魔法使いの悪友

shishamo346

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破滅-二人目

相容れない貴族

 三回目にして、ルキエルは私を椅子扱いするようになった。
「すごいもの持ってるから、女に嫌われたのかー」
「そうなんだ。もう、私のものを受け入れるのは、ルキエルだけだな」
 甘えてくるルキエルを私は許した。椅子扱いされても、ルキエルなら構わない。
 ルキエルは店から出された味の薄い茶を飲みながら、一息つきつつ、私の話を楽しそうに聞いていた。
「ルキエルも、そうなるな」
 私はルキエルの一物を見ていう。
「やっぱ、そうかー。俺さ、経験ないっていうと、娼婦たちがただで教えてやる、て言ってくれてるけど、断って良かったな。これのせいで、嫌われたな」
「そうだ。だから、私で我慢しなさい」
 私は後ろから抱きしめて、ルキエルの道を踏み外させるようなことを言ってやる。
 最初は、ただ、女の経験についてルキエルに質問された。私の過去の女が気になったのだろう。少し、嫉妬している風に見えた。
 話したくなかったが、そこから、ルキエルが女相手の閨事経験がない、ということを告白してきたから、仕方なく、話すしかなかった。
 話していくうちに、ルキエルの女への興味を失せさせるのに丁度いいな、と考え直した。
 そして、それはうまくいったようだ。ルキエルは落ち込んだが、女との閨事の興味は失せたようだ。
「あんたが女遊びで、そういう女を見つけられなかったってことは、俺なんか、見つからないよな。そういうことは、親父は運が良かったということか」
「父親を覚えているのか?」
「死んだのは、皇帝襲撃があった頃だよ」
 てっきり、ルキエルは家族に捨てられたものと思い込んでいた。ほら、王都の貧民の支配者の娼夫という肩書だ。本当なら、ルキエルは家族から離れて囲われていたはずだ。
 ということは、ルキエルは家族に売られたのだろう。貧民ではよくある話だ。
 ルキエルという名前はよくある。平民でもどこかしら使われるのだ。ルキエルの過去を調べたくても、出てくるわけがない。何より、貧民だ。
 王都の貧民街は、現在、混乱していた。何せ、王都にいながら、皇帝襲撃を行ったのだ。そのため、帝国は王都の貧民街を徹底的に調べたのだ。
 王都の貧民の支配者の屋敷は平民地区にあった。その屋敷も大事な証拠物件として閉鎖され、ふと気づいた時には、屋敷は影も形もなくなっていた。
 帝国を敵に回すような所業を王都の貧民街はしたのだ。現在は、息を潜めて、帝国が諦めるのを待っているしかない。
 ルキエルは、王都の貧民街出身である。ルキエルのことを調べたかったが、迂闊に、人を使って調べられない。運が悪いと、帝国に疑われてしまうのだ。
 だから、ルキエルが、そうやって、油断してルキエル自身のことを話すと、私は嬉しくなる。これで、一つ、ルキエルのことがわかった。
「そうか、父親がいるのか。それで、父親の運がいいとは?」
「俺のここ、親父似なんだよ。親父とお袋、無茶苦茶、仲良かったんだよな。親父、お袋のことを閉じ込めて、外にも出さなかった。けど、お袋は、それを喜んでた。きっと、親父のあれも、お袋は喜んでたんだなー」
 両親に対して、随分と下世話な話だ。さすが貧民だな。話内容も下品ときている。
 私がなんともいえない顔になっているのに気づいたルキエルは、不安そうに私を振り返って、見上げた。
「変な話、しちゃった? ごめん、俺、あんたには、つい、口が軽くなる。いつもは、こんなこと、話さないのにな」
「私だけか?」
「他の客は、こんな話しない。だいたい、俺を散々、好き勝手して、終わりだ。男買ってるなんて、知り合いに知られたくないから、外では無視だよ、無視。あんたも、外では俺のことは無視しろよ。貴族なんだから、対面が悪いだろう」
「それは、辛くないか?」
「別に。欲張ってはいけない。俺は身程をわきまえるようにしている。これで、十分だ」
 ルキエルは私の手を撫でて笑う。そこに、諦めが見えた。
 王都の貧民街のルキエルを調べることは不可能だが、海の貧民街のルキエルを調べることは簡単だ。何より、ルキエルは目立つ。ちょっと調べれば、どんどんと情報が集まってくる。
 私と出会った前後で、同じ貧民の男と付き合っていた。相手の男は、随分とルキエルに傾倒してしまい、人前でもルキエルと手をつないで歩くほどだったという。そこまでの仲であるのに、ルキエルは一緒に暮らすことを拒んだ。結局、男はルキエルを捨てていなくなったという。
 ルキエルは、幸せになることを諦めている。男相手でも、一緒に暮らせば、人並の幸福を得られただろう。だが、過去がそれを諦めさせた。
 王都の貧民の支配者の娼夫としての時間は、かなりのものだったのだろう。見ればわかる。体の隅々まで、男を喜ばせるように成長している。男であるから、女よりは力があるが、そこら辺の男相手でも、ルキエルは簡単に組み敷かれてしまうほど、力がない。抱きしめてみれば、男としての固さはあるが、華奢だ。
「そうだ、面白いものがあったんだ」
 気まぐれだった。貧民でも、平民でも、それを見ることもないだろう、と思って、屋敷から持ってきた。
 荷物から出したそれが何か、平民だってわからない。見たって、だいたいは首を傾げる。
 ところが、ルキエルは身を乗り出して、それを私の手ごとつかんだ。
「これは、音を鳴らす魔道具」
 ルキエルは、一目で、それが何か、言い当てた。
「知っているなんて、驚きだな」
「………」
 無言だ。魔道具を私の手から奪い、あちこち触れたり、開いたりしている。
「これは、動くな」
「いやいや、動くはずが」
 ところが、ルキエルが蓋を開けると、魔道具から綺麗な音楽が流れた。
 まず、ルキエルが魔道具を扱える事に驚いた。平民だって、こんな物の使い方なんて知らない。さらに、音が鳴ったことに、驚かされた。
「そんな、壊れてると」
「どっか、引っかかってたんだろう。ほら、綺麗な音だ」
 ルキエルは私に体重をかけて座り直し、魔道具を弄んだ。
「懐かしいな、この音」
「使ったことがあるのか?」
「まあな。無駄な道具だ」
「そんなことないだろう。綺麗な音は、人の心を和ませる」
「それは、貴族の考え方だ。貧民にとっては、無駄だ。無駄で、役立たずだけど、そこがいい」
 嬉しそうに笑うルキエル。ずっと持っていたいのだろう。ルキエルは魔道具を目の高さまで持ち上げて、目を輝かせる。
「もう、いいだろう」
 私は魔道具に嫉妬して、ルキエルから取り上げた。ルキエルは魔道具が手からなくなって、とても寂しそうに表情を暗くする。
「なあ、それ、欲しい」
「ダメだ。壊れていたと思われた物が動いたんだ。価値があがった。簡単にあげられるものじゃない」
「買うから!! 俺、金はあるんだ。本当は、こんなことしなくても、俺は遊んで暮らしていける。だから」
「売らない」
「………どうすれば」
 物凄い執着だ。
 最初はただ意地悪からだ。魔道具相手にちょっと嫉妬したのもある。だが、ルキエルの魔道具に対する執着に、私は苛立ちすら持った。
 私とルキエルは、売り買いの関係だ。ルキエルは私の行為を随分と喜んだ。それが私には嬉しくて、ルキエルにどんどんと嵌っていったのだ。きっと、ルキエルも私に嵌ってくれているだろう、と思い込んでいた。
 しかし、ルキエルは私との閨事よりも、役立たずだという音を鳴らすだけの魔道具に執着したのだ。金を出すと言われたって、これをルキエルに渡したくなかった。
 こういう時、いつもそうしていたのだろう。ルキエルは、私の一物をつかむなり、口に咥えたのだ。
「な、奉仕はしないって」
 そういうことを教えられていないと聞いていた。ところが、ルキエル、とんでなくうまかった。私はつい、ルキエルの頭をつかんで、さらに喉奥へと私の一物を突っ込ませた。
 そうして、あっけなく、私はルキエルの喉奥に、白濁を放った。決して、おいしいものではないだろうに、ルキエルは音をたてて飲み込んだ。
 私の一物から出る白濁を吸い込み、私から離れたルキエルは、陶酔していた。熱い息を吐いて、腹の辺りを撫でる。
「臓腑まで、あんたを感じる」
 嬉しそうに笑うルキエルを見て、私はゾクゾクとさせられた。
「まあ、今はいいや。気が変わったら、売ってくれ」
「欲しいから、やったんじゃないのか!?」
「それを聞いていて、やりたくなった。他意はない。なあ、もう一度しよう。今度は、もっと奥がいい」
 ルキエルは私の手にある道具を机に置いて、私の上に圧し掛かった。





 ルキエルは毎日、店に立つわけではない。男を付き合いだした頃から、週に二回から三回、身売りしていた。だいたい、ルキエルの一夜は貧民にしては高い。しかも、男だ。売り文句も嘘臭いのだ。
 なのに、苦情が出たことはない。ルキエルの一夜は、誰もが満足して帰っていった。そうして、隠れた常連客がそれなりについていた。皆、月に一回か二階、ルキエルを買う。私のように、週に一回買うような男はいない。
 私はもう、ルキエルに嵌り過ぎていた。ルキエルが店に立つのは不明だ。二回か三回、立つとはわかっている。だから、私は週に一度はルキエルを買いたくて、店に頻繁に通った。
 私は見るからに貴族だ。だから、ルキエルの常連客は、私に遠慮した。私は週一回だ。だから、その一回を私に譲った。そうして、残る一回か二回を隠れた常連客たちが奪い合っていた。
 そうして、それなりに円満に過ごしていたのだが、とうとう、私の正体をルキエルに知られる出来事が起こった。
 その日も、普通に娼館に行ったのだ。ルキエルはいた。しかし、先客がすでについていた。
「伯爵、オクト?」
 まさかの、私にとっては敵対関係のある伯爵オクトが、ルキエルと笑顔で談笑していた。よくよく見れば、娼館の周囲は、オクトの家臣たちに囲まれている。さらに、中では、オクトの家臣たちが娼婦たちを買っていた。
 一体、何が起こっているのか、わからなかった。このまま、私は娼館から離れようとしたのだ。
「あんた、来てたのか!!」
 なのに、ルキエルが私の存在に気づいて、わざわざ、外に出て、私の後ろから、抱きついてきたのだ。
 私はここには、最低限の護衛しか連れて来ていない。私自身は護身が出来るので、貧民相手に襲われたって、撃退出来る。
 しかし、伯爵オクトの家臣たちや手勢相手では、私は無事ではない。私は死を覚悟した。
「ルキエル、なにやってんだよ。今日は僕が買ったんだぞ」
「けど、常連だから」
「悪いけど、今日は………」
 私を見た伯爵オクトは、ぐいっとルキエルの首根っこをつかんで、私から引き離した。
「何するんだよ!?」
「お前、もっと客を選べ!! よりによって、こいつを常連にするって、何考えてんだよ!!」
「金払いのいい客は珍しいんだぞ。俺の一晩は高いからって、貧民だって、月に一回か二回しか買えないってのに」
「もう、身売りなんかやめろ!! 僕が面倒みてやる。ほら、これで金の心配はなくなった」
「俺は友達の世話になんかならない」
「そうか、友達と思ってくれてるのか」
「………言い間違えた」
 ルキエルに否定されて、伯爵オクトは不機嫌になった。
 そんなじゃれあいを目の前にされながら、私はオクトの家臣たちに囲まれた。皆、私をどうしてやろうか、なんて見てくる。
 ルキエルはオクトの手から離れると、私の後ろに隠れた。
「俺の大事な太客に、何するつもりだ?」
 ルキエルは、私と伯爵オクトの関係を知らないから、とりあえず、私に味方した。
 伯爵オクトは、ルキエルが私についたので、見るからに激怒した。
「お前、そいつがどこの誰か知ってて、味方するのか!?」
「売り買いの関係だから、知るわけないだろう。俺にとって大事なのは、金払いがよくて、俺を満足させてくれることだ。この男は、その二つを持ってる。それだけで十分だ」
「どんだけ最低なんだ、お前は!!」
「誉め言葉だ」
 私の後ろで舌を出していうルキエル。伯爵オクトとルキエルの間に挟まれている私は、わけがわからないが、生きた心地はしない。
 ルキエルは貧民だ。しかも、男相手に股を開くような、最低最悪な男だ。そんな男相手に、オクトは力づくに出ない。怒っているが、手も出さないし、権力を振りかざすこともしない。
「ルキエル、今日は仕事を休んでくれ。そいつとは、話がある」
「今日は仕事の気分だから、イヤだ」
「ルキエル様、今日は退いてください」
 オクトの家臣の一人が、ルキエルの横に膝を折って頼み込んだ。
 ルキエルはそれを見て、仕方ないとばかりに、私から離れた。
「いいだろう、お前の顔に免じて、退いてやる」
 ルキエルは膝を折る家臣を蔑むように見下ろして、私からも、娼館からも離れて行った。




 ルキエルとオクトのやり取りで時間稼ぎされたお陰で、すぐに、私の家臣たちもやってきた。後ろ暗い貴族同士の睨みあいとなった。
「ここで話すのは、ルキエルの迷惑になる。場を変えよう」
「そうだな。私はここでルキエルに世話になっているからな」
 お互い、ルキエルには迷惑をかけたくなかった。
 貧民街だから目立つのだ。貴族がいてもおかしくない店に行き、個室で食事会となった。
 お互い、それなりの護衛を傍らにつける。店におかしなことをしないように、お互いの家臣が牽制しあったお陰で、出てくる食事に何かされることはなかった。
「本当に、あなたは最低ですね」
 出て来た肉を無作法にフォークでぶっ指しながらいう伯爵オクト。
「どこが最低なんだ? ルキエルも、私に満足している」
「ルキエルに手を出すなんて、死んだ義父への嫌がらせですか? それとも、死んだ王都の貧民の支配者への意趣返しですか?」
「言いがかりだな」
 何故、ここまで、オクトがつっかかるのかわからないので、私は知っている顔をして、話をあわせた。
 オクトは、しばらく、私の顔を見て、そして、私の後ろに立つ家臣を見る。
「なるほど、知らずにルキエルに手を出したわけですか」
 私の家臣の顔に出たな。オクトは、それを見て、怒りをおさめた。
 しばらく、肉の味を堪能しながら、オクトは考えこんでいた。私は、オクトの出方を待つしかなかった。ルキエルの情報をオクトは握っている。悔しいが、私はどうしても、ルキエルのことが知りたかった。
 メインを食べ終わると、オクトは落ち着いたようだ。いつもの穏やかな笑顔を浮かべる。この笑顔で、えげつないことを平然とするから、オクトは、裏では恐れられていた。
「どうやら、ルキエルのことを何も知らないで、手を出したようですね。ルキエルのこと、色々と教えてあげよう。どうせ、ルキエルも話すと悟っているだろう」
「君とルキエルは、どういう関係だ?」
「友達だ。本当に、それだけだ」
「貧民と、友達?」
「そうだ、友達だ。残念ながら、僕はルキエルに自慢されるような友達ではないけどね。一方的に、僕が友達と思っている」
「随分と、甘っちょろいことをいうな」
 笑ってしまう。貧民相手に友達だなんて、足元を掬われるような秘密だ。
 私がルキエルを買っていることは、表に出ない。上手に隠したし、ルキエルはあえて、私の正体を知ることを拒絶した。お陰で、今も、噂にすらなっていない。
 ルキエルは、私やオクトが思っている以上に、情報を隠すのがうまい。ルキエルは、両者のために、あえて、黙っていたにすぎないが、その事に、オクトは気づいていない。まだまだ、オクトは若いな。
「わざわざ、身売りをしている友達を買っているのだから、私と同じか」
「僕はしない。ルキエルは仕事だから、と言い張るから、仕方なく、そういうのが大好きな家臣に代理を立てている」
「これで、お互い、秘密持ちだな。それで、どうするつもりだ?」
「ルキエルが悪くなるようなことは、一切、我が家はしないことにしている。だから、貴様がルキエルに悪くなるようなことをしたら、我が家は領地戦を申し込む」
「たかが貧民相手に、何を」
「たかが貧民じゃない。ルキエルは、我が家の大恩人だ。我が家が今あるのは、ルキエルのお陰だ。ルキエルがいなかったら、我が家は潰れていた。ルキエルが望むこと全て、我が家は叶える。それは、ルキエルの子々孫々まで、ずっとだ」
 随分と重い、一方的な友情だ。ルキエルは、オクトに対して、そこまで重いものを持っていない。ただ、身をわきまえている。だけど、オクトは、貧民相手に、とんでもない重いものを押し付けている。
 ルキエルが一番、拒絶するものだ。
 週に一回、ルキエルを買って、それなりに会話をしていればわかる。ルキエルは、きちんと身分というものをわきまえている。私と二人っきりの時は、まるで女のように甘えるが、外では、貧民らしく、それなりに距離をとる。さっき、ルキエルが外で抱きついてきたのは、たまたま、オクトが側にいて、出てしまっただけだ。オクトを前にするルキエルは、どこか、抜けて、表情も違う。
 とんでもないことを言われた私は、食事が進まない。今、ルキエルとの関係をどうしようか、迷っていた。ここまで、伯爵オクトがいうのだ。ルキエルとの関係は、続けて良いことなんてない。
「ルキエルのことはご心配なく。あなたが抜けても、我が家がしっかりと金を落とす。あの娼館だって、あなた一人よりも、我が家が家臣ごと金を落としたほうが、嬉しいだろう」
「若造が、生意気を」
 悔しいが、先ほどの光景では、明らかに私は負けている。
 オクトはしっかりと周囲を家臣で固めて、秘密を外に洩らさないようにしたあげく、娼館にいる娼婦に金を落とすことによって、娼館から秘密を洩らさないように口止めしていたのだ。やり方が、金のある貴族らしいが、隙がない。
 だから、私はここまで、伯爵オクトとルキエルの繋がりを知らなかったのだ。娼館はあえて、その情報を私に隠した。
「僕とあんたが知り合いとバレたし、もっと話しても、ルキエルは怒ったりしないだろうな」
 さらに、私がルキエルから手を退きたくなるような秘密をオクトは持っていた。
 聞かない選択だってある。しかし、聞きたかった。ルキエルのことだからだ。
「ルキエルは、確かに死んだ王都の貧民の支配者の娼夫だ。だが、本来は、もっと、近い関係なんだ」
「まさか、親子か?」
「そうだ」
 あの穏やかな笑顔で、オクトは肯定した。
 瞬間、背中が冷たくなった。貧民としては、よくある話だ。しかし、ルキエルに対しては、それが当てはまってほしくなった。
 私は、王都の貧民の支配者が溺愛する妻を死に追いやったのだ。
「ルキエルは、死んだ母親の身代わりで、毎夜、実の父親に抱かれていた」
 だから、ルキエルは、自らの一物が父親と同じだと知っていたのだ。

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