なんともならないことはない

9月某日

3月・・・



別れの季節というけれど、自分にとっては気持ちが落ち着きだす、ちょうど良い季節。
 
そう、たいてい8月。自分の場合はそうなのだ。恋愛面だが。

そんな急なナレーションを頭の中で流しながら、向かう飲み屋街。

光の隙間が目立つのライトアップは田舎特有だろうか。
少し侘しさもあるが夜は人通りもそこそこある。




「久しぶりじゃん!都会はどうだった？」
3歳下、25歳の左手に指輪が光る女性が声をかけてきた。

「まあまあ・・・重くなるような話は後にして、結婚おめでとー」

「ぐへへへっ」 

「まさか、結婚するなんてな」

「幸せアピールしたいのは山々なんだけど・・・こっちに帰ってきた理由は？先に詳しく聞きたい!（笑）」

「他人の不幸で先に楽しみたいのな（笑）まあ、ほぼほぼメールで言ったとおりだけど・・・」



亀丸 祐介、28歳。

東京に3年、今の9月に帰ってきて今日で1週間。地元でまた生活を始めた。

それまで、漫画家という夢を追いながらバイトに明け暮れた日々。

戻ってきた理由は
彼女がバツイチ子持ちで再婚を望んでた事
漫画に対して自分の限界を線引きしてしまった事
バイト先が閉店する事。

いろいろ重なって地元に戻ろうと自然と思ったしまった。

誰かの為に生活をしよう。
そう思える歳になっていたのだ。良くも悪くも。



と、まあ・・・それを彼女に伝えた矢先・・・フラれた。

先に部屋を引き払う話を不動産会社やら親やらに伝えたのが仇となり、結果今に至る。

というか、フるかね普通・・・