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賢者と悪女
貴族に発現した皇族
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私は皇帝ラインハルト様の側に立ちながらも、苛立ちが止まらない。サツキと離れていても、サツキにつけた妖精を通して、サツキの行動は全て見えている。
サツキは、亡くなった母親の友人という貴族たちに挨拶をしていた。本当に挨拶だけだ。
「あら、えっと、そう、お久しぶりね。お元気そうで何よりです」
「あの時は、本当に大変でしたね。家族とは仲良くやっているようですね」
「申し訳ない、もう、ご縁もなくなりましたので、これ以上は」
「話しかけてこないでください」
「お母様は素晴らしかったのですが、あなたは、残念ですね」
「知らん」
サツキが挨拶をしても、皆、サツキを避けていた。拒絶し、酷い言葉を浴びせる者までいる。
こんな扱いを受けているサツキをどうしても助けたい。皇帝の目の前に連れて来れば、全て逆転する。日陰だったサツキは、栄光の存在となるのだ。
サツキに冷たい態度をとった母親の友人たちを全て私は覚えた。絶対に許さない。サツキにそんな態度をとるなんて、私が許さない!!
「テラス、それで、皇族はいたか?」
「………」
「テラス!!」
「確認中です」
皇帝ラインハルト様から話しかけられると、うまくサツキの様子が見えない。つい、苛立ちを見せてしまう。
サツキは次に親族のほうへと挨拶に行っている。
「門番のところでは、確認できなかったのか?」
「黙っててください」
「なんで!?」
「気になる女性がいます。そちらに集中したい」
「どんな女だ!?」
女好きだから、興味を示してきた。私は、ついつい、ラインハルト様を蔑むように見下ろした。
「手を出さないでください」
「だ、出しません」
私の持つ空気に、さすがのラインハルト様も、手を出すまい。手を出した時は、一生、この男を蔑んでやる。
口うるさい上司を黙らせ、サツキの様子を盗み見る。母親の友人同様、親族も、サツキには冷たい態度だ。横柄にも、肩を押す輩もいた。サツキの体に触れるとは、何様のつもりだ!?
ふつふつと怒りが募っていく。だけど、口出しが出来ない。サツキは、どれほど酷い扱いをされても、背筋を伸ばし、礼をつくし、笑顔を保っているのだ。完璧な淑女だ。美しい。これほどのものを身に着けるのは、並大抵のことではない。
それに対して、サツキに冷たい母親の友人や、親族は、下劣だ。大人も子どもも、中途半端な礼儀に、鼻で笑い飛ばしたくなる。その程度で、何を偉そうに。
一通りの挨拶が終わり、サツキは壁の華となった。
「席を外します」
「わかったわかった」
皇帝の許可を一応とったので、私は気配を消して、サツキの元に行った。もう、私が賢者テラスだと気づく者はいないだろう。
あと少しでサツキの元に到達する、という時に、サツキは義妹から真っ赤な果実水を服にかけられた。
「ご、ごめんなさい、お義姉様!! よろけてしまって、つい」
「汚れたんだ。もう帰れ」
義妹クラリッサは軽く謝り、婚約者の男は冷たく言い放つ。見るからに、サツキを家に帰そうとしている。
私の約束をサツキに破らせるつもりだ。その企みに、私は怒りをふつふつと湧きあがらされた。
「私との約束を邪魔するとは、何様のつもりだ!?」
私は間に入った。
まさか、私がすぐ側まで来ているとは気づかなかった婚約者は気持ち悪い笑いを見せる。
「と、とんでもない!! この女、汚れても着替えも持ってきていないというから、このままでは失礼にあたるかと」
「お義姉様ったら、ドジなんだから」
全て見ていたというのに、苦しい言い訳だ。この二人は、私がどこから見ていたなんて、わからないだろう。
「そんな並々と果実水が入ったグラスなんか持ち歩くから、こぼすのですよ。もうすぐ貴族の学校に通うというのに、子どもみたいなことをしますのね。本当に恥ずかしい。他の方の迷惑ですよ。飲み物一つ、きちんと持てるようになりなさい」
「そこにお義姉様が立っていたからです!! 邪魔だったから」
「わたくしが相手だから良かったですが、これが高位貴族でしたら、同じことが言えますか!? 謝りなさい!!」
「たかが服を汚したくらいで」
「亡くなった母の形見です。酷いことをしますね」
義妹クラリッサはともかく煩い。よく周りに声が通るのだ。だから、どうしても騒ぎは広がってしまう。
普段ならいいだろう。だが、サツキが本気になれば、クラリッサを悪者にするのは簡単だ。サツキは本気で憤っていた。
騒ぎを聞いていた中には、サツキが挨拶した者たちもいた。サツキの服を貶した者だっていた。それが、まさか、サツキの亡くなった母の形見と知って、気まずくなった。
「そんな時代遅れなものを着るなんて、おかしいのですよ」
「今日は、十年に一度、全ての貴族が集まる日です。亡くなった母のことを偲んでもらいたくて、あえて、この服にしました。これは、母が貴族の学校を卒業する時に着たものです。人は亡くなったら終わりです。忘れさられてしまいます。それは、可哀想です。だから、母の友人だという人たち、母の親族だという人たちに、この服を見せて、母を思い出してほしかっただけです」
「こんなめでたい場に死人の持ち物を着るなんて、不吉な」
「お黙りなさい!! この舞踏会は、長年、交流が出来ない貴族に交流の機会を与える場です。それは、故人のことを偲ぶことだってあります。わたくしはただ、生前のわたくしの知らない母の話を聞きたかっただけです。それを不吉だなんて、失礼なことを言って、謝りなさい!!」
「しめっぽい話をするために来るような奴はいない!!」
「それ以上、口を開くな!!」
私はサツキの婚約者の胸倉を片手でつかみ、高く持ち上げた。魔法使いだが、私の腕っぷしは、騎士団でも敵う者は少ない。今も、毎朝、体を鍛えている。
「貴様らの声を聞いていると、耳が腐るようだ。言葉一つとっても下劣すぎて、聞いていられん!!」
「や、やめてください!! あなたは魔法使いでしょう!!」
「それがどうした。礼儀のなっていないお前たちは、皇帝の前に立てば、即、処刑だ。それほど、見ていても、聞いていても、我慢ならん!!」
私はサツキの婚約者を投げ捨てた。
「魔法使い相手に、随分と弱いな。その程度で、随分な口をきいてくれたな!!」
「賢者テラス様、わたくしの婚約者と義妹が大変失礼いたしました。お詫び申し上げます」
あれほどの悪態を婚約者と義妹から受けていたというのに、サツキは目を瞠るような優雅な礼をした。それを見るだけで、私の胸のつかえはストンと消えてなくなる。ずっと、彼女だけを見ていたい。
「テラス、どうした?」
あまりの騒ぎに、皇帝ラインハルト様がやってきた。それには、慌てて、貴族たちは膝をつき、頭を深く下げる。
なのに、頭の残念なサツキの婚約者と義妹は、突っ立っているだけだ。サツキでさえ、礼をつくしているというのに!!
「頭を下げろ!!」
私は魔法で、礼儀のなってないやつを無理矢理、床に叩きつける。ここまでされると、会場全てにいる貴族どもは、きちんと礼儀をとった。
「何かあったのか?」
「貴族令嬢の服が汚されました。その汚した者の態度があまりにも悪くて、我慢ならなかっただけです」
「それだけ?」
「あなたは、礼儀のなっていない者は嫌いでしょう。その気持ち、今回、よく理解しました。見ていて、聞いていて、目と耳が腐るかと思いましたよ」
「それほどか。どこだ? 私の魔法使いをここまで怒らせる者だ。ただ帰すわけにはいかんな」
ラインハルト様は、ここぞという時は、私のことを上に持ち上げる。
事情を知る貴族たちの視線はあの下劣な二人に集まる。もう、あの二人は処刑でいいではないか。
「皇帝陛下、発言をお許しください」
そこに、また、サツキが割り込んでくる。
サツキはまだ、頭を下げたままだ。皇帝相手でも、その声はりんとして、美しい。
「許そう」
声だけで、ラインハルト様は彼女のことを気に入った。絶対に手を出したら、許さない。
「賢者テラス様、心遣い感謝いたします。わたくしの婚約者と義妹が至らないばかりに、無駄にお気遣いさせてしまいました。あなた様が叱ってくださって、亡くなった母も喜んでいるでしょう。ありがとうございます」
「どういうことだ?」
「義妹が未熟なため、わたくしが着る母の形見の服を汚してしまいました。未熟者がしたことです。どうか、寛大に、お見逃しください」
「そうか、それは大変な目にあったな。テラス、別室に連れて行き、服を綺麗にしてやれ。この場は、その令嬢に免じて、許そう」
サツキは見事な口上で、その場を収めてしまった。
ラインハルト様が元の場所に戻れば、貴族たちは立ち上がった。だが、あの不出来な二人は、立ち上がれない。恐怖に足がすくんでしまったのだ。
「サツキ嬢、案内します」
手を差し出すも、サツキはじっと、あの情けない二人を見て、手をとらない。何を考えているのだろうか? と私がそのままで待っていると、やっとあの二人は立ち上がって、恨みをこめてサツキを睨んだ。
それを確認したサツキは嫣然と微笑み、私の手をとった。
「ありがとうございます、テラス様」
私は筆頭魔法使いの屋敷にサツキを連れて行く。
サツキは会場から離れ、城まで離れ、別にある屋敷に連れて行かれ、さすがに訝しんだ。別室ではないのは、誰でも気づくだろう。
一番日当たりがよく、上等な家具がある部屋にサツキを入れる。使用人が色々と持ってくるが、全て私は断った。私自身の手でやってやりたい。
給仕を全て私が行った。サツキは座り心地が不安そうに、恐る恐ると椅子に座っている。
「服の汚れは、すぐですよ」
サツキの服の汚れは瞬きの間にとってしまう。ついでに、随分と傷んでいたので、素材自体の時を戻してやる。
「随分といいものですね。時代遅れといいますが、物はとてもいいですよ」
「ありがとうございます。もう、これを人前で着ることはありませんから、別のものに作り変えることとなります」
「良かったら、私から、服をお贈りしましょう。茶会の予定を教えてください」
「テラス様?」
「あなたを前にすると、昔の情熱が呼び覚まされます」
私はサツキの傍らに跪き、彼女の手をとり、額につけた。
「どうか、私の皇族となってください」
そう、彼女は、私に与えられた唯一の皇族だ。こうして、側にいるだけで喜びに満ち溢れる。ずっと側に置いて、囲ってしまいたい。
身に着けている服一つ、全て、私の手で与えてやりたい。その衝動にかられて、私はさらに迫ろうとした。
ところが、サツキは私から手を引っ張り離し、距離をとった。見るからに怯えさせてしまった。
「あの、わたくし、こういう扱いをされたことがありませんので、怖い、です」
サツキは、あれほど堂々としているというのに、まだ子どものようなものだ。大人の、年上の男にこのように迫られてしまうと、戸惑うし、恐怖だって感じるだろう。
その姿に愛おしさすら感じるが、私は我慢した。サツキの向かいに座り、本来の話をした。
「あなたは、貴族の中に発現した皇族です。こうなった場合、だいたいの場合は、城に入ることとなっています。あなたは、今日から、皇族として、生活してもらい、皇族教育を受けてもらい、皇族となってもらいます」
「お断りします」
「これは、断れないものです。絶対です」
苦笑する。サツキはわかっていない。サツキは城の外でもう、生活できないのだ。
「あなたには、私の妖精がついています。あなたが万が一、外で怪我をした場合、怪我をさせた相手は、大変なことになります。皇族は城で守られて生きているだけではありません。皇族を守る妖精から帝国民を守るために、皇族を城に閉じ込めるのです」
「お断りします」
それなのに、サツキは頑なだ。だから、わざわざ筆頭魔法使いの屋敷に連れて来たのだ。ここは、私の支配域だ。口が上手なサツキでも、ここから出ることは不可能だ。
「妖精が問題でしたら、妖精を外してください」
「出来ません。そういう契約を私自身に施されています。私が意識してやっているわけではありません。契約で、強制的にさせられているのです」
これは、本当だ。腹が立つ皇族どもでも、契約紋によって、守らざるをえない。まあ、あまりにもダメな皇族は、皇帝に処刑してもらうなり、魔法使いなりの殺し方があるが。
サツキは少し考えるそぶりをする。そして、一枚のハンカチを取り出して広げた。
「なっ!?」
信じられないことが起こった。サツキについた妖精が離れていったのだ。しかも、私の元に戻された。
「わたくしをそこら辺の貴族令嬢と侮ってはいけません。これで問題はありませんね。出してください」
「出しません! あなたは、私の皇族です!!」
逃がしてなるものか。いくら皇族といえども、この屋敷では、私のほうが支配力が上だ。命じられても、ちょっと痛みを我慢すればいい。
軽く考えていた。サツキは出られるか、とドアノブを回す。だけど、ドアは開かない。私がそうしているのだ。
今度は、サツキは持っているハンカチでドアノブを回した。それだけで、ドアが開いたのだ!!
「ば、バカな!?」
「過信しすぎです。妖精憑きは万能なわけではありませんよ。それでは、失礼いたします」
「待ってください!!」
私はサツキの手をとった。
サツキはその空気と化粧で、随分と勝気に見せている。しかし、手は荒れ、服で隠された腕も足もガリガリで細い。近くに寄って見れば、首だって細くて、骨が浮いているのがわかる。
服や化粧、あと持前の勝気さで偽装しているだけだ。こんな折れてしまうような女をあの酷い家に帰すわけにはいかない!!
「どうか、ここに居てください。あなたのお世話を私が全て行います!!」
「テラス様、そのようなこと」
「テラスと呼んでください。敬称はいりません」
「………よくわかりませんが、わたくしは家に帰らねばなりません。やり残したことがあります」
「何があるのですか? あのどうしようもない家族への復讐なら、お任せください。散々、拷問の上、処刑してみせます」
「ふふふ、そんなに優しい復讐ですか? あなたは優しいですね」
サツキは心底、おかしそうに笑っている。それを見ると、私は嬉しくなる。
「いいですか、死んでしまったら、苦しみなんて、そこで終わりですよ。生きて、苦しめて、死なせないことこそ、残酷な復讐です。殺してしまったら、もう、苦しめられないではないですか」
「お望みならば、私が手伝いましょう」
「いりません。どうせ、彼らはみな、自滅します」
するりとサツキの手が私から離れてしまう。
「テラス、皇族の話は、わたくしとテラスだけの秘密にしましょう。皇帝にも話してはいけませんよ」
「どこに行くのですか!?」
「帰ります。どうせ、わたくしがどこの誰かなんて、すぐに調べあげてしまうでしょう。余計なことはしないでください。楽しみが減ります」
サツキは全て、自らの手でやろうとしている。
その身を削られ、助けはない。私の手をとらなかったら、サツキはたった一人でやるというのだ。
「いけません!! あなたの身は、あれらが百回死んでも足らないくらい、価値があります。出て行ってはいけません。あんなものに、時間を捧げるなんて、もったいない。どうか、私に時間を捧げてください。あなたの満足になるように、全て、やってみせます」
「母の遺書で言われました。わたくしに復讐してほしいそうです」
「あなたの頭に、あれらの復讐が占められるなんて許せない」
「復讐は遊びです。こうやって、時間をかけて、一つずつ、確認作業をしました。それも今日で終わりです。貴族の学校に行って、それなりの騒ぎを起こして、家を追い出されば、あとは勝手に、自滅していきます」
「家を追い出されたら、こちらに来ますか?」
「いえ。もう、貴族なんてうんざりです。皇族だって同じようなものでしょう。だったら、それより下の存在になって生きていきます」
サツキが持っているハンカチは、何か特別なものなんだろう。それで手を触れられると、私はばっとサツキを離してしまう。
サツキはにっこりと笑った。
「わたくしのことは、サツキ、と呼び捨てでいいですよ。ごきげんよう」
サツキは記憶力がいい。来た道をそのまま普通に戻っていった。
だが、舞踏会は終わり、サツキは家族に置いてかれていた。私はそれを妖精を通して見ていた。
どんなにひどい目にあっていても、貴族令嬢だ。途方に暮れるだろう。そうなったら、また捕まえればいい、と軽く考えていた。
「歩いて帰ろう」
サツキはただの貴族令嬢ではなかった。身分とか何もかもかなぐり捨て、そのまま歩きで帰って行ったのだ。私の妖精がある程度距離をとって監視をしていた。何か危険があれば、助けるつもりだった。
ところが、サツキは人目を上手に避け、妖精を払ったハンカチを振り回して、鼻歌なんか歌いながら、長い帰路を歩いて、屋敷に到着したのだ。
サツキはドアをノックすると、使用人がドアをあける。そのまま、サツキを待たせていると、父ブロンが出てきて、サツキを蹴った。
その光景を見て、私は怒りで、あの屋敷ごと、サツキの家族を消し炭にしてやりたかった。
サツキは、服についた汚れをはらって、裏口から屋敷に入っていった。
サツキは、亡くなった母親の友人という貴族たちに挨拶をしていた。本当に挨拶だけだ。
「あら、えっと、そう、お久しぶりね。お元気そうで何よりです」
「あの時は、本当に大変でしたね。家族とは仲良くやっているようですね」
「申し訳ない、もう、ご縁もなくなりましたので、これ以上は」
「話しかけてこないでください」
「お母様は素晴らしかったのですが、あなたは、残念ですね」
「知らん」
サツキが挨拶をしても、皆、サツキを避けていた。拒絶し、酷い言葉を浴びせる者までいる。
こんな扱いを受けているサツキをどうしても助けたい。皇帝の目の前に連れて来れば、全て逆転する。日陰だったサツキは、栄光の存在となるのだ。
サツキに冷たい態度をとった母親の友人たちを全て私は覚えた。絶対に許さない。サツキにそんな態度をとるなんて、私が許さない!!
「テラス、それで、皇族はいたか?」
「………」
「テラス!!」
「確認中です」
皇帝ラインハルト様から話しかけられると、うまくサツキの様子が見えない。つい、苛立ちを見せてしまう。
サツキは次に親族のほうへと挨拶に行っている。
「門番のところでは、確認できなかったのか?」
「黙っててください」
「なんで!?」
「気になる女性がいます。そちらに集中したい」
「どんな女だ!?」
女好きだから、興味を示してきた。私は、ついつい、ラインハルト様を蔑むように見下ろした。
「手を出さないでください」
「だ、出しません」
私の持つ空気に、さすがのラインハルト様も、手を出すまい。手を出した時は、一生、この男を蔑んでやる。
口うるさい上司を黙らせ、サツキの様子を盗み見る。母親の友人同様、親族も、サツキには冷たい態度だ。横柄にも、肩を押す輩もいた。サツキの体に触れるとは、何様のつもりだ!?
ふつふつと怒りが募っていく。だけど、口出しが出来ない。サツキは、どれほど酷い扱いをされても、背筋を伸ばし、礼をつくし、笑顔を保っているのだ。完璧な淑女だ。美しい。これほどのものを身に着けるのは、並大抵のことではない。
それに対して、サツキに冷たい母親の友人や、親族は、下劣だ。大人も子どもも、中途半端な礼儀に、鼻で笑い飛ばしたくなる。その程度で、何を偉そうに。
一通りの挨拶が終わり、サツキは壁の華となった。
「席を外します」
「わかったわかった」
皇帝の許可を一応とったので、私は気配を消して、サツキの元に行った。もう、私が賢者テラスだと気づく者はいないだろう。
あと少しでサツキの元に到達する、という時に、サツキは義妹から真っ赤な果実水を服にかけられた。
「ご、ごめんなさい、お義姉様!! よろけてしまって、つい」
「汚れたんだ。もう帰れ」
義妹クラリッサは軽く謝り、婚約者の男は冷たく言い放つ。見るからに、サツキを家に帰そうとしている。
私の約束をサツキに破らせるつもりだ。その企みに、私は怒りをふつふつと湧きあがらされた。
「私との約束を邪魔するとは、何様のつもりだ!?」
私は間に入った。
まさか、私がすぐ側まで来ているとは気づかなかった婚約者は気持ち悪い笑いを見せる。
「と、とんでもない!! この女、汚れても着替えも持ってきていないというから、このままでは失礼にあたるかと」
「お義姉様ったら、ドジなんだから」
全て見ていたというのに、苦しい言い訳だ。この二人は、私がどこから見ていたなんて、わからないだろう。
「そんな並々と果実水が入ったグラスなんか持ち歩くから、こぼすのですよ。もうすぐ貴族の学校に通うというのに、子どもみたいなことをしますのね。本当に恥ずかしい。他の方の迷惑ですよ。飲み物一つ、きちんと持てるようになりなさい」
「そこにお義姉様が立っていたからです!! 邪魔だったから」
「わたくしが相手だから良かったですが、これが高位貴族でしたら、同じことが言えますか!? 謝りなさい!!」
「たかが服を汚したくらいで」
「亡くなった母の形見です。酷いことをしますね」
義妹クラリッサはともかく煩い。よく周りに声が通るのだ。だから、どうしても騒ぎは広がってしまう。
普段ならいいだろう。だが、サツキが本気になれば、クラリッサを悪者にするのは簡単だ。サツキは本気で憤っていた。
騒ぎを聞いていた中には、サツキが挨拶した者たちもいた。サツキの服を貶した者だっていた。それが、まさか、サツキの亡くなった母の形見と知って、気まずくなった。
「そんな時代遅れなものを着るなんて、おかしいのですよ」
「今日は、十年に一度、全ての貴族が集まる日です。亡くなった母のことを偲んでもらいたくて、あえて、この服にしました。これは、母が貴族の学校を卒業する時に着たものです。人は亡くなったら終わりです。忘れさられてしまいます。それは、可哀想です。だから、母の友人だという人たち、母の親族だという人たちに、この服を見せて、母を思い出してほしかっただけです」
「こんなめでたい場に死人の持ち物を着るなんて、不吉な」
「お黙りなさい!! この舞踏会は、長年、交流が出来ない貴族に交流の機会を与える場です。それは、故人のことを偲ぶことだってあります。わたくしはただ、生前のわたくしの知らない母の話を聞きたかっただけです。それを不吉だなんて、失礼なことを言って、謝りなさい!!」
「しめっぽい話をするために来るような奴はいない!!」
「それ以上、口を開くな!!」
私はサツキの婚約者の胸倉を片手でつかみ、高く持ち上げた。魔法使いだが、私の腕っぷしは、騎士団でも敵う者は少ない。今も、毎朝、体を鍛えている。
「貴様らの声を聞いていると、耳が腐るようだ。言葉一つとっても下劣すぎて、聞いていられん!!」
「や、やめてください!! あなたは魔法使いでしょう!!」
「それがどうした。礼儀のなっていないお前たちは、皇帝の前に立てば、即、処刑だ。それほど、見ていても、聞いていても、我慢ならん!!」
私はサツキの婚約者を投げ捨てた。
「魔法使い相手に、随分と弱いな。その程度で、随分な口をきいてくれたな!!」
「賢者テラス様、わたくしの婚約者と義妹が大変失礼いたしました。お詫び申し上げます」
あれほどの悪態を婚約者と義妹から受けていたというのに、サツキは目を瞠るような優雅な礼をした。それを見るだけで、私の胸のつかえはストンと消えてなくなる。ずっと、彼女だけを見ていたい。
「テラス、どうした?」
あまりの騒ぎに、皇帝ラインハルト様がやってきた。それには、慌てて、貴族たちは膝をつき、頭を深く下げる。
なのに、頭の残念なサツキの婚約者と義妹は、突っ立っているだけだ。サツキでさえ、礼をつくしているというのに!!
「頭を下げろ!!」
私は魔法で、礼儀のなってないやつを無理矢理、床に叩きつける。ここまでされると、会場全てにいる貴族どもは、きちんと礼儀をとった。
「何かあったのか?」
「貴族令嬢の服が汚されました。その汚した者の態度があまりにも悪くて、我慢ならなかっただけです」
「それだけ?」
「あなたは、礼儀のなっていない者は嫌いでしょう。その気持ち、今回、よく理解しました。見ていて、聞いていて、目と耳が腐るかと思いましたよ」
「それほどか。どこだ? 私の魔法使いをここまで怒らせる者だ。ただ帰すわけにはいかんな」
ラインハルト様は、ここぞという時は、私のことを上に持ち上げる。
事情を知る貴族たちの視線はあの下劣な二人に集まる。もう、あの二人は処刑でいいではないか。
「皇帝陛下、発言をお許しください」
そこに、また、サツキが割り込んでくる。
サツキはまだ、頭を下げたままだ。皇帝相手でも、その声はりんとして、美しい。
「許そう」
声だけで、ラインハルト様は彼女のことを気に入った。絶対に手を出したら、許さない。
「賢者テラス様、心遣い感謝いたします。わたくしの婚約者と義妹が至らないばかりに、無駄にお気遣いさせてしまいました。あなた様が叱ってくださって、亡くなった母も喜んでいるでしょう。ありがとうございます」
「どういうことだ?」
「義妹が未熟なため、わたくしが着る母の形見の服を汚してしまいました。未熟者がしたことです。どうか、寛大に、お見逃しください」
「そうか、それは大変な目にあったな。テラス、別室に連れて行き、服を綺麗にしてやれ。この場は、その令嬢に免じて、許そう」
サツキは見事な口上で、その場を収めてしまった。
ラインハルト様が元の場所に戻れば、貴族たちは立ち上がった。だが、あの不出来な二人は、立ち上がれない。恐怖に足がすくんでしまったのだ。
「サツキ嬢、案内します」
手を差し出すも、サツキはじっと、あの情けない二人を見て、手をとらない。何を考えているのだろうか? と私がそのままで待っていると、やっとあの二人は立ち上がって、恨みをこめてサツキを睨んだ。
それを確認したサツキは嫣然と微笑み、私の手をとった。
「ありがとうございます、テラス様」
私は筆頭魔法使いの屋敷にサツキを連れて行く。
サツキは会場から離れ、城まで離れ、別にある屋敷に連れて行かれ、さすがに訝しんだ。別室ではないのは、誰でも気づくだろう。
一番日当たりがよく、上等な家具がある部屋にサツキを入れる。使用人が色々と持ってくるが、全て私は断った。私自身の手でやってやりたい。
給仕を全て私が行った。サツキは座り心地が不安そうに、恐る恐ると椅子に座っている。
「服の汚れは、すぐですよ」
サツキの服の汚れは瞬きの間にとってしまう。ついでに、随分と傷んでいたので、素材自体の時を戻してやる。
「随分といいものですね。時代遅れといいますが、物はとてもいいですよ」
「ありがとうございます。もう、これを人前で着ることはありませんから、別のものに作り変えることとなります」
「良かったら、私から、服をお贈りしましょう。茶会の予定を教えてください」
「テラス様?」
「あなたを前にすると、昔の情熱が呼び覚まされます」
私はサツキの傍らに跪き、彼女の手をとり、額につけた。
「どうか、私の皇族となってください」
そう、彼女は、私に与えられた唯一の皇族だ。こうして、側にいるだけで喜びに満ち溢れる。ずっと側に置いて、囲ってしまいたい。
身に着けている服一つ、全て、私の手で与えてやりたい。その衝動にかられて、私はさらに迫ろうとした。
ところが、サツキは私から手を引っ張り離し、距離をとった。見るからに怯えさせてしまった。
「あの、わたくし、こういう扱いをされたことがありませんので、怖い、です」
サツキは、あれほど堂々としているというのに、まだ子どものようなものだ。大人の、年上の男にこのように迫られてしまうと、戸惑うし、恐怖だって感じるだろう。
その姿に愛おしさすら感じるが、私は我慢した。サツキの向かいに座り、本来の話をした。
「あなたは、貴族の中に発現した皇族です。こうなった場合、だいたいの場合は、城に入ることとなっています。あなたは、今日から、皇族として、生活してもらい、皇族教育を受けてもらい、皇族となってもらいます」
「お断りします」
「これは、断れないものです。絶対です」
苦笑する。サツキはわかっていない。サツキは城の外でもう、生活できないのだ。
「あなたには、私の妖精がついています。あなたが万が一、外で怪我をした場合、怪我をさせた相手は、大変なことになります。皇族は城で守られて生きているだけではありません。皇族を守る妖精から帝国民を守るために、皇族を城に閉じ込めるのです」
「お断りします」
それなのに、サツキは頑なだ。だから、わざわざ筆頭魔法使いの屋敷に連れて来たのだ。ここは、私の支配域だ。口が上手なサツキでも、ここから出ることは不可能だ。
「妖精が問題でしたら、妖精を外してください」
「出来ません。そういう契約を私自身に施されています。私が意識してやっているわけではありません。契約で、強制的にさせられているのです」
これは、本当だ。腹が立つ皇族どもでも、契約紋によって、守らざるをえない。まあ、あまりにもダメな皇族は、皇帝に処刑してもらうなり、魔法使いなりの殺し方があるが。
サツキは少し考えるそぶりをする。そして、一枚のハンカチを取り出して広げた。
「なっ!?」
信じられないことが起こった。サツキについた妖精が離れていったのだ。しかも、私の元に戻された。
「わたくしをそこら辺の貴族令嬢と侮ってはいけません。これで問題はありませんね。出してください」
「出しません! あなたは、私の皇族です!!」
逃がしてなるものか。いくら皇族といえども、この屋敷では、私のほうが支配力が上だ。命じられても、ちょっと痛みを我慢すればいい。
軽く考えていた。サツキは出られるか、とドアノブを回す。だけど、ドアは開かない。私がそうしているのだ。
今度は、サツキは持っているハンカチでドアノブを回した。それだけで、ドアが開いたのだ!!
「ば、バカな!?」
「過信しすぎです。妖精憑きは万能なわけではありませんよ。それでは、失礼いたします」
「待ってください!!」
私はサツキの手をとった。
サツキはその空気と化粧で、随分と勝気に見せている。しかし、手は荒れ、服で隠された腕も足もガリガリで細い。近くに寄って見れば、首だって細くて、骨が浮いているのがわかる。
服や化粧、あと持前の勝気さで偽装しているだけだ。こんな折れてしまうような女をあの酷い家に帰すわけにはいかない!!
「どうか、ここに居てください。あなたのお世話を私が全て行います!!」
「テラス様、そのようなこと」
「テラスと呼んでください。敬称はいりません」
「………よくわかりませんが、わたくしは家に帰らねばなりません。やり残したことがあります」
「何があるのですか? あのどうしようもない家族への復讐なら、お任せください。散々、拷問の上、処刑してみせます」
「ふふふ、そんなに優しい復讐ですか? あなたは優しいですね」
サツキは心底、おかしそうに笑っている。それを見ると、私は嬉しくなる。
「いいですか、死んでしまったら、苦しみなんて、そこで終わりですよ。生きて、苦しめて、死なせないことこそ、残酷な復讐です。殺してしまったら、もう、苦しめられないではないですか」
「お望みならば、私が手伝いましょう」
「いりません。どうせ、彼らはみな、自滅します」
するりとサツキの手が私から離れてしまう。
「テラス、皇族の話は、わたくしとテラスだけの秘密にしましょう。皇帝にも話してはいけませんよ」
「どこに行くのですか!?」
「帰ります。どうせ、わたくしがどこの誰かなんて、すぐに調べあげてしまうでしょう。余計なことはしないでください。楽しみが減ります」
サツキは全て、自らの手でやろうとしている。
その身を削られ、助けはない。私の手をとらなかったら、サツキはたった一人でやるというのだ。
「いけません!! あなたの身は、あれらが百回死んでも足らないくらい、価値があります。出て行ってはいけません。あんなものに、時間を捧げるなんて、もったいない。どうか、私に時間を捧げてください。あなたの満足になるように、全て、やってみせます」
「母の遺書で言われました。わたくしに復讐してほしいそうです」
「あなたの頭に、あれらの復讐が占められるなんて許せない」
「復讐は遊びです。こうやって、時間をかけて、一つずつ、確認作業をしました。それも今日で終わりです。貴族の学校に行って、それなりの騒ぎを起こして、家を追い出されば、あとは勝手に、自滅していきます」
「家を追い出されたら、こちらに来ますか?」
「いえ。もう、貴族なんてうんざりです。皇族だって同じようなものでしょう。だったら、それより下の存在になって生きていきます」
サツキが持っているハンカチは、何か特別なものなんだろう。それで手を触れられると、私はばっとサツキを離してしまう。
サツキはにっこりと笑った。
「わたくしのことは、サツキ、と呼び捨てでいいですよ。ごきげんよう」
サツキは記憶力がいい。来た道をそのまま普通に戻っていった。
だが、舞踏会は終わり、サツキは家族に置いてかれていた。私はそれを妖精を通して見ていた。
どんなにひどい目にあっていても、貴族令嬢だ。途方に暮れるだろう。そうなったら、また捕まえればいい、と軽く考えていた。
「歩いて帰ろう」
サツキはただの貴族令嬢ではなかった。身分とか何もかもかなぐり捨て、そのまま歩きで帰って行ったのだ。私の妖精がある程度距離をとって監視をしていた。何か危険があれば、助けるつもりだった。
ところが、サツキは人目を上手に避け、妖精を払ったハンカチを振り回して、鼻歌なんか歌いながら、長い帰路を歩いて、屋敷に到着したのだ。
サツキはドアをノックすると、使用人がドアをあける。そのまま、サツキを待たせていると、父ブロンが出てきて、サツキを蹴った。
その光景を見て、私は怒りで、あの屋敷ごと、サツキの家族を消し炭にしてやりたかった。
サツキは、服についた汚れをはらって、裏口から屋敷に入っていった。
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