144 / 152
初めて
女装?
私個人としては、そこまで気にしなくていいとは思っている。世の中は、女のほうが不利に出来ている。だからといって、男側が譲歩しなくていいんだ。
貴族の学校に通うようになってから、養子オクトは、様々な柵を持つようになった。それも、当たり障りのないように、オクトは避けていたし、適当にあしらっていた。
それも、王都の貴族の学校に転入してから、難しくなった。オクト、よりによって、皇族様のご学友に選ばれたのだ。そんな、親子二代に渡って、皇族のご学友にならなくてもいいのにな。
お陰様で、茶会やら夜会やらのお誘いがいっぱいだ。それも、オクトは皇族様が参加しないから、とほとんど欠席である。皇族様が参加する招待状だけ、苦渋の決断、みたいな顔をして、出席の返事を出していた。
そして、その中に、厄介事が混ざってきた。
「困ったんだよ。デビュタントだから、僕にエスコートの申し込みがきたんだ」
主役であるお嬢さんのエスコート役の依頼がオクトに舞い込んだ。
こう言ってはなんだが、お嬢さんの生家と我が家とは接点がない。ただ、お嬢さんとオクトが同じ貴族の学校に通っているな、程度である。お嬢さんは侯爵家、我が家は伯爵家と爵位の上ではオクトが不利である。
「良かったですね、婚約者としては、いい感じですよ」
オクトの側近セコンが笑顔で勧めてきた。他人事だから、簡単にいうな。
「他所の血をいれると、色々と面倒事が多いのは、過去を見ても明らかだろう」
オクトは過去の例を出して拒否する。
「どうせ、オクト様は、養子をとるつもりなんでしょう。二代に渡って、さすがにそれはまずいですよ」
「才能のある後継者を血族から養子にとったほうが確実だ。血のつながりのある跡継ぎで、万が一、失敗した時は悲惨だ」
「だから、子を二人か三人、産ませるんですよ」
「好みじゃないんだなー」
「オクト様の好みの女性って」
長い付き合いだから、セコンはオクトの好みをよく知っている。ついでに、現在進行形で、オクトはその好みの女に貢いでいる。さらにいうなら、セコンはオクト好みの女は大嫌いだ。見るからに、セコンは表情を歪める。
「なあ、その話、まだ終わらないのか?」
傍観者を決めこんでいたルキエルは、さすがに飽きてきて、口出ししてきた。
オクトが王都の貴族の学校に通うようになってから、ルキエルはオクト目当てで屋敷に遊びに来るようになった。そのため、こういう、どうでもいい話を聞くこととなる。
「簡単にいうなよ。相手は爵位が上なんだ。ただのエスコートならいいが、デビュタントのエスコートは特別なんだ。断られた、なんて噂が立った日には、相手のお嬢さんは大恥だ」
「だったら、受けてやればいいだろう」
「これが縁で結婚話になったら困るから」
「そうなりたくないなら、そういう依頼をかたっぱしから受ければいい。簡単に消える」
何故か私を見て提案するルキエル。
確かにそうなんだ。ルキエルがいうことも理解出来る。実際、私はかたっぱしから受けて、私自身の醜聞にして、外部からくる縁談全てを潰したからな。そして、身内の縁談まで立ち消えて、養子をとることとなったんだがな。
オクトはルキエルの視線の先を見て、慌てて視線を反らした。情報源はお前か。仲良しなのはいいが、話しすぎだ。
「貴重な長期休暇を社交一色にしたくない!!」
そして、ルキエルの提案が、いかに不毛かと気づいたオクト。そう、これをやるのは、時間を無駄に使うということだ。私はおススメしない。
「じゃあ、血族の誰かに婚約者名乗ってもらえよ。嘘でもバレないだろう。婚約者がいるなら、エスコートも断れるってもんだ」
「頼んでるんだけど、うまく釣れなくて」
「………」
ルキエルはオクトから距離をとった。オクトが誰に頼んでいるのか、ちょっとした言葉の使い方で、ルキエルは悟った。
「お前、まさか」
「リンネットなら、誰も文句が出ないよ」
「姉貴はやめろ!!」
オクト、よりによって、ルキエルの姉リンネットに頼んでいた。本当に、オクトは趣味が悪いな。
ルキエルは清楚華憐な綺麗さであれば、リンネットは強烈な綺麗さである。ルキエルがユリならば、リンネットはバラである。どちらも綺麗であるが、その方向性が違う。
どちらも綺麗なんだが、性格に難がある。ルキエルは妖精憑きであるため、性格が妖精寄りである。気まぐれで、時には人に尽くす。それに対してリンネットは人らしく、欲望に忠実である。あの美しさである。男は皆、リンネットに一目惚れする。だから、リンネットの我儘に振り回されるのだ。それすらもリンネットならば許される、それほどの美しさなのだ。
確かに、リンネットをパートナーにすれば、誰も文句が出ないな。あそこまでの美女をエスコートすれば、まず、男が群がってくる。女は嫉妬するが、何も言えないだろうな。あんな美女を前にして、身分とか、そんなことで下げ落とすのは、男を敵に回すようなものである。
「それで、リンネットを説得できるのか?」
もう、デビュタントのお嬢さんには、返事をしないといけないので、オクトに現状を訊ねた。
「ドレスは作ったんだけど、パートナーはイヤだと突っぱねられちゃって」
「ドレスは作ったのにか?」
「ドレスは僕が勝手に作りました!!」
呆れた。リンネットが欲しがったから作ったわけではないのか。
「えっと、ドレスは返事の前に作るものなの?」
ルキエルは貴族の常識がわからないので、疑問を口にする。
いや、普通は、いい返事を貰ってからドレスを作るものだ。だいたい、ドレス作るには、着る本人を仕立屋に連れて行かないといけない。ドレスは既製品もあるが、オクトのパートナーとなると、特注でないといけない。
ということを私の口からは言えない。私は沈黙する。
「普通は、返事貰ってからだけど、今回は間に合わないから」
嘘か本当か微妙な言い訳をするオクト。誤魔化したな。
「また、無駄なことを。ドレス作ったからって、金を請求するなよ」
「そんなケチ臭いことはしないよ。ねえ、ルキエルからリンネットを説得してよ」
「い、イヤだ。俺から頼んだら、何を条件つけられるか」
「友達の頼みだろう」
「絶対にイヤだ!! 姉貴は、本当に大変なんだよ」
「あんなに貢いだのにー」
「………わかった。俺が女役をやる」
ルキエルの苦渋の決断だった。
さて、侯爵家のデビュタント当日、ルキエルは既製品のドレスなのに、そうとは思えないほどの着こなしであった。一目見て、養子オクトが鳥肌たてて、距離をとったほどである。しかし、パートナーであるため、手をとらないといけないので、オクトはドレス姿のルキエルの手をとるのだ。
そんな二人の目の前に、私は着飾った女を連れて行く。
「あんた、何やってるのよ!?」
馬車から降りるなり、女はルキエルとオクトの繋がれた手を叩き落した。
「あ、姉貴、どうして」
「まさか、本当にやるとは思ってなかったわよ!!」
私が連れてきた女は、ルキエルの姉リンネットである。
いくらルキエルが見た目が綺麗といっても、やはり男だ。会場で粗相しようものなら、ルキエルが男だとバレてしまう。そこから、オクトの醜聞である。次の日には、オクトは男好き、と噂されるだろう。
そこまでは、まだいいんだ。その醜聞にルキエルが巻き込まれることだ。あの見た目である。絶対に、ルキエルは表舞台に引きずりだされるだろう。そうなった時、怒り狂うのはルキエルの父アルロである。いつもは私がアルロを蹴っているが、今回のことでは、私がアルロに殴られるな。
そうなると読んだ私は、リンネットを説得した。最初はイヤがったリンネットだが、ルキエルが女装すると聞いて、不承不承ながら、オクトのパートナーになることを承諾したのが昨夜である。本当に、時間がなかった。
オクトは、着飾ったリンネットの手をとって、感動する。
「リンネット、やっぱり、僕のことを」
「そんなわけないでしょう!! ルキエルを友達というのなら、こんなことに巻き込むんじゃないわよ!!」
「こうしないと、リンネットが来てくれないから」
そして、リンネットは容赦なく、オクトの顔に平手をお見舞いする。余計なことをいうから。
痛い目にあったのに、それでもオクトは満面笑みである。リンネットの手を両手で握って、暴力だって喜んでいる。
「俺は、恥じを偲んで、こんな恰好までしたのに」
「リンネットが来てくれたから、帰っていいよ。約束通り、手土産は家に持っていくから」
好きな女を目の前にしたオクトは容赦なく友達を捨てる。清々しいな。
そして、満面笑みのオクトは、リンネットを連れて、馬車に乗って、屋敷から去っていった。
ルキエルは呆然となる。気の毒にな。前日から泊まり込みで、色々とされてたんだ。女の準備は色々と大変だ。当日だけではダメなんだという話だ。ルキエルは、前日から、我が家の使用人によって、磨かれたわけである。
ちなみに、リンネットも前日から、きちんとした店で支度したのだ。リンネット、ここぞとばかりに、足元を見てきた。あれ一人のために、随分と金が飛んでいった。
何故か、ルキエルは自らの胸を見下ろす。
「やっぱ、胸の大きさかー」
そして、蔑むように私を見た。これは、間違いなく、ルキエルは勘違いしているな。
「ルキエル、私は別に、胸の大きさなんて。ルキエルがいいんだ」
私は不貞腐れるルキエルをいつものように抱き上げた。
そして、違和感を感じて、私は固まる。
ルキエルは娼夫扱いをされているため、体を鍛えることが許されなかった。ちょっとした傷がつくことも許されないのだ。だから、男にしては華奢だ。それでも、男らしい、骨格をしている。
ところが、今のルキエルは、体が柔らかい感じがする。さらに、軽く、小さくなったような気がする。
片腕で抱き上げる時の視線の位置がずれている。私は、随分と近くなったルキエルの顔を見上げる。
「なんだか、小さくなったような気がするんだが」
「そうかもな」
「体が柔らかい感じがするんだが」
「そうかもな」
「胸が、ある?」
あいた片手で、ルキエルの胸に触れれば、細やかながら、胸のふくらみを感じた。許可なく触れたが、ルキエルは怒ったりなんかしない。
「そりゃ、女になってるからな」
「っ!?」
驚いた私は、ルキエルを落とした。ルキエル、油断していたようで、尻から地面に落ちた。
「いってぇー、何するんだよ!?」
「女になってるって、どういうことだ!?」
「あんたが寄越した妖精憑きが教えてくれたんだよ!!」
そんなバカなことがあるか!! そう叫びたいが、私はぐっと飲み込んだ。
まだ、ルキエルが妖精憑きとしての力を使いこなせない頃に、私の子飼いの妖精憑きを教師役として貸し出したことがあった。たった一年であるが、ルキエルは才能が高かったらしく、我が家の子飼いの妖精憑き全ての妖精が盗れるまで強くなったのだ。
どんな教育を施したのか、私は知らない。知ろうとしても、ルキエルを教育した子飼いの妖精憑きが死んだからだ。
妖精憑きの寿命は長いと言われている。だが、それは、きちんとした行いをしていれば、である。我が家の子飼いの妖精憑きたちは、後ろ暗い仕事を強制的にさせられている。そのため、力は落ちるし、寿命だって削られているのだ。
だから、ルキエルを教育した子飼いの妖精憑きが死んだとしても、特に気にしなかった。我が家にとって、子飼いの妖精憑きは消耗品だ。死んだって、また、どこかで捕まえて、洗脳して、教育すればいい。それほど、軽い存在である。
だが、ルキエルが、我が家の子飼いの妖精憑きでは教えることができない内容を平然とこなす姿に、私は恐怖を感じる。
一体、誰がルキエルに妖精憑きとしての教育を施したんだ? 死んでしまった子飼いの妖精憑きは、性別を変換するほどの妖精憑きとしての格を持っていない、帝国だって見逃すほどの弱い妖精憑きだ。
ルキエルは腰を撫でて立つと、恨みがましいとばかりに私を見上げてきた。その視線の低さに、私は改めて、ルキエルが女になっているとわかった。
だから、つい、無遠慮にルキエルの胸をつかんだ。
「痛いって!!」
「胸の大きさをこんな細やかにするのは、ルキエルの趣味か?」
今は目の前にいないルキエルの姉リンネットは、かなり大きな胸である。同じ血筋なのだから、ルキエルが女になれば、それなりの大きさになると思った。
ルキエルは私の手を叩いて、胸を防御するように腕を組んだ。
「俺が女になった場合は、これが通常だよ。だいたい、お袋の胸は、こんくらいだったよ!!」
「そうか? リンネットは、こう、立派な胸じゃないか」
「それは、たぶん、親父のほうの血筋が出たんだろう。レーリエットだって、そんなに胸ない」
「あの子は、まだ成長途中じゃないか」
「レーリエットはお袋に似たからな。あれで成長が終わりだ」
それを聞いて、私はルキエルの妹レーリエットが気の毒に感じた。見た目は清楚華憐だが、胸がちょっと足りないんだよな、と我が家の者たちに呟かれていたな。
女となったルキエル。ルキエルとレーリエットは母親似だ。ところが、女となったルキエルは、ルキエルなのだ。
今、記憶を思い返しても、ルキエルの母サツキの面影すら思い出せない。死んだら、それで終わりなわけではない。もう、私の心は、ルキエルに埋めつくされていた。だから、今、レーリエットを見ても、ルキエルに似ている、と私は感じるだけだ。
不貞腐れているルキエルを私はまた、片腕で抱き上げた。抵抗もせず、受け入れるルキエル。ご機嫌とりの手段と、ルキエルは思っている。ルキエルは機嫌よく笑って、私に軽く口づけする。
「今日は、このまま帰してくれるのか?」
「化粧はしてないんだな」
「いらないって言われた」
いつもと変わらないルキエルの素顔。ただ、性別が女になったというだけで、体躯に丸みが帯びているが、素顔は変わらない。
普段から、男のような振舞いに、ルキエルの素顔は綺麗だとは感じるが、女と見たことはない。だが、腕の中で大人しくしているルキエルは、女だと感じる。
私が乗ってきた馬車は、まだ残っている。これからどうするのか、御者は無表情で待っている。このまま、ルキエルを生家に帰す、という選択肢もあるわけだ。
ルキエルも、私がどうするのか、腕の中でただ待っている。予定がなくなったから、どうでもいい、みたいな感じだな。
「まずは、その服を脱ごうか。手伝おう」
「さすが、昔は女遊びで名を馳せた男だな。女のドレスを脱がせるのなんて、お手ものだもんな」
上から、蔑むように見下ろすルキエル。選択肢を間違えたな。ここは、使用人の手で着替えさせるのが正しかった。
しかし、誰かの手に触れさせたくないのは、私の我儘だ。本当なら、私の手で、ルキエルの身を整えたかった。
私は大人しくしているルキエルを抱き上げたまま、屋敷に入り、いつもの私の私室に連れ込んだ。ルキエルご希望かどうかはわからないが、私はルキエルを当然のようにベッドに下ろした。
「やっぱ、こうなるのか」
「期待しているから、大人しくしてたんだろう」
「一人で脱げないし、このまま帰るわけにはいかないからだよ!!」
また間違えた。ルキエルからの蔑みは深くなるばかりだ。ここで手を出したら、しばらくは、口もきいてもらえないな。
女の服というのもある。貴族が着るようなドレスは、どれも複雑だ。確かに、ルキエル一人では脱ぐことも出来ないな。高貴であれば、高貴であるほど、人の手を使って、ドレスを着るような、複雑なものになる。
ルキエルが来ているドレスは既製品だが、それなりにいいものだ。だからといって、一人での着脱が出来ないわけではない。ただ、ルキエルは人の手を借りて身に着けたから、着脱がわからないだけだ。
私が普通に服を脱がせてやる。ルキエルは、私相手に羞恥なんてない。女物の下着姿で、着ていたドレスを手にとって、作りなんかを見ていた。
「ふーん、こうなってるんだ。俺一人でも着れたな」
「試しに、男物も着てみるか?」
「いや、見るだけでいい」
興味を持っているルキエルを喜ばせるために、私が普段、着ている服をベッドの上に並べる。
「これが、城用、舞踏会用、茶会用だ」
「こういう感じのは、よく見るな。そっかー、これ着て来る時は、城からの帰りなんだな」
「そうだ」
「貴族って、本当に面倒臭いな。やっぱ、俺、貧民でいいや」
「………」
また、ルキエルから距離をとられてしまう。それは、心の距離みたいに感じて、私はつい、ルキエルの腕を引っ張って、無理矢理、口づけした。
ルキエルは抵抗しない。いつものことだ。私とルキエルは取引の関係だ。ルキエルは私に抱かれ、その見返りに壊れた魔道具や魔法具を手に入れる。ルキエルが望む魔道具や魔法具は、我が家の敷地の一角にある倉庫にたくさんあるし、今も、帝国中から集めている。
だが、いつもと違うのは、ルキエルが女になっている、ということだ。触れれば柔らかく、華奢で、壊れそうだ。
私の服や、ルキエルが着ていたドレスの上にルキエルは押し倒された。女物の下着を身に着けている体を晒して、呆れたように私を見上げた。
やや膨らんでいるルキエルの胸に優しく触れる。それだけで、ルキエルは小さく喘いだ。
「女は、こうすると喜ぶ」
「んぁ」
下着の上からこするようにしてルキエルの胸を刺激してやる。ルキエルは頬を紅潮させて、軽く身もだえする。
ちょっとした悪戯心だ。私はルキエルの両腕を手枷で拘束して、ベッドに固定した。これも、ルキエルは惰性で受け入れる。
下着を脱がせ、一糸まとわぬ姿にされたルキエルは、頬を紅潮させて、期待するように私を見上げた。今日は娼婦だな。
「ここは、いつもと変わらないな」
癖になっているのだろう。私はルキエルの蕾に指を二本、突っ込んだ。そこは、男である時と変わらず、すんなりと私の指を受け入れた。
ただ、ルキエルの反応が違う。蕾に指を入れ、いつものところを撫でて、突いてとやっているのに、ルキエルの反応が良くない。
「気持ちよくないか?」
「ん、そういうわけじゃ、ない、けど、変な、感じっ」
愛撫は変わらないようだ。舐めて、撫でてとやれば、蕾をきゅーきゅーと絞めてくる。
いつもだったら、前の一物をついでに刺激してやるのだが、ルキエルは女になっているので、それがない。仕方なく、花芽を撫でてやると、激しく腰を浮かした。
「やぁ、それぇ」
抵抗したいようで、拘束された腕まで動かそうと引っ張った。そのため、鎖がじゃらじゃらと激しく鳴らした。
「随分と喜んでいるが、私には物足りない………まさか」
私は男にはない、もう一つの穴である蜜口を撫でた。表面だけなので、ルキエルはまだ、何も反応しない。
私は嬉しい予感に興奮する。ルキエルは、他の刺激で、私の様子などわかっていない。私が与える悦楽に体を震わせ、声をあげて喜んで、それどころではない。
ルキエルの蜜口はぴったりと閉じていた。まだ、誰も侵入されていないそれに、私は指一本を差し込む。
「痛いっ!!」
痛みに叫ぶルキエル。その反応で、確信した。ルキエル、女としては処女だ。
貴族の学校に通うようになってから、養子オクトは、様々な柵を持つようになった。それも、当たり障りのないように、オクトは避けていたし、適当にあしらっていた。
それも、王都の貴族の学校に転入してから、難しくなった。オクト、よりによって、皇族様のご学友に選ばれたのだ。そんな、親子二代に渡って、皇族のご学友にならなくてもいいのにな。
お陰様で、茶会やら夜会やらのお誘いがいっぱいだ。それも、オクトは皇族様が参加しないから、とほとんど欠席である。皇族様が参加する招待状だけ、苦渋の決断、みたいな顔をして、出席の返事を出していた。
そして、その中に、厄介事が混ざってきた。
「困ったんだよ。デビュタントだから、僕にエスコートの申し込みがきたんだ」
主役であるお嬢さんのエスコート役の依頼がオクトに舞い込んだ。
こう言ってはなんだが、お嬢さんの生家と我が家とは接点がない。ただ、お嬢さんとオクトが同じ貴族の学校に通っているな、程度である。お嬢さんは侯爵家、我が家は伯爵家と爵位の上ではオクトが不利である。
「良かったですね、婚約者としては、いい感じですよ」
オクトの側近セコンが笑顔で勧めてきた。他人事だから、簡単にいうな。
「他所の血をいれると、色々と面倒事が多いのは、過去を見ても明らかだろう」
オクトは過去の例を出して拒否する。
「どうせ、オクト様は、養子をとるつもりなんでしょう。二代に渡って、さすがにそれはまずいですよ」
「才能のある後継者を血族から養子にとったほうが確実だ。血のつながりのある跡継ぎで、万が一、失敗した時は悲惨だ」
「だから、子を二人か三人、産ませるんですよ」
「好みじゃないんだなー」
「オクト様の好みの女性って」
長い付き合いだから、セコンはオクトの好みをよく知っている。ついでに、現在進行形で、オクトはその好みの女に貢いでいる。さらにいうなら、セコンはオクト好みの女は大嫌いだ。見るからに、セコンは表情を歪める。
「なあ、その話、まだ終わらないのか?」
傍観者を決めこんでいたルキエルは、さすがに飽きてきて、口出ししてきた。
オクトが王都の貴族の学校に通うようになってから、ルキエルはオクト目当てで屋敷に遊びに来るようになった。そのため、こういう、どうでもいい話を聞くこととなる。
「簡単にいうなよ。相手は爵位が上なんだ。ただのエスコートならいいが、デビュタントのエスコートは特別なんだ。断られた、なんて噂が立った日には、相手のお嬢さんは大恥だ」
「だったら、受けてやればいいだろう」
「これが縁で結婚話になったら困るから」
「そうなりたくないなら、そういう依頼をかたっぱしから受ければいい。簡単に消える」
何故か私を見て提案するルキエル。
確かにそうなんだ。ルキエルがいうことも理解出来る。実際、私はかたっぱしから受けて、私自身の醜聞にして、外部からくる縁談全てを潰したからな。そして、身内の縁談まで立ち消えて、養子をとることとなったんだがな。
オクトはルキエルの視線の先を見て、慌てて視線を反らした。情報源はお前か。仲良しなのはいいが、話しすぎだ。
「貴重な長期休暇を社交一色にしたくない!!」
そして、ルキエルの提案が、いかに不毛かと気づいたオクト。そう、これをやるのは、時間を無駄に使うということだ。私はおススメしない。
「じゃあ、血族の誰かに婚約者名乗ってもらえよ。嘘でもバレないだろう。婚約者がいるなら、エスコートも断れるってもんだ」
「頼んでるんだけど、うまく釣れなくて」
「………」
ルキエルはオクトから距離をとった。オクトが誰に頼んでいるのか、ちょっとした言葉の使い方で、ルキエルは悟った。
「お前、まさか」
「リンネットなら、誰も文句が出ないよ」
「姉貴はやめろ!!」
オクト、よりによって、ルキエルの姉リンネットに頼んでいた。本当に、オクトは趣味が悪いな。
ルキエルは清楚華憐な綺麗さであれば、リンネットは強烈な綺麗さである。ルキエルがユリならば、リンネットはバラである。どちらも綺麗であるが、その方向性が違う。
どちらも綺麗なんだが、性格に難がある。ルキエルは妖精憑きであるため、性格が妖精寄りである。気まぐれで、時には人に尽くす。それに対してリンネットは人らしく、欲望に忠実である。あの美しさである。男は皆、リンネットに一目惚れする。だから、リンネットの我儘に振り回されるのだ。それすらもリンネットならば許される、それほどの美しさなのだ。
確かに、リンネットをパートナーにすれば、誰も文句が出ないな。あそこまでの美女をエスコートすれば、まず、男が群がってくる。女は嫉妬するが、何も言えないだろうな。あんな美女を前にして、身分とか、そんなことで下げ落とすのは、男を敵に回すようなものである。
「それで、リンネットを説得できるのか?」
もう、デビュタントのお嬢さんには、返事をしないといけないので、オクトに現状を訊ねた。
「ドレスは作ったんだけど、パートナーはイヤだと突っぱねられちゃって」
「ドレスは作ったのにか?」
「ドレスは僕が勝手に作りました!!」
呆れた。リンネットが欲しがったから作ったわけではないのか。
「えっと、ドレスは返事の前に作るものなの?」
ルキエルは貴族の常識がわからないので、疑問を口にする。
いや、普通は、いい返事を貰ってからドレスを作るものだ。だいたい、ドレス作るには、着る本人を仕立屋に連れて行かないといけない。ドレスは既製品もあるが、オクトのパートナーとなると、特注でないといけない。
ということを私の口からは言えない。私は沈黙する。
「普通は、返事貰ってからだけど、今回は間に合わないから」
嘘か本当か微妙な言い訳をするオクト。誤魔化したな。
「また、無駄なことを。ドレス作ったからって、金を請求するなよ」
「そんなケチ臭いことはしないよ。ねえ、ルキエルからリンネットを説得してよ」
「い、イヤだ。俺から頼んだら、何を条件つけられるか」
「友達の頼みだろう」
「絶対にイヤだ!! 姉貴は、本当に大変なんだよ」
「あんなに貢いだのにー」
「………わかった。俺が女役をやる」
ルキエルの苦渋の決断だった。
さて、侯爵家のデビュタント当日、ルキエルは既製品のドレスなのに、そうとは思えないほどの着こなしであった。一目見て、養子オクトが鳥肌たてて、距離をとったほどである。しかし、パートナーであるため、手をとらないといけないので、オクトはドレス姿のルキエルの手をとるのだ。
そんな二人の目の前に、私は着飾った女を連れて行く。
「あんた、何やってるのよ!?」
馬車から降りるなり、女はルキエルとオクトの繋がれた手を叩き落した。
「あ、姉貴、どうして」
「まさか、本当にやるとは思ってなかったわよ!!」
私が連れてきた女は、ルキエルの姉リンネットである。
いくらルキエルが見た目が綺麗といっても、やはり男だ。会場で粗相しようものなら、ルキエルが男だとバレてしまう。そこから、オクトの醜聞である。次の日には、オクトは男好き、と噂されるだろう。
そこまでは、まだいいんだ。その醜聞にルキエルが巻き込まれることだ。あの見た目である。絶対に、ルキエルは表舞台に引きずりだされるだろう。そうなった時、怒り狂うのはルキエルの父アルロである。いつもは私がアルロを蹴っているが、今回のことでは、私がアルロに殴られるな。
そうなると読んだ私は、リンネットを説得した。最初はイヤがったリンネットだが、ルキエルが女装すると聞いて、不承不承ながら、オクトのパートナーになることを承諾したのが昨夜である。本当に、時間がなかった。
オクトは、着飾ったリンネットの手をとって、感動する。
「リンネット、やっぱり、僕のことを」
「そんなわけないでしょう!! ルキエルを友達というのなら、こんなことに巻き込むんじゃないわよ!!」
「こうしないと、リンネットが来てくれないから」
そして、リンネットは容赦なく、オクトの顔に平手をお見舞いする。余計なことをいうから。
痛い目にあったのに、それでもオクトは満面笑みである。リンネットの手を両手で握って、暴力だって喜んでいる。
「俺は、恥じを偲んで、こんな恰好までしたのに」
「リンネットが来てくれたから、帰っていいよ。約束通り、手土産は家に持っていくから」
好きな女を目の前にしたオクトは容赦なく友達を捨てる。清々しいな。
そして、満面笑みのオクトは、リンネットを連れて、馬車に乗って、屋敷から去っていった。
ルキエルは呆然となる。気の毒にな。前日から泊まり込みで、色々とされてたんだ。女の準備は色々と大変だ。当日だけではダメなんだという話だ。ルキエルは、前日から、我が家の使用人によって、磨かれたわけである。
ちなみに、リンネットも前日から、きちんとした店で支度したのだ。リンネット、ここぞとばかりに、足元を見てきた。あれ一人のために、随分と金が飛んでいった。
何故か、ルキエルは自らの胸を見下ろす。
「やっぱ、胸の大きさかー」
そして、蔑むように私を見た。これは、間違いなく、ルキエルは勘違いしているな。
「ルキエル、私は別に、胸の大きさなんて。ルキエルがいいんだ」
私は不貞腐れるルキエルをいつものように抱き上げた。
そして、違和感を感じて、私は固まる。
ルキエルは娼夫扱いをされているため、体を鍛えることが許されなかった。ちょっとした傷がつくことも許されないのだ。だから、男にしては華奢だ。それでも、男らしい、骨格をしている。
ところが、今のルキエルは、体が柔らかい感じがする。さらに、軽く、小さくなったような気がする。
片腕で抱き上げる時の視線の位置がずれている。私は、随分と近くなったルキエルの顔を見上げる。
「なんだか、小さくなったような気がするんだが」
「そうかもな」
「体が柔らかい感じがするんだが」
「そうかもな」
「胸が、ある?」
あいた片手で、ルキエルの胸に触れれば、細やかながら、胸のふくらみを感じた。許可なく触れたが、ルキエルは怒ったりなんかしない。
「そりゃ、女になってるからな」
「っ!?」
驚いた私は、ルキエルを落とした。ルキエル、油断していたようで、尻から地面に落ちた。
「いってぇー、何するんだよ!?」
「女になってるって、どういうことだ!?」
「あんたが寄越した妖精憑きが教えてくれたんだよ!!」
そんなバカなことがあるか!! そう叫びたいが、私はぐっと飲み込んだ。
まだ、ルキエルが妖精憑きとしての力を使いこなせない頃に、私の子飼いの妖精憑きを教師役として貸し出したことがあった。たった一年であるが、ルキエルは才能が高かったらしく、我が家の子飼いの妖精憑き全ての妖精が盗れるまで強くなったのだ。
どんな教育を施したのか、私は知らない。知ろうとしても、ルキエルを教育した子飼いの妖精憑きが死んだからだ。
妖精憑きの寿命は長いと言われている。だが、それは、きちんとした行いをしていれば、である。我が家の子飼いの妖精憑きたちは、後ろ暗い仕事を強制的にさせられている。そのため、力は落ちるし、寿命だって削られているのだ。
だから、ルキエルを教育した子飼いの妖精憑きが死んだとしても、特に気にしなかった。我が家にとって、子飼いの妖精憑きは消耗品だ。死んだって、また、どこかで捕まえて、洗脳して、教育すればいい。それほど、軽い存在である。
だが、ルキエルが、我が家の子飼いの妖精憑きでは教えることができない内容を平然とこなす姿に、私は恐怖を感じる。
一体、誰がルキエルに妖精憑きとしての教育を施したんだ? 死んでしまった子飼いの妖精憑きは、性別を変換するほどの妖精憑きとしての格を持っていない、帝国だって見逃すほどの弱い妖精憑きだ。
ルキエルは腰を撫でて立つと、恨みがましいとばかりに私を見上げてきた。その視線の低さに、私は改めて、ルキエルが女になっているとわかった。
だから、つい、無遠慮にルキエルの胸をつかんだ。
「痛いって!!」
「胸の大きさをこんな細やかにするのは、ルキエルの趣味か?」
今は目の前にいないルキエルの姉リンネットは、かなり大きな胸である。同じ血筋なのだから、ルキエルが女になれば、それなりの大きさになると思った。
ルキエルは私の手を叩いて、胸を防御するように腕を組んだ。
「俺が女になった場合は、これが通常だよ。だいたい、お袋の胸は、こんくらいだったよ!!」
「そうか? リンネットは、こう、立派な胸じゃないか」
「それは、たぶん、親父のほうの血筋が出たんだろう。レーリエットだって、そんなに胸ない」
「あの子は、まだ成長途中じゃないか」
「レーリエットはお袋に似たからな。あれで成長が終わりだ」
それを聞いて、私はルキエルの妹レーリエットが気の毒に感じた。見た目は清楚華憐だが、胸がちょっと足りないんだよな、と我が家の者たちに呟かれていたな。
女となったルキエル。ルキエルとレーリエットは母親似だ。ところが、女となったルキエルは、ルキエルなのだ。
今、記憶を思い返しても、ルキエルの母サツキの面影すら思い出せない。死んだら、それで終わりなわけではない。もう、私の心は、ルキエルに埋めつくされていた。だから、今、レーリエットを見ても、ルキエルに似ている、と私は感じるだけだ。
不貞腐れているルキエルを私はまた、片腕で抱き上げた。抵抗もせず、受け入れるルキエル。ご機嫌とりの手段と、ルキエルは思っている。ルキエルは機嫌よく笑って、私に軽く口づけする。
「今日は、このまま帰してくれるのか?」
「化粧はしてないんだな」
「いらないって言われた」
いつもと変わらないルキエルの素顔。ただ、性別が女になったというだけで、体躯に丸みが帯びているが、素顔は変わらない。
普段から、男のような振舞いに、ルキエルの素顔は綺麗だとは感じるが、女と見たことはない。だが、腕の中で大人しくしているルキエルは、女だと感じる。
私が乗ってきた馬車は、まだ残っている。これからどうするのか、御者は無表情で待っている。このまま、ルキエルを生家に帰す、という選択肢もあるわけだ。
ルキエルも、私がどうするのか、腕の中でただ待っている。予定がなくなったから、どうでもいい、みたいな感じだな。
「まずは、その服を脱ごうか。手伝おう」
「さすが、昔は女遊びで名を馳せた男だな。女のドレスを脱がせるのなんて、お手ものだもんな」
上から、蔑むように見下ろすルキエル。選択肢を間違えたな。ここは、使用人の手で着替えさせるのが正しかった。
しかし、誰かの手に触れさせたくないのは、私の我儘だ。本当なら、私の手で、ルキエルの身を整えたかった。
私は大人しくしているルキエルを抱き上げたまま、屋敷に入り、いつもの私の私室に連れ込んだ。ルキエルご希望かどうかはわからないが、私はルキエルを当然のようにベッドに下ろした。
「やっぱ、こうなるのか」
「期待しているから、大人しくしてたんだろう」
「一人で脱げないし、このまま帰るわけにはいかないからだよ!!」
また間違えた。ルキエルからの蔑みは深くなるばかりだ。ここで手を出したら、しばらくは、口もきいてもらえないな。
女の服というのもある。貴族が着るようなドレスは、どれも複雑だ。確かに、ルキエル一人では脱ぐことも出来ないな。高貴であれば、高貴であるほど、人の手を使って、ドレスを着るような、複雑なものになる。
ルキエルが来ているドレスは既製品だが、それなりにいいものだ。だからといって、一人での着脱が出来ないわけではない。ただ、ルキエルは人の手を借りて身に着けたから、着脱がわからないだけだ。
私が普通に服を脱がせてやる。ルキエルは、私相手に羞恥なんてない。女物の下着姿で、着ていたドレスを手にとって、作りなんかを見ていた。
「ふーん、こうなってるんだ。俺一人でも着れたな」
「試しに、男物も着てみるか?」
「いや、見るだけでいい」
興味を持っているルキエルを喜ばせるために、私が普段、着ている服をベッドの上に並べる。
「これが、城用、舞踏会用、茶会用だ」
「こういう感じのは、よく見るな。そっかー、これ着て来る時は、城からの帰りなんだな」
「そうだ」
「貴族って、本当に面倒臭いな。やっぱ、俺、貧民でいいや」
「………」
また、ルキエルから距離をとられてしまう。それは、心の距離みたいに感じて、私はつい、ルキエルの腕を引っ張って、無理矢理、口づけした。
ルキエルは抵抗しない。いつものことだ。私とルキエルは取引の関係だ。ルキエルは私に抱かれ、その見返りに壊れた魔道具や魔法具を手に入れる。ルキエルが望む魔道具や魔法具は、我が家の敷地の一角にある倉庫にたくさんあるし、今も、帝国中から集めている。
だが、いつもと違うのは、ルキエルが女になっている、ということだ。触れれば柔らかく、華奢で、壊れそうだ。
私の服や、ルキエルが着ていたドレスの上にルキエルは押し倒された。女物の下着を身に着けている体を晒して、呆れたように私を見上げた。
やや膨らんでいるルキエルの胸に優しく触れる。それだけで、ルキエルは小さく喘いだ。
「女は、こうすると喜ぶ」
「んぁ」
下着の上からこするようにしてルキエルの胸を刺激してやる。ルキエルは頬を紅潮させて、軽く身もだえする。
ちょっとした悪戯心だ。私はルキエルの両腕を手枷で拘束して、ベッドに固定した。これも、ルキエルは惰性で受け入れる。
下着を脱がせ、一糸まとわぬ姿にされたルキエルは、頬を紅潮させて、期待するように私を見上げた。今日は娼婦だな。
「ここは、いつもと変わらないな」
癖になっているのだろう。私はルキエルの蕾に指を二本、突っ込んだ。そこは、男である時と変わらず、すんなりと私の指を受け入れた。
ただ、ルキエルの反応が違う。蕾に指を入れ、いつものところを撫でて、突いてとやっているのに、ルキエルの反応が良くない。
「気持ちよくないか?」
「ん、そういうわけじゃ、ない、けど、変な、感じっ」
愛撫は変わらないようだ。舐めて、撫でてとやれば、蕾をきゅーきゅーと絞めてくる。
いつもだったら、前の一物をついでに刺激してやるのだが、ルキエルは女になっているので、それがない。仕方なく、花芽を撫でてやると、激しく腰を浮かした。
「やぁ、それぇ」
抵抗したいようで、拘束された腕まで動かそうと引っ張った。そのため、鎖がじゃらじゃらと激しく鳴らした。
「随分と喜んでいるが、私には物足りない………まさか」
私は男にはない、もう一つの穴である蜜口を撫でた。表面だけなので、ルキエルはまだ、何も反応しない。
私は嬉しい予感に興奮する。ルキエルは、他の刺激で、私の様子などわかっていない。私が与える悦楽に体を震わせ、声をあげて喜んで、それどころではない。
ルキエルの蜜口はぴったりと閉じていた。まだ、誰も侵入されていないそれに、私は指一本を差し込む。
「痛いっ!!」
痛みに叫ぶルキエル。その反応で、確信した。ルキエル、女としては処女だ。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿