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祀りの前日
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どんどんと、周りを固められているような気がする。僕は現実逃避のために、酒を飲んだ。
「観世さん、では、明日、お手伝いに来ます」
「明日はいらない。丁度、いいのが来たからな」
ニヤニヤと笑って僕を見る観世。
「でも、人が一人でも多いほうが」
「元々、私一人でやっていたことだ。ここの神は、稲荷神社とは成り立ちも役割も神通力の在り方も違う。稲荷神社ももうすぐ祭りなんだから、そちらの準備をしなさい」
「ありがとう、観世さん」
野野木さんは笑顔で頭をさげて、帰っていった。
「おいおい、見送れよ」
野野木さんをそのまま帰らせてしまう観世に、僕は男として注意する。
「結婚したら、毎日、顔を合わせることになる。今は自由に過ごさせてやっているだけだ」
「だけど、夫婦になるんだから、こう、あるだろう」
「木野家は子孫を残して、祟り神を祀る役割がある。野野木家は、そのお手伝いだ。そこに愛とかそういうものはない」
「そんなことで、子孫が作れるのか?」
「どうだろうな。お前はどうなんだ。経験はあるのか?」
「あるよ!!」
大学に行けば、そういう縁だってある。今は独り身だけど。
観世はタバコの煙を吐き出して、驚いたように僕を見る。
「あるんだ、意外だ」
「酷いな! まあ、今は、恋人はいないけどな」
「そういうのが出来たら、ぜひ、紹介してくれ。見てみたい。ご馳走もしてやろう。金はあるから、いいホテルを予約しよう」
「やめてぇ!!」
どんどんと話がとんでもない方向へと転がっていく。経済格差できっと、恋人からさよならされるよ!!
観世は奥へと行くと、色々と道具を持って、縁側に置く。その中に、神主が着るような服まである。
「そんな服まで用意するんだな」
「私が神主役をするからな」
「は? 神主、出来るの!?」
驚いた。てっきり、神主は別にいるものと思っていた。どうやって、神主になるのか、わからないけど。
「こういうものを祀っている所は、それなりのことをすれば、神主になれるんだ。本当は、外の神主にやってもらいたいんだが、祟り神だから、やりたがらない。結果、一族が神主になるしかなかったんだ」
「すごいな! 知り合いで神主がいるのは、初めてだ。ちょっと、自慢しよう」
「ちょっと仰々しいことを言っているだけだぞ。天気がどうとか、そういうことを言って、ご機嫌とっているだけだ」
「それでも、すごいな。僕なんか、資格なんて、運転免許証だけだ」
「いいな。私は運転免許証なんてとらせてもらえない」
「行けばいいだろう、教習所」
「駐車場に行けばわかるだろう。車がないことを。私は、運転すら許されない身だ。車で外出する時は、運転手付きの車だ」
「すごいなっ」
こんな、古い家に暮らしているが、実はすごいのだ。
僕はもう、驚きっぱなしだ。観世のことは知れば知るほど、驚くしかない。
「今日は大人しく、部屋で休んでいけ。もう、間違いなんて起きることはないことは、わかっただろう」
「確かにな」
あんな美人な婚約者がいるのだから、そんなことは起きる以前だ。何より、観世とはもう、名前で呼び合うほど仲良くなっていた。知り合いから友達だよ。
縁側から家に入ると、観世は僕の背中を叩いた。
「また、変なものを憑けてきてるな」
「すまん」
そういえば、あの触りのあるT字路を通ったことを今更ながら、思い出した。
「観世さん、では、明日、お手伝いに来ます」
「明日はいらない。丁度、いいのが来たからな」
ニヤニヤと笑って僕を見る観世。
「でも、人が一人でも多いほうが」
「元々、私一人でやっていたことだ。ここの神は、稲荷神社とは成り立ちも役割も神通力の在り方も違う。稲荷神社ももうすぐ祭りなんだから、そちらの準備をしなさい」
「ありがとう、観世さん」
野野木さんは笑顔で頭をさげて、帰っていった。
「おいおい、見送れよ」
野野木さんをそのまま帰らせてしまう観世に、僕は男として注意する。
「結婚したら、毎日、顔を合わせることになる。今は自由に過ごさせてやっているだけだ」
「だけど、夫婦になるんだから、こう、あるだろう」
「木野家は子孫を残して、祟り神を祀る役割がある。野野木家は、そのお手伝いだ。そこに愛とかそういうものはない」
「そんなことで、子孫が作れるのか?」
「どうだろうな。お前はどうなんだ。経験はあるのか?」
「あるよ!!」
大学に行けば、そういう縁だってある。今は独り身だけど。
観世はタバコの煙を吐き出して、驚いたように僕を見る。
「あるんだ、意外だ」
「酷いな! まあ、今は、恋人はいないけどな」
「そういうのが出来たら、ぜひ、紹介してくれ。見てみたい。ご馳走もしてやろう。金はあるから、いいホテルを予約しよう」
「やめてぇ!!」
どんどんと話がとんでもない方向へと転がっていく。経済格差できっと、恋人からさよならされるよ!!
観世は奥へと行くと、色々と道具を持って、縁側に置く。その中に、神主が着るような服まである。
「そんな服まで用意するんだな」
「私が神主役をするからな」
「は? 神主、出来るの!?」
驚いた。てっきり、神主は別にいるものと思っていた。どうやって、神主になるのか、わからないけど。
「こういうものを祀っている所は、それなりのことをすれば、神主になれるんだ。本当は、外の神主にやってもらいたいんだが、祟り神だから、やりたがらない。結果、一族が神主になるしかなかったんだ」
「すごいな! 知り合いで神主がいるのは、初めてだ。ちょっと、自慢しよう」
「ちょっと仰々しいことを言っているだけだぞ。天気がどうとか、そういうことを言って、ご機嫌とっているだけだ」
「それでも、すごいな。僕なんか、資格なんて、運転免許証だけだ」
「いいな。私は運転免許証なんてとらせてもらえない」
「行けばいいだろう、教習所」
「駐車場に行けばわかるだろう。車がないことを。私は、運転すら許されない身だ。車で外出する時は、運転手付きの車だ」
「すごいなっ」
こんな、古い家に暮らしているが、実はすごいのだ。
僕はもう、驚きっぱなしだ。観世のことは知れば知るほど、驚くしかない。
「今日は大人しく、部屋で休んでいけ。もう、間違いなんて起きることはないことは、わかっただろう」
「確かにな」
あんな美人な婚約者がいるのだから、そんなことは起きる以前だ。何より、観世とはもう、名前で呼び合うほど仲良くなっていた。知り合いから友達だよ。
縁側から家に入ると、観世は僕の背中を叩いた。
「また、変なものを憑けてきてるな」
「すまん」
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