なんともならないことはない

ココロボ何某

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プロローグ

9月某日、居酒屋にて

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「てか、早く居酒屋入ろう。やさぐれてる心が暑さで溶けてしまう・・・」
と亀丸 祐介が話した。


「そうだね!酒の肴にクズな彼女の話を聞こうかな!!」
左手の指輪が嫌みな・・・女性が話した。

名前は富田 夏希。

名字が変わった事など、勝手に話すだろう。
てか、相変わらず口が悪い・・・。


1番近い居酒屋に入って
とりあえずビールを頼む二人。


「お疲れー!おかえりー!寄りを戻したって聞いて、何でそこ行ったかなー!!亀丸さんまた上手くいかない!!って思ってたんだよね!!(笑)」

「その話にすぐ戻るんかい!!」



・・・そして、28歳。

また回想シーンへ・・・



あれは、まだ二十歳そこそこの時だった。

ツテもあって絵画の展覧会のスタッフとして月に1回ボランティアで参加していた。

そこで仕事のやりとりで話す機会が出来た佐藤さん。 

初めて見た彼女の印象はとても可愛くて、芸能人みたいだなって思った。

仕事もそつなくこなして、愛想も良い彼女はもちろんよく言う高嶺の花だ。

休憩中に話をしてみるとフルネームは佐藤 香奈子、同い年と言うことが分かった。

それ以上切り込めなかったのは、コミュニケーションが下手な自分のせいか・・・
はたまた童顔というハンデのせいなのか・・・

自分からグイグイいく男らしさは残念ながらまだまだ持ち合わせが足りなかった・・・



月に1回の展覧会がまた来て、スタッフとして参加した。

自然と探してしまった、佐藤さんは元気がなかった。
無理に気を紛らわせている様だった。


僕も仕事が忙しくて・・・

というか数年前の事すら案外覚えていないもので(苦笑)

佐藤さんの事ばかり見てたんだな・・・はぁ・・・




展覧会の片付けが終わって、声をかけられた。

「亀丸君」

振り返って見ると佐藤さんだった。

「え?俺、なんか忘れ物でもしました??」
 
「えーと、違くて・・・よかったら、アドレス教えてほしいんだけど・・・」

「へっ??」

何故に俺?こんな可愛い子が?スタッフのみんなでからかう気か?美人局か?
いや、こんな童顔人見知りの目と耳がとうとう幻覚を感じる程の次元に突入したのだ!

などと、よく分からんネガティブキャンペーンを巡らせさせながら固まってしまった。


「急にごめんね、嫌なら大丈夫だから」


「ううん!アドレス交換しよ!て、展覧会の事とか話したいし・・・」



まさかここから憧れが強すぎて彼女を冷静に見ていなかった自分の苦悩の日々が始まるとは・・・ 



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