魔法使いの悪友

shishamo346

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沈黙の献身

傾倒

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 最初は、サツキの身代わりとして、サツキの息子ルキエルに体の関係を強要していた。ルキエルは道具に随分な執着を見せた。だから、私の裏の力を使って、帝国中から道具をかき集めた。それに、ルキエルは夢中だった。
 それにより、私と体の関係となっていも、ルキエルはもう、惰性となっていた。
 それはそうだ。ルキエルは、実の父アルロに、毎夜、亡くなった母サツキの身代わりとして閨事を強要されていた。もう、それは、日常の一部となっていただろう。そこに、私が体の関係を強要したとしても、その延長でしかないのだ。
 そういう所が、貧民だな、と笑ってしまう。だが、私はルキエルを手放しがたかった。
 男になんて、これっぽっちも欲情なんてしない。しかし、ルキエルにだけは、私は欲情したのだ。見た目はサツキ寄りだ。だが、その体を見れば、男だと一目でわかることだ。だが、止められなかった。
 結局、一度、してしまったら、私はルキエルを手放せなかったのだ。
 そうして、今日も、養子が寄宿学校でいないことをいいことに、ルキエルを屋敷の私室に引っ張り込んだ。
 妖精を狂わせる香を焚きしめると、すっかり、ルキエルは狂った。
「やぁ、これ、だめぇ」
「しっかりと緩めてやらないと、痛いと聞いた。ほら、大人しくしなさい」
「もう、いい、からぁ!!」
 ルキエルの父アルロから、せっかく教えてもらったことだし、とルキエルの蕾に指を最初は一本から、と突っ込んでやっているというのに、ルキエルは私の一物を掴んで、それを立たせようとしていた。まあ、無理なんだがな。
 逆に、指だけでいい所を突いて撫でてとやって、ルキエルはそれどころではなくなる。香を使って洗脳されたルキエルは、それに包まれるだけで、私に刺激を与えるどころではなくなるのだ。
「やぁ、また、い、いくぅ」
 指を三本まで増やして、散々、刺激してやれば、ルキエルは何度目かわからない絶頂を迎えた。
 改めて見れば、サツキに似てはいるが、別人だな。悦楽で蕩けた顔を見せているが、男だ。それでも、私は、止められない。
 ルキエルが力尽きている隙に、さっさと私は一物をぐっと挿入してやる。
「きたぁ!!」
 大喜びだ。やっと挿入してもらえたのだ。指ではどうしても届かない先をルキエルは望んで、のけ反った。
 深く挿入しやすいように、腰を持ち上げ、両足を私の肩にかけてやり、ぐっと押し込んでやる。一方的に受けることに、ルキエルは喜んだ。
「もっと奥にいれてやりたいが、これで、我慢、するんだな」
「うあぁ!!」
 ルキエルが一番いいと感じる所をこすってやる。そこを重点的にされて、ルキエルはシーツをつかんで悶えた。
 そんな中、ルキエルは私に向かって両手を伸ばした。仕方なく、それを掴んで、さらにぐっと私の一物を押し込んでやると、さらに深くなる。
「ち、ちがぁうぅ!!」
「なんだ、もっと奥に押し込んでほしいんじゃないのか」
 何故か拒絶された。喜んでいるが、それじゃなかった。しかし、その挿入は私も気持ち良いので、そのまま続け、さらに体を密着させた。
 ルキエルは口を可愛らしく開いて、舌を出した。なるほど、そっちか。
 私はルキエルの両腕を離して、体を密着させた。ルキエルは私の背中に両手を回して、深く口づけを求めて、舌まで入れてきた。
 喉を鳴らして、ルキエルは私の唾液を求めた。舌を絡め、さらに求めていく。
 私の体は臓腑まで、妖精を狂わせる香によって毒されている。だから、私の血肉は、妖精憑きにとって、常用性のない麻薬だ。ルキエルは、私の唾液や体液に夢中になっていた。
 そうしていると、ルキエルは私の一物をぎゅうぎゅうと締めてくる。そこに、激しい挿入をしてやると、その悦楽に、ルキエルは耐えられず、私への口づけをやめて、悶えた。
「ほら、私はまだ、満足していないぞ」
「あぁ、そこ、だめぇ!!」
 あまりに刺激されて、唾液まで飲み込んだから、ルキエルは悶絶して、悦楽に苦しんだ。ベッドに爪をたてて、腰を持ち上げ、苦しんだ。
 そこに容赦なく、口づけし、追い込んでいく。
 ごりっととんでもない音がしたような気がした。それを受け止めたルキエルは、私の一物を絞めてきた。それには、私も耐えられず、白濁をルキエルの中に放った。
 そこら辺のただの人の白濁とはわけが違う。私のは、臓腑まで妖精を狂わせる香に犯されているのだ。白濁だって、とんでもないものだ。それを受け止めて、ルキエルは無事で済まない。
「やぁああああああー------!!!!」
 とんでもない苦痛のような絶頂を迎え、悲鳴を上げ、そのまま、意識を飛ばした。それでも、全身をガクガクと痙攣させるルキエルに、私は離れがたいものを感じた。





 窓を開けて換気してしばらくすると、ルキエルは目を覚ました。妖精憑きはともかく頑丈で、すぐに回復する。
 だが、私の体液を受けて、ここまで早い回復は、驚いた。試したことはないが、私が子飼いにしている妖精憑きどもは、この香を焚きしめた部屋にいるだけで、それなりに苦しむ。
 目を覚ましたルキエルは、体をちょっと身もだえする。換気程度では、あの香は取り除けないのだ。それをルキエルは妖精を使って、綺麗に取り除いていた。ついでに、私に抱きつくと、表面についた香まで取り除くのだ。
「よし、消えたな」
「器用だな、本当に」
 私自身はわからないが、子飼いの妖精憑きは、私の体からも香が消えている、と驚いていた。
「あんたさ、働きすぎなんだよ。顔色、悪かったぞ」
「私のは、仕方がない」
「もう、いい顔色だな」
 そう言って、ルキエルは私から離れる。やることやったら、本当に冷たいな、お前は!?
 事後のルキエルは、これっぽっちも私に執着しない。この行為は、ただの代価なのだ。私は道具を集めてルキエルに渡す、ルキエルは道具集めをする私にその身を差し出す、ただ、それだけの関係だ。
 しかし、私自身はそうではない。愛着だって湧く。もう、サツキの身代わりとしてルキエルを見ていない。ルキエルはルキエルだ。しかし、ルキエルにとって、私は身代わりとして扱われている、と思っている。最初がそうなのだから、仕方がない。
 今更、何を言ったって、ルキエルには響かない。ルキエルという男は、本当に女のような男だ。疑り深く、ちょっと間違えた対応をすると、もう見捨てられる。
 私もルキエルのことを気を付けないと、本当に捨てられるな。道具で繋がっている仲だ。この道具がないと、ルキエルはもう、私に見向きもしなくなるだろう。
 私は服を整えて、部屋を出る準備をしているというのに、ルキエルはベッドに横になっている。
「ほら、道具の倉庫に行くぞ。随分としたから、いつもより奮発しよう」
「今日はいらない。前のがまだ残ってるからな」
「? だったら、どうして、今日はしたんだ?」
 見返りのない行為をルキエルはしない。何かしら、言い訳がないと、ルキエルだって素直にやらせてくれないのだ。
「そういう気分だったんだよ。もう、あんた、やり過ぎだ。疲れたから、今日は泊まってく」
 そう言って、ルキエルは隣りをぽんぽんと叩いた。
「もうちょっと休もう」
「私はそこまで疲れてない。むしろ、調子がいい」
「いいから!!」
 せっかく服を整えたというのに、ルキエルは無理矢理、私を引っ張った。まあ、ルキエルなんて、大して鍛えてないから、ちょっと私が力をかけてやれば、簡単に振り払えるのだが、嬉しいので、笑って引っ張られてやった。
 散々なことをしたベッドだが、ルキエルは魔法で綺麗にしてくれた。情事の痕は影も形もないな。
「便利だな、妖精憑きの力は」
 寝心地までいい。だから、横になると、すっと眠くなってきた。そんな私の横に、ルキエルは丸くなって、私の胸に顔を埋める。
「そうされると、やりたくなってしまうんだが」
「我慢しろ」
「だったら、離れてくれ」
「人肌がないと、寝れないんだよ」
「仕方がないな」
 結局、私のほうが折れるのだ。私はルキエルを抱きしめ、目を閉じた。




 城に行けば、毎回、恒例となった、妖精の万能薬が私の前に出てくる。
「これは甘いから苦手なんだが」
「知ってる。そう言って、養子にこっそり飲ませてたよね」
 腕を組んでご立腹の顔をする皇族ルイ。
 貴族の学校時代から仲良くさせてもらっている。私のような後ろ暗い背景を持つ伯爵なんて、皇族とは本来、繋がりを持つものではないのだが、伯爵令嬢サツキ関係で、すっかり、皇族と仲良しとなってしまった。
 だいたい、妖精を狂わせる香なんて、とんでもないものを裏で売っている私は、帝国にとって、敵と言っていい。何より、私の体は妖精憑きをも殺せるように改造している。私自身には妖精の魔法が届かないのだ。そのため、腕っぷしも騎士団並に鍛えている私は、そこら辺の魔法使いなら殺せる。
 さすがに、賢者や筆頭魔法使いは無理だ。あそこは、化け物だからな。まず、近づいただけで逃げる。
 今回は、賢者を上手に避けて、ここに来たわけである。だが、相手は私が来ているのを知っているだろうな。私の体自体、妖精にとっては毒のようなものだ。妖精のほうが知らせるだろう。
 そういう綱渡りな関係を保ちつつ、皇族ルイは、友人として、私の体のために、この万能薬を飲ませてくれるのだ。
 どんな病気も怪我だって、この妖精の万能薬を飲めば、回復である。それほどの効能なので、お値段はかなりのものだ。本来ならば、大金払って恵んでもらうのだが、ルイは無償で私に飲ませてくれるのである。いい奴だな。
 しかし、この万能薬、味がくそ甘いのだ。いや、健康な人にとっては、大した甘さではない。しかし、妖精憑きを殺すために改造している私は、体調最悪である。
 私は、妖精を狂わせる香をタバコという形で摂取している。あの香、少量であれば大したことはないが、毒だ。それを大量に摂取しているので、私の臓腑は毒に侵されているのだ。そうまでして、妖精憑きを殺すための肉体を作るのだ。そのため、伯爵家の当主は短命だ。
 ところが、私はなかなか長く生きている。それもこれも、皇族ルイから恵んでもらっている妖精の万能薬のお陰だ。これで、私はどうにか生きている。それでも、長年、蓄積された毒を全て解毒するのは不可能なんだろう。どんどんと、薬が甘くなってきた。
 この甘さが問題なのだ。体が悪ければ悪いほど、薬は甘くなる。
 私は、甘いものが大嫌いだ。
 だから、一時期、跡取りとして迎えた養子オクトにこっそり飲ませていたのだ。
 しかし、もう、オクトはいない。寄宿学校に行かせたのだが、そこにも、定期的に薬が送られているので、飲むしかないのだ。
 観念して、一気に飲み干した。
「? 甘くない」
「そうかと思った。顔色、いいよね」
 観念して飲んでみたのに、これっぽっちも甘くないのだ。顔色だっていいというルイに、恨みがましく睨んでしまう。
「だったら、飲ませるな。私はこの薬が大嫌いだ」
「そんな子どもみたいなこと言わなくても。だいたい、あの香の吸引、やめないんだよね」
「当主の義務だからな。死ぬまで辞めない」
「だったら、飲ませるしかない。長く付き合ってよ」
「こき使いたいだけだろう」
 私は今では、すっかり皇族御用達の暗部貴族である。後ろ暗い仕事をルイを通して請け負っている。
「もう、そういうこと言わないの!! 僕はマクルスのこと、友達だと思ってるのに」
「わかったわかった。だから、もう、出すな」
 もう一本、妖精の万能薬を出してくるルイ。いらないってのに!!
「甘くないのなら、もう一本も試しに飲んでみないと。ほら、効果が落ちたかもしれない」
「わかったわかった」
 結局、私は飲まされるのだ。
 二本目も覚悟を込めて飲んでみたのだが、こちらも甘くない。
 ただ、腑に落ちないものを感じた。
「この味には、覚えがあるんだが」
 飲んだ感じが、何かに似ていた。それをどうにか思い出そうとするのだが、思い出せない。
「おかしな話だね。今まで、こんなことなかったのに。効力が落ちたのかな?」
「私の顔色がいいと言ってるんだから、たまたま、体調が良くなっただけだろう」
「香、取り入れてるのに?」
「知らん」
 私に疑問をぶつけられたって、どうなっているのか、私にはこれっぽっちもわからない話だ。
 こうやって、定期的に通っているのは、ルイが私に薬を飲ませるため、ということもあるが、友人として世間話をするためである。
「皇帝は、すっかり大人しくなったようだな」
 ハーレムを解体して以来、皇帝ラインハルトは女遊びをぴたりとやめたのだ。
「そうなんだよね。僕も驚いた。だけど、私室には連れ込んでるみたいだよ。時々、夜中に、喘ぎ声が響いてくるというから、子どもはラインハルトの私室には近づくな、と親が教育している」
「やはり、女好きは変わらずが。それで、どんな女だ?」
「わからない」
「本当にいるのか?」
「いるのは確かだ。だが、どんな女か、誰も知らない」
「………まさかな」
 脳裏に浮かぶのは千年の妖精憑きである。
 我が家は歴史が長い上に、後ろ暗いこともいっぱいだ。だから、口伝ではあるが、知識の継代もしっかりしている。
 帝国では、どうしてなのかははっきりしないが、千年に一度、必ず誕生する化け物妖精憑きがいる。妖精憑きは力が強ければ強くなるほど、その外見は美しくなるという。実際、賢者テラスは美男子として、貴族の若い娘たちを魅了したものである。それでも、テラスは百年に一人誕生するかどうかの力ある妖精憑きである。千年の妖精憑きは、化け物だ。妖精憑きとしてだけでなく、あらゆる才能が化け物だと言われている。そして、その見た目は、男女問わず魅了するほどの美しさだという。
 私は飲み干した妖精の万能薬が入っていた瓶を見る。皇帝は、かなり実力のある妖精憑きを隠し持っているという話がある。そのお陰で、今、妖精の万能薬が潤沢となって、帝国の財政を潤わせているという。
 しかし、それらしい外見の見習い魔法使いが表立てば、それなりに噂となるはずだ。もし、千年の妖精憑きであるならば、素顔を隠して活動させているだろう。そうしないと周囲が大変なこととなるからだ。だが、そういう話すら、私の耳にも届かない。
「何か、思い当たることでもあったか?」
「いやいや、ありえない話だ」
 しかし、俺はその予想を笑い飛ばした。
「皇帝ラインハルトは女好きだ。ハーレムまで作った男だぞ。男を囲ったりはしないだろう」
「ないないないない、絶対にない!!」
 私の予想に、皇族ルイも力強く否定した。
「ラインハルトの女遊びは酷かったという話はよく聞く。ハーレムだって、いつでも女遊びしたいから、というくだらない理由だけで作ったんだから。そのせいで、サツキは死ぬこととなったけど」
「………」
 ルキエルの母サツキの死は、あらゆるものを狂わせた。
 サツキは一度は復讐を辞めたのだ。私の説得で、やっと、復讐ではない道へと向かっていった。しかし、貴族のくだらない謀が成功してしまった。そして、サツキは秘密裡に皇帝のハーレムに閉じ込められ、たった二年で、ハーレムは解体され、その際、皇帝ラインハルトの手で処刑されたのだ。
 サツキが死んだことで、サツキの家族は滅茶苦茶になった。サツキの夫アルロは復讐のために関わった貴族全てを惨殺した。そして、気狂いにより、もっともサツキに似ていたルキエルをサツキの身代わりに凌辱したのだ。そこから、ルキエルがサツキのように復讐に捕らわれた。
 全てを壊そうとするルキエル。そのために、アルロを操り、機会を伺っているのだ。その中には、私も入っているのだろう。私もまた、ルキエルに手を出した最低最悪な男だ。
 サツキの話題は場を悪くする。私だけでなく、皇族ルイも表情を曇らせた。
「ごめん」
「仕方ない。あれほど強烈な女は、他にいないからな」
「そうだな」
 皇族ルイにとっても、サツキは忘れられない女だ。その気持ちには、どんなものがあるのか、謎だが。
 そして、ルイはまた、私の前に妖精の万能薬を置く。
「もう飲まない」
「念のため、持って帰れ。効能が落ちているかもしれないし、心配なんだ」
「私は歴代の当主の中では、かなり長く生きたんだ。これから先は、蛇足だ」
「………」
「わかったわかった」
 いつ死んだっていいというのに、ルイはなかなか死なせてくれない。私は仕方なく、妖精の万能薬を持ち帰ることにした。
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