魔法使いの悪友

shishamo346

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破滅-三人目

動き出した侯爵

 侯爵がとうとう、動き出した。海の貧民街に軍勢を連れてやってきたのだ。
 俺は知らなかった。貴族といえども末席の男爵の三男だ。大した情報を持っていない。それ以前に、俺は男爵家のことも、仕えるべき侯爵家のことも興味がなかった。どうせ平民になるのだから、と俺は考えていたのだ。下手に情報を持っているほうが危険なので、あえて、そういう話を避けていた。
 後々、考えれば、俺の両親も、兄二人も、侯爵家のことを俺に話せなかったこともあった。侯爵家の奴隷化の儀式の禁止事項に触れるからだろう。どちらにしても、俺は侯爵家のことを知る術がなかった。
 俺は、ルキエルと朝帰りしていたから、この騒ぎを野次馬として見るしかなかった。ルキエルはというと、さっさと騒ぎの中心へと行ってしまった。
 追いかけようとした所で、俺は侯爵家の軍勢にいる誰かに引き込まれていた。
「な、父さん」
 俺の父と兄二人がいた。家族は、俺の手に無言で手紙を押し付け、また、軍勢の外に押しやった。
 俺は背筋に冷たいものが流れた。俺は、いつか、ここで起こされる騒ぎのために、海の貧民街に送られたことを気づかされた。
 遠い先では、何やら騒いでいるが、俺のところまでは聞こえない。ただ、手渡された手紙を握りしめるしかない。捨てることも出来ない。触れた途端、隷属化の契約が発動したのだ。
 騒ぎがおさまって、俺は与えられた部屋に戻って、手紙を見た。
 俺は侯爵の次男ミリアムに呼び出された。手紙には時間と場所が書かれていた。これには、抵抗が出来ない。絶対に行かないといけない。
 俺の部屋のドアがノックされ、現実に引き戻された。
「ユーリ、入っていいか?」
「あ、ああ」
 ルキエルだった。ルキエルは、騒ぎの中心で何かやっていただけでなく、軍神コクーンの相談にも乗ってと忙しいというのに、俺の元に来てくれた。
 返事はしたが、俺は慌てて手紙を隠した。ルキエルに見られてはまずいものだ。
 入ってきたのは、ルキエル一人だ。
「妹と、あの男は?」
 誤魔化すように、レーリエットとナナキのことをルキエルに訊ねた。
 ルキエルはベッドに腰を下ろして、俺をじっと見て来た。仕方なく、俺はルキエルの隣りに座れば、ルキエルは甘えるようにもたれかかってきた。
「煩いから、置いてきた。レーリエットも、もうそろそろ、兄離れさせないとな。ナナキなんか、側にいたいというなら、さっさと王都の貧民街の支配者、やめればいいんだよ」
「俺と付き合ってくれるというのに、あいつらを側に置くんだな」
 嫉妬が表に出た。それを見て、ルキエルは申し訳ない、とばかりに表情を暗くする。
「レーリエットは俺の支えだ。レーリエットが離れない限りは、俺は側にいてほしい。ナナキは、俺が拾って育てた貧民だからな。拾った以上、最後まで責任をとらないとな」
「妹はいいが、あの男はダメだ」
「ナナキは難しいんだよ。捨てていい奴じゃない。我慢してくれ」
 俺のご機嫌をとるように口づけしてくるルキエル。
 ナナキは、俺のことをそこら辺の石ころのように見下していた。ルキエルの前では、優しい顔をしているというのに、それ以外には非情だ。ナナキを見ていると、伯爵オクトはまだまだマシだと思い知らされる。
 伯爵オクトは、それなりに交流していけば、お互い、蟠りが解ける。
 しかし、ナナキはそういうのではない。ルキエルに対して、強い執着を持っている。ルキエルのためならば、どんな命令でも従う。だが、それはルキエルだけだ。ルキエルの妹レーリエットでさえ、ナナキの中では、どうだっていいのだ。
 俺とルキエルはやっと、付き合い始めたばかりだ。しかも、ルキエルが許可しただけだ。まだ、その先に進んでもいない。
 これからだというのに、邪魔ばかりだ。
 王都からやってきた貧民ナナキに、侯爵家次男ミリアムと、やっとという時に俺とルキエルの仲を邪魔してくれる。それには、怒りしかない。
 だから、俺はルキエルをベッドに押し倒して、その上に圧し掛かり、噛みつくように口づけした。
 ルキエルは、俺の怒りを抱擁するように受け止める。笑顔で、俺の酷い扱いを許してくれる。
「す、すまない」
 やっと落ち着いた時は、ルキエルは酷いものとなっていた。前戯すらなく、俺は自らをルキエルの中に埋めていたのだ。ルキエルは声を押し殺して、俺を受け止めていた。
 そんな酷い扱いをされても、ルキエルは怒っていない。俺を抱きしめて、頭を優しく撫でた。
「俺も丁度良かったから、いい。ナナキには気をつけろよ。まだ、俺とユーリのお付き合いをナナキから許してもらっていない」
「あいつに許可をとらないといけないのか!?」
「言っただろう。ナナキの扱いは難しいんだ。そこら辺の人と同じようにしちゃいけない。一歩間違えると、ユーリ、殺されるぞ」
「返り討ちにしてやる」
「無理だろう。ナナキは俺が育てたんだ。鍛えたのも俺だ」
「俺を信じてくれ」
「お前の実力は、俺がよく知ってる。ともかく、大人しく待て。いいな」
 待て、と聞いて、俺はありし日のタリムとルキエルのやり取りを思い出した。
 待てが出来ないなら別れる、と言ったルキエル。
 ここで、大人しくしていないと、ルキエルは容赦なく、俺を捨てるだろう。まだ、ルキエルの中での俺は簡単に捨てられる立ち位置だ。
 だから、俺は大人しく引き下がった。
 ルキエルはというと、俺の膝に座って甘えてきた。
「落ち着いたら、外で甘いものでも食べよう。ユーリは、甘いの、好きか?」
「甘いのは苦手だな。けど、ルキエルが食べたいというのなら」
「なら、お前は茶でも飲んでればいい」
 俺が甘いのが苦手というと、嬉しそうに笑うルキエル。
 ルキエルは、同じものを一緒に食べたいわけではない。ただ、側にいてほしいだけだ。それがわかると、急に、ルキエルのことが愛おしくなり、後ろから抱きしめ、口づけを落とした。





 周囲は騒がしくなった。俺は海の貧民街の支配者と侯爵家との関係をこの時、初めて知った。
 まさか、侯爵家が、軍神コクーンの孫娘ヘレンと婚約関係にあったとは、知らなかった。侯爵家は、貧民となったヘレンの身柄を要求したのだ。最初は、手紙や使者と穏便だったという。だが、コクーンからのお断りの返事により、とうとう、武力で訴えたのだ。
 その武力をもってしても、コクーンを頷かせることは出来なかった。それどころか、貧民ルキエルの横やりで、侯爵家次男ミリアムは撤退せざるをえなかった。
 どういったこととなっているのか、ルキエルは俺に教えてくれた。
「ヘレンお嬢さんを使って、元伯爵の持ち物だった領地を手に入れようとしているのだろう」
「そんな、バカバカしい話」
「帝国は弱肉強食。強者こそ正義だ。コクーン爺さんが貴族でなくなった時に持ち出した資料とかを見せてもらったが、ヘレンお嬢さんとミリアムの契約があった。あれは、ヘレンお嬢さんとミリアムが婚姻することで、ミリアムが伯爵代理となることとなっていた。爵位ってのは、血筋で受け継ぐしかない。だが、代理は婚姻とかでなれるんだ。ヘレンお嬢さんの血筋は戦争バカだという。領地運営の部分が弱いことは有名だから、侯爵家がそこを支える、ということで、契約が結ばれたんだろう。この契約はヘレンお嬢さんとミリアムの婚姻で成立する。領地は今、別の貴族の持ち物となっているが、契約は契約だ。この契約は、領地が別の貴族の持ち物となる前に結ばれたものだ。そういう所を前面に出して、領地戦で乗っ取るつもりなんだろう。ヘレンお嬢さんという大義名分があるから、帝国も領地戦を許可する」
 ルキエルは最小限の情報で、ここまでのことを読んでいた。俺でさえ、考えもつかなかった。
 バカバカしい話だが、出来ないわけではない。そこは、ずる賢くのし上がる貴族が上手に言いくるめるのだろう。
 ここまでの予想をルキエルは軍神コクーンに伝えたという。
「これから、ここはどうなるんだ?」
「そりゃ、内戦だろう。貧民相手に、帝国の許可なんていらない。内戦して、力づくでヘレンお嬢さんを手に入れればいい」
「………」
 俺は怒りを覚えた。侯爵は、俺を内部から裏切らせるために、海の貧民街に潜入させたのだ。その考えには、薄汚い欲しかない。
 貧民に落ちて、行き所のなくなった者たちを受け入れる器となった軍神コクーンとは天と地ほどの差がある。侯爵は、最低最悪だ。
 だが、俺は侯爵の奴隷だ。侯爵の一族が命じれば、俺は抵抗もなく、従うしかないのだ。
 俺の心中は穏やかではない。ルキエルは俺の様子を心配そうに見てきた。
「ユーリ、死ぬようなことだけはするなよ。生きていれば、どうにかなる」
「ルキエル?」
「お前は、コクーン爺さんに憧れて、ここにいると聞いてる」
 笑顔で俺がついた嘘を口にするルキエル。
 確かに、最初、そう言って、海の貧民街に来たのだ。そう言えば、軍神コクーンは疑うことなく受け入れてくれると知っていた。
 嘘なのに、ルキエルはそれを信じている。それに、俺は胸が痛くなった。
「生きていれば、いい事の一つや二つある。俺だって、ユーリにこうやって出会えた。ほら、いい事、あった」
 ルキエルは、誰もが見惚れる綺麗な笑顔を俺にだけ向けてくれる。それに、俺は泣きそうになった。
 侯爵の奴隷化さえしていなかったら、せめて、ここが、伯爵オクトが所有している部屋であれば、洗いざらい、ルキエルに話せた。だけど、俺は声が詰まったように沈黙するしかない。どうしても話せない。だから、泣いて、ルキエルを抱きしめるしかない。





 手紙で指定された時間と場所に行ってみれば、侯爵家次男ミリアムが待ち構えていた。ミリアムは座って待っているが、俺が座る椅子はない。
 立っていると、何が気に入らないのか、ミリアムは俺の足を蹴った。
「さっさと膝をつけ!!」
 ミリアムにとって、俺は奴隷だ。立っているのも許されないのだ。
 俺は命令だったので、大人しく膝をついて、頭を下げた。それで、やっとミリアムの怒りは解けた。
「今度から、命令する前に膝をつけ。いいな」
「はっ」
 返事をしたくないのに、契約のせいで、勝手に返事をさせられた。俺の意思なんてない。ただ、ミリアムの意思通りに動かされて、言わされているだけだ。
「私は、ヘレンとの婚姻で手に入れるはずだった領地を取り戻すために、あの場に、わざわざ行ってやったんだ。なのに、貧民に落ちた分際で、この私を拒むなど、生意気な女め」
 軍神コクーンに断られただけでなく、元婚約者のヘレンにまで拒まれ、ミリアムは怒り心頭である。侯爵としての自尊心を酷く傷つけられて、ミリアムはどうにかしたいのだろう。
 俺は無言で項垂れるしかない。こうやって話を聞いているだけで、ミリアムは満足なんだろう。反論を許さず、「そうですね」と言わせたいだけだ。
 小さい男だ。侯爵家次男ミリアムにこうやって接して、心底、俺はそう思った。
 コクーンのことを貧民め、とミリアムは蔑むが、その懐の大きさは、コクーンのほうが遥かに上だ。ミリアムは、周囲を奴隷化して、くだらない自尊心を満たしているだけの、小さい男だ。こんな男に従うのは、奴隷化の契約に縛られた者たちだけだろう。
 実際、そうなのだろう。ミリアムが海の貧民街に連れてきた軍勢の全て、奴隷化した者たちなんだろう。父と兄二人がいたんだ。そうに違いない。
 契約で縛らないと、不安でならないのだろうな。ミリアムの小ささに、内心で笑った。ミリアムは、そんな俺の内心なんて知らず、ルキエルにさえ読まれた企みを俺に話して聞かせた。
「内戦で海の貧民街を潰し、あの生意気なコクーンも始末してやる。貧民に落ちたくせに、なにが軍神だ!!」
「そうですね、ミリアム様」
「我が家の軍勢を率いれば、あんなクソジジイに負けるはずがない。おい、ユーリ、コクーンの戦力はどれくらいだ?」
 やっと、ミリアムは俺に話を振ってきた。
 俺は、海の貧民街の情報を侯爵家に洩らすために、長年、軍部の潜入調査をさせられていたのだ。軍部の金で動かし、侯爵は美味しいところだけを横取りする。
 俺は奴隷化の契約により逆らえない。質問されれば、知っていること全てを話した。
 どんどんと情報を俺はミリアムに流した。あの支配者の持ち物である堅牢な建物の作りも全てだ。
 そうして、俺は内戦に必要な情報全てを洩らした。考える限り、これ以上、話すことはなくなった。
「そういえば、お前はあの貧民ルキエルに交際を申し込んでるんだってな」
「っ!?」
 言葉が詰まった。ミリアムは答えを求めているわけではない。俺をからかっているのだ。
 だが、海の貧民街での情報をミリアムが知っているのは、驚いた。たぶん、奴隷化の契約された者たちは、貧民に扮して、海の貧民街に潜んでいるのだろう。
 ルキエルは目立つ男だ。そんな男に人目もはばからず交際を申し込んでいれば、海の貧民街中に知れ渡るというものだ。
「あの男、男相手に男娼をしているというじゃないか。お前も買ったのか?」
「はい、買っています」
「どれくらいだ?」
「買手がいない時には、必ず」
「そんなにいいのか?」
「はい、とても」
「そうか。それで、どんなことをするんだ?」
 話したくないのに、俺は赤裸々にルキエルと俺の行為を話した。
 男相手に熱を上げる俺をミリアムは蔑むように見て、嘲笑った。
「汚らわしいな!! お前、俺には触るなよ」
「わかりました」
 ミリアムがそう言う気持ち、俺も理解出来る。ルキエルを知ったばかりの頃、俺だって同じことを思ったものだ。
 今では、ルキエルの蕾に俺の一物を挿入することに躊躇いすらない。むしろ、ルキエルが喜ぶから、と積極的にしている。ルキエルが望みさえすれば、何だってやってやりたい。
 ミリアムの言いなりとなっているが、内心では、ルキエルの元に行って、抱きしめたいばかりだ。さっさとこの場を離れたかった。
「そうだ、お前には、やってもらうことがあったな。忘れていた。内戦が始まってしばらくしたら、ヘレンを殺せ」
「わかりました」
 簡単に口は返事をするが、内心はそうではない。まさか、ヘレンを殺すなんて、考えてもいなかった。
 ヘレンとの婚姻で、侯爵家次男ミリアムは領地を手に入れられる契約である。なのに、ヘレンを殺してしまったら、領地を手に入れられなくなる。
 その矛盾に、俺は混乱した。それが顔に出たのは、ミリアムが、どうしても話したいからだろう。この奴隷化の契約は、侯爵家の気持ちにも反応するのだ。命令を口にしなくても、侯爵家の感情によって、奴隷化した俺たちは左右されるのだ。
「なんだ、わからないのか。だったら、教えてやろう。あんな生意気に育ったヘレンを側に置いていたって、大人しく従うわけがない。だから、偽のヘレンを用意した。ヘレンが生きている限りは、用意したヘレンは偽物だが、ヘレンが死ねば、本物になる。内戦で助けた体をとって、偽物のヘレンを表に出す。だから、本物のヘレンも、ヘレンの身内であるコクーンも邪魔だ」
「そのために、内戦を?」
 喉がカラカラに乾いた。
 侯爵家は、コクーンとヘレンを始末するために、内戦を起こすのだ。表向きはヘレンを手に入れるため、と言って、実際は、本物が邪魔だからだ。
 ミリアムは、醜い笑いを浮かべた。





 俺がミリアムに情報全てを洩らしたから、侯爵家の内戦の準備はあっという間に終わった。一応、最後の要求、とばかりに、侯爵家からコクーンへと書状が送られたが、コクーンは拒否の返事をした。
 海の貧民街は大変なこととなった。コクーンは偵察を送り、侯爵家から来る軍勢を確認して、貧民街の住人たちに包み隠さず告げたのだ。侯爵家は、容赦なく、海の貧民街を蹂躙するための、とんでもない数の軍勢を連れて進軍していた。
 帝国はというと、静観である。相手は海の貧民街とわかっているのだろう。内戦といえども、帝国は手も口も出さない。
 この現状をコクーンが告げたことで、海の貧民街に暮らす住人たちは、動ける者は全て、別の貧民街へと避難していった。
 コクーンがそれなりにはやく情報を公開したことで、住人の避難はそれなりに早く進んだ。
 そんな騒がしい時だ。コクーンは、自らが持つ軍勢にも声をかける。
「逃げたい者は逃げていい。ワシのくだらん自尊心に付き合う必要はない」
 コクーンは、戦力が落ちることを平気で行った。
 誰も、コクーンの側を離れなかった。潜入調査で貧民に扮した騎士たちも、そのまま残った。
「お前ら、せっかく騎士になったってのに」
「逃げるよりも、討ち死にのほうがいい」
「そうだな」
「ユーリはいいのか?」
 俺が若くて未来ある仲間たちを心配してやっているというのに、逆に心配そうに見返された。
「何が?」
「ほら、ルキエルのこと」
「俺たちは、まあ、そこまで熱を上げるような相手はいないけどな」
「ユーリは、ルキエルのこと、本気なんだろう」
「ルキエル連れて、逃げたらどうだ。ルキエル、口では逃げると言ってるけど、まだ、街にいるんだぞ」
「お前ら、回りくどいな」
 俺を使って、ルキエルをどうにか逃がそうとしているのだ。
 ルキエル、最初は蔑まれてばかりいたが、一年と付き合ってみると、ルキエルの人となりの素晴らしさを皆、気づかされた。
 ルキエルは口では最低最悪なことを言っている。だが、行動は違う。
 男に身売りをしてはいるが、ルキエルの芯は男だ。
 逃げる、とルキエルは言っているが、いつまでも、ルキエルは貧民街に居座っている。もしかすると、このまま、犬死にするつもりなのかもしれない。
 俺はルキエルを説得するために、ルキエルの元へと向かった。

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