黒銀のフェンリル

chii

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香り

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  「ラフィエル、教皇と王太子を、目立たない様呼び出す事は出来るか?」
「こちらにですか?……少々時間はかかりますが、可能です。」
「頼めるか?」
「はい…」


それから一週間。俺達は庭でピクニックをしていた。
執事が教皇と王太子を連れてきた。
「皆さまこちらでお待ちです。………どうぞ」
足を進める二人の前に俺がいる………黒銀の俺が。
目を見開き立ち止まった教皇が

「あぁ………黒…銀様……何と!」
その場で跪き頭を下げる。
それに倣い、教皇の隣で王太子が、臣下の礼をとる。
俺はりるを見ながら声をかける。
「リル、あいつらに俺の前へ来て右手の手のひらを見せるように言ってくれ!」
「はい。」
「初めまして、黒銀の乙女に選ばれました、リシュール.メリルです。黒銀様の、お言葉をお伝えします。黒銀様の側へ来て、右手の手のひらを出して下さい」
二人はリルの言葉を聞き、俺の側へきた。
「まだ、遠い。」
「もう少しお側にお願いします。」
側へ来た二人の掌に、鼻先をつける。
「聞こえるか?」
黒銀の声を聞けるのは許された者。
「おぉぉぉ!聞こえます!黒銀様のお声が!!」
そう言って、また泣き出す。その隣で王太子までボロボロ泣いている。
「泣くな、鬱陶しい!」
暫く他愛もない話をした。

「リル、そろそろダンスの時間だろう?」
「はい、行ってまいります。」
そう言って離れて行く。」
護衛に付いて行こうとするマークを呼び止める。
「マーク、お前も残れ。それと、服を取ってくれ!」
それを聞いて、残っていたメイドや侍女達が離れて行く。
それを確かめ、俺は人型をとる。服を着終わると
「リルや侍女達も遠ざけてどうしました?」
「あぁ」

「リルも、もうすぐ12才だな。」
「はい。」
「最近、リルから甘い香りがする……」
「香り………ですか?」
「そうだ、近いうち初潮を迎えるだろう。」
「しょっ………」………ラフィエル
「////」………王太子
「えっ!!!」………マーク
「ほぅ……」………教皇

「リルに初潮が来たら、暫く離れる!」
「何故……?」
「俺は、フェンリル。黒銀と崇められても、やはり獣だ…」
「甘い血の香りがすれば……」

「ありがとうございます。娘を思って………」
「お前の大切な娘だが、俺にも、大切な愛しい乙女だ……傷つけたくは無い…」
「その間、ジェームス、黒銀の館へ行く……お前の顔を見れば落ち着くだろう」
「私の顔で良ければ、いつでもお貸ししましょう」

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