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稲荷の過去
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昔、木野の一族は、村の中ではそれなりの有力者であった。ところが、他所の土地から稲荷神社を引き連れてやってきた有力者によって、没落させられたのだ。
没落した木野の一族は、それまで仲良くやっていた村人たちに石を投げられて、追い出されたという。
追い出されてしまったので、祀っていた神様は村に置いていくしかなかった。
木野の一族がいた屋敷は荒らされ、祀っていた神様の祠も壊されたという。
それから、村では原因不明の病気が流行るようになった。
肌のあちこちに、わけのわからない発疹が出来た。発熱もあり、村人全て、動けなくなったという。
稲荷神社を引き連れてやってきた有力者は、商売全て、失敗した。立派な稲荷神社はあるだけで、誰も祀ることが出来なくなった。
そんな不幸が続いているところに、旅の修験者がやってきていう。
『とんでもない祟り神がいます。この祟り神を鎮めていた一族はどうしたのですか? 祟り神が怒って、災いを振り撒いています。このままでいくと、死人が出てきますよ』
旅の修験者の言葉に、まだ、動ける者たちは、木野の一族を探した。
木野の一族は隣り村で、質素に暮らしていた。石を投げた村人たちは、木野の一族に土下座をしていう。
『どうか、祟り神を鎮めてください』
『もう、こちらで暮らしています。あなたたちで祀ればいい。難しいことではない』
『そんな恐ろしいものを祀るだなんて!?』
『祀るのは、誰でもいい。あんたでも、そこのあんたでもいいんだ。ただ、祀ればいいんだ。それで、満足する』
『どうか、助けてくれ!?』
『私たちはいつもやってきたことだ。それも、もう出来なくなった。我々にも生きていくための生活がある。今更だ』
木野の一族は断った。今更な話だったからだ。
何故、断ったか? 祟り神だけでも持ちだしたかったのだが、それを邪魔したのは村人たちだった。着の身着のままで追い出されたのだ。
そのことを言ってやれば、村人たちは泣くしかない。まさに、その通りなのだ。持ちだすことを許さなかった村人が悪いのだ。
『知らなかったんだ!!』
そこに、子どもが叫んだ。
『あんたたちが、そんなすごいものを祀ってるなんて、誰も知らなかったんだ!!』
子どもは泣いて頭を下げる。
子どもまで出てきてしまったので、木野の一族は、村に戻るしかなかった。
そうして、屋敷も祠も綺麗に戻して、木野の一族は、有力者ではなく、ただの村人としてひっそりと祟り神を鎮め続けたという。
没落した木野の一族は、それまで仲良くやっていた村人たちに石を投げられて、追い出されたという。
追い出されてしまったので、祀っていた神様は村に置いていくしかなかった。
木野の一族がいた屋敷は荒らされ、祀っていた神様の祠も壊されたという。
それから、村では原因不明の病気が流行るようになった。
肌のあちこちに、わけのわからない発疹が出来た。発熱もあり、村人全て、動けなくなったという。
稲荷神社を引き連れてやってきた有力者は、商売全て、失敗した。立派な稲荷神社はあるだけで、誰も祀ることが出来なくなった。
そんな不幸が続いているところに、旅の修験者がやってきていう。
『とんでもない祟り神がいます。この祟り神を鎮めていた一族はどうしたのですか? 祟り神が怒って、災いを振り撒いています。このままでいくと、死人が出てきますよ』
旅の修験者の言葉に、まだ、動ける者たちは、木野の一族を探した。
木野の一族は隣り村で、質素に暮らしていた。石を投げた村人たちは、木野の一族に土下座をしていう。
『どうか、祟り神を鎮めてください』
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『そんな恐ろしいものを祀るだなんて!?』
『祀るのは、誰でもいい。あんたでも、そこのあんたでもいいんだ。ただ、祀ればいいんだ。それで、満足する』
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『知らなかったんだ!!』
そこに、子どもが叫んだ。
『あんたたちが、そんなすごいものを祀ってるなんて、誰も知らなかったんだ!!』
子どもは泣いて頭を下げる。
子どもまで出てきてしまったので、木野の一族は、村に戻るしかなかった。
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