実はこっそりあいつに溺れてますが、何か?

らいち

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第一章

これからも神と仲良くしてくれな

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 有理奈さんと二人だなんて本当はちょっと気まずい。何か話すべきだろうかと思いチラッと有理奈さんを窺ってみたけど、彼女はあまり気にもしていないようだった。

 ま、いいか。彼女と別に親しくしなきゃいけないことなんてないものね。

「ああ、そう言えば加代子さん……」
「えっ?」
「…………」

 言いかけた言葉を、有理奈さんは途中で引っ込めた。

「何?」
「別に……。まあ色々なんでかなと思っていた事があったんだけど、幼なじみだったのね貴方達って」
「まあね。私たちのお父さんが、親友同士だったから」
「ふうん……」 

 それからの有理奈さんは、私と話す気をすっかり失くしたようで、窓から見える景色を眺め始めた。
 まあ私も、特に話したい事があるわけでもないからいいんだけどね。
 そんな感じで十分ほど過ぎたころに、お兄さんが有理奈さんに話しかけた。

「有理奈さんの家は、この道を真っ直ぐでいいのかな?」

「はい、そうです。もう少し行くと緑の看板のスーパーがありますので、その近くで停めて下さい。そこから歩いて二分ほどで着きます」

「緑の看板……。ああ、あれだね」
「はい、そうです」

 車はスーパーを少し過ぎた所で止まった。

「ここで大丈夫?」
「はい。送っていただいてありがとうございました」
「気をつけて」

 有理奈さんが車を降りた後、また車は走り始めた。しばらくして、優作お兄さんが遠慮がちに話し掛けてきた。

「なあ、加代子ちゃん」
「なんですか?」

 顔を上げると、ルームミラーでお兄さんと目が合った。

「神のことだけど、今日の事に懲りずにこれからも仲良くしてあげてな」 

 今日のこと……? ああ、有理奈さんのことか。

「大丈夫です。これくらいは織り込み済みだから。優作お兄さん、私、神のことは絶対諦めませんよ」
「そうか。それは良かった」

 心底安心したような声でそう言って、優作お兄さんは笑った。

 あっ、もしかしたら、さっきお兄さんが神を車に乗せなかったのは、これを私に言うためだったんだろうか?
 本当に優作お兄さんは、まるで実の妹に接するように私に優しくしてくれる。それは出会った頃から変わってなかった。

「そろそろ着くな。じゃあまた、遊びにおいでね」
「はい、ありがとうございます」

 車を降りると優作お兄さんは優しく手を振って、それから車を発進させた。

 本当に優作お兄さんって、優しくて格好良くて素敵な人だ。……それに引き換え神の女の子に対する来る者拒まず精神は、本当にどうにかしてほしいよ。
  他の子たちはどうあれ、有理奈さんって美人だし手強い感じなんだよな。

「でも、負けないけどね!」

 空を見上げると光る一番星。こぶしを握り星に誓った私は、それがなんだか滑稽に思えて、独り玄関先で笑った。
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