実はこっそりあいつに溺れてますが、何か?

らいち

文字の大きさ
16 / 47
第二章

加代子の負け

しおりを挟む
 お昼休みになると、お弁当を手に女の子たちが我先にと僕の席を目指してやってくる。もちろん加代子も例にもれず、親友の琴と一緒にこちらに来ようと焦っていた。手にはさっき僕が渡しておいたマカロンの入った袋を持って。

  あっ、小競り合いになっている。

  加代子は僕と一緒にいることが多いので、他の女子からやっかまれ敵対視されることが多いんだ。今もそれで、女子対加代子の構図になった状態で揉めている。琴も応援しているみたいだけど、どうやら劣勢だ。

「神! 一緒にお昼食べようって言ったじゃないの!」

 加代子が大声で僕に訴えた。するとみんなが避難の目で僕を見る。
  ハハッ。そうなるよな、やっぱ。

「来ればいいじゃん」
「来ればって、もう! ほら、神もそう言ってるんだから通してよ!」
「ええ~? 聞こえないなあ」

 彼女らが加代子に譲るわけもなく、更にヒートアップして二人を排除にかかっている。
 結果、加代子は諦めるしかなくなって、自分の席へと戻って行った。ガタンと大きな音を立てて席に座り、憤まんやる方ない様子だ。
 悔しそうに真っ赤になって、頬を膨らませている加代子が可愛い。僕のことで一喜一憂する加代子を見るのは、趣味が悪いかもしれないが本当に楽しいんだ。

  ニヤニヤしながら見ていたら、訝しい表情でみんなが見ていることに気が付いた。慌てて弁当箱を広げて、何事も無かったように振る舞ってみる。

「さっ、食べようか」
「そうだね。うん、いただきます」
「いただきまーす。わあっ、神のお弁当、相変わらず美味しそう」

 広げられた僕の弁当を見て、みんなが感嘆の声を上げた。
 最近の兄さんは、パティシエ志望のくせに料理の彩りにまで興味を覚えてきたようなんだ。それで朝、母さんが弁当を作ってくれているその横で、一緒に手伝っているのをよく見かける。今日もそうだった。そして大抵そういう時は、女の子の評判がすこぶるいいのだ。

  今日の僕の弁当箱の中身は、炊き込みご飯のおにぎりに、レタスで包んだグリーンピース入りのカボチャのサラダと蒸したブロッコリーのホタテ添え。ひじきの煮物にハンバーグと卵焼き、そしてプチトマトが数個。それが彩りよく盛られている。

「これって神のお兄さんも手伝っているんだよね」
「うん」
「いいよなー、そんな素敵なお兄さんがいて。うらやましい」

 そう言いながらみんな、自分達も弁当を広げて食べ始める。僕も箸を持ち直して、右に倣った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

処理中です...