ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました

星名 七緒

文字の大きさ
13 / 59
第1章

一緒にお出かけ

しおりを挟む
 お休みの日がきた。
 今日は楽しいお出かけ。外はいいお天気。お出かけ日和。ヒャッホー。

 朝食を食べ、さぁ出かける用意。といっても、そんなに荷物があるわけじゃない。
 日本では、スマホや定期などが必要だったけど、こちらにはないからね。
 お財布だって、小さな袋だった。硬貨を入れるからね。
 いくら持っていけば、いいかな。買い物にあまり出たことがないので、銅貨一枚で、どのくらいものが買えるかわからない。
 食堂の食事が銅貨3枚だから、銅板貨を数枚入れておけば、充分かもしれない。買いたいものがあるかどうかわからないし。

「おじさん、おばさん、いってきます」

「いってらっしゃい」

「気をつけてな」

 二人に見送られ、ドリーを迎えにいく。

「おはようございます」

「おはよう、アリサちゃん。ちょっと待ってな。おーい、ドリー。アリサちゃんが来たぞー」

 ジョンさんがお店の奥へ声をかける。

「ハーイ」

 ドリーが奥で返事をする。

「この間のパンだけど、もう少しでうまくいきそうだから、もうちょっと待っててな」

「ジョンさん、急がなくていいんですよ。でも楽しみにしてます」

 先日ジョンさんは、工房の職人さんのところへいき、急ぎで食パンの型を作ってもらったそうだ(ドリー情報)。
 忙しいのに、お願いしたのが、かえって申し訳ないくらいだ。二人で話していると、ドリーがやってきた。

「お待たせ」

 今日のドリーはスカイブルーのワンピースを着ている。

「ドリー、可愛い」

「ありがとう。アリサも可愛いよ」

「ありがとう」

 エヘヘ。ちなみに私は緑色のワンピースなの。

「じゃ、父さん、いってくるね」

「気をつけて、いっておいで。アリサちゃんもな」

「いってきます」

 お店を出て、街の中心の方へ向かう。

「父さん、新しいパン作りをすごく張りきってやってるの」

「そうなの?」

「もうじき、うまくいきそうだって。私も食べてみたけど、前よりいい感じだと思うんだ」

「楽しみだなぁ」

「どんな風に食べるの?そのまま食べるの?ハンバーガーみたいにするの?」

「お楽しみってことで…」

「ケチー」

 楽しいな。本当は買い物の時、何を話したらいいかって、悩んでいたんだよね。昨日はドキドキして、眠れなかった。でも、悩む必要なかった。普通にしてればいいんだね。話なんて、次々と出てくるものなんだ。

 ドリーは歩きながら、「この店は○○が安いよ」とか「そのお店のおすすめは△△だよ」とか、いろいろ教えてくれる。いくつかのお店にも入り、商品をみたりした。

 ドリーは可愛い容姿なんだけど、セクシー系に憧れているんだって。私もだよ!セクシー、憧れるよね!
 でもドリーは可愛いんだから、可愛いさ倍増するものを選んでもいいと思うけどな。私は可愛い系も憧れる。私には、似合わないんだよ。残念。でもドリーは「似合うよ」って言ってくれた。ありがとです。

 買い物していたけど、疲れてきたし、喉が渇いた。ドリーもそうだったみたい。

「ねぇ、少し休まない?」

「そうだね。ちょっと疲れちゃった」

「この先に、お菓子が食べられるところがあるの。そこへ行かない?」

 お菓子!こちらに来てから、お菓子食べてないよ。私はお菓子が作れる。だけど砂糖が高いっていうから、まだお菓子作ってないんだ。

「ここだよ」

 ドリーが連れていってくれたのは、小さな喫茶店みたいなところ。

「ここのオランジュースとお菓子が美味しいんだよ」

 ドリーのおすすめのオランジュースと焼き菓子を注文した。
 紅茶やハーブティーもあった。紅茶も飲みたかったけど、次回のお楽しみにしよう。


 しばらくして、注文の品がテーブルに置かれる。オランジュースはさっぱりとしたオレンジジュースだった。お菓子は木の実の入ったケーキだった。お値段がお手頃なケーキもあるんだね。

 砂糖は高級品のため、砂糖を使わず、フルーツや木の実が入った自然の甘さを活かしたケーキが多いそうだ。

 なるほど、そうだね。お菓子だからといって、砂糖を使わなくてもいいよね。
 砂糖の代わりに、別のものを使ったりすればいいんだ。
 今日のケーキは甘い木の実を使っていた。甘すぎず、とても美味しかった。
 久しぶりのケーキに満足、満足。
 そうだ、ドリーに聞いてみよう。

「コーヒーってあるの?」

「こーひー?それ、何?」

 反対に聞かれてしまった。こちらにはコーヒーないんだね。


 お店を出た後、ドリーはジャムを扱うお店に連れていってくれた。

「ここはね、木の実のジャムや蜂蜜を扱うお店なの」

 ジャムってあるんだ!それに蜂蜜ですと!?ヒャッホー!

「こんにちは」

「あら、ドリー、いらっしゃい」

 お店番をしていたのは、私達と同じくらいの女の子。

「こんにちは、リズ」

 リズと呼ばれた女の子は、緑色の髪をおさげにしていた。

「リズ、このは”川の夕暮れ亭”のアリサ。アリサ、この娘は”ジャビーの店”のリズよ」

「こんにちは」

「あなたが噂のアリサね」

 なんですか?その噂って?

「珍しい料理を作る不思議な子って、噂なのよ」

 ドリーとリズが笑う。そんな噂があるの?”不思議”は余計だよね?

「今日はなに?なにか探しにきたの?」

「違うの。アリサと一緒に買い物していたの。近所まで来たから、リズに会わせようと思って」

「そうなの。私はリズって呼んで。私もアリサって呼ぶから」

「よろしく、リズ」

「お店にきたなら、いろいろ見て。ウチの商品も珍しい料理に使ってよ」

 珍しい料理なんて、そんなに思い浮かばないよ。でも、食パンを作ってもらったら、ジャムをはさんでジャムパンできるね。そうだ、丸パンでもできるね。
 お店の中には、いろいろなジャムがあった。値段も安いのから高いものまで、いろいろ。
 ん、これは蜂蜜っぽいな。

「これは蜂蜜?」

「そうよ。珍しいでしょ?」

「珍しい?」

「ウチは召喚獣にグランハニービーがいるから、お手頃な値段で販売しているのよ」

 召喚獣ですと?


~~~~~~~~~~~~~~~~

 少し異世界っぽくなってきましたでしょうか?
 でも、まだ名前だけで出てこないのですが…。すみません。


 

しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

処理中です...