実はこっそりあいつに溺れてますが、何か?

らいち

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第一章

失敗した!

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「そこは私の居場所だって言ってるの!」
「何言ってるのよ。二年生のくせに生意気よ。少しは上級生を立てなさいよ」
「冗談でしょう?」

 コホン、コホン。
 少し大きめの咳払いに我に返った。優作お兄さんが、困ったように私たち二人を見ている。

「……そろそろチーズケーキが焼ける頃なんだけど、食べるか?」
「チーズケーキ! 優作お兄さんの?」
「ああ。……有理奈さんは、チーズケーキは好きかい?」
「はい、大好きです」
「じゃあ持って来るから、ちょっと待ってて」

 優作お兄さんはそう言って、部屋を出て行った。

 うわー、どうしよう。ヤバい、ヤバい。テンション上がってきた。だって、だってパティシエの卵の優作お兄さんのチーズケーキだよ? テンション上げるなって言う方が無理だ。

 パティシエの卵といってもバカにしちゃだめだ。優作お兄さんの腕前は天下一品。小さいころからお菓子づくりが大好きだっただけあって、彼の作るケーキは一流パティシエと何らそん色ないと私は思ってる。

 彼の作る美味しいチーズケーキを思い出しニヤニヤそわそわしていたら、いやに冷めた視線で二人がこちらを見ていた。

「何よ?」
「いや、別に」
「お子様なのね~と思って見てただけよね?」
「なんですって?」

 コンコン。

 怒って立ち上がりかけたところでのノック音に、我に返って座り直した。そんな私を横目で見た神は、少し笑いをこらえているように見える。

「開けてくれるか?」
「あっ、はい」 

 お盆持ってたら開けられないよね。
 一瞬神が立とうとしたのを手で制して、私が扉を開けた。

 うわー、久し振りに見るお兄さんのチーズケーキだよ! 食べたのはもう数年も前になるけど、あの時ですらめちゃくちゃ美味しかったんだ。今ならもっと美味しいに違いないよ!

 お兄さんが配ってくれるのを待つのが辛い。本当はそのお盆の上に置かれている皿を勝手にこっちにもって来たいくらいの衝動に駆られている。

「本当に花より団子なのね、加代子さんは。もしかしたらここに来たのも神君目当てじゃなくて、実はこのチーズケーキを狙ってたんじゃないの?」

「はあ? 何言ってるのよ! これはたまたま……」

 有理奈さんに言い訳している私の事を、神がさっきよりも冷めた目で見ている。まずい、がっついた可愛くない子だと思われちゃったかも。

  しかも失敗したと思ったのは、さっきまで床に直接座っていたから気が付かなかったけど、ケーキを食べるために神が一人用のソファに座ったので、有理奈さんも同じように隣の一人用のソファに腰かけてしまった。仕方がないので私は、向かい側のソファに座る羽目になった。
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