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交友関係
隠し事
本当に、問題児である皇族三人まで合流した。確かに、これでは、私の命令も上手に回避出来てしまうな。狙ってやったわけではあるまい。たまたまだ。
私は皇帝の儀式を連日することはない。昨夜、ハガルと皇帝の儀式を行ったので、今夜はないだろう、とハガルは考えたわけである。だから、今日は、ハガルにとって、予想外なのだ。
遠くから眺めているが、ハガルは、私が店に入ったことに気づいているだろう。妖精を通して、私が帰ったかどうか、きちんと確認しているはずだ。そういうことをハガルは器用にこなしてくれる。
道連れにされた伯爵マクルスは、メニューを見て、何か頼もうとしているが、それより先に、ハガルが注文して、料理が運ばれてきた。
「頼んでいないんだが」
「あちらの席からです」
ハガルのほうを見てみれば、不機嫌な顔を私にほうに向けてくる。それでも私の胸は高鳴るのだから、どうしようもないな。
目の前に並ぶ料理に、マクルスは無言となる。悩むよな、これ。マクルスはハガルを見て、すぐにルキエルのほうに目を向けている。
「ちっ、バレてたか」
「大人しく帰りましょう」
「約束が終われば、ハガルを連れて帰る」
わかっていたことだけど、あえて、舌打ちしてやると、マクルスは真っ青になる。気の毒になー。でも、面白いから、続けよう。
マクルスはどうしてもここから離脱したいから、無駄なあがきをした。
「ハガルは心配ないでしょう。平民に育てられた妖精憑きですから、危ない事は起きませんよ」
「嫌がらせだ、嫌がらせ。私よりも、平民の約束を優先するとは、後で思い知らせてやる」
「………」
ドン引きするマクルス。私の言っていることがおかしいような。言った後で、まずいことを言ってしまった、と気づいた。けど、言ったものは仕方がない。
とうとう諦めたマクルスは、テーブルに並ぶ料理に手を出した。一口食べて、顔を綻ばせる。美味しいんだな。
どうせ、ハガルが魔法で手をかけたんだろうな。ハガルが囲むテーブルでは、普通の顔をして食べている。舌が肥えている皇族三人の顔は微妙だ。だから、酒で誤魔化していた。
私が見ている前で、ハガルはおかしなことはしない。ただ、普通に食べて、飲んで、時間となったので、解散となった。
皇族三人から、女遊びの店に誘われるも、ハガルは私の目があるので、結局、断った。私がいなかったら、絶対に行っていたな。
平民ルキエルは、伯爵マクルスがいることを知っているので、同じく断った。こっちも、マクルスがいなかったら、そのまま店に行っていたな。
黙って見ていれば、解散した後だというのに、ハガルとルキエルは並んでこちらにやってきた。もう、ハガルは怒ってるよ。
「あんた、帰れって言っただろう」
「い、いや、この男が、ほら、心配してるから」
「どうせ、この男を無理矢理、付き合わせたんだろう!!」
読まれてた。私は笑うしかない。笑っていれば、ハガル、なんだかんだ言って、許してくれるんだよな。実際、ハガルは呆れた。
「そんなことを言うんじゃない。君は、大魔法使いアラリーラの側仕えだ。心配される立場なんだ」
皇帝だから、マクルスが味方してくれた。そう言われて、ハガルは苦笑する。
「どうせ、俺はどうでもいい男だよな。ハガル、こいつが送ってくれるって。俺はどうでもいい男だから、一人で帰れるよ。ほら、どうでもいいから」
そうして、もう一人の妖精憑きがこじらせた。目の前で、ハガルが大事、みたいなことを言ったのだ。ルキエルは途端、拗ねた。ハガルとルキエル、本当に似てるな。妖精憑きだから、というだけではないだろう。
「そうじゃない!! 父親が心配してるだろう」
「親父がね」
「ハガルのことは、私が送るから心配ない。ここまで、付き合わせて悪かったな」
気の毒になってきた。マクルスはルキエルに振り回されている。立場が、マクルスのほうが弱いな。だから、私が間に入った。
これで、私がハガルを、マクルスがルキエルを連れて帰れば、問題解決である。
「俺もルキエルも、一人で帰れる。むしろ、お前らはいい大人なんだから、もっと親睦でも深めてろ」
しかし、ハガルは大人しくしてくれない。どうしても、私とマクルスを剥がしたいのだ。邪魔されたようなものだから、その怒りもあるのだろう。
「いくら私でも、皇帝とサシでは飲めない」
とうとう、マクルスが私の正体を暴露した。言ってしまったので、マクルスは全てを覚悟した顔となった。ハガルの前で、それをするのは、かなりまずいのだ。
ハガルが友人の前だというのに、剣呑となった。仕方なく、私も暴露だ。
「やめなさい。この男は、皇族ルイの友人だ」
「そうでしたか。それは、失礼いたしました」
「いや、お忍びの皇帝の正体を暴露する不敬をしたのは、私だ。ここで、殺されても、文句は言えない」
「いえ、見習い魔法使いである私には、その権限はありません。しかし、ルキエルの知り合いに、皇族の友人がいるとは、知らなかったな」
「俺も知らなかった」
「そうなの?」
「そうだよ!!」
物凄く驚いているハガル。疑うようにルキエルを見ているが、ルキエル、本当に知らなかった感じだ。
「俺だって、ハガルが皇帝陛下と近い関係だとは、知らなかった」
「俺は、ほら、大魔法使いの側仕えだから、どうしても接することが多いんだよ。だから、言えないことも多い。隠して、悪い」
「いや、いい。そういうの、訊かないのが、こういうトコでの約束なんだもんな」
ハガルも、これには、ルキエルを疑う言葉を出せなくなった。ただの見習い魔法使いのために、皇帝がわざわざ市井に降りてきたのだ。何かある、と勘付かれるようなものである。
こうして、やっと、私はハガルを連れて、城に戻った。
そのまま、私はハガルを私の私室に放り込んだ。
「何をするのですか!?」
「私に対して隠し事とは、いい度胸だ。少し、罰を与えなければならないな」
私は無理矢理、ハガルをベッドに放り出した。力のないハガルは、寝心地のいいベッドに倒されると、簡単には起き上がれない。ほら、力がないから。しかも、皇帝の私室だから、妖精除けやら何やら、色々とされている。結果、ハガルは私に圧し掛かられて、動けなくなるのだ。
「ちょ、ここでは」
「皇帝の儀式では、罰にはならないだろう。ここだから、罰になる」
手で押して抵抗しても、大したものではない。私はハガルの口に、いきり立った私の一物を無理矢理、咥えさせた。
いつもだったら、仰向けとなっている私の横に座って、ハガルが私の一物を咥えて準備だ。それを罰だからと、仰向けで動けないハガルの口に、無理矢理、咥えさせた。
喉の奥まで一気に挿入され、ハガルは苦しそうに顔を歪めるも、歯を立てたりしない。私の一物を手と口を使って刺激した。
「すっかり、うまくなったな」
口での作業で、見ているだけでも、十分、そそるものがある。随分と教え込んだから、ハガルの口は、名器のようだ。
しばらくして、私は白濁をハガルの口の中に吐き出した。
「飲むな」
直前に命じれば、ハガルは白濁を飲み込まず、そのまま、口にとどめた。私が一物を離すと、ハガルの口の、舌の上に乗る白濁を見ることとなった。
ただ、それだけで、ハガルは随分といい顔をした。頬を撫でてやると、もっとばかりに、目を細めて、頬を寄せてきた。
「飲み込みなさい」
そう言ってやれば、ハガルは音をたてて飲み込んだ。
「満足ですか?」
熱い息を吐き出しながら、生意気なことをいう。説得力がないな。
本人は不貞腐れているつもりなのだろう。実際は、私の白濁を飲み込んで、喜んでいる。
「今日は、ゆっくりと可愛がってやろう」
「やめてください」
頬を染めて、拒絶の言葉を吐き出すも、体のほうは、抵抗しない。上から優しく口づけしてやれば、反射でハガルは舌を差し出してくる。これで、拒絶されてもな。
だから、罰だとわからせるために、私はあえて言ってやる。
「あの平民、妖精憑きだな」
ハガルの蕾に指を二本挿入してやる。私の話に集中しているところに、刺激されて、ハガルは混乱する。
「やぁ、ちがい、ます」
いつもの良い所を撫でてやれば、ハガルの抵抗はなくなるも、口から出るのは、否定の言葉だ。
「あの貴族は、妖精憑きの飼い主だろう」
「やぁ、そこ、激しぃ!!」
指で激しく突いてやれば、ハガルは考える所ではなくなる。そうして、簡単に絶頂するのだが、私はあえて、ハガルの一物をつかみ、白濁を出させないようにしてやる。
そうすると、女のような絶頂をハガルは強制的に受けることとなる。あまりの絶頂に、全身を痙攣させた。
「どうして隠した?」
「やあ、らいんはるとさま、やめてぇ」
もう、考える力もないのだろう。甘えた声で訴えてきた。こうなると、もう、ハガルは子どもだ。
尋問してやりたかったが、不可能だ。私が口づけしれやれば、深く求め、私の一物が欲しいと手を伸ばした。
「こらこら、はしたないことをしない」
「奥が、疼いてぇ」
ベッドの上を這いずるように動いて、私のいきり立った一物を掴んで、舐めた。
「どうか、私の、ラインハルト様の指すら届かない奥に、これをぉ」
「罰にならないではないか」
「………憐れで、隠していました」
私の一物が欲しくて、とうとう、ハガルは白状した。
私はただ横になっているだけだ。何もしない。それを許可を貰えたと思ったハガルは、私の上に跨り、自らの蕾に、私の一物を押し当てる。
「待てだ」
「そんなぁ」
そのまま腰を落としてしまえばいいのに、ハガルは耐えた。潤んだ目で私を見下ろし、欲しいと訴える。はーはーと獣のような呼吸を吐き出し、衝動に耐えていた。
「あの平民が妖精憑きだと、認めるんだな」
「は、はい。るきえる、は、野良の、ようせいつき、です」
私はハガルの腰をつかむと、少しだけ、落とさせた。まだ、入口に少し入っただけだ。それだけで、ハガルは歓喜に震えるが、そこで、私は止めた。
「何故、私に黙っていた?」
「わたしの前では、大した、ようせいつきでは、ありませんでした、からぁ」
「それは、私が決めることだ」
「てらすにも、だまっているようにぃ、いわれましたぁ」
「っ!?」
ハガルだけでなく、テラスにまで、私は裏切られていた。その衝撃に、私はハガルを押し離した。ハガルは無様にも、ベッドに倒れ込む。
「テラスめ、私を裏切ったのか!?」
「らいんはるとさまぁ、お待ちくださいぃ」
怒りでそのまま、テラスを私室に呼び出そうと動き出す私の足にハガルはしがみついた。
女のような絶頂により、ハガルは正気ではない。あれをすると、ハガルはしばらく、前後不覚となるのだ。今も、私を止めながら、私の一物を咥えるのだ。
しかし、容赦なく、私はハガルの口から一物を抜き放った。ハガルの頭をつかんで、また、ベッドに倒した。
「ハガル、テラスを呼べ。今すぐだ!!」
「テラスはどうしても話すな、と言いました。何か、理由があるのでしょう」
妖精憑きの力を使ったのだろう。ハガルは正気に戻った。ただ、まだ体の衝動は残っている。体を起こすことは出来ないまま、私を見上げた。
「ラインハルト様は、私に、あの呪いの経緯を話せますか?」
「っ!?」
「テラスが話すな、と言ったことです。だったら、話すまで、待ってあげましょう。私も、ラインハルト様の口から語られることをお待ちしております」
過去の、皇帝となる前にやらかした事だ。女遊びが過ぎて、私は呪われた。今は、ハガルによって、その呪いはなくなったが、過去は変わらない。
私は、どうしても、ハガルにだけは知られたくなかった。過去の酷い所業もそうだが、女好きが高じてハーレムを作ったことも隠している。
私は落ち着くために、ベッドに座る。そこに、ハガルは這いずるようにやってきて、私の膝に頭を乗せた。
「昔は、こうして、頭が痛いと言ったハガルに、膝枕もしてやったな」
ハガルの頭を撫でてやると、不思議と落ち着いた。ハガルに、何かされているのかもしれない。だが、この心地よさは手放しがたい。
「すまなかった、酷いことをして」
「ラインハルト様が与えられる事全て、私にとっては喜びです」
珍しく、素直なハガルは、私の手をとって、頬ずりする。こんなふうに言われるのは、久しぶりだ。まだ、ハガルは女のような絶頂の衝動に、飲まれているのだろう。そうでなければ、こんな嬉しくなることは言わない。
「何故、私のやらかした過去を知りたがる?」
私が言いたくないことを聞き出そうとするハガル。その真意が知りたかった。弱味を握るため、なんて言われたら、絶望でしかないな。
「妖精憑きなりの独占欲もあります。私が生まれるよりも過去のことを知りたいです。そうすることで、ラインハルト様を手に入れられた気になります。あと、あまりにもラインハルト様が隠すので、私が代わりに背負ってあげたいと思いました。隠すほど苦しいことでしたら、私が代わりに背負ってあげます。私は、悪事も全て、神から許される、唯一の存在です。ラインハルト様の過去の悪事全て、私が背負います」
ハガルは私を真っすぐ見上げ、手を伸ばしてきた。瞬きすら忘れそうなほど、綺麗な笑顔を見せるハガル。そんなハガルの手が、私の頬を撫でる。
「待っています」
ハガルの像が崩れた。最初、それが何故かわからなかった。
私は泣いていた。ハガルの頬を私の涙が濡らした。ハガルは、私から落ちる涙を手ですくって舐めた。
「全ての罪は、私が引き受けます。だから、もう、気にしなくてもいいのですよ」
「う、ううぅ」
「ルキエルのことを隠していて、すみませんでした。ルキエルは、私に似たところがあります。だから、憐れでした。私にはラインハルト様がいました。ですが、ルキエルには、そういう存在がいませんでした」
「あの、貴族は?」
「あれはダメです。あれは、ルキエルを苦しめるばかりですよ。ルキエルの優しさに、これっぽっちも気づいていません」
伯爵マクルスにダメ出しするハガル。マクルスは、ルキエルのために尽くしているように見えた。
会話から、ハガルはルキエルのことを監視しているのだろう。そのハガルがいうことだ。マクルスが見ていない所で、ルキエルは苦しんでいるのだろう。
私はいつものように、ハガルを抱き上げ、膝に座らせた。これは、ハガルと出会ってから、ずっと続けていた。もう大きいから、とハガルは口では嫌がるが、こうやって膝に座ることが好きなのだ。
今日は素直だ。だから、私の胸に背中を預けて、ハガルは笑顔を見せた。
「これで十分なんですよ、本当は」
「そういうことか」
私は、ハガルが言いたいことを理解した。
ハガルは力のある妖精憑きであるため、手がかからない子どもだった。家族の前で、色々と我慢していたのだ。それでも、幼いので、ハガルは甘えたかった。そんな時、親元を引き離されるように、見習い魔法使いとなった。まだまだ親に甘えたい年頃だというのに、大魔法使いの側仕えとなり、年上の先輩魔法使いからは嫌がらせを受けて、とハガルは大変な目にあっていた。家に帰っても、助けてくれるような人はいなかっただろう。そこに、皇帝である私と出会ったのだ。私は、一目でハガルに魅了され、会う度に甘やかした。
こうやって、膝に座らせ、可愛がり、手づから菓子を食べさせた。怪我をすれば怒り、心配した。
私は、大したことはしていない。ただ、衝動通りに動いたにすぎないのだ。それが、ハガルには嬉しいことなのだ。
気づいたら、私の涙は止まっていた。ただ、随分と久しぶりに泣いたから、頭が痛くなった。私はハガルを抱きしめ、ベッドに横になった。
「協力、というと、どういうことですか?」
呼び出された皇族ルイは、私の話に戸惑った。
「大魔法使いの側仕えの交友関係を監視したい」
「なんで?」
対象があまりにもおかしいことに、皇族ルイは首を傾げた。
そうだよな。監視するのなら、大魔法使いだよな。側仕えって、ほら、見習い魔法使いだよ。監視対象にすらならない。
「大魔法使いに関わる魔法使いだというのに、女遊びで有名だ。だが、見習いだから、自重しろ、とは言えない。だから、監視だ」
「控えるように、言えばいいではないですか、女遊び」
「アラリーラに言ったんだが、若いんだからいいだろう、と言い返されてしまった」
「確かに」
実は、一度、アラリーラを使って、ハガルの女遊びを止めさせようとしたのだ。だが、アラリーラから拒否された。妙な所で、アラリーラはハガルに甘いんだ。
「女遊びの店は、きちんと監視されているからいい。が、交友関係は監視出来ていない。平民の友人がいると報告を受けている」
「妖精憑きだから、心配いりませんよ」
「お前の貴族の友達が関わっている」
「………」
おもいっきり、皇族ルイは顔を背けた。こいつも、何か隠しているな。
「わかりました。出来る限りですが、協力します。ただし、僕の友人は、賢者テラス案件となります。まずは、テラスに話を通してください」
「出来ないから、直接、来たんだ!!」
「僕だって無理ですよ!! テラス、怒らせたら、誰も勝てないってのに」
「おかしいよな。私は皇帝だし、ルイは皇族だってのに、契約紋に縛られてるテラスに勝てないって」
「あの腕っぷしを封じる手段がありません。テラスは皇族を殴っても、契約違反にならないなんて」
そうなのだ。賢者テラスは皇族を殴っても、契約違反にならないのだ。何故か? 皇帝や皇族を諫めるための暴力だからだ。暴力を受ける側は、「仕方ないか、悪いことしちゃったし、てへへへ」なんて考えるのである。結果、契約紋が不発となる。
この現象は、テラスのみである。テラスは、皇族が幼い頃から、教育に関わっているのだ。結果、皇族のほうが洗脳される。もう、テラスの暴力は仕方ない、と。
ここまできて、テラスという障害が出てくるとは。
「だいたい、どうやって協力すればいいのですか。監視って、妖精憑き相手には不可能ですよ。すぐにバレます」
「簡単だ。私がいう日に、あの貴族を呼び出せ」
「それだけですか? まあ、その程度なら、テラスに相談しなくてもいいですね」
ちょろいな、ルイ。
それから、私はハガルから次の約束の日時を無理矢理、皇帝の儀式で白状させた。
私は皇帝の儀式を連日することはない。昨夜、ハガルと皇帝の儀式を行ったので、今夜はないだろう、とハガルは考えたわけである。だから、今日は、ハガルにとって、予想外なのだ。
遠くから眺めているが、ハガルは、私が店に入ったことに気づいているだろう。妖精を通して、私が帰ったかどうか、きちんと確認しているはずだ。そういうことをハガルは器用にこなしてくれる。
道連れにされた伯爵マクルスは、メニューを見て、何か頼もうとしているが、それより先に、ハガルが注文して、料理が運ばれてきた。
「頼んでいないんだが」
「あちらの席からです」
ハガルのほうを見てみれば、不機嫌な顔を私にほうに向けてくる。それでも私の胸は高鳴るのだから、どうしようもないな。
目の前に並ぶ料理に、マクルスは無言となる。悩むよな、これ。マクルスはハガルを見て、すぐにルキエルのほうに目を向けている。
「ちっ、バレてたか」
「大人しく帰りましょう」
「約束が終われば、ハガルを連れて帰る」
わかっていたことだけど、あえて、舌打ちしてやると、マクルスは真っ青になる。気の毒になー。でも、面白いから、続けよう。
マクルスはどうしてもここから離脱したいから、無駄なあがきをした。
「ハガルは心配ないでしょう。平民に育てられた妖精憑きですから、危ない事は起きませんよ」
「嫌がらせだ、嫌がらせ。私よりも、平民の約束を優先するとは、後で思い知らせてやる」
「………」
ドン引きするマクルス。私の言っていることがおかしいような。言った後で、まずいことを言ってしまった、と気づいた。けど、言ったものは仕方がない。
とうとう諦めたマクルスは、テーブルに並ぶ料理に手を出した。一口食べて、顔を綻ばせる。美味しいんだな。
どうせ、ハガルが魔法で手をかけたんだろうな。ハガルが囲むテーブルでは、普通の顔をして食べている。舌が肥えている皇族三人の顔は微妙だ。だから、酒で誤魔化していた。
私が見ている前で、ハガルはおかしなことはしない。ただ、普通に食べて、飲んで、時間となったので、解散となった。
皇族三人から、女遊びの店に誘われるも、ハガルは私の目があるので、結局、断った。私がいなかったら、絶対に行っていたな。
平民ルキエルは、伯爵マクルスがいることを知っているので、同じく断った。こっちも、マクルスがいなかったら、そのまま店に行っていたな。
黙って見ていれば、解散した後だというのに、ハガルとルキエルは並んでこちらにやってきた。もう、ハガルは怒ってるよ。
「あんた、帰れって言っただろう」
「い、いや、この男が、ほら、心配してるから」
「どうせ、この男を無理矢理、付き合わせたんだろう!!」
読まれてた。私は笑うしかない。笑っていれば、ハガル、なんだかんだ言って、許してくれるんだよな。実際、ハガルは呆れた。
「そんなことを言うんじゃない。君は、大魔法使いアラリーラの側仕えだ。心配される立場なんだ」
皇帝だから、マクルスが味方してくれた。そう言われて、ハガルは苦笑する。
「どうせ、俺はどうでもいい男だよな。ハガル、こいつが送ってくれるって。俺はどうでもいい男だから、一人で帰れるよ。ほら、どうでもいいから」
そうして、もう一人の妖精憑きがこじらせた。目の前で、ハガルが大事、みたいなことを言ったのだ。ルキエルは途端、拗ねた。ハガルとルキエル、本当に似てるな。妖精憑きだから、というだけではないだろう。
「そうじゃない!! 父親が心配してるだろう」
「親父がね」
「ハガルのことは、私が送るから心配ない。ここまで、付き合わせて悪かったな」
気の毒になってきた。マクルスはルキエルに振り回されている。立場が、マクルスのほうが弱いな。だから、私が間に入った。
これで、私がハガルを、マクルスがルキエルを連れて帰れば、問題解決である。
「俺もルキエルも、一人で帰れる。むしろ、お前らはいい大人なんだから、もっと親睦でも深めてろ」
しかし、ハガルは大人しくしてくれない。どうしても、私とマクルスを剥がしたいのだ。邪魔されたようなものだから、その怒りもあるのだろう。
「いくら私でも、皇帝とサシでは飲めない」
とうとう、マクルスが私の正体を暴露した。言ってしまったので、マクルスは全てを覚悟した顔となった。ハガルの前で、それをするのは、かなりまずいのだ。
ハガルが友人の前だというのに、剣呑となった。仕方なく、私も暴露だ。
「やめなさい。この男は、皇族ルイの友人だ」
「そうでしたか。それは、失礼いたしました」
「いや、お忍びの皇帝の正体を暴露する不敬をしたのは、私だ。ここで、殺されても、文句は言えない」
「いえ、見習い魔法使いである私には、その権限はありません。しかし、ルキエルの知り合いに、皇族の友人がいるとは、知らなかったな」
「俺も知らなかった」
「そうなの?」
「そうだよ!!」
物凄く驚いているハガル。疑うようにルキエルを見ているが、ルキエル、本当に知らなかった感じだ。
「俺だって、ハガルが皇帝陛下と近い関係だとは、知らなかった」
「俺は、ほら、大魔法使いの側仕えだから、どうしても接することが多いんだよ。だから、言えないことも多い。隠して、悪い」
「いや、いい。そういうの、訊かないのが、こういうトコでの約束なんだもんな」
ハガルも、これには、ルキエルを疑う言葉を出せなくなった。ただの見習い魔法使いのために、皇帝がわざわざ市井に降りてきたのだ。何かある、と勘付かれるようなものである。
こうして、やっと、私はハガルを連れて、城に戻った。
そのまま、私はハガルを私の私室に放り込んだ。
「何をするのですか!?」
「私に対して隠し事とは、いい度胸だ。少し、罰を与えなければならないな」
私は無理矢理、ハガルをベッドに放り出した。力のないハガルは、寝心地のいいベッドに倒されると、簡単には起き上がれない。ほら、力がないから。しかも、皇帝の私室だから、妖精除けやら何やら、色々とされている。結果、ハガルは私に圧し掛かられて、動けなくなるのだ。
「ちょ、ここでは」
「皇帝の儀式では、罰にはならないだろう。ここだから、罰になる」
手で押して抵抗しても、大したものではない。私はハガルの口に、いきり立った私の一物を無理矢理、咥えさせた。
いつもだったら、仰向けとなっている私の横に座って、ハガルが私の一物を咥えて準備だ。それを罰だからと、仰向けで動けないハガルの口に、無理矢理、咥えさせた。
喉の奥まで一気に挿入され、ハガルは苦しそうに顔を歪めるも、歯を立てたりしない。私の一物を手と口を使って刺激した。
「すっかり、うまくなったな」
口での作業で、見ているだけでも、十分、そそるものがある。随分と教え込んだから、ハガルの口は、名器のようだ。
しばらくして、私は白濁をハガルの口の中に吐き出した。
「飲むな」
直前に命じれば、ハガルは白濁を飲み込まず、そのまま、口にとどめた。私が一物を離すと、ハガルの口の、舌の上に乗る白濁を見ることとなった。
ただ、それだけで、ハガルは随分といい顔をした。頬を撫でてやると、もっとばかりに、目を細めて、頬を寄せてきた。
「飲み込みなさい」
そう言ってやれば、ハガルは音をたてて飲み込んだ。
「満足ですか?」
熱い息を吐き出しながら、生意気なことをいう。説得力がないな。
本人は不貞腐れているつもりなのだろう。実際は、私の白濁を飲み込んで、喜んでいる。
「今日は、ゆっくりと可愛がってやろう」
「やめてください」
頬を染めて、拒絶の言葉を吐き出すも、体のほうは、抵抗しない。上から優しく口づけしてやれば、反射でハガルは舌を差し出してくる。これで、拒絶されてもな。
だから、罰だとわからせるために、私はあえて言ってやる。
「あの平民、妖精憑きだな」
ハガルの蕾に指を二本挿入してやる。私の話に集中しているところに、刺激されて、ハガルは混乱する。
「やぁ、ちがい、ます」
いつもの良い所を撫でてやれば、ハガルの抵抗はなくなるも、口から出るのは、否定の言葉だ。
「あの貴族は、妖精憑きの飼い主だろう」
「やぁ、そこ、激しぃ!!」
指で激しく突いてやれば、ハガルは考える所ではなくなる。そうして、簡単に絶頂するのだが、私はあえて、ハガルの一物をつかみ、白濁を出させないようにしてやる。
そうすると、女のような絶頂をハガルは強制的に受けることとなる。あまりの絶頂に、全身を痙攣させた。
「どうして隠した?」
「やあ、らいんはるとさま、やめてぇ」
もう、考える力もないのだろう。甘えた声で訴えてきた。こうなると、もう、ハガルは子どもだ。
尋問してやりたかったが、不可能だ。私が口づけしれやれば、深く求め、私の一物が欲しいと手を伸ばした。
「こらこら、はしたないことをしない」
「奥が、疼いてぇ」
ベッドの上を這いずるように動いて、私のいきり立った一物を掴んで、舐めた。
「どうか、私の、ラインハルト様の指すら届かない奥に、これをぉ」
「罰にならないではないか」
「………憐れで、隠していました」
私の一物が欲しくて、とうとう、ハガルは白状した。
私はただ横になっているだけだ。何もしない。それを許可を貰えたと思ったハガルは、私の上に跨り、自らの蕾に、私の一物を押し当てる。
「待てだ」
「そんなぁ」
そのまま腰を落としてしまえばいいのに、ハガルは耐えた。潤んだ目で私を見下ろし、欲しいと訴える。はーはーと獣のような呼吸を吐き出し、衝動に耐えていた。
「あの平民が妖精憑きだと、認めるんだな」
「は、はい。るきえる、は、野良の、ようせいつき、です」
私はハガルの腰をつかむと、少しだけ、落とさせた。まだ、入口に少し入っただけだ。それだけで、ハガルは歓喜に震えるが、そこで、私は止めた。
「何故、私に黙っていた?」
「わたしの前では、大した、ようせいつきでは、ありませんでした、からぁ」
「それは、私が決めることだ」
「てらすにも、だまっているようにぃ、いわれましたぁ」
「っ!?」
ハガルだけでなく、テラスにまで、私は裏切られていた。その衝撃に、私はハガルを押し離した。ハガルは無様にも、ベッドに倒れ込む。
「テラスめ、私を裏切ったのか!?」
「らいんはるとさまぁ、お待ちくださいぃ」
怒りでそのまま、テラスを私室に呼び出そうと動き出す私の足にハガルはしがみついた。
女のような絶頂により、ハガルは正気ではない。あれをすると、ハガルはしばらく、前後不覚となるのだ。今も、私を止めながら、私の一物を咥えるのだ。
しかし、容赦なく、私はハガルの口から一物を抜き放った。ハガルの頭をつかんで、また、ベッドに倒した。
「ハガル、テラスを呼べ。今すぐだ!!」
「テラスはどうしても話すな、と言いました。何か、理由があるのでしょう」
妖精憑きの力を使ったのだろう。ハガルは正気に戻った。ただ、まだ体の衝動は残っている。体を起こすことは出来ないまま、私を見上げた。
「ラインハルト様は、私に、あの呪いの経緯を話せますか?」
「っ!?」
「テラスが話すな、と言ったことです。だったら、話すまで、待ってあげましょう。私も、ラインハルト様の口から語られることをお待ちしております」
過去の、皇帝となる前にやらかした事だ。女遊びが過ぎて、私は呪われた。今は、ハガルによって、その呪いはなくなったが、過去は変わらない。
私は、どうしても、ハガルにだけは知られたくなかった。過去の酷い所業もそうだが、女好きが高じてハーレムを作ったことも隠している。
私は落ち着くために、ベッドに座る。そこに、ハガルは這いずるようにやってきて、私の膝に頭を乗せた。
「昔は、こうして、頭が痛いと言ったハガルに、膝枕もしてやったな」
ハガルの頭を撫でてやると、不思議と落ち着いた。ハガルに、何かされているのかもしれない。だが、この心地よさは手放しがたい。
「すまなかった、酷いことをして」
「ラインハルト様が与えられる事全て、私にとっては喜びです」
珍しく、素直なハガルは、私の手をとって、頬ずりする。こんなふうに言われるのは、久しぶりだ。まだ、ハガルは女のような絶頂の衝動に、飲まれているのだろう。そうでなければ、こんな嬉しくなることは言わない。
「何故、私のやらかした過去を知りたがる?」
私が言いたくないことを聞き出そうとするハガル。その真意が知りたかった。弱味を握るため、なんて言われたら、絶望でしかないな。
「妖精憑きなりの独占欲もあります。私が生まれるよりも過去のことを知りたいです。そうすることで、ラインハルト様を手に入れられた気になります。あと、あまりにもラインハルト様が隠すので、私が代わりに背負ってあげたいと思いました。隠すほど苦しいことでしたら、私が代わりに背負ってあげます。私は、悪事も全て、神から許される、唯一の存在です。ラインハルト様の過去の悪事全て、私が背負います」
ハガルは私を真っすぐ見上げ、手を伸ばしてきた。瞬きすら忘れそうなほど、綺麗な笑顔を見せるハガル。そんなハガルの手が、私の頬を撫でる。
「待っています」
ハガルの像が崩れた。最初、それが何故かわからなかった。
私は泣いていた。ハガルの頬を私の涙が濡らした。ハガルは、私から落ちる涙を手ですくって舐めた。
「全ての罪は、私が引き受けます。だから、もう、気にしなくてもいいのですよ」
「う、ううぅ」
「ルキエルのことを隠していて、すみませんでした。ルキエルは、私に似たところがあります。だから、憐れでした。私にはラインハルト様がいました。ですが、ルキエルには、そういう存在がいませんでした」
「あの、貴族は?」
「あれはダメです。あれは、ルキエルを苦しめるばかりですよ。ルキエルの優しさに、これっぽっちも気づいていません」
伯爵マクルスにダメ出しするハガル。マクルスは、ルキエルのために尽くしているように見えた。
会話から、ハガルはルキエルのことを監視しているのだろう。そのハガルがいうことだ。マクルスが見ていない所で、ルキエルは苦しんでいるのだろう。
私はいつものように、ハガルを抱き上げ、膝に座らせた。これは、ハガルと出会ってから、ずっと続けていた。もう大きいから、とハガルは口では嫌がるが、こうやって膝に座ることが好きなのだ。
今日は素直だ。だから、私の胸に背中を預けて、ハガルは笑顔を見せた。
「これで十分なんですよ、本当は」
「そういうことか」
私は、ハガルが言いたいことを理解した。
ハガルは力のある妖精憑きであるため、手がかからない子どもだった。家族の前で、色々と我慢していたのだ。それでも、幼いので、ハガルは甘えたかった。そんな時、親元を引き離されるように、見習い魔法使いとなった。まだまだ親に甘えたい年頃だというのに、大魔法使いの側仕えとなり、年上の先輩魔法使いからは嫌がらせを受けて、とハガルは大変な目にあっていた。家に帰っても、助けてくれるような人はいなかっただろう。そこに、皇帝である私と出会ったのだ。私は、一目でハガルに魅了され、会う度に甘やかした。
こうやって、膝に座らせ、可愛がり、手づから菓子を食べさせた。怪我をすれば怒り、心配した。
私は、大したことはしていない。ただ、衝動通りに動いたにすぎないのだ。それが、ハガルには嬉しいことなのだ。
気づいたら、私の涙は止まっていた。ただ、随分と久しぶりに泣いたから、頭が痛くなった。私はハガルを抱きしめ、ベッドに横になった。
「協力、というと、どういうことですか?」
呼び出された皇族ルイは、私の話に戸惑った。
「大魔法使いの側仕えの交友関係を監視したい」
「なんで?」
対象があまりにもおかしいことに、皇族ルイは首を傾げた。
そうだよな。監視するのなら、大魔法使いだよな。側仕えって、ほら、見習い魔法使いだよ。監視対象にすらならない。
「大魔法使いに関わる魔法使いだというのに、女遊びで有名だ。だが、見習いだから、自重しろ、とは言えない。だから、監視だ」
「控えるように、言えばいいではないですか、女遊び」
「アラリーラに言ったんだが、若いんだからいいだろう、と言い返されてしまった」
「確かに」
実は、一度、アラリーラを使って、ハガルの女遊びを止めさせようとしたのだ。だが、アラリーラから拒否された。妙な所で、アラリーラはハガルに甘いんだ。
「女遊びの店は、きちんと監視されているからいい。が、交友関係は監視出来ていない。平民の友人がいると報告を受けている」
「妖精憑きだから、心配いりませんよ」
「お前の貴族の友達が関わっている」
「………」
おもいっきり、皇族ルイは顔を背けた。こいつも、何か隠しているな。
「わかりました。出来る限りですが、協力します。ただし、僕の友人は、賢者テラス案件となります。まずは、テラスに話を通してください」
「出来ないから、直接、来たんだ!!」
「僕だって無理ですよ!! テラス、怒らせたら、誰も勝てないってのに」
「おかしいよな。私は皇帝だし、ルイは皇族だってのに、契約紋に縛られてるテラスに勝てないって」
「あの腕っぷしを封じる手段がありません。テラスは皇族を殴っても、契約違反にならないなんて」
そうなのだ。賢者テラスは皇族を殴っても、契約違反にならないのだ。何故か? 皇帝や皇族を諫めるための暴力だからだ。暴力を受ける側は、「仕方ないか、悪いことしちゃったし、てへへへ」なんて考えるのである。結果、契約紋が不発となる。
この現象は、テラスのみである。テラスは、皇族が幼い頃から、教育に関わっているのだ。結果、皇族のほうが洗脳される。もう、テラスの暴力は仕方ない、と。
ここまできて、テラスという障害が出てくるとは。
「だいたい、どうやって協力すればいいのですか。監視って、妖精憑き相手には不可能ですよ。すぐにバレます」
「簡単だ。私がいう日に、あの貴族を呼び出せ」
「それだけですか? まあ、その程度なら、テラスに相談しなくてもいいですね」
ちょろいな、ルイ。
それから、私はハガルから次の約束の日時を無理矢理、皇帝の儀式で白状させた。
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