魔法使いの悪友

shishamo346

文字の大きさ
139 / 152
贈り物

壊れた玩具

 ルキエルの私室に連れ込まれた。別に、何かやる気はないし、出来ない。ここは、アルロの領域だ。それに、ルキエルの私室には、ルキエルの妹弟が普通に出入りする。安心してルキエルに手を出せるような場所ではない。
 私をベッドに座らせるルキエル。このマナ殺しなことさせるのは、嫌がらせか? しかし、ルキエルの誕生日だから、私は大人しく従った。壁に背中をつけて待っていると、ルキエルは何か手に持って、私の膝に座って、胸に顔を埋めた。いつものように、甘えているだけだ。
 私は後ろから手を伸ばして、ルキエルが手にしているものに触れる。
「壊れた玩具か」
 随分と古い玩具だ。だいたい、子どもは一度は、こういう玩具を親から買ってもらったりする。そして、乱暴に扱ったりして、壊れて、そのままゴミとなる頃には、玩具離れだ。
 昔から作られる、よくある玩具だ。壊れているのだから、捨てればいいのに、それを大事そうに手で握るルキエル。
 私の反応を見て、ルキエルは苦笑する。
「あんたも、こういう玩具で遊んだのか?」
「私の兄はそうだな。私は、物心ついた頃には、後継者教育が始まっていたな」
 父は、兄では跡継ぎになれない、と早くに見切りをつけていたのだろう。今ならわかる。でなければ、兄には玩具を与えて、まだ幼い私には持つのも危険な刃物を与えるようなことはしない。
「そうなんだ。じゃあ、オクトには、こういう玩具、買ってやったのか?」
「こんな玩具なんて見向きもしない年頃に養子となったんだ。随分と大きくなってからだ。私の元にいたのは、ほんの数年だな。すぐに、寄宿舎つきの学校に放り込んだな」
「ふーん、そうなんだ」
 壊れた玩具を手の中で弄ぶルキエル。私の胸に背中を預けて顔を寄せて甘えているが、ルキエルがどんな顔をしているのか、私から見えない。
 だけど、耳が真っ赤だ。一体、どんなことを考えているのやら。無理に顔を見たら、ルキエルの機嫌を損ねることとなるから、我慢した。
「その玩具は、父親に買ってもらったのか?」
 まず、母親が買うことはない。母親は屋敷に閉じ込められているから、買う手段がないのだ。そうなると、父親が玩具を買い与えた、と考えられる。
 父親を話題に出したからか、ルキエルは、私の胸を力いっぱい叩いた。さっきまで、耳まで真っ赤だったというのに、それも引いてしまった。
 だが、矛盾を感じる。父親に買ってもらった物なら、ルキエルは、ここまで大事に持っていないだろう。ルキエルにとって、父親は憎悪の存在だ。夜になると、母親の身代わりに、父親はルキエルを女のように抱くのだ。そんな父親から与えられた玩具、捨てるだろう。
 もしかすると、その玩具を与えられた頃をルキエルは懐かしんでいるのかもしれない。まだ、まともだった父親の思い出に、縋っているのかもしれない。
「これ、あんたが捨てて」
 泣きそうな声だった。ルキエルは、私の手に、壊れた玩具を握らせた。
 よくある玩具だ。昔から、よく作られている。今でも、普通に露店で売られている玩具だ。
「なんだ、壊れたから、私に押し付けるのか」
「そうだよ」
「酷いな」
 明るい声でいうルキエル。だけど、決して、顔をあげてくれない。一体、どんな顔をして言っているのか、私は見たかったが、我慢した。
 手段はいくらだってある。いつものように衝動的にルキエルに口づけすれば、簡単に今のルキエルの顔が見れる。だけど、その衝動がこれっぽっちも動かない。
 しばらく抱きしめてやれば、ルキエルはすーすーといつもの寝息をたてた。ゆっくりとベッドに横たえた。
 目尻に、涙が残っていた。完全に泣いていたわけではない。泣きそうで、泣くのを我慢したのだろう。そんな感じだ。
 そういえば、ルキエルが泣いた顔、見たことがない。
 閨事で、ちょっとやり過ぎた時とかは、涙を零すようなことはある。あと、妖精を狂わせる香の影響で、おかしくなった時、泣いたくらいだ。
 私は評判を落とすために、たくさんの女と関係を持っていた。だが、一か月も続かなかった。
 ルキエルだけだ。思い返せば、数年も、ルキエルとの関係は続いていた。
 それよりも長く、ルキエルは父親の娼夫となっていた。それを思い出し、私は、思わず、アルロに嫉妬の気持ちを抱く。だけど、すぐに、その気持ちをおさめた。
 ルキエルが欲しがる道具と引き換えの関係だ。まず、私には、嫉妬する資格すらなかった。






 いつものように、ルキエルは私の私室に来ると、すぐにベッドへと向かっていった。
 その日は、足を止めて、ルキエルは、棚のほうを見た。
「捨てたんじゃ」
「なんだ、気づいたのか」
 私は捨てるように渡された壊れた玩具を棚に飾った。
 壊れていたが、職人に頼めば、それなりに直してくれた。古い玩具の色に、直すために使われた綺麗な部品が混ざって、歪な感じとなっていた。
 ルキエルに返すつもりだった。だが、この色合いは、不細工だ。かといって、ルキエルが壊れても大切に持っていた物だから、捨てられなかった。私の私室に来る客人はいない。休むためだけの私室に、私はその玩具を飾ったのだ。
 そこに飾ってすぐ、ルキエルが気づくとは思ってもいなかった。玩具を大事そうに手にして、ルキエルは嬉しそうに笑う。
「持ってかえりなさい」
 私は後ろから声をかけてやる。
 一瞬、嬉しそうに私を見上げて、だけど、すぐに表情を消す。
「ここに置いておこう。ほら、俺のトコにあったら、また、壊れるから」
「こんな玩具、取り合ったりすることはないだろう。もう、そんな歳でもない」
 壊れ方が、そういう感じだった。だから、そんなことを言ってしまう。
「なんで、わかった?」
 嬉しそうに笑って見上げるルキエル。何が嬉しいのか、よくわからない。
 だけど、喜んでいるので、私は後ろからルキエルを抱きしめた。
「壊れ方がそんな感じだった。ロイドと取り合ったんだろう。幼児だった頃のロイドは、我儘放題だったからな」
 まだ、サツキが生きていた頃に見たロイドは、物凄い我儘な子どもだった。私はよく、ロイドに蹴られたものだ。そして、蹴ったロイドをサツキは叱った。
「うん、そう、取り合ったんだ。欲しいって、ロイド、我儘で。それで、落ちた所をロイドが踏みつけて、壊れた」
「道具好きなだけあって、こういう玩具が好きだったんだな」
「そう、大好きなんだ。俺が持ってた玩具、これだけだったんだ。俺はお下がりばっかりだけど、みんな、壊れてた。新品の、壊れてない玩具、これだけだったんだ」
 泣いているのでは、と私はルキエルを後ろから見た。
 夢中になって、直された玩具を見ていた。ここまで饒舌に過去のことを話すルキエルは珍しい。
 妖精憑きだからだろう。妙なものに執着する。それは、壊れた玩具にも、何か執着するものがあったのだろう。
「お前の父親も、子どものこと、これっぽっちもわかっていないな。もっと、買ってやれば良かったのに。それくらいの甲斐性、あるのにな」
「………俺、今日はやっぱり、帰る」
 直った玩具を棚に戻して、ルキエルはベッドとは逆のほうへと歩いていく。
 怒らせてしまった。ルキエルは、私の口から、父親の話をすると、すぐ機嫌を悪くした。今日も、機嫌を悪くしただけだ、そう思った。
「そんな、別に、側にいるだけでもいいんだ!!」
 私は慌てて駆け寄り、部屋を出る前のルキエルを捕まえる。後ろから抱きしめるルキエルは、折れそうなほど華奢で細い。そんなつもりはなくても、こうやって抱きしめると、つい、欲情してしまう。
 ルキエルも、何か感じているのだろう。頬を染めて、私の腕の中で体の向きをかえて、私の胸に顔を埋める。
「ロイドのガキの頃のこと、覚えてるんだ」
「あんなに我儘放題だったからな」
「姉貴のことは?」
「女は子どもでも女だ。色々と強請られたから、今でも気を付けている」
「兄貴のことは?」
「よく、アルロの側にいたな。貧民のガキどもを引き連れて、貧民街を歩いて、父親の真似事をしていたな」
「レーリエットは?」
「赤ん坊の頃しか知らない。母親の腕に抱かれていたな」
「………俺は?」
「………」
 言葉が出ない。
 よくある、いい子だから、逆に印象に残らなかったというやつだろう。ルキエルは手のかからない子なんだ。ほら、幼児でありながら、親の手がかかる弟妹を立派に育てたんだ。
 そういう、手のかからない子は、逆に印象に残りにくいのだ。そう思った。思い出そうと、過去を振り返る。サツキがまだ、王都の貧民街にいた頃だ。それなりに、あの屋敷にも行った。
「子どもの頃のルキエルは、手のかからない、いい子だったな」
 そう、サツキが話していた。それだけを思い出した。
 苦し紛れだった。覚えていない、なんて可哀想で、言えない。
 それが良かった。ルキエルは私の胸から顔をあげて、嬉しそうに笑うと、私に口づけした。
「俺のこと、覚えてたんだ!」
「………」
「どうした?」
「すまない、覚えていない」
 嘘がつけなかった。あんなに喜んでいるルキエルに、私は正直に答えてしまった。途端、ルキエルは私の足をおもいっきり蹴った。
「あんた、最低だな!!」
 そして、棚に置いた、直った玩具を私に投げつけた。
「これは、あんたがガキの頃の俺に買ってくれた玩具だ!!」
「そんな、すまない!!」
「どうせ、貧民のガキだから、俺のこと、忘れたんだろう。もう、帰る!!」
 私は追いかけたが、ルキエルは妖精憑きの力で、ドアを開けられないようにした。私には魔法は届かないが、屋敷には魔法が届くことをルキエルは冷静に判断して、見事、私を足止めした。
 やっと外に出た時は、ルキエルの姿は影も形もなかった。我が家の馬車を使ったのか、と見に行ってみれば、馬車はそのままあった。
 ルキエルは、その日、歩いて生家に帰って行った。






 翌日、私はルキエルに会いに行った。余計、怒らせるとはわかっている。子どもの頃のルキエルのことを覚えていない私が悪いのだ。だが、記憶がないのは、どうしようもない。
「お前は、また、何をやったんだ」
 私の来訪を出迎えたのはアルロだ。珍しいことだ。アルロは動かないで、アルロの子どもたちが出迎えるのだ。
 だいたい、ルキエルが出迎えてくれた。屋敷の中にいて、いち早く、ルキエルは私に気づいてくれた。妖精憑きだから、人の来訪を妖精が教えてくれたんだろう。
 今日は、ルキエルは出迎えてくれない。昨日のこと、怒っているのだろう。
 珍しく、アルロはルキエルの私室へ案内してくれる。
「昨日は大変だった。帰ってくるなり、ルキエルは部屋に閉じこもったまま出てこなかった。レーリエットが呼んでも、出て来ない。昨日から、何も食べていない」
「妖精憑きだから、大丈夫だ」
「そうだな。だが、こうやって部屋い閉じこもったのは、初めてのことだ。力づくで出したこともあるが、力を使ってまで、こんなふうに閉じこもったことは、これまでなかった」
「そうなのか」
 驚いた。だが、腑に落ちた。
 ルキエル、本気になれば、父親との閨事を拒否出来るのだ。妖精憑きであることを隠さなければ、父親が狂ったばかりの頃に、自由になれたんだ。
 そうしなかったのは、ルキエルの家族への情だ。父親の娼夫になっても、ルキエルは我慢したんだ。
 それなのに、私が怒らせて、とうとう、この屋敷でルキエルは妖精の力を行使した。ただ、部屋に閉じこもるだけ、というのが可愛らしい。
 私はドアをノックした。
「ルキエル、私だ」
 返事はない。私はノックを数度して、呼びかけて、とするつもりで身構えた。そのために、一日、予定をあけた。
 もう一度ノックをしようと手を動かすと、ドアがぎぎぎーと開いた。
 どうしようか迷って、アルロを見る。アルロは苦笑して、その場を離れた。
 近くに、誰もいなくなってから、私はルキエルの私室に入った。
 ルキエルは部屋の掃除をしていた。袋に、何か放り入れていた。
「ルキエル、手伝おうか?」
 見当違いなことを言ってしまった。
 声をかけられたルキエルは、作業途中で私を見た。その表情は驚いていた。ドアが開いたのは、ルキエルの意思ではなかった。妖精が、悪戯したのだろう。
 ルキエルはすぐに無表情になって、持っていた袋を私に押し付ける。
「あんたが捨ててくれ」
「わかった」
「絶対に捨てろよ。壊れた玩具みたいに、残すなよ」
「………」
 わざわざ、そんなことをいうから、私は気になって、わざと、袋の中身を床に落とした。
「どうして」
 私がルキエルにあげた物だ。どこかに行った時にお土産として買ったものから、ルキエルが普段使いをする物まで全て、袋に入れられていた。
 ルキエルは無表情のまま、魔法で落ちたそれらを袋に戻した。
「捨てろよ」
「いくら忘れていたからといって、私があげたもの全てを捨てるなんて、どういうつもりだ!?」
「どうせ、気まぐれに買い与えた物だろう。関係を持った女たち相手にするように、俺にも贈り物して、ご機嫌とってただけだ。あんたが喜ぶから、俺も欲しくもないものを喜んで受け取ってやっただけだ」
「これは、ルキエルのことを考えて、選んで」
「付き合ってた女全部に、同じようなことしたんだろう。もう、十分、楽しんだだろう。俺を通して、お袋を抱いた気になった気分はどうだ?」
「今はそうじゃない!! ルキエルだけだ。他はもう、どうだっていい。わかった、これは私が預かっておこう」
「あんたの手で捨てろ!!」
「お前がいらないと言ったんだ。私の好きにする」
「………わかってる。あんたは、悪くない」
「ルキエル?」
 泣いているかと思った。
 俯いているから、抱きしめて、顔をあげさせた。ルキエル、泣いていなかった。私に抱きしめられて、嬉しそうに笑っている。
「そんな物、あんたの代わりにもならない。だって、こうやって、抱きしめてもくれない。ほら、約束守って。俺を抱っこして」
 甘い声で強請るルキエル。その声に、私は抵抗出来ない。
 ルキエルは鍛えることも禁じられていたから、華奢だ。片腕で、簡単に抱き上げられた。
 抱き上げられたルキエルは、子どものように喜んだ。
「俺は、いい兄をやってる」
「知ってる。ルキエルは、弟妹を立派に育てた。リンネットもライホーンですら、出来なかったことだ。すごいな」
「頭、撫でて」
「ああ」
 子どもようだ。私はルキエルの頭を撫でると、とても喜んで、笑う。その笑顔が、子どものように無邪気だ。
「昨日から、寝られなかった。眠い」
 そして大きな欠伸をして目をこするルキエル。私はルキエルをベッドに下ろした。
「やだ!! 膝がいい!!!」
「わかったわかった」
 混乱する。ルキエル、子どもだ。子どもの扱いなんて、私はわからない。養子オクトを引き取ったといったって、オクトはそれなりに成長していて、聞き分けが良かった。
 こんな、べったりと甘えられたことはない。どうすればいいかわからないが、ルキエルの言いなりになっていれば、ルキエルの怒りも解けてくれる、と考えた。
 ルキエルは私の膝に座って、顔を私の胸に埋めて、うつらうつらとなった。眠りそうになるも、態勢が悪いから、がくんと首が揺れると、首が痛いのか、目を覚ました。
「ほら、横になって寝なさい」
「そう言って、俺が寝たら、帰るんだろう」
「帰ってほしくないのか?」
「いい子にしてたら遊んでくれるって約束、守ってもらうんだ」
「………遊ぶって」
「手を繋いで、一緒に歩いて、色々と買ってもらうんだ。いっつも、あんた、母ちゃんのものとか、姉貴のものばっかり買って。俺も買ってほしい。玩具が欲しい!!」
「わかった、約束する。だから、横になりなさい」
「じゃあ、手つないで」
「ああ」
 私が手を握ってやれば、ルキエルは安心して、目を閉じて、眠った。

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿