ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました

星名 七緒

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第3章

おばさん、物思いにふける(おばさん視点)

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 その日は、いつものように忙しい朝から始まった。

「ハンバーガー5個、魔物クッキー3袋、お待ちどう」

「ハンバーガー10個、どうぞ」




 朝の忙しさが一段落して、お客が少なくなった。

(今お店にいるお客さんは、5人か)

 カウンターにいる若い男、冒険者だろう。右脚に包帯を巻いている。杖をついて、歩いてきた。魔物か何かを討伐中に負傷でもしたのだろう。回復魔法ができないか、ポーションでも回復できないほどの傷なのか、いづれにしろ、休んでいる他にできないようで、店に来てからずっと酒を飲んで、今はカウンターに顔を埋めて、寝てしまっている。

「カウンターから、落ちなきゃいいけどねぇ」

 カウンターから見て左側のテーブルには、うさぎ獣人の娘と猫獣人の娘がしゃべりながら、ハンバーガーを食べている。

 反対側のテーブルには、おじいさんと孫娘がパンケーキを食べている。
 しばらくは注文もなさそうだ。

「今のうちに休憩しようかねぇ。ミリア、コメットさん、何か食べて、休んでいいよ」 

「はーい。おじいちゃんに何か作ってもらってくる~」

 ミリアが厨房へ消えて行く。
 お腹がすいていたんだろう。

「私より女将さんが先に休憩してください。私は後で大丈夫ですので」

 コメットさんがテーブルの上を拭く手を止めて、答える。

「コメットさん、いつも言ってるだろ。遠慮は無用だよ。アタシが言ってるんだ。先に休んどくれ」

(コメットさんは何度言っても、遠慮するんだ。やれやれ)

「で、では、こちらの片付けが済んだら、お先に休ませていただきます」

 おずおずと、コメットさんが言う。

「片付けは、アタシがやっておくから、ミリアと一緒にご飯食べてやっておくれ」

「わ、わかりました」

 しなくていいのに、コメットさんは遠慮しながら、厨房へと歩いて行く。

「早く遠慮しなくてすむようになるといいけどねぇ」

 テーブルを拭きながら、呟く。
 アリサが来て、いろいろな料理を作ってくれ、お陰で店が繁盛した。
 今までは、娘夫婦に援助したくてもできなかった。お店が繁盛したので、手伝いと称して、(イヤ、実際手伝ってくれて、助かっているのだが)援助できるようになった。

 コメットさんのこともそうだ。コメットさんのツノで、皆から遠ざけられてるとは知っていた。ダンナさんだって、仕事先で苦労してたとも聞いた。生活が苦しいと知ってはいたので、なんとか手を差しのべてあげたいとは思っていた。
 だけど、こちらも余裕がある訳ではなかった。
「売れ残りの食事で悪いけど、アタシらだけでは食べきれないから」
と言って、たまに食事を届けることしかできなかった。
 でもようやくコメットさんをお手伝いで雇い、給料を支払う余裕ができた。

「本当にアリサのお陰だよ」

 あの時、所在無げに立っていたアリサに、思わず声をかけたが、こんな風に変化が起きるとは、夢にも思わなかった。
 でも、アリサは店を繁盛させてくれた女神じゃない。本当に良い娘で、可愛い娘だ。

「物忘れ病が治って、どこかへ帰ったらどうしよう」
と考える時がある。
 それはアリサがいると便利とかではない。本当の娘のように思っているから、アリサがいなくなったら寂しくて、悲しいので、どこかへ行かないで欲しいと思うのだ。
 反面、アリサのために、早く全てを思い出して、本当の家族に会わせてあげたいとも思うのだ。

「複雑な親心だよ」

 そんな物思いにふけっていたら、突然入り口の扉をバーンと開けて、男達が入ってきた。
 


~~~~~~~~~~~

 お久しぶりでございます。
 諸事情により、長らく更新していませんでした。
 まだ不定期な更新となるかもしれませんが、できるだけ更新していきたいと思います。
 つたない文章とは思いますが、読んでいただけたら、幸いです。


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感想 42

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みんなの感想(42件)

うめつばめ
2024.12.21 うめつばめ

一気読みした後…
更新がなくて寂しいです。
お時間ある時に更新していただきたいです!

解除
あかり
2024.10.29 あかり

楽しくて、一気に読んでしまいました。
是非続きをお待ちしてます。

解除
うさぎん
2023.05.20 うさぎん

ひさしぶりに読み返しました。
やっぱりおもしろい! 続き待ってます。

解除

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