強くつかんで引っ張り、抱きしめてきました。
「俺は、あんたのために、騎士をやめた」
「だから、コクーン様にわたくしから謝ればすむことです。一緒に行きましょう」
「騎士なんか、どうだっていい」
「そんな、いけません!! 軍神コクーンの弟子なんて、誰もが憧れますよ。それを捨てるなんて、もったいない」
「それで、あんたは王都から出ていくのか」
「だから、挨拶もしないといけませんし、お金だって貯めないと」
「命が危ないのにか? 俺だって見つけられたんだ。あんたの命を狙う奴らは、すぐに殺しに来るぞ」
「だから、逃げるんですよ。すぐです、すぐ!!」
「俺が守ってやる」
「いりません!! あなたは騎士です。帝国を守ってください」
どうにかアルロの腕から逃れようとしますが、びくともしません、暴れたって、鍛えられたアルロには、子猫の抵抗です。
「離してください!!」
「ごちゃごちゃ煩い」
わたくしを黙らせようと、アルロは無理矢理、口づけしてきました。
わたくし、女としての経験値は最低です。こんなことされてしまうと、わたくしは冷静でいられません。
しかも、アルロ、きっと経験が豊富です。舌をいれて、わたくしの体をまさぐってきます。その衝撃に、わたくしは免疫がありませんので、あっという間に、意識を飛ばしてしまいました。
気づいたら、掘っ立て小屋みたいな所に閉じ込められていました。アルロはいません。
逃げたいのですが、足枷されて、鎖で家に繋がれてしまっています。こういうのって、現実にあるのですね。ついつい、見てしまいます。初めての経験ですから、新鮮です。
しばらく起きたり、ゴロゴロと転がったりしていると、アルロが戻ってきました。
「おかえりなさい!」
「っ!?」
何故か驚くアルロ。あら、ご挨拶してはいけなかったのかしら。
しばらくは固まっていたアルロは、どうにか現実に戻って、持ってきた食べ物を机に置く。
「これは、最近、王都で流行っている菓子だと聞いた。貴族のあんたには、こういうの、珍しくもないだろう」
「ありがとうございます。こんなふうに扱ってもらえるのは、初めてですよ。嬉しいです」
あの婚約者も、侯爵夫妻も、義妹クラリッサを可愛がって、わたくしには、贈り物一つないですよ。家に来る時の手土産はクラリッサが受け取って、わたくしは嫌味ですよ。本当に、ざまあみろです、エクルド!!
「そんな、嘘はいわなくていい」
「あなたは知らないのですよ、あの家でのわたくしの扱いなんて酷いものですよ。虐待です、虐待!! 使用人もわかっていませんよ。わたくしがいなくなって、今頃、大変になっていますよ。誰が領地経営していたのか、知った時には遅いです」
笑ってやる。わたくしは頭だけは良かったので、母亡き後は、わたくしが領地経営です。使用人の給料も、わたくしが払っていたようなものですよ。だって、お父様、何も出来ない、役立たずなのですから。お母様も、どうしてこんな役立たずな男と結婚したんだか。あれです、わたくしと同じですよね。上の身分だったから、断れなかったのでしょうね。
「ど、どういうことだ?」
「今頃、あの家は大変だってことですよ。わたくしがいる間は、借金もどうにか抑え込んであげていましたが、それもなくなって、たった一か月で、随分と使い込んだのでしょうね。わたくしの親戚が、使い込んだお父様と義母と義妹の首を絞めてるでしょう。食事は適当で大丈夫ですよ。食べなくても、一週間くらいは平気です。腐ったものでも、お腹壊したことありませんから。それよりも、新聞をください。あと、お金の隠し場所を教えます。それを使って、もっといい場所に移り住みましょう。貧民街に近い所がいいですね。わたくしの親戚も、おいそれと手が出せないでしょう」
「逃げない、のか?」
「こんなことされて、逃げられるわけないでしょう。諦めが大事です。あなたの気が済むまで、付き合ってあげます」
責任をとらないといけません。アルロの人生を台無しにしてしまったのですから。
アルロは、とても嬉しそうに笑い、わたくしを抱きしめます。利用されているというのに、心の広い男です。
こうして、わたくしはアルロに末永くお付き合いすることとなりました。
わたくしの中では、一か月くらいで飽きるだろうな、程度でした。一度、騎士としての栄光を受けたのです。貧民に戻るのなんて、いくらアルロでもイヤでしょう。そう思ってのお付き合いです。
アルロは、わたくしが隠したお金をかき集めて、貧民街の近くにある豪勢な一軒家を購入しました。二人で暮らすには、大きすぎますし、色々と狙われるでしょうに、と見ていましたが、そんな心配はなくなってしまいました。
アルロ、王都の貧民街の支配者になっていました。そんな強い男だなんて、知りませんでした。怒らせないように気を付けないといけませんね。
だけど、アルロはわたくしには優しいです。相変わらず、寝室で軟禁です。足枷をつけて、鎖で部屋につなげられて、出るに出られません。
何かするのかな? と見ていますが、何もしません。この家に来てから、触れることもありません。身の回りを甲斐甲斐しく世話をしてくれます。
新聞は毎日、買ってきてくれます。そして、わたくしの予想通りにどんどんと面白おかしく進んで行っています。お父様も義母も義妹も、家から追い出されちゃいましたよ。あ、義母は犯罪者ですね。お母様の毒殺の証拠が見つかったんですって。
元婚約者の侯爵家次男エクルドはというと、全ての責任を押し付けられて、平民に落とされてしまいました。色々と調べられて、わたくしとの婚約者交代前に義妹と浮気している事実まで暴露されたんですよね。あれだけ大っぴらにくっついていれば、証言してくれる人はいっぱいです。学校では、真実の愛、なんて笑える話が飛び交っていました。バカバカしい。
そして、大問題が残ります。追い出されたわたくしの大捜索です。ちょっと、わたくしはやりすぎました。新聞にまで情報提供しましたので、大衆の注目がとんでもないこととなりました。何せ、帝国全土が知っているのです。そうなると、正当な跡継ぎであるわたくしを探さないといけません。
そんな、ちょっと困った状況になって、わたくしは、仕方なく、貧民街の支配者であるアルロの力を借りることにしました。
「アルロ、お願いがあります」
ずっと距離をとられるわたくし。わたくしはくっついていてもいいのですよ。アルロが距離をとるのです。だから、わたくしはアルロに近づこうとして、短い鎖で転びます。そうすると、アルロが慌ててわたくしを抱き起こします。ほら、ちょろい。
「す、すまない、触ってしまって。サツキを探す依頼がきている。もうすぐ、サツキは貴族に戻れる」
「そこです。わたくしは今更、貴族に戻ろうなんて思ってもいません。むしろ、このまま貧民になります」
「どうして!?」
「戻ったって、どうせ、わたくしはいいように使われるだけです」
きっと、今、家は大変なことになっている。これまでは、わたくしの手腕でどうにかなっていたものが、手もつけられない状態となっています。だったら、わたくしに任せて、いい感じの頃合いで、政略結婚させよう、なんて皆さん、考えています。
アルロへの依頼ですが、そういう思惑を持った貴族からでしょうね。面倒臭い。
わたくしはアルロにぎゅーと抱きつきます。
「ここでは、アルロが女としての一生分の幸せをくれます。ここがいいです」
「そんなこと」
「知らないのですよ。社交やら、領地経営やら、もう、面倒臭いことばっかり。誰もわたくしのことを女扱いしてくれません。でも、ここでは、アルロが女扱いしてくれます。とても幸せです」
これまで受けたことがないような、嬉しい扱いです。閉じ込められているのだって、家と変わりませんよ。学校に通うから、外に出ましたが、それだけです。家に戻れば、領地経営やら嫌がらせやら、本当にうんざりでした。
「馬で送ってくれて、嬉しかったです。歩いて帰るわたくしを誰も見向きもしません。アルロだけです」
「………いいのか?」
「でも、その前にやらないといけないことがあります。わたくしに似た死体を探してください」
「ど、どうして?」
「わたくしの死を偽装します。わたくしを死んだことにするのですよ。これで、わたくしを探す人はいなくなります」
「貴族に戻れなくなるぞ!!」
「戻りたくないから、そうするのです。あなたは、騎士に戻りますか? 戻るのでした、わたくしは貴族に戻りますよ」
「戻らない!!」
わたくしを抱きしめるアルロ。戻ると言うかな、と予想しましたが、そうではありませんでした。うーん、難しいですね。
わたくしはアルロの背中に腕を回します。
「では、身代わりの死体を探してください」
「死体は、難しいな。似た奴を殺そう」
「………死体、探してからにしてください」
「いや、殺したほうが楽だ」
「………」
まだまだわたくしは、貧民の考え方には染まれません。わたくしを隠すには、犠牲がどうしても必要でした。
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