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黒銀の
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俺の成獣体まで、後二ヶ月という時、そいつは来た。
現在、聖黒教にいる黒銀のフェンリル。そいつが、俺の所へ来た。
「お前が、次の黒銀か…」
「………」
「フフッ」
警戒する俺を鼻で笑い
「そう、毛を逆立てるな。今日は、お前に話があってきた」
「話し?」
背中に女を乗せた黒銀が、そう言う。
「大切な話だ」
それは、これから俺に起こること、俺が、新たな黒銀になる話し。
「いいか、よく聞け、俺たち黒銀は人型になれる」
「人型?」
「そう、だが、お前はまだなれん!」
「何故だ!」
「黒銀が人型をとれるのは、黒銀の乙女を見つけてからだ。それが自分の乙女かどうかはすぐに分かる。血が、全身の血が沸き立つ様な、暴れ狂う様な感覚になる、これ以上どうと言えないが、その時になれば分かる」
そう話し出す。
黒銀は、成獣体になると、里を出て色んな所へ旅に出るらしい。そこで乙女に会うと言うのだが、いつ会えるのかは分からないらしい。俺の乙女が既に生まれて成人しているのか、まだ生まれてもいないのか、これは会ってみないと分からないらしい。
そして、乙女と出会い名前を付けてもらって、初めて人型になれるらしい。
今代の黒銀は、里を出て乙女に会ったのは5年後、その時乙女は既に20才を超えていた。先代の黒銀と乙女の世話係として、教会の奥深くほとんど外に出なかったと言う。
たまたま、先代の乙女にお使いを頼まれて街へでいたらしい。そこで、今代と出会ったと。
黒銀は、次代が新たな乙女と出会うと命が尽きるらしい。だから、里を出る前に会いに来たのだと。
今代の背から降りた乙女に手を貸すため、黒銀は人型をとる。黒銀に輝く美しい長い髪にブルーダイヤを嵌め込んだ様な美丈夫がそこにいた。
「黒銀は皆、この姿になる」
今代の乙女は、紅い髪にルビーの瞳。紅の姫と呼ばれているらしい。
「お前が乙女と会えば、俺たちは消える」
「ふふっ、それでは分からないわ。文字通り、消えてなくなってしまうのだけど、本当に何も残らないのよ」
そう優しい声が言う。
「何も?」
「だって、考えても見て、人間は長生きしても100才ちょっとよ。それが乙女に選ばれて、黒銀と共に1000年以上生きる。命が尽きれば塵ひとつ残らないわ。先代の青の姫も何も残らなかった。残してくださらなかった!」
そう言って、はらはらと涙をこぼす。
「お前が乙女に会って、俺たちが消えた後、乙女の情報以外の記憶がお前に渡る。」
「記憶が?」
「そうだ、初代から全てだ。だが心配するな、しっかりした記憶では無い、なんとなくのだ。そう言えばそんなこともあったな~、くらいのだ」
俺は、ハアっとため息をついて了承する。
「あぁ、そうだ。一番大事なことを言っておかないとな。」
「…?」
「人型がとれる様になると、乙女に対してのみ性欲が湧く。俺の様に既に成人していればいいが、それはどうか分からない。俺たち黒銀は、乙女にのみしか発情しないからな!」
「!!!」
「それじゃあ、乙女が幼女だったら……」
「まぁ、暫く我慢だな!」
「………」
「まぁ、頑張れ!」
そう言って、今代の黒銀は俺の肩を叩いて帰っていった。
願わくば、俺の乙女も成人しています様にと、祈る事しか出来ない。
現在、聖黒教にいる黒銀のフェンリル。そいつが、俺の所へ来た。
「お前が、次の黒銀か…」
「………」
「フフッ」
警戒する俺を鼻で笑い
「そう、毛を逆立てるな。今日は、お前に話があってきた」
「話し?」
背中に女を乗せた黒銀が、そう言う。
「大切な話だ」
それは、これから俺に起こること、俺が、新たな黒銀になる話し。
「いいか、よく聞け、俺たち黒銀は人型になれる」
「人型?」
「そう、だが、お前はまだなれん!」
「何故だ!」
「黒銀が人型をとれるのは、黒銀の乙女を見つけてからだ。それが自分の乙女かどうかはすぐに分かる。血が、全身の血が沸き立つ様な、暴れ狂う様な感覚になる、これ以上どうと言えないが、その時になれば分かる」
そう話し出す。
黒銀は、成獣体になると、里を出て色んな所へ旅に出るらしい。そこで乙女に会うと言うのだが、いつ会えるのかは分からないらしい。俺の乙女が既に生まれて成人しているのか、まだ生まれてもいないのか、これは会ってみないと分からないらしい。
そして、乙女と出会い名前を付けてもらって、初めて人型になれるらしい。
今代の黒銀は、里を出て乙女に会ったのは5年後、その時乙女は既に20才を超えていた。先代の黒銀と乙女の世話係として、教会の奥深くほとんど外に出なかったと言う。
たまたま、先代の乙女にお使いを頼まれて街へでいたらしい。そこで、今代と出会ったと。
黒銀は、次代が新たな乙女と出会うと命が尽きるらしい。だから、里を出る前に会いに来たのだと。
今代の背から降りた乙女に手を貸すため、黒銀は人型をとる。黒銀に輝く美しい長い髪にブルーダイヤを嵌め込んだ様な美丈夫がそこにいた。
「黒銀は皆、この姿になる」
今代の乙女は、紅い髪にルビーの瞳。紅の姫と呼ばれているらしい。
「お前が乙女と会えば、俺たちは消える」
「ふふっ、それでは分からないわ。文字通り、消えてなくなってしまうのだけど、本当に何も残らないのよ」
そう優しい声が言う。
「何も?」
「だって、考えても見て、人間は長生きしても100才ちょっとよ。それが乙女に選ばれて、黒銀と共に1000年以上生きる。命が尽きれば塵ひとつ残らないわ。先代の青の姫も何も残らなかった。残してくださらなかった!」
そう言って、はらはらと涙をこぼす。
「お前が乙女に会って、俺たちが消えた後、乙女の情報以外の記憶がお前に渡る。」
「記憶が?」
「そうだ、初代から全てだ。だが心配するな、しっかりした記憶では無い、なんとなくのだ。そう言えばそんなこともあったな~、くらいのだ」
俺は、ハアっとため息をついて了承する。
「あぁ、そうだ。一番大事なことを言っておかないとな。」
「…?」
「人型がとれる様になると、乙女に対してのみ性欲が湧く。俺の様に既に成人していればいいが、それはどうか分からない。俺たち黒銀は、乙女にのみしか発情しないからな!」
「!!!」
「それじゃあ、乙女が幼女だったら……」
「まぁ、暫く我慢だな!」
「………」
「まぁ、頑張れ!」
そう言って、今代の黒銀は俺の肩を叩いて帰っていった。
願わくば、俺の乙女も成人しています様にと、祈る事しか出来ない。
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